環境配慮設計の事例で学ぶ収納と暮らしの最適化

環境配慮設計の事例で学ぶ収納と暮らしの最適化

環境配慮設計の事例から収納を見直す

「エコな家具は高い」という常識、実は逆で、環境配慮設計の収納は10年で費用が約30%安くなることがあります。


この記事の3つのポイント
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環境配慮設計とは何か?

製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らす設計思想。収納家具にも深く関係しています。

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国内外の具体的な事例

IKEA・イトーキ・無印良品など、身近なブランドが実践する環境配慮設計の収納アイテムを紹介。

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収納選びに使える3つの基準

3R(リデュース・リユース・リサイクル)の視点で、今日から実践できる収納の選び方を解説します。


環境配慮設計とは?収納に興味ある人が最初に知っておくべき基礎知識


環境配慮設計(DfE:Design for Environment)とは、製品の「資源調達→生産→流通→使用→廃棄・リサイクル」というライフサイクル全体にわたって、環境への影響を最小化することを目的とした設計思想です。エコデザイン、環境適合設計とも呼ばれます。


収納に興味のある方が「エコな家具」と聞くと、見た目がシンプルで地味なものを想像しがちです。しかし実際の環境配慮設計は、見た目よりも「設計段階での素材選定・長寿命化・リサイクル対応」に重点が置かれています。つまり、デザイン性を犠牲にせずに環境負荷を下げる設計のことです。


では、なぜ収納を選ぶときに環境配慮設計が関係するのでしょうか?


収納家具は住まいの中で数十年にわたって使い続けることが多く、その素材や構造が生活空間の空気質(VOC:揮発性有機化合物の有無)や廃棄時のリサイクル可能性に直結します。化学接着剤を大量に使った安価なフラッシュ構造の棚は、製造コストは安いものの、10年で接合部がゆるみ、廃棄時にプラスチックと木材が混在して分別が難しくなるというデメリットがあります。


環境配慮設計が基準として採用しているJIS Q62430(2022年制定)では、製品・サービスのライフサイクル全体で環境影響を低減するための原則と要求事項が定められています。この規格は電機製品だけでなく、家具やインテリア商品にも広く適用可能な内容になっています。


これが基礎です。次のセクションから、具体的な事例を掘り下げていきます。


環境配慮設計の定義と概要(国立環境研究所・環境展望台)


環境配慮設計の収納事例①:IKEAが実践するリサイクル素材と循環型設計

世界最大のホームファニッシングカンパニーであるIKEAは、環境配慮設計の先進的な事例として収納業界でも注目されています。


IKEAは2030年までに「使用するプラスチックをすべてリサイクルプラスチックまたは再生可能ベースのプラスチックにする」という目標を掲げています。収納ボックスやシェルフの固定具に使われる小袋をプラスチックから紙ベース素材に切り替えるなど、細部まで設計を見直している点が特徴的です。


また、イケア・ジャパンの取り組みとして注目すべき数字があります。FY24(2023年9月〜2024年8月)のデータによれば、店舗での年間エネルギー消費量はFY10(2010年度)と比べてなんと40%削減されています。さらに、イケア製品に使用されている木材の97%はFSC(森林管理協議会)認証材またはリサイクル材です。これはほぼすべての木材収納製品が、持続可能な森林管理に基づく素材から作られていることを意味します。


収納アイテムの観点から特に興味深いのが、「KALLAX(カラックス)」や「PAX(パックス)」などの人気収納システムです。これらはパーツを個別に追加購入・交換できるモジュール設計になっており、一部が壊れても全体を廃棄せずに部品交換で長く使い続けられます。これはリデュース(廃棄物の削減)の観点から、まさに環境配慮設計の実践例です。


この情報を知れば、収納を選ぶ際に「全体を買い替えずにパーツ交換できるか」という視点を加えることができます。これが条件です。


IKEAサステナビリティレポートFY24日本語版の概要(PRTimes)


環境配慮設計の収納事例②:イトーキが示す廃ペットボトル活用とロングライフ設計

オフィス家具の大手メーカーであるイトーキは、環境配慮設計の取り組みで具体的な数値を公開している数少ない国内企業の一つです。


まず注目したいのが、2022年に発売された「トルテUチェア」です。張地に廃棄ペットボトルのリサイクル繊維100%で作られたサステナブルファブリックを採用しており、バージン繊維(新品の繊維原料)と比較して、生産時のCO2排出量を約41%削減しています。これはペットボトルを再資源化して繊維に戻すことで実現した数字です。


さらに重要なのが「ロングライフ設計」という視点です。トルテUチェアは背・座クッションが取り外して交換できる構造になっており、全体を廃棄せずに傷んだ部分だけを交換しながら長く使えます。意外ですね。


2024年発売の「リフェルト(Refelt)」では、使用済みPETボトルを繊維まで戻し、フェルト状に成形する独自プロセスを採用。背座シェルにそのフェルト素材を3D成形で採用することで、製造時の二酸化炭素排出量を大幅に削減しました。また同社は「もみ殻アップサイクル」素材も活用しており、「Olika(オリカ)eco」「Wan(ワン)eco」では従来廃棄処分されていた米のもみ殻を再利用した樹脂を背座シェルに使用しています。


収納家具としての直接的な事例は少ないものの、こうした椅子や家具での設計思想は収納棚や収納ユニットにも応用されており、イトーキが提唱する「グリーン調達基準」では素材の削減・再生材の使用・リサイクル対応が明確に定められています。これは使えそうです。


つまり、環境配慮設計は「使い捨てを前提にしない構造」にするということです。


イトーキの環境配慮型製品の取り組み詳細(公式サイト)


環境配慮設計の収納事例③:3Rを収納に取り入れる具体的な方法

3R(リデュース・リユース・リサイクル)は、環境配慮設計の根幹をなす考え方です。収納という日常的な行為の中に、この3Rをどう組み込むかを考えてみましょう。


リデュース(Reduce):収納物そのものを減らす


環境配慮設計において、リデュースは最優先の行動です。収納に当てはめると、「収納スペースを増やして物を詰め込む」ではなく、「そもそも持ち物の総量を減らし、必要な収納容量を小さくする」という発想になります。農林水産省の容器包装環境配慮設計事例集によれば、「ほんだし」「味の素」などの調味料では詰め替え製品の充実を図ることで、容器廃棄量を大幅に削減しています。これを家庭の収納に置き換えると、「詰め替え対応のストック収納」を設けることで、プラスチック容器の購入頻度と廃棄量を同時に減らせます。


リユース(Reuse):収納ボックスを繰り返し使う


繰り返し使えることを前提に設計された収納グッズを選ぶのが、リユースの観点からの正解です。100円ショップの薄手のプラスチックケースは、2〜3年で劣化して廃棄されることが多いのに対し、環境配慮設計を採用した収納ボックス(例:厚手のポリプロピレン製・無塗装の木材製)は10年以上使えるケースもあります。


リサイクル(Recycle):分別しやすい素材で作られた収納を選ぶ


リサイクルしやすい設計とは、単一素材や分別しやすい素材の組み合わせで作られた製品のことです。廃棄時に木材部分・金属部分・プラスチック部分を手で分解できる収納棚は、廃棄コストを下げるだけでなく、リサイクル業者の分別作業を助けます。環境省のグリーン購入対象物品の基準では、収納什器に対して「単一素材分解可能率85%以上」という条件を設けています。これが原則です。


環境省グリーン購入対象物品一覧(収納什器の基準も掲載)


環境配慮設計の収納事例④:住宅の造作収納と自然素材が健康にもたらす意外な効果

住宅の収納を考えるとき、多くの人は「どれだけ物を収めるか(容量)」と「どんなデザインか(見た目)」を最優先にします。しかし、環境配慮設計の観点から見ると、もう一つ重要な要素があります。それが「室内空気質への影響」です。


市販の安価な収納棚には、ホルムアルデヒドを含む接着剤が使われている製品があります。ホルムアルデヒドは国際がん研究機関(IARC)によってグループ1(ヒトへの発がん性あり)に分類されている揮発性有機化合物です。密閉性の高い現代の住宅では、収納棚から放散されるホルムアルデヒドが室内濃度を高める要因になり得ます。


一方で、環境配慮設計を取り入れた住宅では、造作収納に自然素材(無垢材・漆喰ボード・珪藻土)を積極的に採用しています。無垢材を使った造作収納は、接着剤を最小限に抑えられるため、化学物質の放散量が大幅に少なくなります。いいことですね。


大阪府の工務店の事例では、自然素材の断熱パネルと組み合わせた造作収納を取り入れることで、日常の光熱費を抑えながら健康に配慮した住環境を実現しています。具体的には、収納スペース内部に調湿素材を使うことで、衣類の防カビ効果が持続するという副次的なメリットも生まれます。


収納の材料選びは健康管理に直結します。住宅メーカーや工務店に造作収納を依頼する際には、F☆☆☆☆(フォースター)表示の確認と、できれば自然素材の採用を検討してみてください。同時に、環境共生住宅推進協議会のデータベースでは、環境配慮型住宅の設計事例を具体的に検索することができます。


環境共生住宅・まちづくり事例(環境共生住宅推進協議会)


環境配慮設計の事例から学ぶ収納選びの独自視点:「解体容易性」で選ぶと廃棄費用がゼロになる

環境配慮設計の検索上位の記事ではほとんど触れられていない、収納選びの独自視点を紹介します。それが「解体容易性(かいたいようせいせい)」という考え方です。


解体容易性とは、製品を使い終わったときに手工具で簡単に分解・分別できるよう設計することを指します。経済産業省が公表する環境配慮設計ガイドラインの「易リサイクル設計」の項目にも明記されているコンセプトです。


なぜ収納家具の「解体容易性」が重要なのでしょうか?


大型の収納家具(食器棚ウォークインクローゼットのユニット・本棚など)を廃棄する際、粗大ゴミとして処分する場合、自治体によっては1点あたり1,000〜2,000円程度の手数料がかかります。さらに、業者に解体・搬出を依頼すると1件あたり15,000〜30,000円以上になることも珍しくありません。痛いですね。


しかし、解体容易性の高い収納家具は、自分でネジを外して解体し、木材は自治体の無料回収、金属パーツは資源回収に出すことで、廃棄費用をほぼゼロに近づけることができます。解体が容易な設計の代表的な特徴としては次のことが挙げられます。木ダボではなくボルト・ナットで固定されている、塗装ではなく素材そのままの仕上げになっている、接着剤を多用していない(組み立て式)、木材・金属・プラスチックのパーツが明確に分かれている、といった点です。


IKEAの収納家具がこの視点で優れているのは、主要パーツがすべてユーザーが組み立てる前提で設計されているためです。パーツはネジとダボで構成されており、工具一つで分解できます。また、経済産業省が発行するJIS規格(JIS C9911)では、解体時間の短縮が製品評価指標の一つに含まれています。これが条件です。


収納を長期的に見たコストで比較するには「購入価格÷使用年数+廃棄費用」という計算式で比較するのが合理的です。環境配慮設計の収納は初期費用が高く見えても、廃棄時のコストを加算すると安くなるケースが多々あります。


環境配慮設計の概要と解体容易性の解説(国立環境研究所)




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