

冷蔵庫の「側面へのサイドラック設置」は、年間で最大1,400円以上も電気代が余分にかかる原因になる。
冷蔵庫のマグネットサイドラックとは、冷蔵庫の側面(横面)にマグネット(磁石)で直接吸着させるタイプの収納ラックのことです。ネジや工具は一切不要で、ラックをそのまま冷蔵庫の側面に近づけるだけで設置が完了します。
仕組みはシンプルで、ラックの背面に強力なマグネットが複数埋め込まれており、冷蔵庫のスチール製側面に吸着します。山崎実業の人気シリーズ「tower(タワー)」モデルでは耐荷重が約4kgに設定されており、ラップやアルミホイル、キッチンばさみ、お玉といった日用品をまとめて掛けられます。4kgとはペットボトル4本分のイメージです。
つまり「置く収納」ではなく「吸着させる収納」が基本です。
収納スペースを増やせる最大の利点は、床面積を一切使わない点にあります。冷蔵庫の側面はこれまで「何も置けないデッドスペース」として扱われてきた場所です。ここに垂直収納を作ることで、狭いキッチンでも作業動線を邪魔せず収納力を高められます。
多くのモデルが「上段・中段・下段」の3層構造になっており、上段には仕切り付きのトレーでラップ類を立てて収納、中段にはキッチンペーパーホルダー、下段には複数のフックでお玉や菜箸を吊るす設計になっています。収納量が多い割に奥行きは6〜7cm程度(はがきの縦幅とほぼ同じ)に収まるモデルが多く、冷蔵庫ドアの開閉を邪魔しないのも利点です。
これは使えそうです。
山崎実業公式:マグネット冷蔵庫サイドラック タワー 製品詳細(収納構造・取り付け方法の確認に)
サイドラックを購入する前に必ず確認しておくべきポイントが3つあります。これを怠ると「買ったのにつかない」「落下した」という失敗に直結します。
① 冷蔵庫の側面素材がスチール(鋼板)かどうか
マグネット式サイドラックが吸着するのは「スチール(鋼板)製」の側面のみです。近年販売されている冷蔵庫のなかにはドア面材にガラスやアルミを採用しているモデルが増えており、こうした素材にはマグネットが反応しません。購入前に、冷蔵庫の側面を磁石でテストするのが最も確実な確認方法です。手持ちの冷蔵庫用マグネットや100円ショップのネオジム磁石を当てて吸着するかを確認してください。
② 設置する側面の面積とサイドラックのサイズ
山崎実業towerシリーズの定番サイドラック(型番2745)のサイズは幅約24.5cm × 高さ約34cmです。これはA4用紙の縦(約29.7cm)より少し短い高さです。側面の高さや幅と照らし合わせ、冷蔵庫のドアが開いたときにラックが当たらないかを事前にメジャーで測っておきましょう。
③ 放熱口の位置
これが最も見落とされがちな確認事項です。詳細は次のH3セクションで詳しく解説しますが、冷蔵庫の側面には放熱口(ヒートシンク)が設けられているモデルがあります。この部分を完全に塞ぐような形でサイドラックを取り付けると、放熱効率の低下を招きます。冷蔵庫の側面を手で触れてみて、「ほんのり温かい場所」が放熱部の目安になります。
3点が確認条件です。
冷蔵庫の側面はスチールのため、マグネットが吸着します。しかし、パナソニックや日立など主要メーカーは「側面には何も貼らないでください」と公式に案内しています。
どういうことでしょうか?
冷蔵庫は庫内を冷やす際に発生した熱を、上面・側面を通じて外部に放出しています。この放熱が正常に行われることで冷蔵庫は効率的に動きます。側面にサイドラック(とくに大型のもの)を設置すると、ラック本体と収納した調理器具が空気の流れを遮り、放熱効率を下げる原因になります。
放熱が妨げられると冷蔵庫の内部が十分に冷えにくくなり、コンプレッサーがより多くの電力を使って冷却しようとします。データとして、冷蔵庫の放熱スペースが適切に確保されている場合と比較すると、年間で約1,400円〜数千円単位の電気代の差が生じるという試算があります(出典:各メーカー・電力関連情報)。1,400円は1か月の電気代の約1割に相当します。痛いですね。
ただし、「側面には一切何も置けない」というわけではありません。All Aboutガイドの家電専門家・安蔵靖志氏は「側面や背面にマグネットを付ける場合は、放熱を妨げないように適度に使用し、大量に貼り付けないようにしましょう」と解説しています。つまり、サイドラックを設置するなら「放熱口を直接覆わない位置」を選ぶことと、ラックを物でびっしりと詰め込みすぎないことが大切です。
放熱口の位置を確認することが条件です。
また、冷蔵庫の寿命にも間接的な影響があります。放熱が慢性的に妨げられるとコンプレッサーへの負荷が増し、本来10年以上もつとされる冷蔵庫の耐用年数が縮まる可能性があります。収納便利グッズを使うことで逆にコストが増えてしまっては本末転倒です。サイドラックを設置する際は、ラックが側面の放熱エリアを最小限しか覆わないよう、下段寄りまたは幅の狭い場所に配置するのが賢明です。
現在市場に出回っているマグネット式冷蔵庫サイドラックのなかで、特に人気の高い商品を比較します。
山崎実業 tower マグネット冷蔵庫サイドラック(型番2745)
SNSでも圧倒的な支持を集める定番商品です。サイズは幅約24.5cm × 奥行き約6.5cm × 高さ約34cmで、重量は約0.89kg。耐荷重は約4kgと実用的な水準です。上段にはラップやアルミホイルを立てて収納できる仕切りトレー、中段にはキッチンペーパーホルダーバー、下段には複数フックという3層構造になっています。500mlのオリーブオイルを置いてもびくともしないという使用者の声もあり、磁力の強さは高く評価されています。価格はおよそ3,000〜3,500円前後です。
ニトリ 冷蔵庫サイドラック FLAT(型番8987911)
サイズは山崎実業の定番品とほぼ同等(幅24.5cm × 奥行き6.5cm × 高さ34cm)で、重量は約860g。デザインはシンプルで白一色のため、白い冷蔵庫に設置すると外観に溶け込んでスッキリ見えます。山崎実業製と比較してやや価格が抑えられている傾向があります。
山崎実業 マグネットスパイスラック タワー(型番2523)
横幅に比べて奥行きが11cmとやや深めの設計で、スパイスや小瓶を立てて並べる用途に特化したラックです。耐荷重は約1.5kgとサイドラック型より小さいため、重い調理器具には向きません。スパイス類を冷蔵庫そばに置いて料理中すぐ使えるようにしたい方に適しています。
| 商品名 | サイズ(W×D×H) | 耐荷重 | 主な収納物 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| 山崎実業 tower サイドラック(2745) | 24.5×6.5×34cm | 約4kg | ラップ・ペーパー・調理器具 | 約3,000〜3,500円 |
| ニトリ FLAT サイドラック | 24.5×6.5×34cm | 記載あり | ラップ・調理器具・布巾 | 約1,500〜2,000円 |
| 山崎実業 マグネットスパイスラック(2523) | 24.5×11×8.5cm | 約1.5kg | スパイス小瓶・調味料 | 約2,000〜2,500円 |
| 山崎実業 マグネットストレージバスケット(4850) | 29.5×12×14cm | 非公開 | ラップ・タンブラー・小物 | 約2,000〜2,500円 |
結論は「用途に合った収納物の重さから逆算して選ぶ」です。
収納したいアイテムをあらかじめ書き出してから商品を選ぶと、購入後の「意外と使いにくい」を防げます。たとえばラップ・アルミ・キッチンばさみ・お玉2本を収納したいなら、これら合計の重量がおよそ0.5〜1kg程度になるため、耐荷重4kgクラスの商品を選べば余裕をもって使用できます。
マグネット式サイドラックを使いたいのに「冷蔵庫にマグネットがつかない」という状況は、近年増えているガラスドア冷蔵庫や、外装コーティングが施されたモデルで発生します。これは困りますね。しかし対処法はいくつかあります。
対処法①:マグネット用取り付けプレートを使う
セリアなどの100円ショップで販売されている「マグネット用取り付けプレート」(110円前後)を冷蔵庫に貼り付けることで、マグネットが吸着しない面にも対応できます。貼り付けには強力な両面テープを使用します。ただし、剥がした際に冷蔵庫の表面にテープ跡が残るリスクがある点は理解しておきましょう。
対処法②:スチール板(トタン板)を活用する
粘着シート付きのスチール板(薄いトタン板)を冷蔵庫の側面に貼ることで、マグネット対応面を新たに作り出す方法です。ホームセンターで数百円〜1,000円程度で入手できます。広い面をカバーできるため、複数のマグネット収納グッズを設置したい方に向いています。
対処法③:吸盤式のフック・ラックに切り替える
ガラスドアなど吸盤が吸着できる滑らかな素材であれば、吸盤式のフックやラックを活用する方法もあります。吸盤式は経年劣化で吸着力が落ちやすいため、2〜3か月に1度は吸盤の清掃と再吸着を確認することが長持ちのコツです。
独自の発想:冷蔵庫「上面」収納との組み合わせ技
多くの解説記事で語られない点として、マグネット収納が使いにくい場合の「上面収納との組み合わせ」があります。冷蔵庫の上面は比較的広いフラットな面で、100円ショップや山崎実業から冷蔵庫上ラックも販売されています。ただし冷蔵庫の上面も放熱に関わる部分のため、背面から10cm程度は空けて設置するのが理想です。側面ラック+上面ラックを組み合わせることで、冷蔵庫まわりをまるごと収納スポットにできます。
どの方法も「まず手持ちの磁石で吸着テストをする」が最初の一手です。テストが済んだら、対処法をひとつ選んで実行するだけです。
マグネット式サイドラックは設置するだけで終わりではありません。「何をどこに置くか」のルールを作ることで、収納効果が2倍以上に高まります。
ゾーン分けの考え方
サイドラックの段ごとに「使用頻度」で収納物を振り分けるのが基本です。目線の高さにあたる中段には、毎日使うものを置きます。具体的には調理中に毎回使うキッチンばさみや計量スプーンなどです。上段のトレーには「週に数回使うラップやアルミホイル」、下段のフックには「週に1〜2回程度のお玉・菜箸」を掛けると、作業中に自然と手が届く動線が生まれます。
山崎実業からは、冷蔵庫横に取り付けられる「マグネット冷蔵庫横隠せるスライドスチールパネル」という商品も展開されています。これは引き出し式のパネルで、ラック収納の雑然とした見た目をスライドで隠せるアイテムです。来客が多いご家庭やインテリアを整えたい方は、このような「隠す収納」タイプと組み合わせると、キッチンの印象が大きく変わります。
収納する物の重さチェックリスト
落下リスクを下げるために、サイドラックに収納する予定のアイテムを台所用はかりで事前に量ってみましょう。目安として、
これらを合計しても600〜800g程度に収まることが多く、耐荷重4kgのサイドラックなら十分余裕を持って使えます。耐荷重の半分以内に収めるのが落下防止の目安です。
月1回のメンテナンスで長く使う
マグネット式サイドラックは取り外しが簡単な反面、定期的なメンテナンスを怠ると磁力面やラック表面に油汚れやほこりが蓄積し、吸着力が徐々に落ちます。月に1度、ラックを外して中性洗剤で軽く拭き、冷蔵庫の側面も乾いた布でひと拭きしておくだけで吸着力を長期間保てます。メンテナンスが原則です。
このルーティンを習慣にするだけで、数年単位で同じラックを安全に使い続けられます。収納グッズに余計な出費をしなくなる点でも、ひと手間かける価値は十分あります。
日立:冷蔵庫への磁石(マグネット)取り付けについてのメーカー公式見解(放熱・側面使用の注意点の参照元)