リーク検査の方法と種類・手順を完全解説

リーク検査の方法と種類・手順を完全解説

リーク検査の方法と種類・手順の完全ガイド

実は、発泡液だけで検査を済ませると微小リークの約40%を見逃す可能性があります。


この記事のポイント3つ
🔍
リーク検査の主な方法と特徴

圧力試験・発泡液・ヘリウム検査・超音波など、代表的な手法の仕組みと適用場面を整理します。

⚙️
現場に合った方法の選び方

検出感度・コスト・作業環境の3軸で比較すると、最適な手法がすぐに絞り込めます。

失敗しない検査手順のポイント

前処理・測定・判定の各ステップで見落とされがちな注意点をまとめました。


リーク検査とは何か:基礎知識と検査が必要な理由


リーク検査(漏れ検査)とは、配管・タンク・バルブ・容器などに存在する微細な隙間や欠陥から、気体や液体が漏れていないかを確認する検査技術の総称です。産業用設備では、わずか1Pa·m³/s(パスカル立方メートル毎秒)以下の微小漏れでも長期稼働すると事故や品質不良につながります。


なぜ検査が必要なのか、その背景から整理しましょう。


配管やシール部品には、製造時の加工精度のばらつき、組み立て時の締め付け不足、経年劣化による材料の変形など、多様な原因で漏れが生じます。特に可燃性ガスや毒性ガスを扱う設備では、漏れが即座に重大事故につながるため、法令上の定期検査が義務付けられています。高圧ガス保安法では、製造設備の耐圧試験と気密試験を年1回以上実施することが定められており、違反した場合は100万円以下の罰金が課されることもあります。


つまり、リーク検査はコンプライアンスの問題でもあります。


食品・医薬品分野でも状況は同じです。包装容器の微小リークが原因で製品が変質・汚染されるケースがあり、リコールやブランド毀損のリスクを抱えます。2022年に国内で発生した食品容器リークによるリコール事案では、回収・対応コストが1件あたり平均2,000万円超に達したという調査データもあります。


検査は事後対応ではなく、予防のための投資です。


リーク検査の基本的な原理は「圧力差を使って漏れを検出する」ことです。被検体の内部を加圧または減圧し、圧力変化・漏れ出た媒体・発生する音波・放射する光などを計測することで、漏れの有無や箇所・量を特定します。どの原理を使うかによって検査方法の種類が変わります。


リーク検査の主な種類:圧力試験・発泡液・ヘリウム検査を比較する

リーク検査には多くの手法があります。それぞれ感度・コスト・作業条件が異なるため、現場の条件に合わせた選択が重要です。


① 圧力試験(加圧・気密試験)


最もシンプルで広く使われる方法です。被検体に空気または窒素を所定圧力まで充填し、一定時間後の圧力降下量を測定します。圧力降下法とも呼ばれます。感度は10⁻³〜10⁻⁴ Pa·m³/s 程度で、工場の配管系統や建築設備の気密確認に日常的に使われます。コストが低く、大型設備にも対応できる点が強みです。


ただし、微小リークの検出には限界があります。


② 発泡液法(石けん水法)


加圧した配管の表面に発泡液を塗布し、泡の発生で漏れ箇所を目視確認する方法です。配管溶接部やフランジ部の局所確認に向いています。現場での手軽さが最大のメリットで、特別な機器なしに実施できます。


ただし、冒頭でも触れたように、この方法だけでは微小リークの約40%程度を見逃す可能性があります。発泡液が反応できる最小漏れ量は概ね10⁻³ Pa·m³/s 以上であり、それ以下のリークには泡が発生しません。


微小漏れには別の手法を組み合わせるのが基本です。


③ ヘリウムリーク試験(質量分析法)


最も感度が高い検査手法の一つで、10⁻¹⁰ Pa·m³/s 以下の超微小リークも検出可能です。トレーサーガスとしてヘリウムを使用し、質量分析計(リークディテクター)で検出します。半導体製造装置・宇宙機器・原子力設備など、極めて高い気密性が求められる分野で標準的に採用されています。


感度は高いですが、機器コストが高い点が課題です。リークディテクターの本体価格は100万〜400万円程度で、専門的な操作スキルも必要です。


④ 超音波探知法


加圧された設備から漏れ出る際に発生する超音波(概ね40kHz帯)を専用センサーで捉える方法です。稼働中の設備でも検査でき、停止・加圧の必要がないため生産ラインへの影響が最小限です。コンプレッサー・バルブ・継手など、運転中の設備の点検に適しています。


これは使えそうです。


⑤ 真空漏れ試験


被検体を真空引きして圧力上昇量を測定する方法です。外部から大気が侵入する「吸い込み漏れ」の検出に向いており、真空容器や低圧ラインの検査に使われます。


| 検査方法 | 感度(Pa·m³/s) | コスト | 適用場面 |
|---|---|---|---|
| 圧力試験 | 10⁻³〜10⁻⁴ | 低 | 配管・建築設備 |
| 発泡液法 | 10⁻³ | 非常に低 | 局所確認 |
| ヘリウム試験 | 10⁻¹⁰以下 | 高 | 精密機器・半導体 |
| 超音波探知 | 10⁻³〜10⁻⁴ | 中 | 稼働中設備 |
| 真空漏れ試験 | 10⁻⁵〜10⁻⁶ | 中 | 真空容器 |


リーク検査の手順:前処理から判定まで見落とされやすいポイント

検査方法を選んだ後、実際の手順の中にこそ失敗の原因が潜んでいます。以下では圧力試験を例に、前処理・加圧・測定・判定の各ステップを詳しく整理します。


ステップ1:前処理(清掃・乾燥・閉塞確認)


被検体内部に水分・異物・残留ガスが残った状態で検査を行うと、圧力変化の測定値が不安定になり、誤検知の原因になります。特に溶接後の配管は内部に酸化スケールが残りやすく、検査前にエアブローや窒素パージで十分に清掃する必要があります。


前処理の不備が検査精度を大きく左右します。


また、閉止すべきバルブや盲板が正しく設置されているかのチェックも欠かせません。意外に見落とされがちですが、1か所でも閉止漏れがあると加圧が安定せず、検査自体が無効になります。チェックリストを使ったダブルチェックが原則です。


ステップ2:加圧と安定待ち時間


加圧は一度に高圧まで上げるのではなく、段階的に行います。一般的には最大試験圧力の50%・75%・100%の3段階で加圧し、各段階で目視確認を行います。急激な加圧は継手部やシール部に過大な応力をかけ、検査中に破損事故を招くリスクがあります。


100%加圧後、測定を開始する前に「安定待ち時間」を設けることが重要です。加圧直後は被検体内部の温度が上昇しており(ボイル・シャルルの法則による温度効果)、温度が安定するまでは正確な圧力降下量を測定できません。この安定待ち時間は設備の体積・材質・周囲温度によって異なりますが、最低でも5〜15分は必要です。


温度の影響を無視すると誤判定のリスクが高まります。


ステップ3:測定と記録


測定には高精度な圧力計を使用します。アナログ圧力計では分解能が不足する場合があるため、精密な検査にはデジタルマノメーターや差圧計を使います。感度の目安として、試験圧力1MPaに対して1分間で0.01MPa以上の降下があれば漏れと判定するケースが多いですが、基準は設計仕様・法令・規格によって異なります。


記録は必ず文書化することが条件です。


測定中は周囲の振動・風・温度変化など、圧力に影響を与える外乱要因も記録しておきます。後から「本当に漏れだったのか」を確認するために、外乱の記録は非常に重要です。


ステップ4:漏れ箇所の特定と判定


圧力降下が確認された場合、次は漏れ箇所の特定です。ここで発泡液法や超音波探知法を組み合わせると、効率的に場所を絞り込めます。局所的に発泡が見られた箇所は、マーキングして後工程の補修に引き継ぎます。


補修後は必ず再検査を実施します。これが原則です。


リーク検査の判定基準と規格:JIS・高圧ガス保安法での定め

現場での判断に迷うのが「どの数値以下なら合格か」という判定基準の問題です。業界・用途・法規制によって基準が異なるため、適用される規格を事前に確認することが不可欠です。


JIS規格での基準


JIS B 8265「圧力容器の構造−一般事項」では、気密試験の試験圧力を最高使用圧力の1.0〜1.1倍とし、試験時間中に圧力降下がないことを合格条件としています。また、JIS Z 2330〜2334シリーズは非破壊試験における漏れ試験の種類と方法を定めており、ヘリウム漏れ試験(JIS Z 2331)、発泡液試験(JIS Z 2334)などが規格化されています。


規格を把握しておくことは、法的リスクを回避するための基礎です。


高圧ガス保安法での要求


高圧ガスを扱う設備は、高圧ガス保安法に基づく耐圧試験(水圧試験が基本)と気密試験の両方が求められます。気密試験の判定は「試験圧力に達した後、一定時間保持して圧力降下がないこと」が基本条件です。試験の記録は設備の廃棄まで保管義務があります。


記録の保管を怠ると、事故時の法的責任が重くなるケースもあります。痛いところですね。


食品・医薬品包装の規格


食品容器のリーク検査では、JIS Z 0238(ヒートシール軟包装体の試験方法)が参照されます。内圧法・外圧法・水中加圧法などが規定されており、製品の種類や充填物に応じた試験方法を選択します。医薬品の一次容器には、USP(米国薬局方)<1207>が国際的に参照される場合もあり、ヘリウムリーク試験や高電圧放電法(HVLD)が採用されることもあります。


食品・医薬品分野では規格への準拠そのものが品質保証の証明になります。


収納・保管設備へのリーク検査活用:見落とされがちな視点と実践方法

リーク検査は工場の大型設備だけの話ではありません。倉庫・収納スペース・保管庫といった身近な設備でも、気密性の確認はコスト削減と品質維持に直結します。


たとえば、食料品・薬品・精密部品を収納する密閉コンテナや保管庫では、シールの劣化による気密低下が中身の品質に直接影響します。シリカゲルなど乾燥剤を使った防湿保管の効果が想定より短期間で失われる場合、容器のリーク(気密性の低下)が原因であることが少なくありません。


これは意外と見過ごされがちなポイントです。


簡易的な気密確認の方法


一般的な保管容器の気密性を手軽に確認するには、次の手順が有効です。


まず、容器に加圧した空気(自転ポンプなどで0.05MPa程度)を封入し、水中に沈めて気泡の発生を確認する「水中加圧法」があります。これは実験室から工場の現場まで広く使われる発泡液法の応用です。容器が変形するリスクがある場合は、外面に発泡液を塗布する方法を選びます。


もう一つは「陰圧(負圧)法」です。容器内を軽く減圧した状態でしばらく置き、外気の侵入によって内圧が上昇するかどうかを確認します。食品容器のフィルムパックの検査でよく使われる手法で、専用のリークテスターが市販されています(1万〜5万円程度の卓上型モデルあり)。


手軽に始めるなら陰圧法が第一選択です。


収納環境の気密性とコスト削減


倉庫・冷蔵庫・乾燥室などの空間自体の気密性が低下すると、空調・冷却コストが増加します。例えば、冷蔵倉庫のドアパッキンが劣化して微小な漏れが生じると、年間の電気代が数万〜十数万円単位で増加するというデータが設備管理の現場から報告されています。


定期的なパッキン・シールの点検と早期交換が、長期的な節約につながります。パッキンの劣化確認には、ドアを閉じた状態で内側から懐中電灯を当て、外から光が漏れるかを確認する「光漏れ確認法」も有効です。精密さは低いですが、簡易的な気密低下の発見には十分使えます。


リーク検査の考え方を収納管理に応用することで、品質とコストの両面でメリットが得られます。


参考:JIS Z 2330〜2334シリーズ(漏れ試験の規格)および高圧ガス保安法に関する解説は、日本産業標準調査会(JISC)および高圧ガス保安協会の公式サイトで確認できます。


日本産業標準調査会(JISC)公式サイト — JIS規格の検索・閲覧が可能(JIS Z 2330〜2334シリーズなど漏れ試験規格の参照に活用)


高圧ガス保安協会(KHK)公式サイト — 高圧ガス保安法に基づく耐圧試験・気密試験の要件や検査基準の詳細が掲載




CHILDWEET 蓋付き検体カップ 30個 便採取容器 スプーン付き 便検査用 リークテストカップ 実験室用