平目打ち3mmで作る革の収納小物の選び方と使い方

平目打ち3mmで作る革の収納小物の選び方と使い方

平目打ち3mmで作る革収納小物の選び方と使い方

3mmの平目打ちを買ったのに、革レースが穴に通らず作品が台無しになることがあります。


この記事のポイント
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平目打ちとは何か

平目打ちは長方形の穴をあける専用工具で、かがり縫い・飾り縫いに使う。菱目打ちとはまったく用途が異なる。

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3mm幅を選ぶ理由

革レース(幅3mm)との相性が最もよく、トレーやバッグの装飾など収納小物づくりにちょうどいいサイズ。

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刃数の使い分けが重要

1本目・2本目・5本目など刃数によって用途が異なる。曲線には1本目・2本目、直線には5本目が基本。

収納情報


平目打ち3mmの基本|菱目打ちとどう違うのか


平目打ちと菱目打ちは、見た目が似ていても穴の形がまったく違います。平目打ちが開ける穴は長方形(スリット状)であるのに対し、菱目打ちはひし形の穴です。この形の違いが、使える素材と用途を完全に分けています。


平目打ちは、糸の代わりに「革レース(幅3mm程度の細い革ひも)」を通してかがる「かがり縫い」専用の工具です。つまり、平目打ちで開けた穴に、ビニモやエスコードなどの手縫い糸を通そうとしても、穴が大きすぎてきれいに縫えません。これが初心者に多い失敗の原因です。


一方の菱目打ちは手縫い糸(ビニモMBTや麻糸)を通すための工具で、財布・カードケース・キーケースなどを作るときの標準的な道具です。どちらが上ということではなく、作りたい作品の「縫い方」によって使い分けるのが原則です。


収納小物との関係でいうと、革トレーや小物入れの縁をかがり縫いで仕上げたいときに平目打ちが活躍します。かがり縫いで縁をぐるりと縁取りすると、仕上がりがぐっと本格的になり、置いてあるだけで見栄えのする収納アイテムになります。つまり平目打ちです。


| 項目 | 平目打ち | 菱目打ち |
|------|----------|----------|
| 穴の形 | 長方形(スリット) | ひし形 |
| 使う素材 | 革レース(幅3mm等) | 手縫い糸 |
| 主な用途 | かがり縫い・飾り縫い | 通常の手縫い全般 |
| 難易度 | 中級者向け | 初心者向け |
| 対応作品 | トレー・ベルト・バッグの縁 | 財布・キーケース等 |


参考:平目打ちとかがり縫いに必要な道具の詳しい解説はこちら
【レザークラフト】かがり縫いに必要な7つの道具を揃えよう! - LeatherCraft Tools


平目打ち3mmの刃数の違い|1本目・2本目・5本目はどう使い分けるか

平目打ちを購入しようとショップを見ると、「1本目」「2本目」「5本目」といった表記が並んでいます。これは刃(やいば)の本数のことで、1回のハンマーで開けられる穴の個数を意味します。


1本目は刃が1本だけついており、1打ちで穴が1つ開きます。角の部分や曲線の細かい位置調整など、間隔を自由に変えたいときに使います。言い換えると、「間隔のコントロール」が必要な場面が1本目の出番です。


2本目は刃が2本で、1打ちに2穴開きます。カーブや曲線のパーツに対して均等間隔で穴を開けていくときに重宝します。革トレーの角の丸みや、バッグのフラップなど、ゆるやかな曲線に対して正確に対応できるのが2本目の強みです。


5本目は刃が5本で、1打ちで5穴開きます。直線部分を効率よく穴あけするときに向いており、長いストレートラインをスピーディーに処理できます。かがり縫いの縁仕上げで一番長さを稼ぐ直線部分には、5本目を使うのが基本です。


実際のかがり縫い作業では、「直線は5本目 → 曲線・角は1本目か2本目」という組み合わせが定番です。この2パターンを揃えれば、革トレーのような収納小物を1つ仕上げるのに困りません。


クラフト社の平目打ち3mm幅は全長約11cmで持ちやすく、1本目・2本目・3本目の3サイズが揃っています。価格は1本あたり495〜545円(税込)と手頃で、入門用としても使いやすいです。協進エルのプロ平目打ちはプロ仕様の精度で、5本目が688〜1,530円ほどで入手できます。


参考:平目打ちの商品一覧と各刃数の詳細
平目打ち・平目パンチのカテゴリ一覧 - ぱれっとオンラインショップ


平目打ち3mmで革収納小物を作るときの正しい穴あけ手順

道具が揃ったら、実際の穴あけ作業の流れを把握しておくことが大切です。手順を間違えると穴がガタついたり、革レースが通らなくなったりします。


まず「ゴム板またはカッティングマット」を作業台に敷きます。これが下敷きになることで刃が革を貫通する際の衝撃を吸収し、刃先も傷みにくくなります。机や床に直打ちするのは厳禁です。


次に、縫い代の位置(革の端から3〜5mm程度内側)にステッチルレットやディバイダーで縫い線をあらかじめつけておきます。この線を目安に穴あけすることで、穴が一直線に並び、仕上がりが均一になります。縫い線のガイドが命です。


直線部分は5本目を使って等間隔に穴を開けていきます。前回打った穴の端の刃を「合わせ穴(ガイド穴)」として次の打ち込み位置を決める方法が、間隔を均等に保つコツです。最後の1打ちで穴が多すぎてはみ出しそうなときは、1本目や2本目に切り替えて調整します。


角や曲線には1本目・2本目で1穴ずつ丁寧に対応します。曲線部分で一度に多くの刃を入れようとすると、穴の間隔が詰まったり広がったりして、仕上がりが乱れます。焦らず1穴ずつが原則です。


木槌は「コン」と1回しっかり打ち抜くのがポイントで、カチャカチャと何度も叩き直すと革が傷みます。打ち抜き後は裏面から革を押さえて穴を整えるとレースが通りやすくなります。


参考:平目打ちとかがり縫いの手順解説(巻きかがりの具体的な進め方)
【レザークラフト】巻きかがりで作る簡単コインケース!製作手順 - LeatherCraft Tools


平目打ち3mmと革レースのサイズ不一致問題|見落としがちな落とし穴

平目打ちを使うときに多いのが、穴と革レースのサイズが合わないトラブルです。これは初心者だけでなく、中級者でも見落としやすい問題です。


平目打ちの「3mm」という表記は、穴の幅(短辺の長さ)が3mmであることを意味します。革レースも3mm幅のものを用意すれば合うはずですが、実際には革レースの厚みや素材の硬さによって「穴には通るが引っかかる」「引っ張るとレースが伸びる」「切れる」といった問題が起きることがあります。


対策として、「レースギリ」という道具を使います。レースギリは穴を少し広げるための工具で、革レースをスムーズに通すために必要な道具です。無理矢理レースを引っ張ると、3mm幅のレースが1〜2mm近くに縮んでしまい、仕上がりのかがりが不均一になります。レースギリは必需品です。


もう一つの注意点として、牛革レースとスエードレースでは厚みが異なります。スエードレース(鹿革・豚革製なども含む)は薄くて柔らかいため通りやすい反面、仕上がりが少しゆったりしたイメージになります。牛革レースは厚みがあってしっかりした印象になりますが、硬い分だけ穴への通りが少しきつくなります。


収納小物に使うなら、牛革レースで作ったかがり縫いは耐久性が高く、長期間使っても縁のほつれが出にくいのが特徴です。デスクの上に置いたり、毎日触れる機会の多い革トレーや小物入れには、牛革レースのかがり縫いが向いています。


「ぱれっと」が販売するロイヤルレース(3mm幅・牛革)は、カラーバリエーションが豊富で価格も手ごろ(1本あたり500円前後)なため、最初の1本として定番です。革レースは購入前にサイズ確認が必要です。


平目打ち3mmを使った収納小物の定番|革トレーの作り方イメージ

平目打ち3mmが最も活躍する収納小物といえば、「革トレー(レザートレイ)」です。デスクやテーブルの上に置いて、鍵やコイン、リング、ピアス、充電ケーブルなど細かいものをまとめておくのに最適なアイテムで、かがり縫いで仕上げると市販品のような完成度になります。


革トレーの基本的な作り方のイメージは次の通りです。まず革を正方形や長方形にカットし(一般的なサイズは1辺10〜20cm、はがきの横幅くらい〜A4の約半分サイズ)、4つの角を丸く切り落とします。次に4辺の端から3〜5mm内側に縫い線を引き、平目打ち3mmで等間隔に穴を開けます。角はコーナー1本目で丁寧に処理するのが仕上がりのポイントです。


穴が開いたら革レースと専用レース針を使って巻きかがりを1周します。巻きかがりとは、革レースを穴に1穴ずつ外からぐるりと巻き付けていく最もシンプルなかがり方です。1周分を縫い終えたら、4つの角にスポッツ(金属鋲)を打つか、コーナーに折り目をつけてトレー形に整形して完成です。


使う革の厚みは1.5〜2mm程度(コピー用紙10〜13枚分ほど)がちょうどよく、薄すぎると形が安定せず、厚すぎると角の整形が難しくなります。素材は植物タンニンなめし革(ヌメ革)が形崩れしにくく、革らしい経年変化も楽しめるのでおすすめです。


作業時間は慣れた人でも1〜2時間程度かかりますが、完成した革トレーは市販品で3,000〜8,000円程度するものを自分の手で作れる達成感があります。これは確かにお得です。


また、革トレーの魅力は収納と見せるインテリアを兼ねていることです。かがり縫いの縁飾りがアクセントになり、革が経年変化(エイジング)していくにつれて、使い込むほど色が深くなり独自の風合いが出ます。市販の収納ボックスとは異なる「育てる収納」の楽しさがあります。


【独自視点】平目打ち3mmの穴を型紙のように使って収納を設計する方法

一般的な使い方では「革を切ってから穴を開ける」という流れが標準ですが、少しだけ逆転した発想を使うと収納設計がぐっとラクになります。それは「先に穴位置を型紙に書き写し、穴パターンから収納サイズを設計する」という方法です。


平目打ち3mmで1打ちごとに3mm幅の穴が等間隔に並びます。例えば協進エルのプロ平目打ち5本目を使うと、1打ちで5穴が3mmピッチで開きます。5本×3mm=15mmの幅に5穴が収まる計算です。この穴のパターンを紙に写し取っておけば、次にトレーや小物入れを作るときに「同じサイズで穴数が合う革のサイズ」を計算しやすくなります。


たとえば縁の全周に20穴を使った巻きかがりを入れたいなら、必要な辺の長さはおよそ60mm(20穴×3mmピッチ)と計算できます。型紙から作り始めるより、穴パターンから逆算してサイズを決める方が、かがり縫いの仕上がりが端で中途半端になりにくくなります。縦横のパーツ数を合わせる工程も省けます。


さらに同じ穴パターンを使えば、複数のトレーを並べてサイズ違いのセットを作ったときにかがりの間隔が統一され、並べたときの統一感が出ます。デスクやドレッサーの上に大・中・小のトレーを並べて収納ゾーンを作るなら、この方法が見た目のクオリティを上げてくれます。穴パターンの統一が仕上がりを決めます。


収納好きの視点でみると、市販の整理グッズと違って「必要なサイズを自分で設計できる」のがレザークラフトの圧倒的な強みです。引き出しの中の余白に合わせた専用サイズの革トレーを作れば、隙間なく収納スペースを使い切れます。平目打ち3mmはその設計の基本単位になる道具です。


参考:平目打ちと菱目打ちの違いを詳しく解説
平目打ちと菱目打ちの違い|初心者が最初に選ぶべきはどっち? - note




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