

脱脂をサボると、パテがどれだけ高品質でも3日で剥がれ落ちます。
収納情報
収納棚の金属フレームが割れた、ネジ穴がバカになった、パイプに小さな亀裂が入ったなど、金属の補修が必要な場面は意外と多いものです。そんなとき手軽に使えるのが「金属用パテ」ですが、一口にパテといっても種類がさまざまで、それぞれの強度特性がまったく異なります。
種類を間違えると、硬化後すぐに崩れたり、補修箇所が再び割れたりといったトラブルが起きます。つまり、種類選びがすべての出発点です。
代表的な種類を整理すると、主に3つのカテゴリーに分けられます。
- エポキシ系パテ:主剤と硬化剤を混ぜ合わせて使うタイプで、硬化後の強度が非常に高く、耐熱・耐水・耐薬品性にも優れています。セメダインのエポキシパテ 金属用(HC-116)は23℃で10分後に実用強度に達し、24時間後には完全な強度になります。金属・陶器・硬質プラスチック・木材など、幅広い素材への密着性が高く、DIYの収納DIYでも定番製品です。
- ポリエステル系パテ(ポリパテ):主剤と硬化剤を2〜3%の割合で混ぜるタイプで、研磨しやすく板金補修で広く使われています。ただし、エポキシ系と比べると強度や耐水性でやや劣るため、常に荷重がかかる収納棚のフレーム補修には不向きな場合もあります。
- 鉄粉配合タイプ(メタルパテ):鉄粉を高配合した工業用パテで、金属表面に対して非常に強い接着力を発揮します。モノタロウで扱われているメタルパテ類は、コンクリートや石材に接着した場合に「母材が破壊するほどの強度」と記載されているものもあるほどです。配管の緊急補修や収納ラックのジョイント部分の亀裂補修に向いています。
これが基本です。使い分けとしては、強度と耐久性を最優先するならエポキシ系、素早く仕上げたいならポリエステル系、金属同士の強固な固定が必要ならメタルパテ、という選択が基本的な指針になります。
参考:セメダイン エポキシパテ 金属用の製品詳細(耐熱・耐水・釘打ち・塗装可能な仕様など)
パテそのものの品質より、塗布する前の下処理が強度を左右すると言っても過言ではありません。実際に補修後すぐに剥がれるケースの多くは、下処理の手抜きが原因です。
下処理が不十分だと強度が出ません。これが大原則です。
具体的な手順は3ステップで完結します。
ステップ1:サビと汚れの除去
補修箇所に錆や古い塗膜が残っていると、パテと金属の間に隙間が生まれて密着不良が起きます。耐水サンドペーパー(目安は100〜240番)を使って表面をしっかり研磨し、錆・汚れ・古い塗膜を除去してください。サンドペーパーで研磨すると同時に、表面が微細に荒れて「足付け」の状態になり、パテの引っかかりが増します。
ステップ2:脱脂(これが最重要)
研磨後の表面には、手の油脂や機械油が残っていることがあります。これを除去しないまま施工すると、パテが弾かれて密着しません。シリコンオフや脱脂スプレーを使い、表面の油分を完全に除去します。補修面が小さなものであれば、アセトン(ネイルリムーバーに含まれる成分)を浸したキッチンペーパーで拭き取るだけでも効果的です。
ステップ3:乾燥確認
脱脂剤が完全に乾いてからパテを盛ることが条件です。水分や溶剤分が残った状態で施工すると、硬化反応が乱れて強度不足になります。特に気温5℃以下の環境ではエポキシパテの硬化反応が著しく遅くなるため、使用可能温度が5℃以上であることを確認してから作業しましょう。
一般的なパテの厚塗り限界は1回の施工で約3〜5mmが目安です。それを超えると内部まで硬化しない「外硬内軟」の状態になり、後から割れる原因になります。厚みが必要な場合は薄く分けて重ね塗りし、各層がしっかり硬化してから次の層を盛るのが正しい方法です。
参考:板金DIYにおける脱脂・下処理の重要性と具体的手順
板金塗装でDIYに使うパテの種類と補修手順を初心者向けに徹底解説 | Garage Hama
パテを使った経験がある方の多くが誤解しているのが、「硬化時間」と「完全強度到達時間」の違いです。
「10分で使える」は間違いです。
セメダインのエポキシパテ 金属用を例にとると、23℃の環境で10分後に「実用強度」に達しますが、ヤスリがけや塗装が可能になるのは24時間後となっています。実用強度とは「手で触っても変形しない程度」の硬さであり、最大の接着力や機械的強度が発揮されているわけではありません。
作業を急ぐと強度不足になります。10分後にすぐ荷重をかけたり削ったりすると、内部の硬化反応が途中の状態なので強度が大幅に落ちます。
また、気温と強度には密接な関係があります。
| 温度条件 | 実用強度到達時間の目安 |
|----------|------------------------|
| 23℃(標準) | 約10分 |
| 10℃(冬場の室内) | 約30〜40分 |
| 5℃(冬場の屋外・倉庫) | 最大2時間以上 |
気温が低いほど反応が遅くなります。冬場に倉庫や屋外の収納棚を補修する際は特に注意が必要です。5℃以下では正常に硬化しないリスクがあるため、気温が上がった時間帯に作業を行うか、ドライヤーで補修部分を軽く温めてから施工するのが有効です。
逆に、速硬化タイプの製品(モホーク社のウッドカラーエポキシパテなど)は5〜10分で実用強度に達するため、短時間で作業を終えたい場合に向いています。ただし速硬化の分だけ「可使時間」(混ぜてから施工できる時間)も短く、3分程度しかない製品もあります。素早く混ぜて手際よく盛らないと、途中で硬化が始まって施工できなくなる点には注意してください。
参考:エポキシパテ金属用の硬化時間・可使時間など仕様詳細
収納棚のネジ穴がつぶれて棚板が固定できなくなった、金属フレームに穴が開いたといったトラブルは、金属用パテで対応できる代表的なケースです。しかし、穴や空洞への充填は「平面への塗布」とは条件が異なり、強度を出すためのコツが変わります。
穴埋めには手順があります。
まず、穴の内壁もサンドペーパーと脱脂処理を行います。空洞の内側は見えにくいですが、そこも油分や錆を取り除かないとパテが密着しません。次に、穴が深い場合は一度に全量を埋めず、底から少しずつ分けて充填します。これは「外硬内軟」を防ぐためで、各層が3〜5mm以内の厚さになるように積み重ねるのが基本です。
硬化後にドリルでネジ穴を再成形できる製品もあります。たとえばミスミが扱う工業用エポキシパテは、-29℃〜+107℃の使用温度範囲を持ち、「硬化後に機械加工・ドリル加工・ねじ立てが可能」と明記されています。収納ラックのネジ穴復元に活用できます。
💡 ネジ穴の再成形をしたい場合は、硬化後24時間以上経過してからドリル加工を行うことが強度確保の条件です。
一方で注意が必要なのが「穴が大きすぎるケース」です。直径10mmを超えるような大きな穴や亀裂は、パテだけで埋めても十分な強度が出にくいことがあります。そういった場合は金属製のメッシュテープや当て板を補強材として裏から当て、その上にパテを充填すると強度が大幅に上がります。はがきの縦の長さ(約15cm)を超えるような広範囲の損傷には、パテ単体での補修よりも溶接や専門業者への依頼を検討することも選択肢のひとつです。
参考:エポキシパテの穴埋め・ネジ穴補修への応用と注意点
Brilliatech 金属修理用エポキシパテの究極ガイド(日本語版)
パテ補修の話では「盛る・硬化させる・削る」で終わりにされることが多いのですが、実はその後の仕上げと保護の工程が、強度の「持続」に大きく影響します。ここはあまり語られない視点です。
硬化後の保護が強度を維持します。
金属用パテは硬化後に非常に硬くなりますが、表面が剥き出しのままでは外気・湿気・紫外線にさらされ続け、パテと金属の界面(接触面)から徐々に劣化が進むことがあります。特に屋外の収納棚や湿気の多い場所(洗面台下・キッチン下)では、この劣化が早まりやすいです。
有効な対策は「塗装による保護」です。エポキシ系パテは硬化24時間後からサンドペーパーがけ・塗装が可能になります。ラッカースプレーやウレタン塗料を薄く2回塗りするだけで、パテ表面に保護膜ができ、耐水性・耐候性が大幅に向上します。
もうひとつ見落とされがちな点として、パテを盛った周辺の金属面のサビ対策があります。補修箇所がきれいになっても、その周辺で錆が進行すると、やがてパテとの境目から剥がれが始まります。補修後は周辺も含めてサビ止めプライマーを塗布し、さらに上からペイントしておくことで、補修箇所の周囲から錆が広がるのを防ぐことができます。
収納棚の金属フレーム補修をしたあとにそのまま放置すると、数か月で補修箇所の周辺が茶色く変色してくることがあります。これはパテ補修後に「サビ止め+塗装」をしていないためです。補修→サビ止め→塗装の3工程をセットにして、はじめて「強度が長持ちする補修」が完成します。
また、使い残したエポキシパテの保管方法も強度に関係します。開封後の残りパテは離型フィルムをきつく巻き、密封できるプラ容器に入れて直射日光の当たらない涼しい場所に保管してください。高温多湿の環境に置くと、使用前から反応が進んで硬度が落ちてしまうことがあります。
参考:エポキシパテの硬化後の研磨・塗装・保管方法
homebody blog エポキシパテ作業のコツは早い硬化時間と抜群の強度を活かす

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