

LANケーブルテスターを「通電確認だけのツール」だと思って、安価な製品を1本だけ買えば十分だと思っていませんか?実は、1本5,000円以下の格安テスターで配線OKと判定されたケーブルが、ギガビット通信では8割の帯域しか出ないケースがあります。
LANケーブルテスターは、ケーブル内部の銅線(導線)に微弱な電気信号を送り、8本の芯線それぞれが正しく導通しているかを確認する計測器です。一般的な製品は「送信機(マスター)」と「受信機(リモート)」の2ユニット構成になっており、テスト対象のケーブルを両端からそれぞれに接続して使用します。
LEDランプが1から8まで順番に点灯すれば、すべての芯線が正常です。これが基本です。
見た目だけでは判断できないのがLANケーブルの断線やショートです。外皮が傷ついていなくても、内部の芯線が折れていたり、コネクタのかしめ(圧着)がずれていたりすると、通信速度の低下や接続の不安定につながります。テスターはこうした「目に見えない不具合」を数秒で可視化してくれます。
検査できる主な内容は以下のとおりです。
ただし、注意点があります。一般的な家庭向けテスターは「芯線が繋がっているかどうか(パス/フェイル)」しか判定しません。通信品質そのものを測る「フルーク社のDTX」などの資格認定対応テスターとは別物です。家庭のLANケーブル確認には導通チェッカーで十分ですが、業務用の施工品質確認には性能レベルの高い機種が必要です。目的に合った機種選びが条件です。
実際の使い方はシンプルです。手順を正確に守れば、初めての人でも2〜3分で確認が完了します。以下の流れで操作してください。
【ステップ1】ケーブルの両端を確認する
テストするLANケーブルのコネクタ(RJ-45プラグ)を両端とも確認します。コネクタが割れていたり、ロック爪が折れていたりする場合は、そもそもテスターに正しく挿入できないため、先に物理的な修復や交換が必要です。
【ステップ2】送信機と受信機を接続する
ケーブルの片方のコネクタをマスター(送信機)のRJ-45ポートに、もう片方のコネクタをリモート(受信機)のRJ-45ポートに差し込みます。「カチッ」という音がするまでしっかり押し込んでください。半挿しの状態だと誤判定の原因になります。
【ステップ3】電源を入れてテストを開始する
マスター側の電源スイッチをONにします。製品によっては「TEST」ボタンを押す必要があります。自動的にLEDが1番から8番まで順次点灯し始めます。
【ステップ4】LEDの点灯パターンを確認する
判定の読み方はシンプルです。
| 点灯パターン | 意味 | 対処 |
|---|---|---|
| 1〜8が順番に点灯 | ✅ すべて正常(ストレートケーブル) | そのまま使用可能 |
| 1-3, 2-6, 3-1, 4-4, 5-5, 6-2, 7-7, 8-8で点灯 | ✅ クロスケーブルとして正常 | 用途を確認して使用 |
| 特定番号が点灯しない | ❌ 断線 | ケーブル交換 |
| 2つの番号が同時点灯 | ❌ ショート | ケーブル交換 |
| 番号の順序がずれている | ❌ ミスワイヤリング | コネクタのかしめ直し |
これだけ覚えておけばOKです。
【ステップ5】テスト結果を記録する(業務用途の場合)
家庭での確認であれば目視確認だけでも問題ありません。ただし、オフィスや施工現場での配線チェックでは、テスト結果を「ポート番号・ケーブル番号・判定結果」の形式で記録しておくと、後日のトラブル対応に役立ちます。エクセルの簡易シートや、専用アプリ(Fluke社のLinkWarEなど)と連携できる高機能機種も存在します。
市場に出回っているLANケーブルテスターは大きく3つの種類に分かれます。価格帯も機能も大きく異なるため、用途を誤ると「使えない」または「高すぎる買い物」になります。
① 導通チェッカー(1,500〜3,000円前後)
家庭でのケーブル確認や、DIYで自作したパッチケーブルの導通テストに向いています。LEDのみで判定するシンプルな構造で、操作に迷いません。代表的な製品にはサンワサプライの「LAN-TST5」シリーズなどがあります。壁の中を通したケーブルや、ルーターとハブの間のケーブルが「繋がっているかどうか」だけ確認したい場合はこれで十分です。
② ワイヤーマップテスター(5,000〜15,000円前後)
8芯それぞれの接続状態を詳細に表示できる中級機種です。ペア間違いや逆接続の検出精度が高く、オフィスの配線工事や小規模なLAN敷設作業に向いています。画面付き液晶モデルなら数値表示で誤判断が減ります。
③ 認定試験機(50,000〜300,000円以上)
フルーク・ネットワークスやIDEAL Industries製の本格機器です。Cat6A・Cat7などの規格認定試験、TIA/ISOの国際規格に準拠した性能証明書の発行が可能です。施工業者や通信工事業者が使う専門機材であり、家庭用途には不要です。
この3つのどれを選ぶかが条件です。目的のない高機能モデルの購入は、収納スペースを圧迫するだけでなく、1万円以上の無駄な出費になるケースが実際に多く報告されています。
DIY配線の確認ならワイヤーマップテスターが1台あると長く使えます。サンワサプライ、エレコム、Kleinツールズなどの製品は入手しやすく、Amazonや家電量販店で実物を確認して購入できます。
テスターが「NG」を示したとき、原因を正確に特定できるかどうかで対処の速さが大きく変わります。エラーパターンごとに原因と対策を整理します。
断線(特定のLEDが消灯)の場合
最も多い原因は「コネクタのかしめ不良」です。RJ-45プラグを圧着工具でかしめる際に力が不均一だと、芯線がプラグの金属端子に届いていないことがあります。断線した芯線がコネクタ側に原因あるなら、コネクタを切り落として新しいものに付け替えることで解決します。1個あたりのコネクタ単価は10〜50円程度で、圧着工具(1,500〜5,000円)があれば自分で修復できます。
ケーブル中間部の断線は目視では見つかりません。特にタンスや棚の裏などに配線を引き回している家庭では、家具の重量や鋭利なエッジによって芯線が傷ついているケースがあります。収納家具の配置変えの際に、一緒にケーブルチェックをする習慣が有効です。
ショート(2つのLEDが同時点灯)の場合
隣接する芯線同士が接触しているショートは、ケーブルを過度に折り曲げた場合や、被覆が薄い安価なケーブルを無理に引き込んだ場合に発生します。ショートが発生したケーブルは修復が難しいため、交換が現実的な対処です。
ミスワイヤリング(番号の順序がずれる)の場合
自作ケーブルや、規格外のかしめ順で作られた市販品に見られます。特に「TIA-568A」と「TIA-568B」という2種類の配線規格が混在していると、同じ機器同士の接続でも通信できないことがあります。どちらかに統一することが原則です。送信機と受信機の両方で同じ規格を使えば問題ありません。
LANケーブルの管理は「使えるかどうかの確認」だけでなく、収納・整理という視点で考えると一段上の活用ができます。これは意外ですね。
テスターを使う最も実践的なタイミングは「ケーブルを収納・整理する前」です。使用中・未使用・不明の3種類が混在しがちなケーブル類を整理する際に、テスターで一本ずつ導通確認しておくと、「なんとなく引き出しに入れておいたケーブル」が実は断線していた、という無駄な保管を防げます。
不良ケーブルを手放す基準が明確になります。
具体的な管理方法として、ケーブルにラベルを貼る際に「テスト済み OK / NG」と記入しておくと、次に使う人(家族も含め)が一目で状態を把握できます。収納ボックスの中でOK品とNG品を分けるだけで、配線作業の時間が大幅に短縮されます。
また、ケーブル自体の保管状態を良くすることもテスター活用の前提条件です。小さな巻き径できつく束ねると、内部の芯線にストレスがかかり、次回のテスト時に断線が検出されることがあります。直径20cm程度(ちょうど時計のベルト程度)のゆったりした巻き方で保管するのが推奨されています。
| ケーブルの状態 | 保管推奨方法 | テスト推奨タイミング |
|---|---|---|
| 使用中・壁内配線 | 動かさず固定 | 年1回または不具合時 |
| 使用中・露出配線 | モールやケーブルボックスで保護 | 半年に1回 |
| 未使用・保管中 | ゆったり巻いてラベル管理 | 使用前に必ず実施 |
| 不明・引き出し保管 | テスト後に分類 | 整理のたびに実施 |
収納スペースを圧迫している「謎ケーブル」をすっきり整理する手段として、LANケーブルテスターを位置づけると、1,500円程度の購入コストが十分に回収できます。使えるかどうかわからないケーブルを長年保管し続けるより、一度テストして仕分けるほうが収納効率は明らかに上がります。
参考として、サンワサプライ公式サイトではLANケーブルテスターの仕様詳細や対応製品の一覧が確認できます。
サンワサプライ公式:LANケーブルテスター製品一覧・仕様詳細
LANケーブルに関する規格(Cat5e・Cat6・Cat6Aの違い)や施工基準については、以下の一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)の資料が参考になります。
CIAJ(情報通信ネットワーク産業協会):LAN配線規格・技術資料の参照先

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