コンジットベンダーの使い方と基本操作・曲げ角度

コンジットベンダーの使い方と基本操作・曲げ角度

コンジットベンダーの使い方と基本操作を徹底解説

コンジットベンダーを「力任せに曲げるだけ」と思っているなら、配管が3本に1本は使い物にならなくなります。


この記事でわかること
🔧
コンジットベンダーの基本操作

種類・各部名称・正しい持ち方など、初めて使う人でもわかる基礎知識を解説します。

📐
曲げ角度と寸法計算の方法

90度・45度・オフセット曲げなど、現場で使える計算式と手順を具体的に紹介します。

⚠️
失敗しないための注意点とコツ

曲げ位置のマーキングや、スプリングバックへの対処法など、現場で差がつくポイントを紹介します。

収納情報


コンジットベンダーの種類と各部の名称


コンジットベンダーとは、電気配管(コンジット管)を曲げるための専用工具です。配管を正確な角度・寸法で曲げることで、壁や天井のルートに沿ったきれいな配線ルートを作ることができます。


コンジットベンダーには大きく分けて3種類あります。それぞれ用途と対応管径が異なります。
























種類 特徴 主な用途
手動式(ハンドベンダー) 軽量・持ち運びしやすい 16〜25mm管の小径配管
足踏み式(フットベンダー) 足で踏み込んで力を加える 28〜36mm管の中径配管
電動式・油圧式 大口径管や硬質管に対応 42mm以上の大径配管


各部の名称を把握しておくことが基本です。主な部位は「フォーマー(曲げ型)」「フッカー(引っかけ部)」「ハンドル」「目盛り(角度ライン)」の4つです。フォーマーが管を包み込みながら変形させ、ハンドルを押し下げることで所定の角度まで曲がる仕組みになっています。


つまり構造を理解することが第一歩です。


購入時は、使用する管のサイズ(JISサイズ:16・22・28・36・42mm)に対応した製品を選ぶことが大前提です。よく使われる製品としては、クレ(KURE)の「ライトベンダー」やガス工業の「パイプベンダー」シリーズがあります。管径に合っていないベンダーを無理に使うと、管の断面がつぶれて通線不能になるケースもあります。つぶれた管は使い物になりません。


コンジットベンダーの基本的な使い方と曲げ手順

実際の曲げ作業に入る前に、「どこで・どの角度で・どれだけの寸法で」曲げるかを明確にしておくことが重要です。これを省略すると、後から管を切り直すことになり、材料ロスと作業時間のムダが発生します。


基本的な手順は以下の通りです。



  • 📏 寸法を測る:曲げ始め位置(テイクアップ分を引いた点)にマーキングペンで印をつける。

  • 🔧 管をセットする:フッカーに管を引っかけ、マーク位置をベンダーの「Arrow(矢印マーク)」に合わせる。

  • 🦶 ベンダーを踏み固定する:管が動かないようにベンダーを地面に押しつけながらハンドルを操作する。

  • 📐 所定角度まで曲げる:ハンドル上の角度目盛りを見ながらゆっくり力を加える。

  • スプリングバックを考慮する:鋼製管は2〜5度程度戻るため、目標角度より少し多めに曲げる。


スプリングバックとは、金属の弾性によって曲げた管が少し元に戻る現象のことです。これが意外と見落とされがちです。90度に仕上げたい場合は92〜95度まで曲げておくのが現場のセオリーです。


曲げ精度を確認するには、スコヤ(直角定規)や角度計を使うのが確実です。スコヤはホームセンターで1,000〜2,000円程度で購入でき、現場での精度確認に役立ちます。


コンジットベンダーの曲げ角度と寸法計算の方法

「計算が苦手だから現場合わせでいい」という人は要注意です。計算なしの感覚頼りでは、管が短すぎて接続できない・長すぎてたわむといったトラブルが頻発します。これは時間の損失に直結します。


まず覚えておくべきは「テイクアップ(Take-up)」の概念です。テイクアップとは、ベンダーにセットした管が実際に曲がり始める点と、目盛りのゼロ点との差分(補正値)のことです。


代表的なテイクアップの数値は以下の通りです(手動式ハンドベンダーの目安)。



  • 🔵 16mm管:約150mm(葉書の短辺より少し長い程度)

  • 🔵 22mm管:約175mm(新聞紙の折り幅くらい)

  • 🔵 28mm管:約200mm(B5用紙の短辺と同程度)


90度曲げの場合、管の端から「曲げたい点までの距離」から「テイクアップ」を引いた位置にマーキングします。例えば「端から400mmのところで90度曲げたい、テイクアップが150mm」なら、端から250mmの位置に印をつけてベンダーの矢印に合わせます。


これが基本の計算式です。


45度曲げや「S字(オフセット)曲げ」では、さらに補正係数が必要になります。45度の場合はテイクアップが90度の約60%が目安です。オフセット曲げは「オフセット量 ÷ sin(曲げ角度)」で片側の管長を求めます。計算に不安があれば、「コンジット 曲げ計算 アプリ」で検索すると、角度・テイクアップ・管長を自動計算してくれるスマートフォンアプリも見つかります。


コンジットベンダーを使う際の失敗例と対策

現場での失敗は「材料の無駄」と「やり直し時間のロス」という、お金と時間の両方に直撃します。よくある失敗パターンを把握しておけば、未然に防げます。


失敗例とその原因・対策を整理します。


































失敗パターン 主な原因 対策
管が扁平につぶれる 管径とベンダーサイズの不一致 管径に合ったベンダーを使う
角度がずれる(浅い・深い) スプリングバックの未考慮 2〜5度余分に曲げて調整
曲げ位置がズレる マーキング位置の計算ミス テイクアップ値を引いた位置に印をつける
しわ・折れが入る 一気に曲げすぎ・急角度 ゆっくり均等に力をかける
管が動いて精度が出ない ベンダーの固定不足 足でベンダーをしっかり踏み固定する


特に「管のつぶれ」は取り返しがつきません。つぶれたらその管は廃棄です。硬質塩化ビニル管(VE管)と鋼製管(GP管)では硬さが異なるため、それぞれのテイクアップ値を必ず確認してください。VE管は熱を加えて曲げる「ホットベンディング」が基本の場合もあります。温めると柔らかくなるということですね。


曲げ回数が多い現場では、同じ角度の反復作業に「ストッパー治具」を自作する職人も多いです。ハンドルの角度が止まる位置に木片や金属片を固定することで、毎回同じ角度を再現できます。これは使えそうです。


収納スペースの配管ルートにコンジットベンダーを活かす視点

収納に関心がある人の中には、壁や天井に配管を通して「スッキリとした収納空間」を実現したいという目的で配管工事を検討している方もいます。コンジットベンダーを使いこなせると、壁内の配管を角の形状に合わせて正確に曲げられるため、露出配管でも見た目が格段に整います。


例えばクローゼット内の照明配線や、収納棚の背面に沿わせるコンセント用の配管ルートには、45度や90度のオフセット曲げを使って管を壁に密着させる手法が有効です。管が浮いていると棚板の取付けに干渉するため、配管の高さと棚のピッチを事前にそろえることが重要です。


収納スペースはミリ単位の勝負です。


市販のシステム収納(例:PAX、IKEA)の背板に穴を開けて配管を通す場合は、配管外径+5〜10mmの余裕を持った穴径で施工するのが基本です。管径22mmなら穴径32mm程度が目安で、これはスイッチプレートのビス穴よりわずかに大きいサイズ感です。穴開けには「ステップドリル」または「ホールソー」が適しています。


どちらも工具レンタルサービス(例:カインズの工具貸し出し、全国対応のダスキンレントオール)で1日500〜1,500円程度で借りられます。コスト面でも無理のない選択です。


また、配管の固定には「サドルバンド」と呼ばれる金具を使いますが、収納の内壁に直接打つ場合は、石膏ボード対応のアンカー(例:ボードアンカー EXタイプ)を使わないと、後から抜けてくる可能性があります。引き抜き強度は通常のビス直打ちの約3倍という試験データもあります。固定方法の選択が安全性を左右します。


参考情報として、電気設備の配管施工に関する基準はJIS C 8340(鋼製電線管)およびJIS C 8430(硬質塩化ビニル電線管)に規定されています。


JIS規格検索(日本産業標準調査会)


コンジットベンダーの選定・操作については、メーカーの技術資料も参考になります。


一般社団法人 日本電気資材協会(JECA)




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