リスクアセスメントのやり方と化学物質の基本手順

リスクアセスメントのやり方と化学物質の基本手順

リスクアセスメントのやり方と化学物質対策の全手順

家庭の収納スペースに置いた洗剤や溶剤を「ラベルさえ見れば安全管理は完了」と思っていると、実は労働安全衛生法の義務違反になり50万円以下の罰金が科される可能性があります。


この記事でわかること
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化学物質リスクアセスメントの基本手順

どの化学物質が対象になるか、SDSの読み方から評価完了までの流れを丁寧に解説します。

⚠️
見落としがちな義務化対象と罰則

2024年の法改正で義務化対象が大幅に拡大。知らないと罰金リスクがある最新情報を整理します。

初心者でも使える簡易評価ツール

コントロール・バンディングなど、専門知識がなくても使える無料ツールとその活用法を紹介します。


リスクアセスメントの化学物質における義務化対象と法的根拠


化学物質のリスクアセスメントは、労働安全衛生法第57条の3に基づき、事業者に実施が義務付けられています。2016年の法改正によって本格的な義務化が始まり、さらに2024年4月の改正では対象物質数が従来の約674物質から一気に約2,900物質へと拡大されました。意外ですね。


対象となるのは、労働安全衛生法施行令で定められた「通知対象物」を製造・取り扱う事業場です。製造業や建設業はもちろん、清掃業・医療機関・飲食業なども対象になります。つまり「工場だけの話」ではありません。


違反した場合、50万円以下の罰金が事業者に科される可能性があります(労働安全衛生法第120条)。従業員数が1人でも、対象物質を使っていれば義務が発生します。これが基本です。


収納場所に「洗剤や溶剤をまとめて保管している」という現場は珍しくありませんが、そこで使用する化学物質のSDS(安全データシート)を取得・確認していない場合、法的義務を果たしていないことになります。確認は必須です。


参考:厚生労働省が公表する化学物質管理の法改正まとめページ。義務化対象物質の一覧や改正スケジュールを確認できます。


厚生労働省:化学物質管理に係る制度の見直しについて


化学物質リスクアセスメントのやり方:5ステップの基本手順

リスクアセスメントのやり方は、大きく5つのステップで構成されています。各ステップを順番に踏むことが、正確な評価への近道です。


ステップ1:対象化学物質の特定とSDSの収集
使用している化学物質のリストを作成し、製造元または供給元からSDS(安全データシート)を入手します。SDSは日本語で16項目が記載されており、危険有害性・暴露限界値・保護具の情報が含まれます。SDSは無料で入手が原則です。


ステップ2:ハザード(危険有害性)の特定
SDSのセクション2「危険有害性の分類」を確認します。GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に基づき、「急性毒性」「皮膚腐食性」「発がん性」などのカテゴリーに分類されています。


ステップ3:暴露の可能性を推定する
作業者がどの程度の量・頻度でその物質に触れるかを推定します。作業時間・換気状況・使用量・保護具の有無がポイントです。これは数値がなくても「定性的評価」として実施できます。


ステップ4:リスクの見積もり
「ハザードの大きさ」と「暴露の可能性」を組み合わせてリスクレベルを決定します。リスクレベルはⅠ(許容範囲)〜Ⅳ(直ちに対策必要)の4段階で評価するケースが一般的です。リスクレベルⅢ以上は対策が条件です。


ステップ5:リスク低減措置の実施と記録
特定したリスクに応じた対策(代替物質への変更・換気設備の設置・保護具の着用など)を実施し、その内容を書面で記録します。記録の保存期間は3年以上が求められます。


化学物質リスクアセスメントのやり方で使える無料評価ツール

専門知識がなくてもリスクアセスメントを実施できるよう、国や研究機関が無料ツールを提供しています。これは使えそうです。


最も広く使われているのが、厚生労働省が提供する「コントロール・バンディング」です。化学物質の揮発性・使用量・危険有害性の3つの情報を入力するだけで、リスクレベルとそれに応じた管理策が自動的に提示されます。計算式や専門的な数値解析は不要で、中小企業でも10〜15分程度で1物質の評価が完了します。


もう一つの代表的なツールが「CREATE-SIMPLE(クリエイト・シンプル)」です。厚生労働省の外郭団体である中央労働災害防止協会(中災防)が開発したWebツールで、蒸気・粉じん・ミスト・ガスなど多様な形態の化学物質に対応しています。入力項目は作業時間・換気状況・使用量など10項目程度で、定量的なリスクスコアが算出されます。


どちらも無料で利用できますが、作業内容の正確な把握が前提条件です。ツールを使う前に、使用する化学物質の名称・CAS番号・1日あたりの使用量をメモしておくと、入力がスムーズになります。1回の作業でまとめて記録する、これだけ覚えておけばOKです。


参考:CREATE-SIMPLEの使い方と入力例が確認できる中災防の公式案内。


化学物質リスクアセスメントのやり方でSDS・GHSラベルを正しく読む方法

SDSとGHSラベルは、化学物質管理の「二大情報源」です。どちらも読み方を知らないと、リスク評価の土台が崩れます。


SDSは16のセクションから構成されており、リスクアセスメントで特に重要なのは以下の4つのセクションです。


- セクション1(製品・供給者の特定):製品名・CAS番号・用途を確認する。


- セクション2(危険有害性の分類):GHSに基づく有害性カテゴリーと絵表示を確認する。


- セクション8(暴露防止および保護措置):許容濃度・保護具(手袋・マスク)の種類を確認する。


- セクション15(適用法令):国内法令での規制区分(特化物・有機則など)を確認する。


GHSラベルには「絵表示(ピクトグラム)」が印刷されており、炎・どくろ・感嘆符などのマークが有害性の種類を示しています。どくろマーク(骸骨に×)が記載されている物質は、急性毒性が高く吸入・皮膚接触で致死リスクがあります。これは要注意です。


収納場所に保管している洗浄剤・塗料・溶剤のラベルを確認すると、GHSピクトグラムが印刷されているケースがあります。ピクトグラムの意味を一覧表として印刷し、保管場所に貼っておくだけでも管理レベルが大きく上がります。一覧表の貼り付け、これが条件です。


日本産業衛生学会が定める「許容濃度」や、米国ACGIHが定める「TLV(閾値限界値)」もSDSに記載されます。これらを使えば、測定値との比較による定量的評価が可能になります。


参考:GHS絵表示の一覧と意味を確認できる国連GHS文書の日本語対応ページ。


製品評価技術基盤機構(NITE):GHS関連情報


収納現場で見落とされがちな化学物質リスクアセスメントの独自視点:混在保管と反応リスク

一般的なリスクアセスメントの解説では「個別物質の有害性評価」に焦点が当たりますが、収納管理の現場で特に見落とされやすいのが「混在保管による反応リスク」です。これは意外な盲点です。


たとえば、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)と酸性洗剤(塩酸・酢酸系)を同じ収納棚に保管した状態で容器が破損すると、塩素ガスが発生します。塩素ガスの許容濃度は0.5ppmで、1ppmを超えると粘膜への刺激・咳・呼吸困難が生じます。密閉された収納室では数分で許容濃度を超える可能性があります。厳しいところですね。


混在リスクを防ぐための「隔離保管ルール」は、化学物質の「相性グループ」で分類するのが基本です。


| グループ | 主な物質 | 絶対に一緒に保管しない相手 |
|---|---|---|
| 酸化性物質 | 次亜塩素酸ナトリウム・過酸化水素 | 可燃物・還元性物質 |
| 酸類 | 塩酸・酢酸・硫酸 | アルカリ類・酸化性物質 |
| アルカリ類 | 水酸化ナトリウム・アンモニア | 酸類・有機溶剤 |
| 可燃性溶剤 | アルコール・アセトン・トルエン | 酸化性物質・火気 |


この分類表を収納場所に貼付するだけで、混在リスクを体系的に管理できます。分類表の貼付が原則です。


また、揮発性の高い有機溶剤(酢酸エチル・メタノールなど)を収納スペースに密閉保管すると、容器のわずかな隙間からも蒸気が漏れ出し、爆発下限界濃度(LEL)に達することがあります。アセトンのLELは2.5%で、これはティースプーン1杯(約5ml)が6畳間で蒸発した濃度に相当します。数値にするとリアルですね。


収納スペースに可燃性物質を保管している場合、換気口の設置または週1回以上の強制換気が必要です。可燃性物質には「炎のピクトグラム」がGHSラベルに表示されているので、まず手持ちの物質のラベルを確認することから始めてください。確認する、この一行動が重要です。




化学物質のリスクアセスメントは「専門家の仕事」と思われがちですが、正しい手順とツールを使えば現場担当者が自力で実施できます。義務化対象の拡大・罰則・混在保管リスクといった情報を知っておくだけで、健康被害と法的リスクを大きく下げることができます。SDSの収集から始め、無料ツールを活用しながら記録を残していくことが、確実な第一歩です。




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