廃棄ロス勘定科目の物流業者向け完全解説

廃棄ロス勘定科目の物流業者向け完全解説

廃棄ロス勘定科目の適切な処理方法

物流業における廃棄ロス勘定科目の基本
📊
商品廃棄損による処理

物流業で発生する廃棄は商品廃棄損として特別損失に計上し、売上原価から切り離して管理することが重要

⚖️
税務調査対応の準備

廃棄理由書や廃棄業者の証明書類など必要書類を整備し、税務調査時の証拠固めを行う

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継続発生時の処理変更

毎期継続的に廃棄が発生する場合は営業外費用や販売管理費として処理し、特別損失との使い分けが必要

廃棄ロスの基本的な勘定科目と仕訳処理

物流業における廃棄ロスの会計処理では、商品廃棄損という勘定科目を使用するのが原則的な取り扱いとなります 。この勘定科目は損益計算書上、原価性がない場合には「営業外損失」や「特別損失」等の区分に分類されることになります 。
参考)https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/81532/

 

基本的な仕訳は以下のようになります。

  • 借方:商品廃棄損 ××× 円
  • 貸方:棚卸資産 ××× 円

この仕訳により、廃棄された商品の簿価を適切に損失として計上し、棚卸資産から除外することができます 。物流業では木製・プラスチック製パレットやストレッチフィルム、PPバンド、乾燥剤、賞味期限切れの食品、事故品など様々な廃棄物が日々発生するため、適切な会計処理が重要となります 。
参考)https://aimrise.co.jp/blog/2023/08/23/%E5%9C%A8%E5%BA%AB%E3%81%AE%E5%BB%83%E6%A3%84%E5%87%A6%E5%88%86%EF%BD%9C%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E5%BB%83%E6%A3%84%E6%99%82%E3%81%AB%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%AA%E3%82%82%E3%81%AE%E3%83%BB/

 

また、廃棄する商品の量がごくわずかで、一般ごみとして処分するような場合には、「雑損失」勘定を用いて処理することも認められています 。廃棄処理費用については、「支払手数料」「清掃費」「外注費」「設備維持費」「雑費」などの勘定科目で処理することが一般的です 。

廃棄ロスを特別損失として計上する条件

廃棄ロスを特別損失として計上するためには、その廃棄が臨時的または偶発的に発生した損失である必要があります 。商品廃棄は毎期必ず発生するものではないと考えられるため、特別損失として処理されるのが一般的な取り扱いとなっています 。
参考)https://www.zeiri4.com/c_3/h_840/

 

特別損失として計上できる条件は以下の通りです。

  • 腐敗・破損などによる偶然的な廃棄
  • 自然災害による商品損失
  • 一時的な大量廃棄の発生
  • 事故による商品の損傷

しかし、毎期のように廃棄が出る場合は、発生頻度や内容、金額に応じて「売上原価」や「販売費および一般管理費」や「営業外費用」などの区分で処理することが適切です 。これは、継続的に発生する損失を「特別損失」として処理してしまうと、企業の経常的な収益力を正しく評価できなくなるためです 。
金融機関の格付けを考慮すると、在庫処分をする際は商品廃棄損として特別損失に計上することで、売上総利益への影響を避けることができ、金融機関からの評価向上につながります 。
参考)https://www.shiraishi-co.info/blog/?p=3772

 

廃棄ロス計上時の税務調査対応と必要書類

廃棄ロスの計上は利益操作の余地があるため、税務調査において重点的にチェックされる項目となっています 。税務調査に備えるため、以下の書類を整備しておく必要があります:
参考)https://www.shiraishi-co.info/blog/?p=4014

 

必要書類一覧:

  • 廃棄処分をした理由説明書
  • 廃棄処分をした棚卸資産の明細表
  • 廃棄した商品の仕入れ時期などがわかる書類
  • 売れ残り・不良在庫の写真(日付入り)
  • 廃棄業者の請求書、証明書
  • 廃棄業者から受領したマニフェスト等の記録

特に重要なのは、事業年度内に廃棄したことの証明です 。この証明は税務調査において特にチェックされるため、廃棄する直前の写真や廃棄業者に引き渡しする際の写真(日付入り)を保存しておくことが重要です 。
廃棄理由については、流行遅れ品や不良品であることなどの妥当な理由がない限り、廃棄が妥当とは認められません 。会社にとって大事な棚卸資産を廃棄することは通常考えにくいという考え方からです 。
参考)https://creas-souzoku.com/columns/business/succession/dead-stock/

 

廃棄ロス処理による原価管理改善効果

物流業における廃棄ロスを適切に処理することで、原価管理の精度向上と経営改善効果が期待できます。商品廃棄損を売上原価に混入させてしまうと、正常な原価率や粗利を把握することができなくなります 。
参考)https://www.zeiri4.com/c_1032/c_1033/q_106256/

 

原価管理改善のメリット:

  • 正確な売上総利益率の把握
  • 適切な原価管理による収益性分析
  • 廃棄損失の可視化による改善策検討
  • 金融機関からの信頼性向上

具体的な処理方法として、商品を廃棄した時点で「(借方)商品廃棄損 / (貸方)当期商品仕入高」という仕訳を行います 。決算書上では「他勘定振替高」を使用して、当期商品仕入高のマイナス勘定として表示することも可能です 。
この処理により、廃棄損を売上原価から分離して特別損失として計上することで、企業の経常的な収益力を正しく評価することができるようになります 。また、廃棄損の金額を把握することで、次回から廃棄による損失が出ないように注意深くなることもできます 。
参考)https://www.century-partners.jp/article/14665993.html

 

廃棄ロス削減のための物流業界独自の取り組み

物流業界では廃棄ロスの削減が企業のイメージアップと利益確保の両面で重要な課題となっています 。特に食品物流においては、サプライチェーンの各段階で発生する廃棄ロスを削減するための連携が不可欠です 。
参考)https://www.itaku-unso.co.jp/news/2280/

 

物流業界特有の廃棄ロス削減策:

  • 冷凍倉庫を活用したコールドチェーンの構築
  • 規格外商品の新たな販路開拓
  • 物流センターでの納品期限見直し
  • 在庫回転率向上による長期保管回避
  • 廃棄物処理業者との連携によるコスト最適化

廃棄物処理費用については、委託する業者を見直すことでコスト削減が可能です 。物流業界では日々大量の廃棄物が発生するため、処理業者の選定が重要なポイントとなります 。
参考)https://reduction-t.com/column/column-641/

 

また、廃棄ロス削減の取り組みは社会貢献としての側面も大きく、食べ物を粗末にする行為は企業のイメージダウンにつながるため、積極的な取り組みが求められています 。物流センターでの未出荷廃棄の削減や、農業・水産業者との連携による規格外商品の有効活用など、業界全体での取り組みが重要です 。