

「隠す収納を徹底すれば部屋がすっきりする」と思っている方ほど、収納が原因で部屋が散らかります。
「隠せばすっきりする」という考え方は、実は半分しか正しくありません。収納を極めたい方に多いのが、扉付きの棚やボックスに何でも突っ込んでしまう「とりあえず隠す」習慣です。これが積み重なると、棚の中はぎゅうぎゅう、外側からは整然として見えているのに、いざ開けると雪崩が起きる、という状態になってしまいます。
収納の専門家の間では、これを「ブラックホール化」と呼びます。扉の中が見えないからこそ、物は際限なく増え続けます。結果として、物を探す時間が増え、1日に平均約10分をモノ探しに費やすというデータも存在します。年間に換算すると約60時間、つまりまるまる2〜3日分の時間が「見つからない時間」に消えていくことになります。
つまり「隠すだけ」では問題は解決しないということですね。
では何が必要か。それは「隠す」と同時に「取り出しやすい仕組みを作る」ことです。扉を開ければすぐ必要なものが手に届く配置になっていれば、出しっぱなしになる頻度が大幅に下がります。棚の中を使用頻度で仕分けし、よく使うものほど手前・上段に配置するのが原則です。
もう一つのNGが「見た目を優先した詰め込みすぎ」です。収納ボックスを隙間なく並べて整然と見せようとするあまり、1つのボックスにぎゅうぎゅうに物を詰め込んでしまう。こうなると取り出しのたびにストレスが発生し、そのうち「また後で片付けよう」と先延ばしが始まります。これが「散らかり」への入り口です。
収納量の目安は「8割まで」が基本です。残りの2割が「余白」として機能することで、出し入れがスムーズになり、物を戻す手間が減り、結果として棚の中の整理が維持されやすくなります。
整理収納の資格保有者・七尾亜紀子氏のブログ。「隠す収納」が片付け苦手な方に逆効果になる理由を具体的に解説しています。
この「隠す収納」はアリ?ナシ?片付けが苦手な方が陥りがちなNG収納 – ameblo
隠す収納を成功させる第一歩は、棚そのものの選び方にあります。よくある失敗が「収納力重視で高さのある棚を選んだら、圧迫感でリビングが狭く感じるようになった」というケースです。特に天井までの壁面収納はインテリアの憧れですが、全面を扉付きにしてしまうと閉塞感が生まれやすく、リビング全体の雰囲気を損ねてしまいます。
棚を選ぶ際の高さの目安は、「90cm以下のロータイプ」か「180cm前後のハイタイプ」で用途を明確に分けることが大切です。ロータイプは圧迫感が出にくく、天板をインテリアとして活用しやすい利点があります。一方、ハイタイプは収納量が大幅に増えるぶん、視線が家具に向きやすくなるため、扉付きにして「面」を統一することで圧迫感をやわらげる工夫が必要です。
これは覚えておけばOKです。
奥行きについては、棚に収納するアイテムに合わせた選択が重要です。一般的な目安として、書類や文房具は奥行き30cm前後、リモコン・日用品などは20〜30cm、ゲーム機やルーターなど機器類は40cm前後が適切です。奥行きが深すぎると奥のものが見えなくなり、手前だけに物が重なってしまいます。逆に浅すぎると収まらず、物が棚からはみ出してしまう原因になります。
棚の種類には大きく3タイプあります。
| タイプ | 特徴 | おすすめ用途 |
|---|---|---|
| 扉付きキャビネット | 中身をしっかり隠せる | 日用品・書類・電気機器 |
| 引き出し式チェスト | 取り出しやすく奥行きを活用 | 文具・リモコン・小物 |
| オープン棚+ボックス | 柔軟に隠す・見せるを選べる | リビング全般の汎用収納 |
リビングに置く隠す収納棚としてもっともバランスがよいのは、「オープン部分と扉付き部分が混在したタイプ」です。見せる部分と隠す部分を上下・左右で使い分けることで、圧迫感を抑えながら収納力と美観を両立できます。「見せる2:隠す8」を意識して構成するのが基本です。
Re:CENOが解説するリビング収納家具の種類と見せる・隠すバランスの取り方。写真付きで具体的なイメージが掴めます。
見せる?隠す?リビングを素敵に仕上げる収納方法 – Re:CENO
棚を買っただけでは、隠す収納は完成しません。棚の扉を閉じた後、中がどんな状態になっているかが、使いやすさを左右します。多くの人が見落とすのが「棚の内側のゾーニング」です。何をどこに置くかを決めずに使い始めると、扉を開けるたびに「あれどこ?」が発生します。これが続くと、結局物を棚に戻さなくなります。
いいことですね。逆に言えば、ゾーニングさえしっかりすれば棚の機能は格段に上がります。
具体的には、棚の中を「使用頻度」と「カテゴリー」の2軸で分けることが有効です。使用頻度の高いものは目線の高さ(床から80〜120cmの範囲)に集め、使用頻度の低いものは下段や上段に配置します。さらに、「日用品」「書類」「電子機器」などカテゴリー別に棚の区画を決めると、家族全員がどこに何があるかを把握しやすくなります。
収納ボックスの活用も鍵になります。ダイソーやセリアなどの100円ショップでも手に入る「無地のフタなしボックス」や「仕切り付きトレー」を使えば、棚の中の小物がまとまって取り出しやすくなります。特にボックスにはラベリングが必須です。ラベルのないボックスは中身が不明になり、物が増える温床になりやすいです。
🏷️ ラベリングのポイント
- ラベルには「カテゴリー名(例:リモコン類)」を書く
- 子どもや家族が読めるよう、大きめのフォントか手書きで
- マスキングテープ+油性ペンなら100円以下で実現できる
- ラベルを変更しやすい素材を選ぶと、模様替えにも対応しやすい
棚の中が仕切られ、ラベルが付いていると、「戻す場所が明確」になります。片付けのアクションが1ステップ減り、物が元の場所に戻りやすくなります。これが「散らからないリビング」の仕組みの核心です。
また、棚の中の「余白」を意識することも大切です。すべての区画を埋めてしまうと、新たに物が増えたときに「とりあえず別の場所へ」という行動が始まります。各ゾーンの8割が埋まったら「物が多すぎるサイン」と捉えて、見直しのタイミングにすることが条件です。
無印良品スタッフが解説する「高さ・奥行き・横幅を使い切る棚の収納量アップ術」。棚の内部整理の考え方が参考になります。
隠す収納の棚を購入できない、あるいはすでにオープン棚があってどう隠すか迷っている方に有効なのが、ファブリックを使った目隠し収納です。これは「隠す収納の中でも最もコストが低い方法」で、市販のロールスクリーンやカーテンを棚前面に取り付けるだけで、扉付き収納と同等の「目隠し効果」が得られます。
意外ですね。しかも収納の中への通気性も確保できるので、扉付きキャビネットよりもカビが発生しにくいというメリットもあります。
具体的な方法としては主に2つあります。1つ目が「突っ張り棒+布カーテン」を使う方法で、棚の前面上部に突っ張り棒を渡し、お好みのファブリックをかけるだけです。用意するものは突っ張り棒(100均で購入可)と布のみ。費用は500〜1,000円程度で実現でき、簡単に取り外せるため賃貸にも向いています。
2つ目が「ロールスクリーン設置」です。棚の天板や壁にブラケットを固定し、ロールスクリーンを吊り下げます。引き上げれば棚の中が開放されるため、通気性と目隠しを両立しやすいです。TOSO社の「コルト リネングレー」シリーズなどは、リネン調の質感でリビングのインテリアになじみやすいと人気があります。
🧵 ファブリック活用で隠す収納にするときのチェックリスト
- 棚の幅を正確に測ってから素材を選ぶ(左右1〜2cmの余裕を持たせると自然に見える)
- 布の色はリビングの壁色・床色に近いトーンを選ぶと浮きにくい
- ロールスクリーンは「防炎加工あり」の素材を選ぶと安心(リビングに置く場合は特に)
- 突っ張り棒タイプは耐荷重を確認する(布が重い場合は強力タイプを選ぶ)
ファブリックで隠す収納にする際のデメリットは、「布にホコリがつきやすいこと」です。月に一度程度、布をはずして洗濯するか、粘着ローラーでホコリを取るメンテナンスが必要になります。これさえ習慣にすれば問題ありません。
この方法は特に「今すぐ隠したいが家具を買う余裕がない」「賃貸なので大きな変更ができない」という方に向いています。オープン棚をそのまま活かしながら、リビングの見た目を即日改善できる点が大きな魅力です。
TOSOが解説するロールスクリーンを使った棚の目隠し収納術。おすすめ商品の特徴も紹介されています。
ロールスクリーンで目隠しして棚や収納をおしゃれに! – TOSO
収納を極めたい人が意外と見落としがちなのが、隠す収納による「密閉環境のリスク」です。リビングの棚に扉付きキャビネットを設置して完璧に隠す収納にしたものの、数か月後に木材や収納ケースにカビが発生した、という事例は珍しくありません。
扉を閉めると中の湿気が逃げにくくなります。特に日本では、梅雨時期の室内湿度は70〜80%を超えることが珍しくなく、密閉された棚の中はさらに高湿度になるリスクがあります。木製家具の場合、湿度60%以上の環境が続くとカビが発生しやすい条件が整います。棚の内側でカビが繁殖すると、収納物にも広がり、最悪の場合は家具ごと廃棄になります。これは見た目にも費用にも痛いですね。
湿気対策として有効な方法は3つあります。
🌿 扉付き収納棚のカビ・湿気対策
- 定期的に扉を開けて換気する:週1回程度、10〜15分間扉を開け放すだけでも棚内の湿気が大きく改善されます。
- 小型の除湿剤を棚の内部に設置する:クローゼット用の除湿剤(容量200〜350mlタイプ)が棚の隅に入れやすく便利です。交換目安は約2〜3か月。
- 棚の後面・底面に隙間を作る:棚を壁から3〜5cm(名刺の長辺程度)離して設置するだけで、背面への通気が確保されます。
また、収納物の種類によっても対策が変わります。布製品や紙類は湿気を吸いやすく、乾燥した状態で棚に入れることが大前提です。電子機器類(ゲーム機・リモコン・ルーターなど)は、密閉されすぎると熱がこもり、誤作動や故障のリスクが上がります。機器類は「背面が開いているタイプの棚」か「メッシュ素材のボックス」に収納するのが条件です。
もう一つ見落とされやすいのが、棚の素材と防カビ対策の組み合わせです。低コストのカラーボックスなどは表面加工が薄く、湿気を吸い込みやすいです。棚の内部にアルミシートや撥水加工のシートを貼るだけで、カビの繁殖を大幅に抑えられるため、コストをかけずに収納を長持ちさせたい方にはこれが使えそうです。
隠す収納を長期にわたって機能させるには、「見た目の美しさ」と「内部の衛生管理」を同時に意識することが欠かせません。せっかく整えた収納が湿気で台無しにならないよう、棚の内部環境にも目を向けるようにしましょう。
ディノスが解説するクローゼット・収納内部のカビ・湿気対策7選。リビング棚にも応用できる実践的な内容です。

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