iso13849 jisで学ぶ機械安全と制御設計の基礎知識

iso13849 jisで学ぶ機械安全と制御設計の基礎知識

ISO13849 JISで理解する機械安全制御の全知識

安全規格を「一度取得すれば永久に有効」と思っていると、設備の改造時に認証が無効になり、出荷停止になるケースがあります。


この記事の3つのポイント
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ISO 13849とJIS B 9705の関係

ISO 13849はJIS B 9705として日本工業規格に整合されており、国内の機械設計でも直接適用される国際安全規格です。

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PLとカテゴリの正しい理解

パフォーマンスレベル(PL)はa〜eの5段階、カテゴリはB・1〜4の構造分類です。両者を組み合わせてはじめて安全機能の要求水準が決まります。

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設計変更時の再評価義務

安全関連部品の変更・追加・削除が発生した場合、PLの再計算と文書更新が義務付けられており、怠ると欧州向け輸出でCEマーキングを失うリスクがあります。


ISO 13849とJIS B 9705の違いと整合関係


ISO 13849は、機械の安全関連制御システムを設計・評価するための国際規格です。日本では、このISO 13849がJIS B 9705として翻訳・整合化されており、内容はほぼ同一です。


JIS B 9705は第1部と第2部に分かれています。第1部(JIS B 9705-1)が設計の原則、第2部(JIS B 9705-2)が検証に関する内容となっています。規格の構造をまず押さえましょう。


よく「JISだから国内専用」と誤解されますが、実際には欧州の機械指令やEUのEN規格体系とも整合しており、グローバルな設計基準として機能しています。ISO 13849-1:2015は、EN ISO 13849-1:2015としてEU整合規格にもなっており、日本国内で設計した機械を欧州に輸出する際にも、JIS B 9705を基に設計・評価された安全機能はそのまま通用します。これは実務上、非常に大きなメリットです。


規格の歴史も整理しておくと便利です。もともとはIEC 62061との競合関係にありましたが、2012年以降の版から適用範囲が整理され、油圧・空気圧・電気を問わず機械の安全制御システム全般に適用できる規格として位置づけられています。ISO 13849が基本と覚えておけばOKです。


参考:JIS B 9705の制定・改定状況については日本規格協会(JSA)の公式サイトで確認できます。


日本規格協会(JSA)公式サイト


ISO 13849のカテゴリBから4までの構造と選び方

ISO 13849では、制御システムの「構造」をカテゴリという概念で分類しています。カテゴリはB・1・2・3・4の5種類です。


カテゴリBは最も基本的な構造で、単一故障に対する対策を特段要求しません。規格で定める基本原則(規格準拠部品の使用・適切な配線など)を満たすだけで成立します。カテゴリ1は、実績のある安全原則や安全部品を使用することを要件とし、カテゴリBより信頼性を高めた構造です。


カテゴリ2になると、テスト機能の追加が求められます。一定の間隔で安全機能が正常に動作しているかをシステム自身がテストする機構を持つ必要があります。これは「診断機能付き」とも呼ばれます。


カテゴリ3と4は、いずれも二重化(冗長)構造が必須です。一方の経路に故障が発生しても、もう一方の経路で安全機能が維持されます。両者の違いは「診断網羅率(DC)」にあります。カテゴリ3は低〜中程度のDCで成立しますが、カテゴリ4は高いDCが条件です。カテゴリ4が最も堅牢な構造ということになります。


実務では、リスクアセスメントの結果として必要なPL(パフォーマンスレベル)が決まり、そのPLを達成するためにカテゴリを選択します。「カテゴリを先に決めてからPLを確認する」という逆の手順を踏むと設計ミスにつながるため、注意が必要です。設計順序が条件です。


PLaからPLeの計算方法とMTTFdの実務的な求め方

パフォーマンスレベル(PL)は、安全機能の信頼性を示す指標であり、PL a(最低)からPL e(最高)の5段階で表されます。それぞれのPLには1時間あたりの危険側故障確率(PFHd)の数値範囲が対応しており、例えばPL eはPFHd<10⁻⁸/hという非常に厳しい要求水準です。


PLを計算するためには、主に3つのパラメータが必要です。それが「MTTFd(危険側平均故障時間)」「DC(診断網羅率)」「CCF(共通原因故障)」です。この3つが計算の柱です。


MTTFdは部品メーカーが公表している信頼性データ(B10d値など)から計算します。B10dとは「危険側故障が10%発生するまでの動作回数」を指します。例えばある安全リレーのB10d値が100万回であれば、1日10回動作する設備では約274年分の動作回数に相当します。これは機械の設計寿命(多くの場合20年)と比較することで、MTTFdを算出できます。


DCは安全機能の故障がシステム自身によってどの程度検出できるかを示す割合です。DCは「なし(0%未満)」「低(60%以上)」「中(90%以上)」「高(99%以上)」の4段階に分類されます。診断網羅率が高いほどPLの達成に有利です。


CCF(共通原因故障)は二重化構造において、両方の経路が同じ原因で同時に故障するリスクを評価するものです。CCFは規格附属書Fのチェックリストを用いてスコアリングし、65点以上を確保することが求められます。IFAが提供するシミュレーションツール「SISTEMA」を活用すると、これらの計算を効率的に行えます。


参考:IFAが無償提供するPL計算ソフト「SISTEMA」の概要と入手先
IFA SISTEMA公式ダウンロードページ(英語)


ISO 13849とIEC 62061の使い分けと設計者が知るべき選択基準

機械安全の規格には、ISO 13849のほかにIEC 62061という規格も存在します。両者は目的が近く、混同されることが多いですが、適用対象と設計思想が異なります。意外ですね。


ISO 13849は機械全般を対象とし、電気・油圧・空気圧など多様なシステムに適用できます。一方、IEC 62061は電気・電子・プログラマブル電子(E/E/PE)システムに特化した規格であり、SIL(安全整合性レベル)という指標を使います。IEC 62061はSIL評価が条件です。


2012年以前は両規格の適用範囲が重複しており、どちらを使うか設計者が混乱するケースがありました。しかし現在は「機械の安全関連制御システム全般にはISO 13849を適用し、複雑なEE/PE安全機能にはIEC 62061を補完的に使う」という方向で整理されています。


実務上の選択基準として、「主要な安全部品が油圧・空気圧を含む場合」や「欧州のEN ISO 13849整合規格として証明書を得たい場合」はISO 13849を選ぶのが合理的です。一方、ソフトウェアが多用されたPLC制御でSIL 3レベルの安全機能を設計するような場合は、IEC 62061の枠組みが適していることがあります。


なお、一つの機械に対して両規格を同時に使用することも規格上は認められています。例えば、機械の油圧ブレーキ部分にISO 13849を、制御ソフトウェア部分にIEC 62061を使うといった組み合わせです。つまり排他的な選択ではないということです。


収納設備・自動倉庫への ISO 13849 適用という見落とされがちな視点

ここからは、一般的なISO 13849の解説記事には登場しない視点を紹介します。収納設備や自動倉庫システムに関わるエンジニアにとって、実は非常に重要な内容です。


自動ラック式倉庫(AS/RSシステム)や自動搬送ロボット(AMR/AGV)が普及した現在、収納設備そのものが「機械」として機能するケースが急増しています。これは見落とされがちな点です。


こうした自動収納設備では、作業者がラック間の通路に入って作業する場面が発生します。ラックの移動機構やリフターが作動中に作業者が近づいた場合の安全機能、すなわち「安全扉の開放検知で動力を断つ機能」や「光電センサによる人体検知で緊急停止する機能」が、ISO 13849の評価対象となります。


要求されるPLはリスクアセスメントによって決まりますが、人が押しつぶされるリスクや高所落下リスクが伴う設備では、PL dまたはPL eが要求されることも珍しくありません。PL dの達成には、多くの場合カテゴリ3以上の二重化構造と、安全PLC・安全リレーモジュールの使用が必要になります。


安全PLC(例:PILZ社のPNOZ m B0/B1シリーズやSICK社のFlexi Soft)は、ハードウェア二重化と診断機能を標準搭載しており、カテゴリ3・4・PL d/eの達成を効率的にサポートします。製品選定の段階でメーカーの適合証明書(PLおよびカテゴリの記載がある技術資料)を必ず確認することが大切です。これが基本です。


自動倉庫設備を導入・改造する際には、設備メーカーだけに任せず、安全設計の検証資料(SISTEMAプロジェクトファイルなど)を納品物として要求することを強くお勧めします。証明文書の有無が後のトレーサビリティを左右します。








































カテゴリ 構造の特徴 達成可能なPLの上限 主な用途例
B 単一チャンネル・診断なし PL b 低速・低リスク設備の補助機能
1 実績ある部品使用・単一チャンネル PL c 軽作業機械のガード連動
2 テスト機能付き・単一チャンネル PL d 定期点検が容易な設備
3 二重化・低〜中DC PL d 自動搬送設備・プレス機ガード
4 二重化・高DC PL e ロボットセル・高速プレス機


ISO 13849の文書化要求と設計変更時に発生する再評価義務

ISO 13849の適用において、計算よりも重要とも言えるのが「文書化」です。規格の第10節では、安全関連制御システムの設計に関する文書として何を残すべきかを明記しています。文書化が原則です。


必要な文書の主なものとしては、リスクアセスメント結果と要求PL(PLr)の記録、安全機能ごとのブロック図(SRCSの構成図)、各チャンネルのMTTFd・DC・CCFの計算根拠、SISTEMAプロジェクトファイル(または同等の計算シート)、使用部品の安全データ(メーカー発行の証明書・B10d値など)があります。


これらは製品の設計寿命にわたって保管することが求められており、欧州向け輸出製品ではCEマーキングの技術文書(Technical File)の一部として保存義務があります。


設計変更時の再評価義務については、特に注意が必要です。安全関連部品(安全リレー・安全PLC・センサなど)を別メーカーの製品に変更した場合、型式が同じでもパラメータ(B10d値・DCなど)が異なることがあります。その場合、PLの再計算が必要です。痛いですね。


また、機械の使用条件変更(稼働速度の増加・操業時間の延長など)も再評価のトリガーとなります。1日8時間稼働から24時間稼働に変更した場合、同じ部品でもMTTFdの計算値が大きく下がり、達成PLが要求PLを下回ることがあります。この見落としが、欧州市場での出荷停止につながった事例が複数報告されています。


定期的な安全レビューのスケジュールを設計段階から計画に組み込み、変更管理のフローに「安全機能への影響確認」を必須項目として追加することが、リスクを最小化するための実践的な対応策です。安全レビューを設計フローに組むことが条件です。


参考:欧州機械指令とCEマーキングにおける技術文書の要件について
欧州委員会 機械指令(Machinery Directive)公式ページ(英語)






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