

シリコン系充填剤を外壁に使うと、上から塗料が塗れず再補修に数万円かかることがあります。
収納情報
「充填剤」も「充填材」も読み方はどちらも「じゅうてんざい」です。同じ読み方なので混同されがちですが、漢字の最後の一文字、「剤」と「材」の違いに、実は大きな意味の違いが隠れています。
「剤」という漢字は「調合した薬剤」や「作用するもの」を指す語で、何らかの機能を果たす添加物的な役割を持つものに使われます。一方の「材」は「原料となるもの」「材料そのもの」を指します。つまり充填剤は「材料に何かを加えて性質を変えるための添加物」であり、充填材は「隙間や穴そのものを埋めるための材料」です。つまり役割がまったく異なります。
具体的にイメージしてみましょう。プラスチック製品を作るときに混ぜる炭酸カルシウムの粉末が「充填剤(フィラー)」で、浴室の浴槽と壁の隙間に注入するシーリング剤が「充填材」に当たります。前者は材料の硬さや価格・重量を調整するために使われ、後者は空間を物理的に塞ぐために使われます。
なお、建築や塗装の現場では「充填材」という言葉がより広く使われており、パテ・コーキング材・シーリング材なども充填材のカテゴリに含めて呼ばれることがほとんどです。これが基本です。
一方、工業・製造の分野では「充填剤=フィラー」として、樹脂やゴムへの配合物を指すケースが圧倒的に多いです。同じ単語でも業界によって指す内容が少し変わる点を覚えておくと、資料の読み違いを防げます。
収納やDIYの文脈では、ほぼ「充填材」の用途—つまり隙間を埋めたり補修したりする材料—が登場します。この記事ではおもにDIYで使う「隙間を埋める材料」の意味で話を進めます。
| 用語 | 漢字の意味 | 主な役割 | 使われる分野 |
|---|---|---|---|
| 充填剤(じゅうてんざい) | 剤=作用するもの・添加物 | 材料の性質(硬さ・価格・耐熱性など)を調整する | 工業・プラスチック・ゴム・化学 |
| 充填材(じゅうてんざい) | 材=原料・材料そのもの | 隙間や穴・欠損部を物理的に埋める | 建築・塗装・DIY・住宅補修 |
参考:充填剤と充填材の語義の基礎はコトバンクの解説が詳しくまとめられています。
工業の文脈での充填剤(フィラー)は、主にプラスチックやゴムの製造時に混合される粒子状・粉末状の添加物です。これを知っておくと、ホームセンターで製品ラベルの「フィラー配合」という記載を見たときに、何を意味するのか判断できるようになります。
充填剤(フィラー)には大きく分けて「補強性充填剤」と「非補強性充填剤」の2種類があります。
- 🔬 補強性充填剤:カーボンブラック、シリカなど。素材の引張強度・耐摩耗性・硬度を大幅に高めます。タイヤのゴムにカーボンブラックを配合すると、未配合の場合より強度が数倍に向上するとされています。
- 🪨 非補強性充填剤:炭酸カルシウム(タンカル)、タルク、マイカなど。主に増量・コスト低減・光沢調整などが目的で、素材の性質を大きく変えるわけではありません。
サイズによる分類も重要です。一般的な粉末フィラーとは別に、「ナノフィラー」と呼ばれる100nm以下(ナノメートル単位)の超微細なフィラーは、通常の粉末では得られない透明性維持や耐バリア性の付与ができる点で注目されています。100nmは0.0001mm、髪の毛の太さの約1000分の1という超微細な世界です。意外ですね。
この充填剤の知識は、日用品の品質を見極めるうえでも役立ちます。たとえば100円均一で売られているプラスチック収納ボックスと、高価格帯の収納ボックスとでは、配合されているフィラーの種類や量が違い、それが強度・重さ・経年劣化のしやすさに直結しています。フィラーが基本です。
参考:フィラーの種類と役割については以下の記事が詳しいです。
DIYや住宅補修で「充填材」として使われるものには、大きく分けてシーリング材(コーキング材)系とパテ系の2つのカテゴリがあります。さらにシーリング材の中だけで5種類以上に分かれており、選び方を間違えると「塗料がはじかれて再補修が必要になった」「10年持つはずが3年で劣化した」といった事態につながります。これは知らないと損です。
それぞれの特徴を順番に見ていきましょう。
- 🛁 シリコン系:完全耐水性で耐熱・耐寒にも優れ、接着力が強い。浴室・キッチン・洗面所などの水まわりに最適。ただし、硬化後は上から塗料を塗れないという大きなデメリットがあります。外壁に誤ってシリコン系を使うと、のちの外壁塗装工事時に既存の充填材をすべて除去してやり直す必要があり、追加費用が数万円単位で発生するケースも珍しくありません。
- 🏠 変成シリコン系:室内外を問わず使えるオールマイティタイプ。上から塗料が塗れるため、外壁目地や窓サッシまわりに向いています。耐久性はシリコン系よりやや劣り、一般的なコーキング材の耐用年数は約10年です。塗料との相性が悪いと「ブリード現象」(可塑剤が滲み出して周囲が黒ずむ現象)が起きる場合があるため、ノンブリードタイプを選ぶと安全です。
- 💨 ウレタン系:密着性が高くコンクリートのひび割れ補修に向いていますが、紫外線に弱いため屋外での使用時は必ず塗装仕上げが必要です。
- 💧 アクリル系:水性で扱いやすく安価。室内の内壁・天井まわりの補修向き。ただし水がかかる場所には不向きで耐久性が低いため、水まわりには使えません。
- 🪵 セルロース系(ウッドパテ):フローリングや木部のへこみ・傷の補修に使います。乾燥後にサンドペーパーで磨けば木目を活かした仕上がりになります。収納棚のDIY補修にも便利なアイテムです。
種類の選び方は「水がかかるかどうか」「上から塗装するかどうか」「室内か室外か」の3点を確認すれば迷いません。
| 種類 | 耐水性 | 塗料を塗れるか | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| シリコン系 | ◎ 完全耐水 | ❌ 塗れない | 浴室・キッチン・水まわり |
| 変成シリコン系 | ○ 耐水 | ✅ 塗れる | 外壁目地・窓サッシ・屋根 |
| ウレタン系 | ○ 耐水 | ✅ 塗れる(塗装必須) | 外壁(コンクリート補修) |
| アクリル系 | △ 耐水性低 | ✅ 塗れる | 室内壁・天井まわり |
| セルロース系(パテ) | △ 耐水性低 | ✅ 塗れる | フローリング・木部・収納棚 |
参考:充填剤(コーキング材)の種類と各特徴の詳細はこちらで確認できます。
「どれでも同じだろう」と思って選んだ充填材が原因で、DIYの仕上がりが台なしになるケースがあります。失敗のパターンはほぼ3種類に絞られます。
❶ シリコン系を外壁・外装部分に使ってしまった場合
シリコン系充填材は耐水性・耐久性で優れていますが、上から塗料を塗ることができません。外壁や屋根のひび割れにシリコン系を使ってしまうと、後から塗装リフォームをしようとした際に、該当箇所のシーリング材をすべて撤去して打ち直す「打ち替え」が必要になります。打ち替えの費用は規模によりますが、1メートルあたり数百〜千円以上が相場で、延べ10〜30メートルに及ぶ外壁ともなれば数万円のコストになることもあります。痛いですね。
収納DIYで外に面した壁の補修をする際は、変成シリコン系を選ぶのが原則です。
❷ アクリル系を水まわりに使ってしまった場合
アクリル系充填材は水性で扱いやすく安価ですが、耐水性が低いため浴室やキッチンなど水がかかる場所には不向きです。施工後しばらくは問題なくても、水分によって徐々に剥離・劣化が進み、カビや水漏れの原因になることがあります。浴槽まわりの補修にはシリコン系(防カビ剤入り)を選ぶのが条件です。
❸ 充填後の乾燥時間を守らなかった場合
充填材はゴム状に硬化するまでに一定の乾燥時間が必要です。シーリング材の表面硬化は1〜2時間ほどですが、完全硬化には24時間以上かかる製品がほとんどです。完全硬化前に水がかかったり物が当たったりすると、密着不良や仕上がりの不均一につながります。「もう乾いたかな?」で触れてみるのはNGです。
これらのリスクを避けるための確認ポイントは次の3点です。
- ✅ 使う場所は「水まわり」か「屋外」か「室内内壁」かを先に決める
- ✅ 塗装仕上げを後でするなら「変成シリコン系またはウレタン系」を選ぶ
- ✅ 製品ラベルの「乾燥時間・硬化時間」を必ず確認してから次の工程に進む
この3点だけ守れば大丈夫です。
収納にこだわる方がDIYで充填材を使う主な場面は、壁の穴埋め・フローリング補修・棚まわりの隙間処理の3つです。それぞれどの充填材を使えばよいか、手順とセットで解説します。
🪛 ①壁の画鋲穴・小釘穴の補修
賃貸や分譲問わず、壁に収納用フックや棚受けを取り付けた後に残る穴は、アクリル系充填材(パテ)で補修できます。水性で扱いやすく、乾燥後に壁紙の色に近い塗料で塗れば目立ちにくくなります。専用の「穴埋めパテキット」がホームセンターで500〜1,000円前後で売られており、ヘラ付きのセット商品を選ぶと初心者でも作業しやすいです。これは使えそうです。
手順は①穴の周囲を乾拭きして清潔にする → ②パテをノズルから少し盛り上がるくらい注入する → ③ヘラで平らにならす → ④24時間乾燥させる → ⑤必要なら上からタッチアップ塗装する、の5ステップです。
🛁 ②浴室・洗面まわりの充填材交換
浴室の浴槽と壁の間のシーリング材は、一般的に5〜10年で劣化します。黒ずみやひび割れが目立ち始めたら、シリコン系充填材(防カビ剤入り)で打ち替えのタイミングです。まず古いシーリングをカッターで切り取り、残材をきれいに剥がしてから新しいシリコン系充填材を注入します。マスキングテープで養生してからヘラでならすと、仕上がりがきれいになります。
コーキングガンを使えば広い範囲も素早く均一に施工できます。ノズルの先端を45度にカットするのがコツです。
🪵 ③収納棚・フローリングのキズ・へこみ補修
木部の傷補修にはセルロース系充填材(ウッドパテ)が最適です。乾燥後にサンドペーパーで表面を磨けば、もとの木目に近い仕上がりを出せます。フローリング補修専用の充填材スティックも販売されており、電気ゴテで溶かして流し込む方法なら色合わせもしやすく、傷がほぼわからなくなります。
特にDIYで棚を壁に固定した後、棚板と壁面のわずかな隙間が気になる場合は、変成シリコン系またはアクリル系の充填材で隙間を埋めるとホコリが入り込みにくくなり、見た目もすっきりします。収納の完成度が一段上がります。
DIYで充填材を初めて使う場合は、マスキングテープ・ヘラ・コーキングガンが一体になったセットキットが便利です。各ECサイトで1,500〜3,000円前後で揃えられます。「まず道具を用意してから補修場所を決める」という順番で進めると、スムーズに作業できます。
参考:初心者向けのDIY充填材の選び方・使い方は以下の記事がわかりやすいです。
充填剤ってなに?DIYで活躍する充填剤の使い方と人気商品を紹介 ーmakit!
充填材(特にカートリッジタイプのシーリング材)は、一度開封するとノズル内で固まりやすく、次に使おうとしたら使い物にならなかった、という経験をした方も多いでしょう。実は開封後の保管方法を一手間加えるだけで、保存期間を大きく延ばせます。
開封後のシーリング材の保管手順は次のとおりです。
- ノズルをいったん外し、容器の先端口をラップで覆ってからノズルをはめ直す
- ノズルの先端に「コーキングノズルストッパー」(100〜300円)を差し込んで密封する
- 直射日光・高温多湿を避けた室内で保管し、立てた状態ではなく横にして置く
このひと手間で、未使用分を数週間〜1か月ほど保存できるケースが多いです。一つ注意点として、どれだけ丁寧に保管しても製品によっては2〜3週間で固まり始めることがあるため、残材が多い場合は使い切れるタイミングで購入することが最善です。
また、一般的にはあまり知られていない点として、充填材には「製造年月日」または「使用期限」が記載されている製品があります。未開封であっても製造後2〜3年を超えると粘度変化・硬化不良が起きやすくなる製品もあるため、ホームセンターで購入する際は製造日を確認する習慣をつけると失敗を減らせます。
独自の劣化チェック術として、既存の充填材が劣化しているかどうかを確認する簡単な方法も紹介しておきます。施工済みのシーリング材が劣化している場合は、以下のような症状が出ます。
- 🔍 表面に細かいひび割れ(クラック)が出ている
- 🖤 黒ずみ・カビが深部まで入り込んでいる
- 👆 指で押しても弾力がなく、硬くなっている(ゴム弾性が失われている)
- 📏 縁から剥離(はがれ)が始まっている
これらの症状が1つでも見られたら、補修(打ち増しまたは打ち替え)のサインです。浴室の場合、シーリングの黒ずみは表面のカビ取り剤では取れないことも多く、その場合は打ち替えが必要です。「カビキラーで落ちなければ打ち替えを検討する」という判断基準を持っておくと、無駄な掃除の繰り返しを避けられます。
充填材の使用期限と劣化の見極め、保管のコツを押さえておくと、次のDIYで「また固まってた…」という小さなストレスと余分な出費をなくせます。充填材の正しい保管が条件です。

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