

100均のワイヤーグリッドに物を詰め込みすぎると、壁ごと落下して修繕費が数万円になることがある。
ワイヤーグリッド(ワイヤーネット・メッシュパネルとも呼ばれる)は、スチールやアルミのワイヤーを縦横に組み合わせたパネル状のアイテムです。見た目はシンプルな格子(グリッド)ですが、その収納力の源は「格子が作る無数の交点」にあります。
格子の交点は、フックを引っかけるポイントになります。たとえばダイソーのスタンダードなワイヤーグリッド(約51×26cm)で計算すると、格子のマス目は1辺が約3.4cm。この1枚だけで60個以上の引っかけポイントが生まれます。つまり、壁の面積1㎡分(A4用紙を約7枚並べた大きさ)をグリッドで覆えば、理論上は数百か所に物を掛けられる計算です。
ここが重要なポイントです。通常の棚は「置く」しかできませんが、グリッドは「掛ける」「吊るす」「引っかける」という3つのアクションが組み合わせられます。収納の専門家がよく言う「縦の空間を使う」という発想と、グリッドの構造は完璧に一致しています。つまり、壁面収納の原理そのものです。
また、グリッドの目の細かさも収納力に直結します。市販のメッシュパネルは目の間隔が25mm(2.5cm)〜50mm(5cm)前後のものが多く、目が細かいほど小物の引っかけに向き、目が粗いほど大型フックやかごを安定して掛けやすくなります。収納するアイテムに合わせてマス目を選ぶ、というのがグリッド収納の原理を正しく活かすコツです。
| グリッド目の間隔 | 向いている収納 | 代表的な商品 |
|---|---|---|
| 約25〜30mm(細かめ) | 小物フック・クリップ・S字フック | ダイソー ワイヤーネット(クロームメッキ) |
| 約34〜40mm(標準) | ワイヤーラック・バスケット・Sフック全般 | ダイソー・セリア 標準ワイヤーネット |
| 約50mm以上(粗め) | 深型かご・大型フック・重めのアイテム | ホームセンター系メッシュパネル |
グリッドが基本です。まずマス目の間隔を確認してから買うようにしましょう。
参考:ワイヤーネットの仕組みや活用法を詳しく解説しているページです。サイズ・耐荷重・DIY方法まで網羅されています。
100均ワイヤーネット活用アイデア17選|ダイソー・セリア編 – プレコチリコ
ワイヤーグリッドを使った収納で最も見落とされやすいのが「耐荷重」の考え方です。ダイソーのワイヤーグリッドは耐荷重3kg、セリアは4〜10kgと商品によって差があります。ただし、これはあくまでネット単体の数値であり、取り付けフックや壁への固定方法によっては、実際に安全に使える重さはさらに下がります。
問題になりやすいのは、フックを複数使って少しずつ物を増やしていくケースです。調味料1本が200〜300g、キッチンツールが100〜200g、缶詰1個が200g。気づいたら合計で4〜5kgを超えていた、という状況は珍しくありません。これが「3kgの壁」です。
耐荷重を超えると何が起きるでしょうか? 最悪のケースは、壁に取り付けたフックが抜けてグリッドごと落下するケースです。フックが壁に残した穴の修繕費は、賃貸の場合に1か所あたり数千円〜数万円の原状回復費用が発生することがあります。重さのある物を多く掛けたいなら、フックごとの耐荷重を合算せず、「グリッド1枚で安全に使えるのは全体の60〜70%程度」という余裕を持った設計が原則です。
壁との接点にも注意が必要です。賃貸で使われることの多い「剥がせる粘着フック」は耐荷重1〜3kgが多く、壁紙の状態や温度・湿度によって粘着力が大幅に落ちることがあります。特に水回り周辺では、粘着系は使わない方が安全です。こうしたリスクが気になる場合には、平安伸銅工業の「突っ張りパーティション」のような専用突っ張りポールを使うと、壁を傷つけずに耐荷重40kg以上を確保できます。突っ張りポール×グリッドの組み合わせが、もっとも安全な原理です。
耐荷重が条件です。グリッドの重さと取り付け方をセットで考えましょう。
参考:突っ張り棒とワイヤーネットを組み合わせた収納の固定方法と安全設計について詳しく解説されています。
突っ張り棒とワイヤーネットの固定方法を徹底解説!賃貸でも安心の壁面収納 – livingtips.jp
ワイヤーグリッドの最大の強みは、床面積を1㎝も使わずに収納を増やせる点です。よく「収納が足りない」と感じる部屋は、床や棚の上に物が積み重なっているケースが多い。しかし実際は、壁は360度使える立体的なスペースです。
具体的な数字で考えてみましょう。たとえばキッチンの壁面に60×90cm(はがき2枚分の幅×A4縦3枚分の高さ)のグリッドを1枚設置するとします。この1枚だけで、A4ファイル約18冊分のスペースを「壁に作る」ことができます。床の引き出し1段分に相当する収納が、壁1面に生まれるイメージです。これは使えそうです。
さらにグリッドには「奥行きゼロ」という強みがあります。通常の棚は奥行きが20〜30cm必要ですが、グリッドに引っかけるフックやワイヤーラックの奥行きはわずか5〜15cm程度。つまり、廊下や洗面台の横など「棚を置いたら邪魔」という10〜20cmのスキマ壁面に活用できるのが、グリッド収納の原理的な優位点です。
デスク周りでの活用も非常に効果的です。デスク後ろの壁にグリッドを1枚(横60×縦40cm程度)設置し、文房具・メモ帳・スマホスタンドを掛けるだけで、デスク上の「積み上げ収納」がほぼ解消されます。デスクの作業面積が平均30〜40%広くなると、集中力にも良い影響が出るという報告もあります。結論はシンプルです。
ワイヤーグリッドの収納力をさらに高める方法が「連結」です。複数枚のグリッドを結束バンドや専用連結パーツでつなぐことで、1枚では足りなかった大きさを自分の壁面に合わせて「面」で作ることができます。これが連結の原理です。
連結方法には大きく2パターンあります。1つ目は「横に並べて大きなグリッド壁を作る」方法。100均のワイヤーグリッドを4〜6枚横に連結すると、幅120〜180cmの壁面収納が完成します。これはテレビ台の横、リビングの一角、クローゼット扉の内側など、比較的横長のスペースに向いています。2つ目は「折り曲げて立体的な収納を作る」方法で、1〜2枚のグリッドを90°に曲げるだけでデスク上のデスクオーガナイザーや、卓上のスパイスラックが完成します。
興味深いのは、連結したグリッドは「1枚単位の耐荷重の単純な足し算にはならない」という点です。2枚を横に連結した場合、結束バンドの結合部分が弱点になるため、1枚あたりの耐荷重を基準にして「合計の7〜8割」で設計することが推奨されます。セリアの耐荷重4〜10kgのグリッドを2枚つないでも、合計で安全に使えるのはおよそ6〜16kg程度が目安です。
連結するときの道具は、100均の「結束バンド(インシュロック)」が最も手軽です。結束バンドは100円で30〜50本入っていることが多く、連結1か所に2〜3本使うとしても、1セットで10〜15か所は固定できます。グリッドを曲げた際に角が浮く場合は、曲がり角の両端を追加で結束バンドで固定すると安定感が増します。強度が増すということですね。
参考:複数枚のワイヤーネット連結の実例、折り曲げ・キャスター取り付けなどのDIY方法が写真つきで解説されています。
工具不要!100均ワイヤーネット棚の作り方|補強のコツなど – プレコチリコ
「ワイヤーグリッドを使うと部屋がごちゃごちゃして見える気がする」という声は少なくありません。しかし実は、グリッドが「ごちゃっと見える」かどうかを決めるのはグリッドそのものではなく、フックやパーツの選び方とレイアウト原理にあります。
最も大きな視覚的影響を持つのが「色の統一」です。グリッド本体の色(ホワイト・ブラック・クロームメッキ)に対して、フックやバスケットの色が3色以上バラバラだと、同じ量の物を収納していても「散らかり感」が2〜3倍増して見えます。まずグリッドの色に合わせてフック類を1〜2色に絞る、というのが「見せる収納」の基本原則です。
「隠す収納」として使うなら、グリッドにマガジン用のポケット型ワイヤーラック(ダイソー・セリアで販売)を活用するのが有効です。ラックの中に物を入れてしまえば、表面からは何を入れているか見えません。キッチンの調味料ストック、洗面台の消耗品、デスクの書類など、見せたくない小物はこのポケット型ラックに集約するのがコツです。
もう1つ、知られていない活用法があります。グリッドの裏側を使う方法です。クローゼットの扉裏や収納棚の側板にグリッドを設置すると、扉を閉めると完全に見えなくなる「完全隠し収納」が作れます。ダイニングテーブル下のグリッド収納(ティッシュ・リモコン・コードなどを掛ける)も、座って見る高さからは目に入らないため、生活感を隠しながら収納力を上げる実用的な使い方です。意外ですね。
グリッドの色と置き場所を決めるのが原則です。見た目を整える作業は、収納の中身を整理するのと同じくらい重要です。
参考:ワイヤーネットを賃貸の壁面収納として活用するアイデアと、おしゃれな実例・取り付けのコツが詳しく載っています。
ワイヤーネットで壁を収納棚に|メリットや賃貸OKな活用法を解説 – myhome-style.com