電力供給仕組み|発電送電変電配電で安定した物流業界エネルギー管理

電力供給仕組み|発電送電変電配電で安定した物流業界エネルギー管理

電力供給仕組み

電力供給の基本構造
発電所から高圧送電

発電所で作られた電気は27万5000V~50万Vの超高圧に変換され送電線に送出されます

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変電所での電圧変換

超高圧変電所から配電用変電所まで段階的に電圧を下げて各地域に配電します

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物流施設への安定供給

倉庫や運送拠点では冷蔵冷凍設備やシステム機器への継続的な電力供給が不可欠です

電力供給発電所から変電所までの基本仕組み

電力供給システムは発電所から消費者まで電気を安全かつ効率的に届ける複雑なネットワークです 。発電所では火力発電、水力発電、原子力発電、太陽光発電、風力発電など様々な方法で電気が作られています 。
参考)https://appletree-ws.co.jp/media/post-1105/

 

発電所で作られた電気は最初、数千V(ボルト)~2万V程度の電圧を持っていますが、長距離送電の効率を高めるため、発電所に併設された変電所で27万5000V~50万Vという超高圧に昇圧されます 。この昇圧により送電時の電力ロスを最小限に抑え、遠方まで効率的に電力を送ることができます 。
参考)https://www.daihen.co.jp/technologygeeks/cat01/cat01_01/66/

 

超高圧送電線を通じて各地の超高圧変電所に送られた電気は、まず15万4000Vに降圧されます 。その後一次変電所で6万6000Vまで電圧を下げ、この段階で鉄道会社や大規模工場などの大口需要家に直接供給されることもあります 。
参考)https://www.fepc.or.jp/supply/network/keiro/

 

変電所では変圧器(トランス)と呼ばれる装置により電圧変換が行われ、各電圧レベルに応じた需要家への配電が可能になります 。
参考)https://looop-denki.com/home/denkinavi/energy/powergeneration/substation/

 

電力供給送電線および配電システムの詳細構造

一次変電所から中間変電所に送られた電気は、さらに2万2000Vに降圧されます 。この電圧レベルでは大規模工場やコンビナートへの電力供給が行われています 。
配電用変電所では電圧を6600Vに変換し、ビル・中規模工場・学校・商業施設などに配電されます 。物流業界の倉庫や配送センターの多くも、この6600Vの高圧電力を受電して施設内の変電設備で必要な電圧に変換しています 。
参考)https://jl-d.co.jp/column/%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E4%BE%A1%E6%A0%BC%E9%AB%98%E9%A8%B0%E3%81%A8%E7%89%A9%E6%B5%81%E3%81%AE%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/2023/09/27/

 

一般家庭や小規模事業所向けには、電柱に設置された柱上変圧器により100Vまたは200Vの低圧に変換されます 。引込線によって各建物の電気メーター(電力量計)に接続され、分電盤を通じて各部屋に配電される仕組みです 。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E7%B3%BB%E7%B5%B1

 

送電線は電圧レベルに応じて異なる構造を持ち、超高圧送電線は鉄塔、高圧送電線は電柱を使用して電力を伝送しています 。
参考)https://www.chuden.co.jp/energy/ene_about/electric/kids_denki/

 

電力供給同時同量の法則およびエネルギー管理

電力システムの最も重要な特徴は「同時同量の法則」です 。電気は大量に貯蔵することが困難なため、電力の需要と供給を常にリアルタイムで一致させる必要があります 。
参考)https://appletree-ws.co.jp/media/gx/post-1120/

 

日本では30分を1コマとして電力需要を管理し、発電事業者および小売電気事業者は前日正午までに翌日48コマの発電販売計画と需要調達計画を提出します 。この計画値と実績の差(インバランス)を解消するため、一般送配電事業者が調整力に指令を出して需給調整を行っています 。
参考)https://www.eneres.jp/journal/jepx/

 

物流業界では冷蔵冷凍倉庫の温度管理システムや自動仕分け装置など、24時間連続稼働する設備が多く、電力供給の安定性が事業継続に直結します 。電力需要の予測精度向上と十分な発電設備の確保が、物流インフラの安定運営に不可欠です 。
参考)https://www.connexxsys.com/products/ess-gs/logistics/

 

現在注目されているVPP(Virtual Power Plant)システムでは、分散する蓄電池や電気自動を集約・遠隔制御して需給バランス調整を行う技術が開発されています 。

電力供給JEPX市場取引システムと物流業界への影響

日本卸電力取引所(JEPX)は2003年に設立された日本唯一の卸電力市場で、電力自由化の中核を担っています 。発電事業者が電気を売りに出し、小売電気事業者が電気を買うという仕組みで運営されています 。
参考)https://enemanex.jp/jepx-dennryokusijo/

 

JEPXでは24時間を30分ごと計48コマに分割し、スポット取引や時間前取引が行われています 。売り手と買い手の提示価格から各コマの電力価格が決定され、エリアや時間帯によって電気の価格が変動します 。
電力価格はガスや石炭の価格変動の影響を強く受けるため、世界的なエネルギー市場の動向が直接電気料金に反映されます 。物流業界にとって、この価格変動は運送コストの上昇や保管コスト(特に冷蔵冷凍保管)の増加として大きな負担となっています 。
新電力会社の参入により価格競争が生まれ、インターネット回線とのセットプランなど多様なサービスが提供されるようになりました 。物流事業者は電力調達戦略の見直しにより、エネルギーコストの最適化を図ることが可能です 。
参考)https://contents.shirokumapower.com/blog/pps_12

 

電力供給物流業界における独自エネルギー戦略と課題

物流業界では運送活動を中心とした多大なエネルギー消費により、CO2排出量の削減が重要な課題となっています 。産業用蓄電池と太陽光発電を組み合わせたエネルギー自給システムの導入が注目されています 。
エネルギー価格高騰は物流業界に深刻な影響を与えており、燃料価格上昇によるトラック運送コストの増加、電気料金上昇による冷蔵冷凍保管コストの増加が経営を圧迫しています 。これらのコスト増加は最終的に価格転嫁され、消費者物価にも影響を及ぼしています 。
参考)https://berthreservation-system.com/column/logistics-cost/

 

供給の不安定性も物流業界の大きなリスクで、エネルギー供給の変動は運送計画やスケジュールに予測不能な変動をもたらします 。燃料供給への影響や天候による交通制約は、物流プロセスに遅延や中断を引き起こす可能性があります 。
対応策として電動車両や水素燃料電池車の導入、鉄道や海上輸送の強化、エネルギーソースの多様化などが検討されています 。蓄電池を活用したエネルギー戦略により「止まらない・無駄がない・環境にやさしい」物流インフラの実現が目指されています 。
物流施設における独自送電網の構築も検討課題で、電力会社の送電網だけに依存しない自立的なエネルギー管理システムの普及が求められています 。