グリス種類と色の正しい選び方と使い分け完全ガイド

グリス種類と色の正しい選び方と使い分け完全ガイド

グリスの種類と色を正しく知る使い分け方

グリスの色を見ただけで「これはリチウム系だ」と判断していませんか?実は同じ白色のグリスでも、成分がまったく異なる別種類の場合があります。


この記事の3つのポイント
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グリスの色=種類ではない

白・黄・黒・茶などの色はあくまで目安。同じ色でも増ちょう剤が違えば性能もまったく異なります。色だけで判断すると誤使用のリスクがあります。

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異種グリスを混ぜると性能が激変する

リチウム系とアルミニウム石けん系を混ぜると、著しく性能が低下することがあります。種類を変える際は古いグリスを完全に取り除くのが基本です。

用途に合った種類を選ぶのが最重要

ゴム・樹脂部品にはシリコングリス、高荷重部にはモリブデングリス、高温環境にはウレアグリス、というように場面別の選び方が機器の寿命を左右します。

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グリスの種類と色の一覧:リチウム・ウレア・モリブデン・シリコンを比較


グリスとは、基油(ベースオイル)に「増ちょう剤」と呼ばれる固化剤を混ぜ、半固体状にした潤滑剤のことです。この増ちょう剤の種類こそが、グリスの性能を決定づける最大の要素です。


まず、代表的なグリスの種類と色をまとめた表を確認しておきましょう。




























































グリスの種類 主な色 増ちょう剤 耐熱温度の目安 主な用途
リチウムグリス(万能グリス) 黄色・半透明 リチウム石けん 約150℃ ベアリング・一般摺動部
ウレアグリス 白っぽい黄色・白 ウレア化合物(非石けん系) 約180〜200℃ 高温環境の軸受・摺動部
二硫化モリブデングリス 黒色 リチウム石けん+二硫化モリブデン 約150〜200℃ 高荷重・高圧部品
有機モリブデングリス 黄色・淡黄色 リチウム石けん+有機モリブデン 約150〜200℃ 高荷重部品(ゴム部品周辺可)
シリコングリス 白色・赤 シリカ・ウレアなど(基油:シリコンオイル) 約200℃ ゴム・樹脂部品・シール類
カッパーグリス 茶褐色(銅色) 半合成油+銅・グラファイトなど 約800℃以上 マフラーボルト・高温ボルト類
マルチパーパスグリス(万能) 緑・赤・薄茶色 リチウム石けん系など 約120〜150℃ 幅広い汎用箇所


ここで重要なのは、「同じ白色」でもシリコングリスとウレアグリスはまったく別物だという点です。たとえばウレアグリスをゴム部品に使うと劣化を招くリスクがありますが、見た目が白っぽい黄色のため、シリコングリスと混同しやすいのです。つまり色は目安の一つに過ぎません。


実際、大同油脂の公式FAQでも「グリースの色は主にベースオイル・添加剤・固体潤滑剤などの色が反映されたものであり、種類を示すものではない」と明記されています。色のみで判断するのが最大の落とし穴といえます。


大同油脂株式会社 グリースについてのFAQ(グリースの色・滴点などを詳しく解説)


グリスの色は参考情報として使いつつ、必ずラベルの成分表示や製品名を確認するのが基本です。


グリスの種類ごとの特徴と使い分け:用途別にわかる選び方

それぞれのグリスには明確な「得意分野」があります。用途を間違えると部品を傷めたり、早期の摩耗・焼き付きを引き起こすことも珍しくありません。これは大事なポイントです。


リチウムグリスは「とりあえずの万能選手」


リチウム石けんを増ちょう剤とするリチウムグリスは、ホームセンターで「万能グリス」として広く販売されています。耐水性・耐熱性・機械安定性に優れ、ベアリングや一般的な摺動部(スライドする金属面)に幅広く使えるのが強みです。ただし、ゴムや樹脂への攻撃性があるため、シール類や樹脂部品周辺には使用できません。「万能」という言葉に惑わされないことが大切です。


ウレアグリスはリチウムを「上回る万能タイプ」


ウレア化合物を増ちょう剤に使うウレアグリスは、非石けん系のグリスです。リチウムグリスと見た目が似た白っぽい色ですが、耐熱性(約180〜200℃)や耐水性がリチウムより優れています。高温になる環境の軸受やモーター周りに特に向いています。ただしゴム・樹脂への攻撃性はリチウムと同様にあるため、使う場所は選ぶ必要があります。


モリブデングリスは「黒色=重い仕事向き」


二硫化モリブデンを添加したモリブデングリスは、その黒色が特徴的です。二硫化モリブデンの粒子が金属面に付着して「固体潤滑層」を形成し、高い荷重や摩擦に耐える極圧性を発揮します。しかし、二硫化モリブデンの粒子は非常に硬いため、ゴム製シール・アルミ・真鍮などの柔らかい素材を削ってしまうリスクがあります。たとえばブレーキやクラッチのレバー軸受けなど、柔らかい素材が関わる場所には使用厳禁です。


一方で、有機モリブデングリスは黄色っぽい色で、ゴムや樹脂への攻撃性がありません。ただし二硫化モリブデングリスに比べ価格が約10倍高いというデメリットがあります。モリブデングリスの種類の選択は、材質と価格の両面で慎重に行うのが条件です。


シリコングリスは「ゴム・樹脂の唯一の味方」


基油にシリコンオイルを使用するシリコングリスは、ゴムや樹脂を侵食しない性質を持ちます。白色をしており、耐水性・耐熱性(約200℃)・シール性に優れています。ブレーキのシール交換やフロントフォークのシール組み付けなど、ゴム部品に直接触れる箇所には必須のグリスです。金属同士の強い摩擦部には向きませんが、ゴム・樹脂周りなら問題ありません。


カッパーグリスは「超高温環境の専用グリス」


銅(カッパー)成分が含まれるカッパーグリスは、茶褐色が特徴です。耐熱温度は約800℃以上にもなり、エンジン熱が直接伝わるマフラーのスタッドボルトやシリンダーヘッドのボルトへの焼き付き防止(かじり防止)に使われます。ただし、塗りすぎるとボルトの締め付けトルクの管理ができなくなり、折損の原因になるため薄く均一に塗るのが原則です。


moto-connect|元車両開発関係者が解説するグリスの種類と使い分け方(各グリスの具体的な使用箇所を詳解)


グリスの色と劣化の関係:変色が示す「交換サイン」の読み方

グリスの色は種類の判別だけでなく、劣化状態を確認するための重要なサインでもあります。意外と知られていない視点です。


グリスは基油・増ちょう剤・添加剤で構成されていますが、使用中に酸化劣化が進むと色が変化します。NSK(日本精工)の研究によると、グリスの劣化は色の変化として現れ、白色→黄色→橙色→黒色という順に変化していくことが確認されています。黒色はグリスの「余寿命がほぼゼロ」の状態を示しており、交換が必要なサインです。



  • 🟡 黄色・橙色への変色:熱や酸化による基油・添加剤の化学変化が始まっている状態。使用は継続できるが、補充や交換を検討するタイミング。

  • 黒色への変色:余寿命がほぼない劣化末期の状態。放置すると摩耗・過熱・部品破損につながるリスクがある。

  • 🔵 白濁・白化:水分や異物の混入による汚染が疑われる。防水性が失われている可能性あり。


ただし、ここでも「色だけで判断は危険」という注意点があります。もともと黒色のモリブデングリスは劣化しても同じ黒色なので、変色だけでは劣化判断ができません。また、新品のカッパーグリスも茶褐色なため、他のグリスの茶変色と混同しないよう注意が必要です。


劣化診断に不安がある場合、グリスの余寿命をスマートフォンで簡易判定できるアプリをNSKが開発・公開しています(iOSおよびAndroid対応)。作動部を目視確認するのが難しい箇所では、こうしたツールを活用するのが現実的な対策になります。


また、Shell Lubricants(昭和シェル石油)の解説によると、高温環境下での酸化劣化が進むと異臭の発生やちょう度(硬さ)の変化も起こります。変色と合わせて「異臭」「硬さの変化」も交換のサインとして覚えておくとよいでしょう。これは使えそうです。


Shell Lubricants|グリースの組成・ちょう度・酸化劣化のメカニズムを詳しく解説


グリスの種類を混ぜてはいけない理由:異種混合が引き起こすリスク

「グリスを補充するとき、以前と色が同じだからそのまま追加した」という経験はありませんか?これが実は非常にリスクの高い行動です。


グリスの増ちょう剤が異なる場合、混合すると以下のような問題が起こることがあります。



  • ⚠️ 不均一な性能低下:異なる成分が混ざり合うことで、均一な潤滑効果が得られなくなる。

  • ⚠️ 化学反応による副産物生成:成分同士が反応して不溶解物が生成され、グリースが正常に機能しなくなる。

  • ⚠️ 流動性の著しい低下:混合により硬い塊が生成し、機械部品の運動を妨げることがある。

  • ⚠️ 耐熱性・極圧性の低下:本来の性能が失われ、焼き付き・摩耗が加速する。


特に注意が必要なのは、リチウム石けん系とアルミニウム石けん系の組み合わせです。日本ユニバイト株式会社の調査資料によれば、この組み合わせは混合適性が「✖️(著しくかけ離れた変化を起こす)」と評価されており、最も避けるべき組み合わせのひとつです。


一方で、リチウム石けん系同士やウレア同士の混合は比較的安全とされています。ただし、同じ増ちょう剤でもメーカーや添加剤の違いで影響が出ることがあるため、「同じ成分なら必ず安全」とは言い切れません。異種グリスを使う必要が出た場合は、古いグリスを完全に除去してから新しいグリスを入れ直すのが最も確実な方法です。


なお、「色が同じ=同じ種類」という思い込みが混合ミスの最大の原因です。たとえば白色のグリスであっても、シリコングリス・ウレアグリス・シリコン系万能グリスなど複数の種類が存在します。補充前に必ずラベルで成分を確認する習慣をつけることが大切です。これだけ覚えておけばOKです。


日本ユニバイト株式会社|増ちょう剤の異なるグリースの混合について(混合適性表を含む詳細解説)


収納グッズの金具・スライドレールへのグリス選び:DIYで使える実践知識

日常の収納グッズのメンテナンスにもグリスは活躍します。これは意外と見落とされがちな活用シーンです。


たとえば引き出しのスライドレールキャビネットの蝶番、収納ボックスのラッチ部品など、金属同士が接触してスムーズに動く部分にはグリスアップが効果的です。では、収納グッズのメンテナンスにはどのグリスを選べばよいのでしょうか?


スライドレール・ベアリング入り引き出しレールには、ウレアグリスまたはリチウムグリスが適しています。耐熱性や耐水性が高く、ベアリング部分の潤滑に向いているためです。ただし、レールにゴム製の緩衝材が付いている場合はゴムを侵食する恐れがあるため、シリコングリスを選ぶのが安全です。


ゴムパッキンやゴム製部品が付いた扉・蓋のヒンジには、シリコングリスが最適です。ゴムを侵食せず、シール性も高いため、扉の密閉性を維持しながら動きを滑らかに保てます。



  • 🪟 スライドレール(ベアリング式):ウレアグリスまたはリチウムグリス(ゴム緩衝材がある場合はシリコングリス)

  • 🚪 蝶番・ヒンジ(金属のみ):リチウムグリスまたはウレアグリス

  • 🔒 ゴムパッキン付き扉・蓋:シリコングリス一択

  • 🔩 ネジ・ボルト(高温部分でない):リチウムグリスで防錆効果も期待できる

  • 🌡️ ネジ・ボルト(高温にさらされる箇所):カッパーグリスで焼き付き防止


市販品では、呉工業(KURE)の「スーパーグリース」(リチウム系)やワコーズの「メンテルーブ」(万能タイプ)などが使いやすく、スプレータイプなら細部への塗布もしやすいです。スプレーグリスは狙った箇所にピンポイントで噴射できるため、収納グッズの細いレール部分にも扱いやすく、1本あると重宝します。


また、グリスを塗る際は「少量を薄く均一に」が基本です。厚塗りしてしまうと、ほこりや砂を吸着して逆に動きを悪くしたり、周辺を汚染したりする原因になります。塗布後は指やヘラで薄く伸ばし、はみ出た分は拭き取るのが正しい使い方です。


協同油脂株式会社|グリースの分類と特性(各グリースの性能比較を詳細に解説)




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