

無印良品のユニットシェルフ用の「ボックス・引出し・2段」系は、付属の六角レンチとドライバーを使い、電動工具は使わない注意が明記されています。電動で一気に締めるとネジ山を潰したり、木部(突板・MDF)側を痛めたりしやすく、結果として精度が出ず開閉不良の原因になりがちです。実際に説明書でも「電動工具は使用しない」「組み立ては必ず2人以上」と安全面が強調されています。
作業に入る前に、部材の向き(前後・上下)を揃えるのが最重要です。たとえば内側板は「溝のあるほうが後側」、引出しレールも「前・後」が指定されており、ここを逆にすると最後に引き出しが入らない、または片側だけ当たる原因になります。説明書の図では、内側板・背板・引出しレールの向きが明確に示されています。
組み立ての大まかな流れは、(1)内側板を帆立の横桟に掛ける→(2)底板をはめてナットで固定→(3)背板を溝に差し込む→(4)サイドパネルで帆立を挟み、ボルトで固定→(5)天板とコーナーパーツを固定→(6)引出しレールをネジで固定→(7)引出しをレールのキャスター位置に合わせて奥まで入れる、です。特に(2)(3)は「背板が入りにくい場合、クロスバーや底板のナットをゆるめると入りやすい」と説明書にあり、無理に押し込まないのが正解です。
ここで意外と知られていない実務ポイントは、「締め切るタイミング」をあえて遅らせることです。説明書でも、仮止め状態の注意(落下注意)を出したうえで、位置が出てから締める流れになっています。つまり“最初から全部本締め”は、ズレが吸収できず、後半のレール取り付けや引き出し挿入が一気に難しくなります。
引き出しユニットは、ユニットシェルフのどこにでも付けられるわけではありません。説明書には「帆立・横桟の高さ8段目より上では使用しない(7段目まで使用可)」と明記され、上に付けすぎると転倒リスクが増える扱いです。ここを見落として先に棚板配置を決めてしまうと、後からレイアウトのやり直しになります。
また、同じ説明書内で「この商品を2段以上取り付ける場合は下段から順に組み立てる。上段から下段方向へは組み立てできない」と書かれています。引き出しボックスを上下に積む(または上にボックスを追加する)可能性があるなら、将来の拡張を想定して“下からの順番”を最初に設計しておくと安全です。
棚板・帆立・クロスバーとの干渉も現場では起きがちです。説明書には、ボックス固定箇所とクロスバー固定ボルトが重なるケースで「スペーサーを入れてボルトがボックスに触れないようにする」注意があります。つまり、見た目上は組めていても、金属同士が当たると微振動で異音が出たり、締結が緩みやすくなったりするリスクがあります。
耐荷重や使い方の注意も、組み立て記事では省略されがちですが重要です。説明書では「複数の引出しを同時に開けない」「引出しに重量物をいっぱいに入れない」など転倒方向の警告が並びます。引き出しは便利な反面、荷重が前に出る構造なので、収納物の重心設計(重い物は下・奥)を最初から前提にしておくと長期的に安心です。
引出しレールの取り付けは、工程としては単純でも“ミスが起きる場所”です。説明書では「引出しレールのネジ穴は下図の3箇所のみ使用」と指定があり、穴全部を使わない前提になっています。穴位置を間違えるとレールがわずかに傾き、引き出しのキャスターが片側だけ噛む、といった症状につながります。
また、引き出しの挿入は「レールのキャスターと引出し側のキャスターを合わせて、奥までしっかり入れる」と指示があります。ここを“途中まで入ったからOK”で止めると、前板のチリ(見付け)がズレて見た目が悪くなるだけでなく、開閉時に引っ掛かりやすくなります。奥まで入らない場合は、レール左右の前後や高さが揃っていない可能性が高いので、次の「調整」手順に進むのが安全です。
レール取り付け時の現場的コツとしては、左右のレール固定を「同じ順番」で進めることです。例えば右の前→右の後→右の中、左も前→後→中…という具合に、左右差が出ない締め方をすると、最後の微調整が減ります。説明書自体は締め順を固定していませんが、“指定3点の穴だけを使う”という条件下では、締め方のクセが精度に直結します。
さらに、引出しユニットは木部(突板・塗装)と金属パーツが混在します。木部に近いネジは、締め過ぎると沈み込みが起き、最初は良くても時間が経ってガタが出る原因になります。説明書でも「組み立て後、1週間程度経過したらボルトを締め直す」とあり、初期なじみが起こる前提の設計です。
引き出しの開閉が「きつい」「擦る」「片手で引けない」場合、力任せに使い続けるのは避けるべきです。説明書に、開閉がきつい場合の“公式の調整手順”が載っており、上部から順番にクロスバーと棚板フック、全てのボルトを六角レンチで少しゆるめるところから始まります。ポイントは、原因をレールだけに限定せず、フレーム全体の歪み(帆立の開き具合)まで戻して調整する設計になっている点です。
調整の途中で、引出しを取り出し、天板用のボルト・小とナットをゆるめる工程があります。さらに「帆立を外側にひろげ、ボックス内側板の金具位置と棚板のフック位置を外側にくるよう調整」とあり、微妙な“フレーム幅”の調整が開閉に効くことが示されています。レールが正しくても、帆立が内側に寄るだけでキャスターが当たりやすくなるため、フレーム起点で診断するのが近道です。
調整後は、引出しを再び入れて「きつくないことを確認」し、最後にゆるめた全ての金具を締め直します。ここでの実務上の注意は、締め直しを一気にやらず、左右・上下のバランスを見ながら少しずつ本締めすることです。片側だけ先に強く締めると、せっかく出した位置がまたズレます。
独自視点として、季節要因も補足します。説明書には、直射日光や冷暖房の風、乾燥や高温などで反り・ゆがみ・割れ・変色の原因になる旨があり、木部を含む引き出しユニットは環境の影響をゼロにできません。特に冬の乾燥や夏の高温は寸法変化を感じやすいので、組み立て直後に軽くても、数週間後に“きつい”へ変化することがあり得ます(その前提で「1週間後の締め直し」指定があります)。
■公式説明書(引き出しレールの穴位置、開閉がきつい場合の調整手順、取付高さ制限、スペーサーの注意)
https://www.muji.com/public/media/jp/doc/item/02_4550002998776_00001.pdf