

棚柱を下地なしの石膏ボードだけに固定すると、重さで数か月後に壁ごと崩れて収納物が床に散乱します。
階段下収納の最大の難所は、天井が斜めになっていて「どこを基準に測ればいいか」が分かりにくい点です。一般的なクローゼットと違い、奥に行くほど高さが低くなるため、1点の数値だけで材料を発注すると全体がかみ合わなくなります。
採寸で最低限押さえるべき測定箇所は、入口側の床から天井までの高さ・奥側の高さ・左右の幅・奥行き(床面の使える長さ)・斜め天井が始まる位置(床から何cmで角度が変わるか)の5点です。これらを複数ポイントで記録するのが基本です。
採寸のコツは、数字だけでなく「どこを測ったか」をメモに残すことです。たとえば「入口左壁:高さ180cm」「奥右壁:高さ90cm」のように書き分けておくと、材料カット時のミスが格段に減ります。床面にマスキングテープで基準線を引くと、あとで棚板の位置決めが楽になります。
斜め天井の角度を数値で出そうとすると計算が複雑になりがちです。その場合は段ボールや薄いベニヤ板を天井面に当て、ラインをなぞって型紙を作る方法が確実で手軽です。型紙ができれば、棚板の斜めカットラインへそのまま転写できます。角度を計算しないので、壁の歪みがあっても合わせやすいのがメリットです。
奥行きは「何を置くか」で決めるのが原則です。書類ファイルを縦に立てる場合は約250mm、ボックス収納を並べる場合は300〜450mmが目安になります。なぎさんちのDIY実例では奥行き450mmを採用し、カラーボックス上方の空間をしっかり活用していました。この数字はA4ファイルの奥行き(約30cm)より深めで、日用品のストックや掃除道具まで対応できるサイズ感です。
| 測定箇所 | チェックポイント |
|---|---|
| 入口側の高さ | 左・右・中央の3点を測る |
| 奥側の高さ | 斜め天井が最も低くなる位置 |
| 幅 | 巾木や出っ張りを含めた内寸 |
| 奥行き | 床の使える長さと段差の位置 |
| 斜め開始位置 | 床から何cmで天井が低くなるか |
| 配線・点検口 | ビスを打てないエリアを把握 |
奥行きが決まると、干渉チェックも同時に進みます。棚板を実際に置く前に棚板の仮置きラインをメモしておくと、扉や近接する家具との干渉を事前に防げます。つまり採寸は「測る」より「失敗を潰す」作業です。
材料費はどの工法を選ぶかによって大きく変わります。最もシンプルな「棚柱(棚レール)+棚受け+棚板」の可動棚方式であれば、4段構成で約3万〜3万3千円前後が目安です。これは専門業者に依頼した場合の費用(可動棚設置で8,000〜12,000円、造作棚は12万円〜)と比べると、材料費のみで完成できる点が最大のメリットです。
背面タイプ(棚受けを使うタイプ)の材料費内訳は以下の通りです。
| 品名 | 数量 | 単価目安 | 合計目安 |
|---|---|---|---|
| 取付レール(棚柱) | 2本 | 約990円 | 約1,980円 |
| 棚受け | 8本(4段分) | 約780円 | 約6,240円 |
| 化粧棚板 | 4枚 | 約5,990円 | 約23,960円 |
| ビス・ボードアンカー | 各1袋 | 約200〜700円 | 約1,500円 |
| 合計 | 約33,700円 |
一方、棚板コストを最小化したい場合はホームセンターで合板や集成材をカットしてもらう方法が有効です。1カット30円程度でカットサービスを利用でき、棚板代を大幅に抑えられます。棚板をネット通販でオーダーする場合は、カット面のテープ処理(木口テープ)を一緒に依頼すると仕上がりがきれいになります。
材料選びは「強度」より「扱いやすさ」で選ぶのが失敗しないコツです。階段下は作業スペースが狭いため、重い材料は持ち込むだけで体力を消耗します。反りにくい集成材や、加工しやすい化粧板が扱いやすく、重い荷物を載せる棚だけ厚めの板を選ぶと全体のコストバランスが取れます。
棚柱の長さは、収納スペース全体をカバーする必要はありません。なぎさんちの実例では、高い側に610mm・低い側に455mmの棚柱を採用していました。これは既存のカラーボックスやゴミ箱の上に棚を設けるという設計思想によるもので、必要以上に長い柱を選ばない方がコストが下がり、施工も楽になります。棚柱の長さは最初から決め打ちせず、収納計画と合わせて選ぶのが原則です。
これは使えそうです。
壁にビスを打ちたくない場合は、ラブリコやディアウォールなどの突っ張り式2×4材アジャスターを使う選択肢もあります。賃貸でも原状回復可能で、ラブリコ(平安伸銅)の2×4アジャスターは耐荷重20kg(強力タイプは40kg)まで対応しています。ただし、ディアウォールの専用棚受けは「棚板込みで5kgまで」という制限があるため、重いものを載せる場合は使用前に耐荷重を必ず確認してください。
参考:棚柱・可動棚の設置費用相場と材料内訳の詳細
可動棚DIYで設置する際の予算・材料・手順の詳細解説(まるとし インテリアルーム)
多くのDIY初心者が「棚柱をビスで壁に固定したのに数か月後に外れた」という経験をしています。これの主な原因は、石膏ボードだけにビスを打ってしまうことです。石膏ボードはビスを打ち込んでも、荷重がかかると穴が崩れてネジが引き抜けてしまいます。壁の下地(間柱・柱)に到達するビスでなければ、棚柱の固定は本来の強度になりません。
石膏ボードの厚みは通常12.5mm程度です。下地(間柱)に届かせるには少なくとも30mm以上の長さのビスが必要になります。これは名刺の短辺(約55mm)の半分以上の長さが壁に刺さる計算です。
下地を確認する方法は主に2種類あります。まずは「下地センサー」を使う方法で、壁にセンサーを当てながらスライドさせると、下地がある位置で赤いランプが点灯します。次に「針式下地探し(どこ太など)」を使う方法で、壁に細い針を刺して手の感触で下地の有無を確認します。精度の高い作業にはこの2種類を組み合わせて使うのがおすすめです。
下地は一般的に455mm(1尺5寸)間隔で入っています。これはA4用紙の短辺(210mm)の約2倍強の間隔で、壁の角部分にはほぼ確実に下地が入っているため、そこを起点にセンサーをスライドさせると見つけやすくなります。
下地がない場所に棚柱を固定しなければならないケースでは、ボードアンカー(フィッシャーSXプラグなど)を使います。これは石膏ボードに専用の穴を開けてアンカーを差し込み、ボードの裏側で開いた傘状の部品が固定力を生む仕組みです。ただし、あくまで補助的な固定手段であり、重量物を乗せる棚の棚柱は、必ず下地に届くビスを1本以上使って固定することが強度の確保につながります。
壁に合板(厚さ9〜12mm程度)を下地として先に取り付けてから棚柱を固定する方法もあります。合板が固定面となるため、棚柱が真っすぐに立ち、可動棚の動作もスムーズになります。広い面積に棚を設ける場合は、この合板下地を入れる工法が最も安定感があります。
下地確認が済んだら、ビスの位置には事前にマスキングテープでマーキングをしておきましょう。テープに鉛筆でメモを書き込めば、作業中に「どこが下地だったか」を忘れる心配がなくなります。下地確認が基本です。
参考:壁の下地探しツールの使い方と選び方(シンワ測定)
壁裏の下地と下地センサーの正しい使い方(シンワ測定株式会社)
階段下収納は、家の中で湿気が最もたまりやすいエリアの一つです。理由は単純で、窓も換気口もなく、人の出入りも少ないため空気が動かないからです。この環境に木製の棚を作って密に収納物を詰め込むと、湿気を含んだ空気が滞留し、カビの発生リスクが高くなります。
問題は、棚を作った直後はカビが見えないため「対策済み」と思いやすい点です。木材が湿気を吸い続けた結果、6か月〜1年後に棚板が反ったり、収納物にカビが移ったりするケースが報告されています。DIYで棚を作ったあとに「収納が傷んだ」となるのは、湿気対策を後回しにしたケースが多いです。
具体的な対策として有効なのは次の4点です。
これらはすべて「棚の性能」ではなく「暮らしやすさ」に直結するポイントです。収納を極めたい人こそ、棚の強度や費用だけでなく、使い続けたときの快適さを最初から設計に組み込んでおくことで、完成度の高いDIYが実現します。意外ですね。

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