

収納した荷物を輸送しても、中身は無傷で届くはずだと思っていませんか?実は梱包方法次第で、30分間の振動試験すら不合格になる収納品が続出しています。
振動試験とは、製品や梱包された荷物が実際の使用環境・輸送環境で受ける振動に耐えられるかを評価する試験のことです。自動車で荷物を運べば路面の凹凸で揺れ、電化製品を使えばモーターや外部衝撃から振動が伝わります。こうした現実の振動を実験室で再現し、製品が壊れないかどうかを確認するのが振動試験の基本的な仕組みです。
JIS(日本産業規格)は、この振動試験をどんな条件・手順で行うかを標準化した国家規格です。規格を統一することで、異なるメーカーや試験機関が実施した試験結果を比較・検証しやすくなります。つまり「同じ条件で試験したから信頼できる」という根拠になるわけです。
収納に関わる製品でも、振動試験とJIS規格は切り離せない関係にあります。たとえば棚や収納ボックスを輸送する際の梱包品質は、JIS Z0232(包装貨物の振動試験方法)によって評価されます。また、タンスや本棚などの収納家具の地震対策は、JIS S1018(家具の振動試験方法)に基づいて耐震性能が判定されます。規格が違えば評価する対象も目的も異なる点が重要です。
振動試験はJIS規格が原則です。製品の特性や使用シーンに合った規格を選ぶことが、信頼性の高い評価につながります。
| JIS規格番号 | 対象 | 主な目的 |
|---|---|---|
| JIS Z0232 | 包装貨物(輸送中の荷物) | 輸送振動に対する包装・内容物の耐振性評価 |
| JIS Z0200 | 包装貨物(性能試験全般) | 振動・落下・圧縮を含む包装性能の総合評価 |
| JIS S1018 | 収納家具(タンス・本棚など) | 家具の耐振動性・耐震転倒性の評価 |
| JIS C 60068-2-6 | 電気・電子機器 | 正弦波振動に対する耐久性評価 |
| JIS C 60068-2-64 | 電気・電子機器 | ランダム振動に対する耐久性評価 |
振動試験には大きく分けて「正弦波振動試験」と「ランダム振動試験」の2種類があります。どちらを使うべきかは、試験の目的によって変わります。これは条件次第です。
正弦波振動試験は、一定の周波数で規則的に繰り返す波形を製品に与える試験です。周波数を少しずつ変えながら掃引することで、製品の固有振動数(共振点)を特定できます。共振とは特定の周波数でものが大きく揺れる現象で、この状態が続くとネジの緩みや部品の破損を引き起こす原因になります。JIS C 60068-2-6では、電気・電子機器の正弦波振動試験の手順が詳細に定められています。周波数範囲・加速度・掃引速度などを規定しており、製品の構造的な弱点を見つけ出すことが主な目的です。
ランダム振動試験は、実際の輸送中に発生するような不規則な振動を再現する試験です。トラックが走る路面の凹凸は一定ではなく、あらゆる周波数成分が混在しています。ランダム振動試験はこのリアルな振動環境を模擬するため、輸送品質の評価に最も適した方法とされています。JIS Z0232では「試験装置が利用できる場合はランダム振動試験を優先して適用することが望ましい」と明記されており、現場でもランダム試験の需要が高まっています。
つまり、構造の共振点を探したいなら正弦波、輸送中の実環境を再現したいならランダム、という使い分けが基本です。
参考:包装貨物の振動試験方法について規格の詳細が確認できます。
JISZ0232:2020 包装貨物−振動試験方法(kikakurui.com)
振動試験において試験条件の設定は、結果の信頼性に直結する最重要工程です。設定が甘ければ本来の耐振性能を見落とし、厳しすぎれば現実とかけ離れた評価になってしまいます。条件設定が命です。
まず確認するのは「製品がどんな環境に置かれるか」です。輸送される製品なのか、設置された状態で使われる製品なのか、使用される場所は屋内か屋外かによって想定する振動の種類が大きく異なります。その上で、適用すべきJIS規格や顧客仕様書を確認し、規定された周波数範囲・加速度レベル・試験時間・加振方向を基準に条件を設定します。
JIS Z0232(包装貨物の振動試験)の場合、ランダム振動試験の一般的な条件として、振動数範囲は2Hz〜200Hz、加速度実効値は約5.926 m/s²(0.604 g rms)、1姿勢あたりの最低試験時間は30分間と定められています。これは東京・大阪間の輸送を想定したものではなく、あくまでも「一般的な道路輸送環境を模擬した標準条件」です。距離との相関は別規格(JIS Z0200)で扱われます。
JIS S1018(家具の振動試験)では、耐震区分によって加振条件が3段階に分かれています。最も厳しい耐震区分cでは加速度6 m/s²(約0.6G)での試験が求められます。一般的な住宅の本棚や食器棚は少なくとも区分a(2 m/s²)以上の試験をクリアしていることが安心の目安となります。
参考:振動試験の条件の決め方や周波数・加速度・加振方向の詳細が確認できます。
収納家具と振動試験の関係は、意外と見落とされがちです。JIS S1018は、洋服ダンス・整理ダンス・本棚・食器棚・ロッカーなどの収納家具を対象に、耐振動性と耐震転倒性を評価する規格です。この規格に基づいた試験を通過した製品は、一定の地震や振動に対する安全性が保証されます。
試験方法は大きく2つあります。水平振動台による試験と、自然落下式による試験(静的加力試験)です。水平振動台試験では、棚板に荷重をかけた状態で正弦波を与え、扉の開放・引き出しの飛び出し・溶接外れなどが起きないかを確認します。耐震転倒性試験では三角波加振で家具が転倒するかどうかを評価します。
耐震性能はk値(転倒最大荷重 ÷ 家具重量)によって3段階の耐震区分(1・2・3)に分類されます。k値が0.6以上であれば耐震区分3(最高グレード)に該当し、大地震でも転倒しにくい性能を持つと評価されます。区分2はk値0.4〜0.6、区分1はk値0.2〜0.4です。
棚板には奥行きに応じた荷重(奥行き200mm以上なら棚板の間口100mmあたり3kg)をかけた状態でテストされます。つまり、実際に物が入った状態で試験が行われています。これは使って大丈夫です。
収納家具を購入する際、耐震区分の記載がある製品を選ぶことが、いざという時の安全対策につながります。特に地震の多い日本では、食器棚や本棚はJIS S1018の耐震区分2以上の製品を選ぶことが推奨されます。すでに自宅にある家具でも、つっぱり棒や転倒防止金具を併用することで安全性を高めることができます。
参考:JIS S1018の規格全文と試験条件の詳細が確認できます。
JISS1018:1995 家具の振動試験方法(kikakurui.com)
収納用品やインテリア雑貨を通販で購入した経験がある人なら、届いた荷物が破損していたときの落胆は理解できるはずです。実はその多くが、輸送振動による衝撃が原因です。JIS Z0232は、こうした輸送中の振動ダメージから内容品を守るための包装設計に直接役立てられる規格です。
この規格が評価するのは、包装貨物(梱包された荷物)全体の耐振性です。内容品だけでなく、緩衝材・段ボール・梱包方法を含めたシステム全体が試験対象となります。合否の判断は、試験後に「外観の変形やキズがないか」「機能品の場合は正常に動作するか」「印刷のかすれや紙粉の発生がないか」などを目視・機能確認で行います。
意外に知られていないのが、荷物の姿勢と試験時間の関係です。宅配便では荷物の向きが集荷から配達の途中で変わる可能性があります。JIS Z0232では、1個の荷物を3方向それぞれで30分間ずつ試験する方法も認められています。つまり合計で90分間の振動試験を1個で通過する必要があるケースもあります。これは厳しいところですね。
収納グッズを自社で梱包・発送している個人出品者やハンドメイド作家にとっても、JIS Z0232の基準を参考にすることは実用的な意味を持ちます。どんな緩衝材を使えば振動を吸収できるか、段ボールの強度は十分かを客観的に判断する目安になります。輸送破損を防ぎたい場合は、エアキャップ(プチプチ)や発泡スチロールによる固定梱包が基本的な対策として有効です。特に精密機器や壊れやすい収納品を送るときは、内容品が箱の内側で動かないよう「遊びゼロ梱包」を心がけることが合否の分かれ目になります。
参考:包装材の振動試験の設定項目と判定基準の詳細が確認できます。

[Cociliye]テーブル/車載トレイ カーシェアリング対応 3in1デスク|ドリンクホルダー&文書トレイ付き 振動防止設計 すべり止め加工 車内食事/作業用 コンパクト収納 日本道路試験済 ライトグレー