

フィッシュテープを「スチール製なら何でも同じ」と思ったまま使うと、配管途中でケーブルが断線し、修復費用が数万円に膨らむケースがあります。
収納情報
フィッシュテープとは、壁の中や床下のCD管・PF管などの電線管に、LANケーブルや電源ケーブルを通すために使う「ガイド専用の工具」です。「通線ワイヤー」「スチール」「呼び線挿入器」「スネークライン」など、現場では複数の呼び名があります。
部屋の配線をスッキリ壁内に隠したいとき、この道具がなければほぼ不可能です。電線管は壁の中でカーブしているため、ケーブル単体を押し込んでも途中で詰まるか、ねじれて抜けなくなります。
フィッシュテープは「腰の強さ(弾力性)」が命です。この弾力を利用して、曲がりくねった配管の中をスルスルと進んでいきます。直線で短い配管(1m以下程度)ならケーブルを直接通せることもありますが、それ以外では通線ワイヤーが事実上必須です。
収納に興味がある方にとって、この工具は「見えない場所への配線整理」を実現してくれる重要アイテムです。テレビ周りのケーブルを壁の中に隠したい、1階から2階へLANを引きたいといった場面で、フィッシュテープの有無が作業の成否を分けます。
参考:通線ワイヤーの基本的な使い方・選び方を丁寧に解説しています。
【配線工事の基本】通線ワイヤーの使い方を徹底解説!小技裏技も紹介|生活110番
フィッシュテープには素材で3つの種類があります。これが選び方の出発点です。
| 素材 | 特徴 | 向いている場面 |
|------|------|----------------|
| 🔩 スチール製 | 腰が強く長距離に強い。重い。錆びる可能性あり | 長い直管・強い引きが必要な現場 |
| 🟢 ナイロン製 | 軽量・柔軟で曲がり管に対応しやすい | 短〜中距離の曲がりくねった配管 |
| 🔵 ファイバーグラス製 | 非導電性で活線作業でも安全。折れにくい | 電源が通っている管の近くでの作業 |
素材の次に確認するのが「長さ」です。通したい配管の長さよりも必ず長いものを選ぶ必要があります。余裕は最低でも1m以上あると安心です。
ホームDIYでLAN配線を壁内に隠す用途なら、ナイロン製またはファイバーグラス製の10〜20mタイプが扱いやすくおすすめです。一方、スチール製は腰が強すぎて、曲がりの多い家庭内の配管では逆に通しにくいケースがあります。これは意外なポイントです。
ケーブルの太さも選び方に影響します。太いケーブルを通すほど、テープ側の強度と引張力も必要になります。市販品の多くは「破断荷重90〜150kgf」と記載されているため、通したいケーブルに見合ったものを選ぶことが条件です。
DIYで初めて使う方には、収納ケース(リール)付きの製品がおすすめです。使用後のケアが楽になり、ワイヤーが絡まる失敗も防げます。
参考:国内流通品のフィッシュテープの種類・仕様・価格帯が一覧で確認できます。
実際の手順を順番に確認しましょう。2人作業が理想的ですが、1人でも可能です。
📌 事前準備:空配管(CD管)の有無を確認する
まず壁のコンセントプレートを外して確認します。プレート内にオレンジ色(またはグレー)のジャバラ状の管が見えれば、空配管がある証拠です。クローゼット内や屋根裏の点検口からも確認できます。
空配管がない場合、フィッシュテープは使えません。そもそも通す管がないからです。
📌 STEP 1:出口側からフィッシュテープを挿入する
管の出口側からフィッシュテープを少しずつ押し込みます。「ケーブルを引っ張る方向=ワイヤーを最初に出す側」という考え方が基本です。先端(フィッシュアイ)が反対の入口側に出てくるまで送り込みます。
引っかかりを感じたら無理に押し込まないことが鉄則です。強く押し込むとワイヤーが折れたり、配管内で詰まって抜けなくなります。少し引き戻してから角度を変えて再挑戦してください。
📌 STEP 2:ケーブルをフィッシュアイに接続する
ワイヤーの先端「フィッシュアイ(穴のついた部分)」にLANケーブルなどを通してビニールテープで固定します。この接続部分がごつくなると管の中で引っかかるため、ケーブルの被覆を数cm剥いておくと細くまとめやすいです。
ビニールテープは「段差ゼロ」になるよう螺旋状に巻くのがコツです。テープの端を折り曲げておくと、後でほどくときに楽になります。
📌 STEP 3:フィッシュテープを引いてケーブルを通す
出口側からワイヤーを引っ張り、ケーブルを管内に引き込みます。2人いる場合は、入口側でケーブルのねじれを防ぎながら補助するとスムーズです。
引っかかりを感じたら一度止め、ケーブルと通線ワイヤーを交互に少しずつ動かします。無理に引けばケーブルが断線するリスクがあります。これが最も失敗しやすいポイントです。
📌 STEP 4:確認・後片付け
ケーブルが十分な長さで引き出せたら、接続部分のテープを外してワイヤーを抜きます。プレートを元に戻して完了です。
参考:壁の中へのLANケーブル配線の全手順・注意点が詳しく解説されています。
【DIY】壁の中にLANケーブルを通す壁内配線の手順をわかりやすく解説|ライフテックス
実際に使ってみると「思ったより難しい」と感じる人が多い工具です。よくある失敗には共通パターンがあります。
❌ 失敗1:ワイヤーが管の途中で詰まって抜けない
これは最も多いトラブルです。原因は大きく2つあります。①管内が錆びている・既存のケーブルがある、②無理に押し込みすぎてワイヤーが折れ曲がった、です。
対処法は「入線潤滑剤(入線液)」の使用です。配管の口とワイヤー全体に塗布すると、滑りが格段によくなります。商品によっては塗布することで約4倍滑りやすくなるものもあります。これは確かなメリットです。
潤滑剤なしで無理に引き抜こうとすると、最悪の場合はワイヤーを切断して配管内に残置するしかなくなります。少しでもきついと感じたら、迷わず潤滑剤を使うことが条件です。
❌ 失敗2:複数本のケーブルを通したら途中で詰まった
複数本をまとめて通す際、ビニールテープで束ねる前にケーブルの先端位置を「少しずつずらす」ことが重要です。先端を揃えてしまうと、束の太さが急に太くなってカーブ部分で引っかかります。先端を2〜5cmずつずらして段差をつけて固定すると通りやすくなります。
❌ 失敗3:コネクタ付きケーブルが管内で引っかかった
LANケーブルなどコネクタが付いているものは、そのままでは管の内側に引っかかります。コネクタ部分をビニールテープで完全に覆い、凹凸をなくしてから引き込むことが基本です。
配管経路が複雑な場合は、事前に配管の出口・入口を全て確認してフタを開けておくことも必要です。経路の途中のBOXが閉まったままだと、ワイヤーが通っても気づきません。
フィッシュテープの代替として「ビニール紐+掃除機の吸引力」を使う方法が知られています。配管の一方からビニール紐を入れ、もう一方から掃除機で吸い込むと、紐が通ることがあります。その紐にケーブルを結んで引き込む、という手順です。
ただし、これはあくまで応急手段です。紐が途中で外れたり、引っかかったりするリスクが高く、作業が二度手間になるケースが大半です。何度もやり直す時間コストを考えると、1,500〜5,000円程度で買えるナイロン製の通線ワイヤーを1本用意する方が結果的にお得です。
一方、DIYそのものの限界も理解しておく必要があります。配線作業で電気配線(電源ケーブルなど)を扱う場合は第二種電気工事士の資格が必要です。LANケーブルや電話線のみであれば資格不要ですが、コンセントの増設や電源の取り回しは免許なしでは法律違反になります。
もし作業に失敗して壁内でケーブルが断線した場合、業者に修復を依頼すると1箇所あたり最安でも5,000円〜、壁の開口が必要な場合はさらに追加費用がかかります。二重の出費を防ぐために、自信がなければ最初から専門業者への依頼を検討する判断も大切です。
収納・DIY観点では、フィッシュテープは「使えば劇的に配線がスッキリする、でも使い方が間違えると高くつく」道具です。つまり、正しく使えば大きなメリット、間違えると大きなデメリットに直結します。
参考:配管を使った配線の施工手順・必要道具・経路の種類を図解で解説しています。
配管のケーブルの通し方がわからん!配管での配線まとめ|haisen.e-tsa.info