

業務用グラスラックは「飲食店専用のもの」と思うと、収納の選択肢が一気に狭まってしまいます。
業務用グラスラックは、仕切りの数でグラスサイズへの対応が大きく変わります。これが基本です。
代表的な「弁慶ラック」(本間冬治工業)や「キャンブロ(CAMBRO)」「レーバン(RABURN)」などのブランドでは、仕切り数によって以下のように対応グラス径が異なります。
| 仕切り数 | 仕切り内寸(目安) | 対応グラス径 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 9仕切り | 約149×149mm | φ110〜φ88mm | 大きめタンブラー・ゴブレット |
| 10仕切り | 約φ87mm | φ87mm前後 | ロングタンブラー・ピルスナー |
| 25仕切り | 約87×87mm | φ89mm以下 | 標準タンブラー・ワイングラス |
| 36仕切り | 約72〜75mm | φ73mm以下 | 小ぶりなタンブラー・サワーグラス |
| 49仕切り | 約60〜63mm | φ62mm以下 | ショットグラス・リキュールグラス |
仕切り数が多いほど1枚のラック(500×500mm:約50cm四方=B4用紙2枚分)にたくさんのグラスを収納できますが、その分1マスは小さくなります。つまり「数を入れたいから仕切り数が多ければいい」という選び方は間違いです。
実際に手持ちのグラスの直径(底部の最大径)を測り、仕切り内寸より2〜5mm小さい径のラックを選ぶのが原則です。グラス口元(飲み口)が広がっているワイングラスは、底径ではなくボウル部の最大径で判断する必要があります。これだけ覚えておけばOKです。
また、フルサイズ(500×500mm)のほかにハーフサイズ(500×250mm)も存在します。棚の奥行きに合わせて選ぶことで、デッドスペースをなくせます。
飲食店.COM:弁慶25仕切りグラスラックのサイズ・仕様一覧(グラス対応径の確認に役立つ)
業務用グラスラックの素材は、収納での使いやすさと耐久性に直結します。
主流素材はポリプロピレン(PP)です。PPは吸水率がほぼゼロに近く、においが付きにくいという特性があります。飲食店のバーカウンターやキッチンで毎日繰り返し使われても変形・変色しにくいのはこのためです。また、比較的軽量(25仕切りフルサイズで約1.7〜2.4kg程度)なので、棚の上段においても取り出しやすく、収納作業の負担が少ない点も魅力です。
さらに耐熱温度はPP製の場合、おおむね80〜100℃程度に設定されているものが多く、業務用食器洗浄機のすすぎ工程(通常60〜85℃)にも十分対応します。それに対して家庭用の似たような収納ラックは、耐熱温度が60℃以下のものも少なくありません。これは使えそうですね。
一方、ステンレス製のグラスラック(グラスハンガー・グラスフレーム)も存在します。錆びにくく耐久性は非常に高い反面、重量があり、価格帯もPP製の2〜5倍以上になることがほとんどです。たとえばUK製の18-8ステンレス製グラスフレーム4連タイプは販売価格が約1万円前後~2万5千円程度になります。
| 素材 | 重量 | 価格帯 | 耐熱性 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ポリプロピレン(PP) | 軽い | 3,000〜8,000円 | 80〜100℃ | 衛生的・スタッキング可 |
| ステンレス(18-8) | 重い | 1万〜3万円 | 非常に高い | 高耐久・見た目が良い |
| 真鍮・金メッキ | 重い | 5,000〜2万5千円 | 中程度 | 装飾性が高い |
自宅での普段使い収納が目的ならPP製が最もコスパに優れています。インテリア性や長期的な品質を求めるならステンレス製を選ぶのが現実的な選択です。
業務用グラスラックは「飲食店限定」のツールではありません。自宅のキッチン収納にも驚くほど応用が利きます。
まずスタッキング(積み重ね)機能は家庭でも大きなメリットです。PP製のラックは複数枚を積み上げてもずれにくい設計になっており、食器棚の高さを最大限活用できます。たとえば食器棚の内部高さが40cmある場合、高さ10cmのラックを3段積み上げることで、以前はデッドスペースだった上部空間に最大で49本分のグラスを管理できるようになります。
次に考えたいのが、吊り下げ型グラスラック(グラスハンガー・グラスフレーム)の活用です。キッチンの棚下スペースや吊り戸棚の下部に取り付けることで、棚板の表面積を消費せずに収納スペースを追加できます。60cmサイズのグラスハンガーで約6〜8本のグラスを収納できます(棚板の厚さ・強度の確認は必須)。これは使えそうです。
また、弁慶ラックのようにカラーバリエーション(グレー・イエロー・レッド・ブラウン・グリーン)が揃っているラックは、グラスの種類ごとに色分け管理ができます。ワイングラス用はグリーン、タンブラー用はグレーのように分ければ、取り出し時に迷いがなくなります。ラックを積み重ねたとき、色で境界がひと目でわかる点も整理収納の観点から非常に実用的です。
自宅で複数種類のグラスを使い分けているなら、色分け管理の導入が大きなストレス軽減につながります。
安吉:洗浄ラック(グラスラック25仕切り)の商品説明・スタッキング仕様の詳細
業務用グラスラックには、知らずに購入すると困る注意点がいくつかあります。
最も多いトラブルが「家庭用食洗機には対応しない」という点です。業務用グラスラック(フルサイズ:500×500mm)は、ホシザキ・パナソニック(旧サンヨー)・タニコー・マルゼンなどの業務用食器洗浄機専用の規格サイズに合わせて設計されています。一般的な家庭用食洗機(庫内幅約450mm以下)には物理的にセットできません。収納ラックとしての利用は問題ありませんが、洗浄機能と組み合わせて使おうとしている場合は機器との適合確認が必須です。
次にグラスのサイズの確認不足による「ガタつき」や「ラックに入らない」問題があります。グラスの口元(飲み口の端)の直径が仕切り内寸より大きいと、底まで収まらずにラックの上に乗ってしまうことがあります。選び方の基本は「グラスの最大径<仕切り内寸」です。カタログや商品説明に記載された適合グラスサイズを事前に確認する手間を省かないことが重要です。
また、10オンス(約300ml)以上のロングタンブラーは、標準的なグラスラックよりも「ステムウェアラック」と呼ばれる深さのあるタイプを選ぶことが推奨されています。有効深さが75mmの標準ラックにロングタンブラーを入れると、グラスの高さが足りずに倒れるリスクがあるためです。厳しいところですね。
さらに、ステンレスネームプレートは別売りのブランドもあります(弁慶ラックなど)。名入れラベルを使ってグラス種類を管理したい場合は、オプション費用を見込んでおきましょう。
購入前に確認すること。
- 手持ちグラスの最大径(mm)
- 使用目的(保管のみ/食洗機と併用)
- 食洗機の有無と種類(業務用か家庭用か)
- ラックの有効深さとグラスの高さのバランス
厨房センター:弁慶10仕切りグラスラックの仕様・適合グラスサイズ(選び方の参考に)
収納を「面積」ではなく「体積」で考えると、グラスラックの使い方は大きく変わります。
一般的な収納の考え方は「棚の面積にどれだけ置けるか」ですが、業務用グラスラックと吊り下げ式グラスハンガーを組み合わせると「空中」と「棚下」という通常は使われないゾーンも収納として機能させることができます。つまり同じ棚面積でも2〜3倍の収納量を実現できる、という発想です。
具体的な構成例を示します。
- 棚板の上:PP製グラスラック(フルサイズ25仕切り)をスタッキング2段→最大50本分のタンブラー収納
- 棚板の下:グラスハンガー(60cmタイプ)を1本設置→6〜8本のワイングラスを逆さ吊り下げ収納
- 棚板の下段(空きスペース):ハーフサイズのグラスラックを1枚→さらに12〜18本の追加収納
このように「上に積む」「下に吊るす」「余白に置く」の3つの動きを組み合わせるだけで、従来比で約2〜2.5倍の収納効率を出すことが現実的に可能です。ただし棚板の耐荷重(一般的なキッチン棚板は10〜30kg程度)の確認だけは怠らないようにしましょう。
吊り下げタイプのグラスハンガーは、棚板の厚みに合わせて選ぶ必要があります。ネジ止め固定タイプ(耐荷重が高め)と、差し込むだけで工具不要のタイプがあり、後者はアパートや賃貸にも向いています。設置の際は棚板の木材強度と壁材の確認を先に行いましょう。
グラスラックと吊り下げの組み合わせは、バーカウンターや飲食店舗でよく見られるプロの収納設計をそのまま家庭に移植したものです。これが条件です。「おしゃれなバーっぽい見せ方ができる」というインテリアの副産物も加わるため、見た目と機能性の両立を求める方には特に効果的な方法です。
日常セレクト:天井吊り下げワイングラスホルダーの設置方法と収納スペース節約の実例