

逆回転で引き抜くと、仕上げ面に傷が入って穴が台無しになります。
収納情報
アジャスタブルリーマーとは、刃径寸法を自在に調整できる替刃式の穴仕上げ工具です。ドリルで開けた下穴を、要求された寸法・真円度・面粗さに仕上げるためのリーマの中でも、1本でソリッドリーマ(固定径リーマ)の数十本分をカバーできる点が最大の特徴です。たとえばエフ・ピー・ツール(FPツール)の型番「8A」なら調整範囲はφ6.35〜φ7.15mmと0.8mmの幅をカバーしており、これ1本で多様な孔径に対応できます。
仕組みはシンプルです。刃(ブレード)がシャンク本体の溝に沿ってスライドする構造になっており、刃を前後に動かすことで刃径が変化します。一番前に押し出した状態が最小径、引き込んだ状態が最大径となります。これが基本です。
刃の固定はロックナット(締め付けナット)で行います。調整時はロックナットを緩め、刃を目的の位置に移動させてからナットを再締結するという流れです。なお、刃径の調整はいきなり大径に飛ばさず、少しずつ広げていくのが原則です。一度に大きく動かすと、加工中のびびり(振動)が発生しやすくなるので注意しましょう。
エフ・ピー・ツールのアジャスタブルリーマーは型番ごとに調整範囲が決まっており、例として以下のようになっています。
| 型番 | 調整範囲(mm) | 刃数 |
|------|-------------|------|
| 8A | φ6.35〜φ7.15 | 6枚 |
| 4A | φ9.50〜φ10.25 | 6枚 |
| 2A | φ12.0〜φ13.5 | 6枚 |
| M | φ46〜φ56 | 6枚 |
自分の目的の穴径が、購入する型番の調整範囲内に収まるかどうかをカタログで確認してから選定しましょう。収納の観点では、型番ごとに分けて保管すると使用時に迷わず取り出せます。
参考:リーマの種類と特徴、使い分けについて詳しく解説されています。
リーマの種類と特徴、使い分け方を現役加工技術者が解説!(職人転職ガイド)
実際の刃径調整は、正しい手順を踏まないと±0.01mm単位の精度が崩れてしまいます。ここでは失敗しない調整手順をステップ順に解説します。
ステップ1:必要な工具を準備する
調整に最低限必要なものはスパナ(ナット回し)とマイクロメーターです。マイクロメーターは0.001mm単位で測定できる精密測定器で、ミツトヨなどのメーカーから2万円前後〜の製品が販売されています。正確な寸法確認にはマイクロメーターが必須です。これは必須です。
ステップ2:ロックナットを緩める
リーマ本体の上下にあるロックナット(通常2つ)をスパナで緩めます。上ナットが締め方向、下ナットが抑え方向になっているケースが多いため、緩める際は下ナットを先に少し動かし、続いて上ナットを緩める順序が基本です。つまり「下→上の順に緩める」が原則です。
ステップ3:刃を目的の位置に移動させる
刃を少し前に押し出すと刃径が小さくなり、引き込むと大きくなります。変化量は一度に0.05mm以下が目安です。大きく動かしすぎると加工精度に悪影響が出るため、少しずつ調整していきましょう。
ステップ4:マイクロメーターで刃径を実測する
刃をセットしたらナットを仮締めして、マイクロメーターで実際の刃径を測定します。目標値より少し小さめに設定しておき、試し削りで確認しながら最終径に近づけていくのが安全な進め方です。試し削りが条件です。
ステップ5:ロックナットを本締めする
目的の刃径が確認できたら、ロックナットを本締めします。本締めは「上→下の順」で行い、均等に締め付けましょう。片方だけ強く締めると刃がわずかにズレる原因になります。また、締め付け後にもう一度マイクロメーターで実寸を確認するひと手間が、精度の安定につながります。
ステップ6:試し削りで最終確認
下穴(仕上げ径よりも0.2〜0.5mm小さい穴)に対して実際に通してみて、仕上がり寸法を確認します。ここで初めて本番加工に移ります。いきなり本番の穴に入れるのは避け、必ず試し削り用の材料で確認してから進めましょう。
参考:リーマ加工のトラブル原因と対策が詳しく説明されています。
リーマ加工とは?高精度な穴あけに欠かせないトラブルへの対処法(sakusakuec)
調整や使用時に多くの人がやりがちな失敗が、実は仕上げ精度を大きく損なう原因になっています。代表的なNGを3つ紹介します。
NG①:逆回転で引き抜く
リーマ加工で最も多いミスです。加工が終わった後、工具を「逆回転」させながら引き抜くと、溝に溜まった切り屑がランド(刃の背面)と穴内面の間に噛み込み、仕上げ面に深い傷が入ります。これは取り返しのつかない失敗です。挿入時も引き抜き時も、必ず正転(右回転)のままで動作させるのが鉄則です。「抜くときも同じ方向」がルールです。
NG②:下穴の取りしろを無視する
アジャスタブルリーマーはあくまで仕上げ工具です。下穴の取りしろ(仕上げ径からの削り代)が多すぎると切り屑が溝に詰まり、逆に少なすぎると十分な仕上げができません。モノタロウの加工現場シリーズによれば、直径5〜20mmの穴では取りしろは0.2〜0.3mm(直径値)が目安です。1mmも削り代を残した状態でリーマを通そうとするのは厳禁です。痛いですね。
NG③:一度に大きく刃径を調整する
「今の径から一気に0.5mm大きくしよう」という操作は避けましょう。一度の調整量を大きくすると、ロックナットを締め直したときに刃のわずかなズレが生じ、実測値と意図した値がずれてしまうことがあります。調整は0.05mm以下ずつ、こまめに実測しながら進めるのが基本です。
また「止まり穴(底がある穴)」に通す際は注意が特に必要です。切り屑が下に排出されず溜まりやすいため、加工油を十分に供給しながら作業しましょう。加工油は必須です。
| NGポイント | 起こる問題 | 正しい対処 |
|---|---|---|
| 逆回転での引き抜き | 仕上げ面に傷、穴径拡大 | 常に正転(右回転)のまま抜く |
| 取りしろ過大・過少 | 切り屑詰まり/仕上げ不良 | 径5〜20mmは0.2〜0.3mmの取りしろ |
| 一度に大きな径調整 | 刃ズレ・寸法誤差 | 1回0.05mm以下、都度実測 |
刃径の精度は、マイクロメーターの使い方が正確かどうかに大きく左右されます。リーマ加工は穴径に対して±0.01mm以下の精度が要求される場面も多いため、測定器の扱いを疎かにすると、いくら調整が丁寧でも意味がなくなってしまいます。これは見落としがちです。
ミツトヨのマイクロメーターを例にとると、正しい使い方の手順は以下のとおりです。
まず、マイクロメーターと測定物(リーマの刃)を測定する環境に十分なじませてから使用します。人の体温で測定物が膨張すると、数μm単位の誤差が発生するためです。金属の熱膨張は侮れません。次に、使用前にゼロ点合わせを行います。アンビルとスピンドルを軽く閉じた状態でゼロになっているか確認してください。
測定時は、ラチェットストップ(締め付け量を一定に保つ機構)を使い、「カチカチ」と1〜3回空転させる感覚で締め込みます。力任せに押し込むと値が変わってしまうため、ラチェットストップの活用が必須です。
さらに、リーマの刃径を測定するときは、刃先の食付き部(先端のテーパー部)ではなく、刃の有効長さ(ストレート部分)の中央付近を測るようにしましょう。食付き部は径が細くなっているため、そこを測ると正確な刃径が出ません。これだけ覚えておけばOKです。
なおミツトヨのデジタルマイクロメーターは1万円台から購入でき、アジャスタブルリーマーの調整頻度が高い方には特に有用なツールです。購入後は校正用のゲージ(標準棒)でゼロ合わせを定期的に行う習慣をつけましょう。
参考:マイクロメーターの正しい使い方や注意点が詳しく解説されています。
マイクロメータの正しい使い方、読み方と注意点(ミツトヨ公式)
せっかく精密に調整したアジャスタブルリーマーも、保管方法を誤ると刃先が傷んで次回の調整精度が落ちてしまいます。収納・保管は「調整と同じくらい重要な作業」と考えましょう。
Redditの機械工コミュニティでは「同じ職場の機械工が保護チューブを捨てて、リーマーを引き出しにそのまま放り込んでいる」という投稿が話題になりました。これは最悪の保管方法です。刃先が他の工具と接触するたびに欠けが入り、次の加工で精度が出なくなります。引き出しの中は危険地帯です。
収納時の正しい手順は次のとおりです。
まず、使用後は切り屑と油分を完全に拭き取ります。切り屑が残ったままだと水分を吸着して錆の原因になります。次に、防錆油(さびどめ油)を薄く塗布して保護します。長期保管ではシリカゲルパックを一緒に入れておくと、湿気による錆を防ぐ効果が期待できます。
そして最も大切なのは、刃先を守る専用ケース・チューブへの収納です。製品購入時に付属する保護チューブは、「邪魔だから」と捨ててしまいがちですが、刃先の保護という点で非常に重要です。捨てずに保管しましょう。型番・調整範囲が書かれたラベルを貼っておくと、複数本を保有する際にすぐ取り出せて作業効率も上がります。これは使えそうです。
複数本をまとめて保管する場合は、ロール式の工具ポーチや仕切り付きの工具ケースを活用するのが効果的です。モノタロウや楽天などで1,000〜3,000円程度で購入できるプラスチック製の工具ケースは、仕切りが調整でき、サイズの異なるリーマを安全に収納できます。
なお、保管前には刃径を最小径(刃を一番前に出した状態)に戻してから収納することをおすすめします。最大径のまま保管すると、ロックナットに長期間テンションがかかり続けて緩みにくくなることがあります。収納前に最小径に戻すのが原則です。
| 保管項目 | ポイント |
|---|---|
| 清掃 | 使用後は切り屑・油分を必ず拭き取る |
| 防錆処理 | 薄く防錆油を塗布、長期保管はシリカゲル併用 |
| 刃先保護 | 保護チューブ・仕切り付きケースに収納 |
| 刃径の状態 | 保管前に最小径に戻す |
| 管理 | 型番・調整範囲をラベルで明示 |
参考:リーマ加工の基本的な作業方法と注意点が解説されています(モノタロウ)。
リーマ作業の方法 ─ 加工現場の手仕上げ作業(MonotaRO)

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