

無料の3D CADソフトを使っても、収納棚の設計データを非公開にできないものがあります。
「収納棚を自分で作りたいけど、失敗したくない」と考えたことはないでしょうか。材料費は決して安くなく、ホームセンターでカットしてもらったあと「寸法が違った」では取り返しがつきません。そこで近年、収納DIYの事前準備として3D CAD無料ソフトを使う人が急増しています。
3D CAD(スリーディーキャド)とは、コンピューター上に立体モデルを作れるソフトのこと。英語で「Computer Aided Design」の略で、従来は数十万〜数百万円もするプロ向けソフトでした。ところが近年は無料で使えるものが一般ユーザーにも広まり、DIY設計の世界でも活用されるようになっています。
3D CADを収納設計に使うメリットは大きく3つあります。
- 📐 完成前にサイズ感を確認できる:棚板の幅・高さ・奥行きを実寸で入力し、部屋の3Dモデルに置いてみることで「思ったより大きかった」という失敗を防げます。たとえば壁面収納を作る前にSketchUp Freeで設計した事例では、最初の図面より棚板を10cm短くすることで冷蔵庫との干渉を発見できたという報告もあります。
- 🔄 何度でも修正できる:紙の図面と違い、デジタルデータは寸法変更がワンクリックで完了します。材料発注前に「やっぱり仕切りをもう1枚追加したい」という変更も即対応できます。
- 💰 材料の無駄を減らせる:3Dデータから必要な材料の寸法リストを出せるソフトもあり、木材の買いすぎや切り出しミスを最小限にできます。
つまり3D CADは、収納DIYにおける「設計ミス・材料ロス・後悔」を事前に防ぐ最強のツールといえます。
参考:3D CADの基礎や機能の種類について詳しく解説されています。
無料で使える3DCADのフリーソフト10選 – CAD研究所
「どれを選べばいいかわからない」というのが多くの人の正直なところです。選ぶ基準はたった3つに絞れます。
① 利用目的で選ぶ
収納棚・家具のDIY設計が目的であれば、「ソリッドモデリング」に対応したソフトが向いています。ソリッドとは中身のつまった立体データのことで、板の厚みや木材断面まで正確に表現できます。一方「部屋全体の間取りを3Dで確認したい」という場合は、SketchUp Freeのような建築・インテリア寄りのソフトがおすすめです。
② ブラウザ型 or インストール型で選ぶ
パソコンのスペックが低め(メモリ8GB以下、CPU=Core i3程度)なら、インストール不要のブラウザ型を選ぶと動作が安定します。TinkercadやOnshapeはブラウザだけで動きます。一方、オフライン環境でも使いたい・高解像度のレンダリングをしたいというならインストール型のDesignSpark MechanicalやFreeCADが適しています。
③ 商用利用の可否・ライセンス形態で選ぶ
ここが最も見落とされがちなポイントです。無料ソフトでも「個人の趣味利用のみOK」というものが多く、SNSやハンドメイドサイトでの販売目的でデータを使う場合は規約違反になるリスクがあります。たとえばAutodesk Fusion(旧Fusion360)の個人無料版は、商用利用が禁止されており、販売を目的とした製品設計には有料ライセンス(年間102,300円・税込)が必要です。DesignSpark Mechanicalは無料で商用利用が可能なため、ハンドメイド販売や小規模な製品設計にも使えます。
ライセンスに注意が必要なのは確かです。最初からルールを把握しておくだけで、後のトラブルを避けられます。
参考:Autodesk Fusionの個人版ライセンスの詳細と商用利用の範囲について解説されています。
Autodesk Fusion 無償体験版 – Autodesk公式
収納DIYや間取りシミュレーションに役立つ無料3D CADソフトを5つ厳選して紹介します。特徴をしっかり把握して選んでください。
| ソフト名 | 動作環境 | 日本語対応 | 商用利用 | 収納DIY適性 |
|---|---|---|---|---|
| SketchUp Free | ブラウザ | ◎ | ✕(個人のみ) | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| TinkerCAD | ブラウザ | ◎ | ◎(無料で可) | ⭐⭐⭐ |
| DesignSpark Mechanical | インストール | ◎ | ◎(無料で可) | ⭐⭐⭐⭐ |
| Onshape | ブラウザ | ○ | ✕(データ全公開) | ⭐⭐⭐ |
| FreeCAD | インストール | ○(大部分) | ◎(制限なし) | ⭐⭐⭐ |
🟦 SketchUp Free(スケッチアップ・フリー)
Trimble社が提供するブラウザ型の3Dモデリングソフトです。建築・インテリア分野での利用実績が多く、収納棚や壁面収納の設計に非常に向いています。操作が直感的なため、CAD未経験でも比較的早く慣れます。アカウント登録だけで使い始められるのも手軽なポイントです。ただし無料版(SketchUp Free)は商用利用が禁止されており、STL形式でのエクスポートも制限があります。インテリアDIY目的の個人利用なら最強の一本です。
🟩 TinkerCAD(ティンカーキャド)
Autodesk社が提供するブラウザ型の無料3D CADです。シェイプ(形状パーツ)を組み合わせてモデルを作る仕組みで、操作が非常に簡単です。子どもや完全初心者でも数時間で使えるようになります。小物収納や仕切りボックスのような比較的シンプルな形状の設計に向いており、3Dプリンターとの相性も抜群です。商用利用も無料で可能な点が大きな強みといえます。
🟧 DesignSpark Mechanical(デザインスパーク・メカニカル)
RS社が提供するインストール型の無料3D CADで、商用利用が無料で可能なのが最大の特徴です。ダイレクトモデリングという操作方法で、面を押したり引いたりして形状を作れます。初心者でも感覚的に使いやすく、収納ユニットや棚板の設計にしっかり対応できます。STL形式での出力も無料版で可能なため、3Dプリンターを使った収納パーツ自作にも向いています。
🟨 Onshape(オンシェイプ)
フルクラウド型の3D CADで、インストール不要・アカウント登録のみで使い始められます。機能の豊富さはプロ水準に近く、SOLIDWORKSに似た操作感が特徴です。ただし無料版では作成した全データがパブリッククラウドに公開される仕様になっており、世界中の誰でも検索・閲覧できてしまいます。自分のオリジナル収納設計を非公開にしたい場合は有料版(年間177,650円〜・税込)が必要です。これは注意が必要です。
🟥 FreeCAD(フリーキャド)
オープンソースのインストール型3D CADで、個人・商用利用ともに完全無料で使えます。対応OSも Windows・Mac・Linuxと幅広く、拡張機能による機能追加も可能です。応力解析まで行える高機能さが魅力ですが、初心者には少々学習コストがかかります。将来的に本格的な設計スキルを身につけたい人にはおすすめです。
参考:各ソフトの機能比較と操作方法の詳細が確認できます。
ここでは収納DIY初心者に特に向いているSketchUp Freeを使った設計の大まかな流れを紹介します。手順は5ステップです。
STEP 1:アカウント作成とソフト起動
SketchUpの公式サイト(sketchup.com)にアクセスし、Googleアカウントなどで無料登録します。ログイン後は「新規モデル」を選んで作業画面を立ち上げるだけです。インストール作業はゼロです。
STEP 2:単位をmm(ミリメートル)に設定
日本の収納DIYでは寸法をミリ単位で扱うことがほとんどです。最初に「モデル情報 → 単位」からmm設定に変更しておかないと、あとから寸法の整合が取れなくなります。ここだけ覚えておけばOKです。
STEP 3:棚板の寸法を入力して立体を作る
「線ツール」で底面の四角形を描いたあと、「プッシュ/プル」ツールで板厚(例:18mm)の分だけ引き起こします。たとえば幅900mm・奥行き300mm・厚さ18mmの棚板1枚なら、このステップ1分程度でモデルが完成します。この操作を繰り返すことで棚全体を組み上げていきます。
STEP 4:部屋の空間モデルを作って配置確認
棚ユニットが完成したら、部屋を大まかにモデリングして棚を「配置」します。実際の部屋の壁幅や高さに合わせてモデルを作ると、棚が壁にどのように収まるかを立体的に確認できます。横からも上からも自由に視点を変えられるので、「思ったより圧迫感がある」という発見にも役立ちます。
STEP 5:データを保存・活用する
無料版ではクラウドへの保存(.skp形式)が基本ですが、「ダウンロード」機能からファイルをデバイスに書き出せます。棚板ごとの寸法メモとして使いたい場合は、画面のスクリーンショットを取って木材カットリストと照らし合わせると非常に便利です。
参考:SketchUp Freeの基本的な起動〜操作方法が確認できます。
無料の3D CADソフトを使うとき、多くの人が見落としているのがデータの保存・管理ルールです。ここが実は最も重要な落とし穴のひとつといえます。
先に触れたようにOnshapeの無料版では、保存したすべてのデータがパブリッククラウドに公開されます。世界中のOnshapeユーザーが「公開ドキュメント」として検索・閲覧・コピーできる状態になるわけです。「自分のオリジナル設計が他人に使われた」というトラブルも報告されており、収納棚の設計データを非公開にしたいなら有料プランへの切り替えが必要になります。
一方でSketchUp Freeの場合、クラウド保存データは自分のアカウント内に閉じており、他のユーザーが勝手に閲覧することはできません。これはいいことですね。ただしSketchUp Freeのクラウドストレージ容量は10GBと決まっており、大量のプロジェクトを保存し続けると容量を圧迫してきます。こまめにローカル保存(デバイスへのダウンロード)をしておく習慣が大切です。
FreeCADとDesignSpark Mechanicalはインストール型のため、データはすべて自分のパソコンのローカルストレージに保存されます。クラウドへの強制公開や容量制限はありません。オフライン環境でも使えるので安心感が高いです。ただしパソコンの故障に備えて、外部ストレージやクラウドへのバックアップは自分で行う必要があります。
また、Autodesk Fusionの個人用無料版には「3年ごとに使用資格の再申請が必要」という条件があります。申請を忘れるとライセンスが停止してしまうため、更新のタイミングを把握しておくことが必要です。データ管理の意識を持つことが、長期的な収納DIY設計を続けるうえでの土台になります。
参考:Onshapeの無料版の注意点とデータ公開の仕様についての詳細が確認できます。
無料から始められる3DCAD「Onshape」の特徴と始め方
一般的なブログ記事では紹介されていない、収納DIYのための3D CAD活用術をここで解説します。「設計したのに実際に作ったらぴったり入らなかった」というのが、DIYあるある失敗の定番です。これを防ぐための3ステップ検証フローを紹介します。
① 「実物スキャン」の代わりに「採寸3Dモデル」を作る
収納を置きたいスペースの壁・床・天井・コンセント位置・ドアの開閉範囲を実際にメジャーで測り、部屋の「箱モデル」を先に作ります。このとき、ドアが手前に90度開いた位置のスイープ範囲(半径で60〜80cm程度)もモデルに含めておくと、「棚を置いたらドアが開かなくなった」という致命的なミスを防げます。
② 収納する物の「立体モデル」も作る
「この棚にコンテナボックス(幅37cm×奥行き25cm×高さ22cm)を6個入れたい」という場合、コンテナボックスの大きさに合わせた直方体モデルを作り、棚のモデルに配置して確認します。収納物を3Dで並べてみると、奥行きが2cm足りないとか、高さが1段ぶん無駄になっているといった問題が事前に発見できます。これは使えそうです。
③ 「木材カットリスト」と3Dデータを突き合わせる
3Dモデルが完成したら、棚板・側板・背板ごとの寸法を書き出してカットリストを作成します。カットリストと実際のホームセンターでの木材購入・カット依頼票を照合することで、切り出しミスや数量間違いをゼロにできます。ホームセンターのパネルソー(機械カット)は1カット約50〜80円が相場で、設計段階で正確な寸法が出ていれば材料費のムダを最小化できます。
この3ステップを実践すれば、材料費が2〜3万円規模の収納DIYでも設計ミスによる無駄を大幅に削減できます。収納の中身に合わせた設計ができることも大きな強みです。
参考:SketchUp Freeを使った実際の収納DIY設計事例が参考になります。
玄関土間を活用した収納DIY|SketchUp Free設計事例