

標準サイズのパレットを選んでも、日本の倉庫では約66%の現場で収納効率のロスが起きています。
物流や倉庫の収納を効率化しようとするとき、まず知っておくべきなのがパレットの「標準サイズ」です。日本のJIS規格(JIS Z 0601)で定められた標準パレットは、縦1,100mm×横1,100mm×高さ144〜150mmの正方形型で、「T11型」または「イチイチパレット」と呼ばれています。このサイズは畳1枚弱(一般的な畳のサイズは約900×1,800mm)に近いイメージで、フォークリフトやパレットジャッキの爪がスムーズに差し込めるよう設計されています。
T11型という名称は、「輸送用平パレットのJIS規格T11」に由来します。1,100mmの「11」をそのまま取り命名されました。かつては企業ごとにバラバラなサイズのパレットを使っていたため、積み替えの手間や保管効率の悪さが大きな課題でした。このサイズへの統一(標準化)が進んだことで、荷物の一貫輸送が実現しやすくなり、倉庫での収納整理も格段にしやすくなっています。
最大積載質量は1トン(1,000kg)です。一般的な段ボール箱(約15kg前後)であれば60〜66個ほど載せられる計算になります。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 規格名称 | JIS Z 0601(T11型) |
| 平面サイズ | 1,100mm × 1,100mm |
| 高さ(厚み) | 144〜150mm |
| 最大積載質量 | 1トン(1,000kg) |
| 別名 | イチイチパレット |
| 主な素材 | 木製・プラスチック製 |
普及率は現在全体の34%程度とされています(※)。つまり業界の標準とうたわれながら、実際には6割以上の現場で別サイズが混在しているのが実情です。これが保管スペースのロスや積み替え作業の増加につながっているケースも多いため、収納効率の最大化を狙うなら、まず自社の環境に合ったサイズを正確に把握することが大切です。
(※参考:株式会社生出「日本人と、パレットと、2024問題。」2023年2月)
日本のT11型パレット普及率34%の現状と2024年問題について解説している記事
T11型が標準とはいえ、すべての業界でそのまま使えるわけではありません。これが基本です。取り扱う商品の形状や重量に合わせて、最適なサイズが業界ごとに異なるからです。誤ったサイズのパレットを使い続けると、積み崩れリスクの増加・スペースの無駄・輸送コストの増大という3つのデメリットが同時に発生します。
酒類業界では「ビールパレット」とも呼ばれる1,100mm×900mmサイズが主流です。このサイズはビールケースがちょうど6箱きれいに収まるよう最適化されています。食品業界では1,100mm×1,100mmに加えて1,200mm×1,000mmが広く採用されており、プラスチック製が衛生面で好まれています。医薬品業界は1,100mm×1,100mmのアルミ製が一般的で、GMP(医薬品の製造管理基準)への対応からプラスチック製も増加しています。化学業界では1,220mm×1,220mmサイズが標準的で、ドラム缶4本がちょうど収まるよう設計されています。
| 業界 | 主なサイズ(mm) | 主な素材 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 一般物流 | 1,100×1,100 | 木製/プラスチック | 国内最標準・汎用性が高い |
| 酒類 | 1,100×900 | プラスチック | ビールケース6箱対応・洗浄可能 |
| 食品 | 1,100×1,100 / 1,200×1,000 | プラスチック | 衛生管理が容易 |
| 医薬品 | 1,100×1,100 | アルミ/プラスチック | GMP対応・錆びにくい |
| 化学 | 1,220×1,220 | 木製/金属 | ドラム缶4本対応 |
収納効率の観点から言うと、保管する商品のサイズに合っていないパレットを使用すると、パレット上の「デッドスペース」が生まれます。このデッドスペースが積み重なると、倉庫全体の収納スペースを大幅にロスします。パレット標準化によって保管スペースの収容能力が15%向上した実際の事例もあります(※)。これは使えそうな数字です。
(※参考:JITBOXコラム「パレット標準化とは?物流業界の現状と取り組み事例を紹介」)
パレット標準化の導入効果として「倉庫収容能力が15%向上」した事例などを解説している記事
「T11型を使えばどこでも大丈夫」と思っている方は注意が必要です。実はT11型は日本国内では非常に有効ですが、海外に出た瞬間に「異端サイズ」になってしまいます。
ヨーロッパでは1,200mm×800mmの「ユーロパレット(EUR/EPALパレット)」が業界標準として確立されており、欧州の鉄道コンテナや倉庫設備はすべてこのサイズに最適化されています。アメリカでは48インチ×40インチ、つまり約1,219mm×1,016mmの「GMAパレット(USパレット)」が食品製造業協会を中心に普及しています。
| 地域 | 標準サイズ(mm) | 主なルールメーカー |
|---|---|---|
| 日本 | 1,100×1,100 | JIS規格 |
| 欧州 | 1,200×800 | 国際鉄道連合(UIC) |
| 米国 | 1,219×1,016 | GMA(食品製造業協会) |
| 中国 | 1,200×1,000 / 1,100×1,100 | 国家標準化管理委員会 |
| 韓国 | 1,100×1,100 | 韓国パレットプール |
輸出を行う現場では、T11型パレットのまま海上コンテナに積み込もうとすると、コンテナ内に微妙な隙間(デッドスペース)が生まれやすいという問題があります。輸出案件ではコンテナ幅に合わせた1,100mm×1,400mmサイズや、回収コストのかからないワンウェイ(使い切り)パレットへの切り替えが推奨される理由はここにあります。
また、木製パレットを輸出する場合には追加コストが発生します。国際基準「ISPM No.15」により、輸出用木製パレットには熱処理または薫蒸処理が義務付けられており、未処理のまま輸出すると通関でストップするリスクがあります。海外向けの収納・輸送コストを正確に計算したい場合は、この処理費用を必ず見積もりに含める必要があります。
(※参考:もりや産業「物流パレット|サイズ・寸法・規格一覧」)
パレットの国内・海外の規格やサイズ一覧、業界別の用途について詳しくまとめた記事
パレットを選ぶとき、多くの人は平面サイズ(縦×横)だけに目がいきがちです。しかし高さ(厚み)の違いが、倉庫の収納効率や保管コストに直接影響します。
T11型の標準的な高さは144〜150mmです。これはほぼA4用紙の長辺(297mm)の半分ほどのイメージです。この高さには「二方差し」と「四方差し」の2種類の形状があり、フォークリフトの爪をどの方向から差し込めるかが変わります。四方差しタイプはどの方向からでも作業できるため、棚に入れたまま取り出しが容易で収納の自由度が高くなります。
パレットの高さが大きいほど強度は増しますが、積み重ねたときの総高さが増えるため、倉庫の天井高を超えてしまうケースがあります。一方、薄型の軽量タイプは省スペースですが、耐荷重が落ちるので重量物には適しません。倉庫の収納計画を立てるときは、「パレット本体の高さ+積載物の高さ+フォークリフト操作の余裕高さ」を合計して棚の高さを設計することが重要です。
パレットラック(重量棚)に収納する場合、T11型パレットには幅2,500mm(パレット2枚+クリアランス)の間口が推奨されています。この間口設定を守ることで、フォークリフトによる出し入れがスムーズになり、棚の破損や荷崩れ事故を防ぐことができます。
また、積み重ねる際はストレッチフィルムをパレット下部から上部まで隙間なく巻き付けること、荷物間にPPバンドを通すことが基本的な固定作業です。正しい固定を怠ると、トラック輸送中の揺れで荷崩れが発生し、商品破損→クレーム対応というコストが追加で発生します。これは避けたいですね。
パレットの種類・標準サイズ・業界別サイズ・選び方を詳しく解説している記事(キーフェル株式会社)
一般的な解説記事ではあまり触れられていませんが、パレットサイズの選び方一つで「倉庫を増床せずに収納容量を増やせる」という現実があります。これが条件です。
具体的には、自社の商品サイズとパレットのデッドスペースを計算し直すだけで、同じ倉庫面積でも保管できる量が変わります。たとえばT11型(1,100×1,100mm)を使っている現場で、実際に保管している商品が800×600mmの段ボール箱だとします。この場合、T11型パレット1枚あたりの利用面積は1,210,000mm²ですが、段ボール4個並べると3,200mm×2,400mm相当のスペースが必要で、1パレット上に効率よく載せると2列×3行=6個と残り面積が生じます。この「余り」を把握して積み付けパターンを最適化するだけで、同じパレット枚数でより多くの荷物を運べるようになります。
また、パレット自体の調達コストも見逃せません。プラスチック製パレットは1枚あたり1万5,000〜3万円程度(サイズ・仕様によって異なる)と木製より高価ですが、耐久性が高く繰り返し使用に向いています。木製は1枚数千円と安価ですが、湿気によるカビや木屑の発生リスク、輸出時の熱処理費用が追加で必要です。
レンタルパレットという選択肢も有効です。日本パレットレンタル(JPR)などのレンタルサービスを活用すると、T11型パレットを必要な枚数だけ借りることができ、空パレットの返送コストや紛失リスクを自社で管理する必要がなくなります。現在、日本のレンタルパレット利用率は約30%にとどまっていますが(※)、特に中小規模の倉庫では自社購入よりもトータルコストが安くなるケースが多いため、一度見積もりを取ってみることをおすすめします。
(※参考:国土交通省「パレット標準化に向けた具体的な推奨案の整理」)
国土交通省によるパレット標準化の推奨案・現状データ(PDF)。レンタル利用率や普及率の根拠データが確認できる

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