

無印良品に「腕時計スタンド」という専用商品は存在しないのに、組み合わせ次第で専用品(約7,000円以上)より3,000円台で完成します。
まず知っておきたいのは、無印良品には「腕時計スタンド」という名称で販売されている専用品が現在ラインナップに存在しないという点です。これは多くの収納好きが見落としているポイントです。
ただし、そのことはまったくデメリットにはなりません。無印良品には腕時計収納に転用できるアイテムが複数揃っており、うまく組み合わせることで専用品と同等以上の収納環境を作れます。
主に使われるアイテムをまとめると次のようになります。
この3つのうち「アクリルケース2段フタ付き+ベロアケース縦×2個」の組み合わせが最も人気の構成です。合計金額は3,470円ほどで、腕時計専用ウォッチケース(エントリーモデルで7,480円前後)の半額以下に収まります。コスパが高い点が、収納を極めたい人には見逃せないポイントです。
アクリルケース自体には透明フタがついているので、透明部分から光が入り、電波ソーラー時計の充電を妨げないという実用的なメリットもあります。つまり機能面で専用品に引けをとらないということです。
使い方の手順はシンプルです。ベロアケース縦(490円)をアクリルケースのフタ側(上段)の引き出しトレー内に1枚セットし、腕時計を横向きに寝かせて収納します。下段のトレーには2枚目のベロアケースを入れるか、ネックレスや指輪などアクセサリーを収納すると身支度一式をひとまとめにできます。
注意したいのは、ベロアケースは「アクリルケース2段タイプ専用」という点です。
3段・5段タイプのアクリルケースには引き出しの内寸が異なるため、ベロアケースがすっぽり入らない場合があります。購入前に「2段フタ付引出」か「2段引出」タイプかを確認しましょう。見た目がよく似た商品が複数あるため、店頭では店員さんへ確認するのが確実です。
また、ベロアケース縦のサイズ(幅15.5×奥行12cm)は、一般的なリストウォッチのケース径44mm前後の時計を1本収納するのにちょうどよい大きさです。ただしラグ幅が長い機械式時計やブレスレットタイプは、フィット感が異なる場合があります。実際に時計を当ててみてからサイズ感を確かめると安心です。
どの使い方でも「フタを開けてそのまま取り出せる」というワンアクション収納が毎朝の動作をラクにしてくれます。収納の深さ(9.5cm)は一般的なアナログ時計の厚みに対して十分な余裕があるため、クロノグラフなど厚みのあるモデルも対応可能です。
収納を極めたい人にとって、「隠す収納」だけがゴールではありません。無印のアクリルケースは透明素材ゆえに「見せる収納」としても機能します。これが専用の木製ウォッチボックスにはない強みです。
ドレッサーや洗面台の脇、玄関の小棚など、毎日目にする場所にアクリルケースをそのまま置くだけで、ディスプレイのような印象を与えられます。透明ボックスの中にベロア(グレーやブラウン)を敷いた状態で時計を置くと、まるでショーケースのように見えます。
複数本をコレクションしている方には「重なるアクリルケース横型5段(幅25.5×奥行17×高さ16cm・税込4,030円)」を縦に積み重ねる方法も人気があります。1段に腕時計1本を収納すれば、5本をそれぞれ個別のトレーに並べて管理できます。腕時計ショップの陳列棚に近い見え方になるため、所有する時計をコレクションとして楽しみたい方に向いています。
同じ無印のシリーズでまとめることで、色・素材・フォルムの統一感が自然と生まれます。たとえばアクリルケースの横に「壁に付けられる家具トレー(幅11cm)」を組み合わせて時計置き場+小物スペースを壁面に設けると、省スペースで立体的な収納スペースを作れます。他のインテリアに干渉しないシンプルさが、無印の最大の強みです。
なお、見せる収納に切り替えた際に心がけたいのは「光の管理」です。直射日光が当たるカウンター上に置くのは避け、日差しが窓から入らない方向に向けて配置するのが原則です。理由は次のセクションで詳しく説明します。
収納アイテムを揃えただけで満足してしまうのが、収納初心者がやりがちなミスです。「どこに置くか」が時計の寿命を大きく左右します。
時計修理の専門家(一級時計修理技能士監修)によると、腕時計を劣化させる保管場所の三大NG要因は次のとおりです。
| NG要因 | 具体的な場所・原因 | 起きるリスク |
|---|---|---|
| 🔴 磁気 | スマートフォン、パソコン、スピーカーの近く | 精度異常・一度磁気帯びすると専門店での磁気抜きが必要 |
| 🟠 高温多湿 | 洗面所・浴室の隣・窓際(夏場) | 文字盤のシミ・腐食・革ベルトの劣化 |
| 🟡 直射日光 | 窓際・南向きカウンター | 文字盤の日焼け・レザーベルトの乾燥・ひび割れ |
特に磁気に関しては「置き場所を変えるだけでは治らない」というのが重要な点です。一度磁気帯びした時計は、高精度タイプほど修理店での「磁気抜き」処置が必要になることがあります。修理費は症状によって異なりますが、数千円〜1万円以上のコストが発生するケースもあります。
スマートフォンの充電スポットの真横に時計を置いているケースは非常に多いです。充電器・Bluetoothスピーカー・マグネット式スタンドなどはすべて磁気を発しているため、腕時計とは10cm以上距離を置いて収納するのが原則です。
また、乾燥剤(樟脳・脱臭炭)が入ったタンスの中に時計を保管するのも避けてください。乾燥力が強すぎて時計内部の潤滑油まで揮発させてしまい、歯車の摩耗が進みオーバーホールが必要になるリスクがあります。湿気対策にはシリカゲル(小袋タイプ)をアクリルケース内にそっと添えておく程度に留めるのが安心です。
腕時計の保管に詳しい専門情報はこちらが参考になります:
時計の保管NG行動と正しいケア方法を一級時計修理技能士監修で解説しています(磁気・高温多湿・直射日光ほか)。
腕時計の最適な保管方法とは?お勧めの収納ケースも紹介 | GINZA RASIN
複数本の時計を持っている方に向けた、あまり語られていない収納の工夫をひとつ紹介します。それが「3ヶ月ローテーション収納」です。
腕時計は長期間使わないと内部の潤滑油が固着し、動かしたときに摩耗が進んでしまいます。専門家は「3ヶ月に1度はゼンマイを巻いて動かすこと」を推奨しています。しかし何本も持っていると、どの時計をいつ動かしたか管理するのが難しくなりがちです。
この問題をシンプルに解決するのが「無印の重なるアクリルケース横型5段」を使った棚番管理です。段ごとに「現在使用中 / 先月着用 / 先々月 / 3ヶ月前 / 長期保管」のように区分しておき、1ヶ月ごとに時計を1段ずつ下に移動させます。一番下の「長期保管」段に来た時計は取り出して少し動かしてからまた上に戻す、というルーティンです。
この方法のメリットは2つあります。まず、時計の着用頻度が視覚的にわかるようになるため、「いつも同じ時計しか使っていない」という状態に気づきやすくなります。次に、潤滑油の固着リスクを仕組みとして防げるため、修理に出す頻度が減る可能性があります。
無印のアクリルケースは半透明の蓋越しに中身が確認できるため、中のベロアケースのラベリング(付箋でも可)と組み合わせるだけで実現できます。特別な道具は一切不要です。収納に管理の仕組みを組み込む、という視点は収納上級者がよく使うアプローチです。
収納とメンテナンス管理を同時に解決するこの仕組みは、時計を大切にしながら収納も極めたい方にとって一石二鳥の方法です。アクリルケースが積み重ね対応(スタッキング可能)な設計になっているのも、このアレンジに向いている理由のひとつです。