

病院のコスト削減は「人件費を見直すのが最優先」と思われがちですが、実は材料費を1%下げるだけで年間数千万円の改善につながる病院が全国に多数あります。
「MRP(エム・アール・ピー)」という言葉を聞いたとき、多くの人が製造業の「資材所要量計画(Material Requirements Planning)」を思い浮かべるかもしれません。しかし医療分野における「MRP」とは、株式会社エム・アール・ピーが提供する病院経営改善コンサルティング企業の名称であり、その役割は病院の医療材料費率を低減させることに完全特化しています。
設立以来、全国1,000施設を超える医療機関に導入実績を持ち、国立・公立大学法人、国立病院機構、日本赤十字社、済生会などの大規模病院でも採用されています。これが基本です。
医療機関の経営において、なぜ材料費が重要な指標になるのかというと、病院の支出構造に大きな理由があります。急性期病院では、医薬品・診療材料費が支出全体の35〜45%を占めるとされています。これはコンビニに例えるなら「売上の4割近くが仕入れ原価」という状態に近く、ここを1%改善するだけでも数千万単位の資金が生まれます。
MRPが対象とするサービス領域は、医療材料・医薬品・検査試薬・医療機器・保守費用と幅広く、それら全ての購入価格を全国平均と比較できる「ベンチマークシステム」が中核サービスです。このシステムはビジネスモデル特許も取得しており、データの信頼性と独自性が評価されています。
参考:MRPの病院経営コンサルティングサービス全体像はこちらで確認できます。
株式会社エム・アール・ピー 病院経営コンサルティング|MRP公式サービスページ
MRPのベンチマークシステムを理解する上で重要なのは、「全国の購入価格データをリアルタイムで参照できる」という点です。具体的にどう使うのでしょうか?
まず、MRPと契約した医療機関は毎月自院の購入実績データを提供します。そのデータがクラウド上に蓄積されることで、全国の医療機関が互いの価格情報を匿名で参照できる仕組みになっています。特別なソフトウェアのインストールは不要で、インターネット環境があれば導入できます。これは使えそうです。
価格比較で活用される指標は「ポジショニング分析」と呼ばれ、品目ごとに自院の購入価格が全国平均(B判定)より高いのか、安いのか(A判定)をグラフィカルに表示します。この機能によって、「この注射針は全国相場の1.4倍で買っている」「この検査試薬は逆に相場以下で契約できている」という事実が一目でわかります。
カバー範囲は全国47都道府県で、医療材料・医薬品・検査試薬・医療機器・保守費用のすべてをオールインワンで管理できます。グループ病院で導入した場合は共同購入の管理も可能で、複数施設のデータを一元化してグランドマスタを構築する仕組みも整っています。
ご利用開始の流れは、「問い合わせ→打ち合わせ・ヒアリング→見積り・契約→システム設定→利用開始」の5ステップ。注目すべきは、契約前に1回に限り無償で事前分析を受けられる点で、自院の現状の立ち位置をリスクなく確認できます。
| 判定 | 意味 | 次のアクション |
|---|---|---|
| A判定 | 全国平均より安い価格帯 | 現状維持・さらなる交渉余地を確認 |
| B判定 | 全国平均水準 | 標準的な価格なので継続観察 |
| C・D判定 | 全国平均より高い価格帯 | 価格交渉または代替品検討を優先 |
参考:MRPベンチマークシステムの詳細な機能と導入ステップを確認できます。
MRPベンチマークシステム|自施設の立ち位置を可視化する価格比較ツール
ベンチマークで「高い」と分かったら、次のステップは価格交渉です。しかし、交渉は数字を提示するだけでは終わりません。結論は戦略が条件です。
MRPが提供するコンサルティング型の支援では、現状分析・希望価格の設定・効果シミュレーション・見積結果の集計と分析・交渉後の効果検証まで、実務を一貫して代行します。交渉の場には担当コンサルタントが同席することも可能で、病院側が交渉ノウハウを持っていなくても安心して進められる体制が整っています。
実際の削減実績を見てみましょう。数字を見ると、その効果の大きさが実感できます。
ここで注目したいのが3つ目の事例です。価格交渉だけでなく「算定漏れ」というまったく別の角度からの収益改善も同時に行われています。病院では使用した医療材料が適切に保険請求されていないケースが存在し、その「逸失収益」を発見して回収することも、MRPのサービスに含まれます。意外ですね。
また、交渉は単価だけを下げることが目的ではありません。支払い条件・納期・発注ロット・複数ベンダーとの比較など、調達全体の総合コストを見直すのがMRPの基本方針です。取引先との関係を壊さずに、データに基づく合理的な交渉が実現するのはこのためです。
参考:価格交渉における適正価格把握の考え方と実践方法が詳しく解説されています。
病院経営改善の一歩|医療材料の価格交渉における適正価格把握の重要性|MRP医療コラム
病院経営の文脈で「材料費率」という指標を理解しておくと、MRPの役割がより明確になります。材料費率は「材料費 ÷ 収益 × 100」で算出され、この数値が高いほど収益を圧迫していることを意味します。
材料費率が重要性を増している背景には、DPC(診断群分類包括評価)制度があります。DPC病院では入院収入が包括化されているため、診療に使う材料が多ければ多いほど利益が減る構造になっています。つまり、材料費の管理は「節約」ではなく、DPC制度下での経営戦略そのものといえます。
独立行政法人福祉医療機構の調査によると、令和5年度では50%以上の一般病院が赤字経営となっています。厳しいところですね。赤字の背景には、人件費の増大・物価上昇・診療報酬抑制という三重苦がありますが、材料費は他のコストと異なり「ベンチマーク比較」と「価格交渉」という具体的な手段で改善できる数少ない領域です。
材料費が高騰する主な原因として挙げられるのは、在庫管理の非効率さと契約体制の見直し不足です。現場主導での発注や不適切な発注ロットが余剰在庫や廃棄ロスを生み、結果として見えないコストが積み上がっていきます。材料費管理が原則です。
ただし、削減に際して注意したい点もあります。安価な代替品への切り替えが患者の安全性を脅かすケースがあるため、コスト削減と医療安全の両立が求められます。この点でMRPの支援が有効なのは、現場の医師・看護師・技師を巻き込んだ合意形成を行いながら、データに基づく標準化と代替材料の選定を進めるアプローチを取っているからです。
| 改善の切り口 | 具体的な方法 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 購入価格の見直し | ベンチマークで相場と比較・交渉 | 単価削減 |
| 在庫管理の最適化 | SPD活用・発注量の見直し | 廃棄ロス・過剰在庫削減 |
| 材料の標準化 | 同種同効品の統合・共通品目化 | 購買力の集約・交渉力向上 |
| 算定漏れの改善 | 医事整合調査・請求データ突合 | 逸失収益の回収 |
参考:材料費率の改善要因と具体策が体系的にまとめられています。
病院経営を支える材料費率の改善|要因分析と実践策を解説|MRP医療コラム
MRPのサービスの中でも、あまり注目されていないがじつは重要な分野が「SPD(Supply Processing and Distribution)導入支援」と「医療材料マスタ提供システム」です。これらは、価格交渉の「前提条件」を整えるためのインフラとして機能します。
SPDとは、病院内の医療材料の受け取り・保管・払い出しを一元管理するシステム・仕組みのことで、在庫の可視化と適正発注を実現するものです。SPDなしに価格交渉を行っても、現場での無駄使いや廃棄ロスが続いてしまうため、根本的な改善にはなりません。SPDと価格交渉の組み合わせが条件です。
MRPのSPD支援サービスでは、現状調査から改善策の立案・実行、さらに既存SPD業者との契約内容や履行実態の「監査」まで対応しています。特に「既存のSPD業者に任せているが、本当に適正価格で購入できているのかわからない」という課題を抱える病院に対し、第三者的な立場から検証できる点が強みです。
一方の「医療材料マスタ提供システム」も見逃せません。病院内では診療報酬改定のたびに医療材料のマスタ情報を更新する作業が発生しますが、これが追いつかずに新旧の情報が混在して請求ミスが起きるケースが多くあります。MRPのシステムでは最新情報を搭載した信頼性の高い医療材料マスタをクラウドで提供し、JANコードによる統一管理で電子カルテとの連携もスムーズに行えます。
📋 SPD・マスタ管理が必要な病院の主なサイン。
こうした状態が続くと、せっかく価格交渉でコストを下げても、在庫ロスや請求漏れで「ざる」状態になってしまいます。材料費削減は価格だけでなく「管理の仕組み」全体を整えることが必要、ということですね。
参考:SPDの実態と病院経営との関係性を公的資料で確認できます。
SPDについて|独立行政法人 福祉医療機構(WAM NET)