電子調達システムで国の入札参加資格を活用する方法

電子調達システムで国の入札参加資格を活用する方法

電子調達システムで国の入札参加資格と調達手続を完全解説

全省庁統一資格がなくても、あなたは今すぐ官公庁に物品を売れます。


📋 この記事でわかる3つのポイント
🏛️
GEPSとは何か?

政府電子調達システム(GEPS)はデジタル庁が運営する府省共通の電子調達プラットフォーム。入札・契約・請求をすべてオンラインで完結できます。

📝
全省庁統一資格の取得方法

申請費用は無料。必要書類は登記事項証明書・納税証明書・財務諸表の3点だけ。インターネットで申請でき、最短で約2〜3週間で取得できます。

💡
GビズIDだけで参加できる少額物品販売

2025年3月スタートの「少額物品販売(GEPSマーケットプレイス)」は、GビズIDさえあれば全省庁統一資格なしで参加可能。年間約45万件の調達案件が対象です。


電子調達システム(GEPS)とは何か?国の調達の全体像

政府電子調達システム(GEPS:Government Electronic Procurement System)は、デジタル庁が運営し、各府省庁が共同で利用する電子調達の共通プラットフォームです。国が行う「物品・役務の調達」および「一部の公共事業」に関わる一連の手続き——入札から契約、そして請求まで——をインターネット経由で電子的に処理できる仕組みです。


もともとGEPSは2014年にリリースされ、それ以前に各省庁がバラバラに持っていた個別の電子入札システムを一本化した経緯があります。現在稼働している第3期GEPSは、AWSをベースとした政府共通クラウド上で動いており、2024年1月4日からは旧GEPSのポータル画面が廃止されて「調達ポータル(p-portal.go.jp)」に完全統合されました。旧URLをブックマークしていた方は、新しいURLへの更新が必要です。


GEPSで扱う調達手続きは大きく3つに分かれています。


  • 📂 調達ポータル:入札情報の検索・閲覧・入札参加資格(全省庁統一資格)の申請受付を担う"玄関口"
  • 📊 調達総合情報システム:入札参加資格の審査・管理を行うシステム
  • 💻 電子調達システム(GEPS本体):実際の入札・契約・請求を電子的に処理するシステム


つまりGEPSが基本です。調達ポータルで案件を探し、統一資格で参加資格を証明し、GEPS上で入札・契約・請求まで一気通貫で完結できる設計になっています。


一方で、利用者登録をしていない状態でも調達ポータル上の公告情報や仕様書はダウンロード可能です。「まずどんな案件があるか見てみたい」という段階なら、特別な登録は不要ですのでハードルは低めです。




参考:国の電子調達システムの全体像と利用方法について、内閣法制局が詳しくまとめています。


電子調達システム(政府電子調達(GEPS))の利用について|内閣法制局


電子調達システムへの参加に必要な全省庁統一資格の取得手順

GEPSで電子入札・電子契約・電子請求を利用するためには、まず「全省庁統一資格」の取得が必要です。これは各省庁に共通して有効な入札参加資格であり、一度取得すれば国のほぼすべての省庁・出先機関の案件に参加できます。これが原則です。


申請費用は無料です。行政書士に代行を依頼すれば費用が発生しますが、自分で申請する場合は手数料がかかりません。意外に思われるかもしれませんが、公共事業への参入コストとしては非常に低い部類に入ります。


必要書類は以下の3点です。


  • 📄 登記事項証明書(履歴事項全部証明書):法務局で取得、1通約600円
  • 📄 納税証明書(その3の3):税務署で取得、1通約400円
  • 📄 財務諸表(貸借対照表・損益計算書)1年分


申請方法はインターネット申請・郵送・窓口持参の3種類から選べます。インターネット申請が最もスムーズで、申請完了から審査結果通知まで約2週間程度が目安です。審査結果通知書が届いたら、続いて電子証明書の取得とGEPSへの利用者登録を行います。


ここで注意が必要なのが、電子証明書のコストです。ICカード型の電子証明書を使う場合、カードリーダーの購入と初期設定が必要で、さらに電子証明書の維持費として年間約1万円程度のランニングコストがかかります。参加頻度が低い中小事業者にとってはこのコストが重くなりやすいという実情があります。


一方、2026年以降に予定されているGEPSの第4期移行では、GビズIDを活用することでICカードに依存しない電子署名の選択肢が広がる見込みです。コスト面の改善が期待できますね。


なお、資格の有効期間は原則として3年間で、定期審査と随時審査の2種類があります。現在は「令和7・8・9年度」の審査期間が有効です。入札に参加したいタイミングから逆算して、余裕を持って申請しておきましょう。




参考:全省庁統一資格の申請方法・等級・更新の詳細は以下のページで確認できます。


電子調達システムで国の入札に参加する実際の流れと注意点

全省庁統一資格を取得し、電子証明書の準備が整ったら、いよいよGEPSを使って実際の入札に参加できます。入札参加が条件です。ここでは手続きの流れを整理します。


まず調達ポータルにアクセスして案件を検索します。案件情報は入札参加資格の有無にかかわらず誰でも閲覧できるため、参加前に案件の内容・仕様書・予定価格などを確認することが可能です。


参加したい案件が見つかったら、以下の流れで手続きを進めます。


  • 🔍 Step 1 案件確認・情報収集:調達ポータルで案件を検索し、入札説明書・仕様書をダウンロードして内容を精査する
  • 📬 Step 2 入札書の提出:GEPSにログインし、電子証明書を使って入札書を提出(提出期間内のみ有効)
  • 📣 Step 3 開札:開札日時に結果がシステム上で公開される。原則として立ち会い方式ではなくオンラインで完結
  • ✍️ Step 4 電子契約:落札後、GEPS上で電子署名を使って契約を締結。紙の契約書が不要になる
  • 🧾 Step 5 電子請求:納品・検収後、GEPS上で電子請求書を発行して支払いを受ける


電子契約を活用すると、印紙税が不要になります。これは大きなメリットです。たとえば契約金額が200万円を超える場合、紙の契約書には400円以上の印紙が必要ですが、電子契約なら完全に非課税です。契約件数が増えるほど積み重なるコスト削減効果は無視できません。


ただし令和6年度のデータによると、電子応札率は74.4%にまで向上している一方、電子契約率は全体で42.0%にとどまっています(出所:デジタル庁「令和6年度 府省等ごとの電子調達抽出件数」)。コロナ禍前の約1.5%と比べると急伸しているとはいえ、まだ半数以上が紙の契約書を選んでいる現実があります。


紙での入札や契約を選ぶことも、制度上は可能です。「電子調達システムの利用権限を持っていても、ご都合により紙で入札書や請求書を提出いただくことは可能」とデジタル庁も案内しています。ただし、電子契約による印紙税非課税のメリットを活かすためには、開札日までに電子調達システムの利用権限を取得しておく必要があります。この点には期限があります。




参考:デジタル庁が公開する令和6年度の電子調達抽出件数データ(電子応札率・電子契約率の最新数値を確認できます)。


令和6年度 府省等ごとの電子調達抽出件数|調達ポータル(デジタル庁)


全省庁統一資格なしで参加できる国の少額物品販売という新しい調達の入口

実は、全省庁統一資格を持っていなくても、国の電子調達システムを通じて官公庁に物品を販売できるルートが2025年3月から開かれています。これが「少額物品販売業務(GEPSマーケットプレイス)」です。これは使えそうです。


これまで年間約45万件にのぼる少額物品の調達(文房具・事務用品・日用品など)は、入札の対象外として主に紙ベースで処理されていました。この規模は東京ドーム5つ分の収納スペースに積み上げるほどの書類量に相当するイメージで、デジタル化がまったく追いついていなかった領域です。


この「少額物品販売」に参加するための条件は非常にシンプルです。


  • GビズIDプライム または GビズIDメンバーを取得していること(無料)
  • ✅ 全省庁統一資格は不要
  • ✅ ICカード型電子証明書も不要


GビズIDを持っていれば参加できます。事業者は自社商品を調達ポータル上の「マーケットプレイス」にカタログ登録するだけで、全国のすべての省庁・外局・出先機関の職員が商品を検索・発注できるようになります。官公庁職員が一般のECサイトのように商品を選んで購入する仕組みで、受注から請求まで電子的に完結します。


また2026年3月には「少額随意契約オープンカウンタ方式」の新機能がリリースされる予定で、見積書をアップロードするだけで少額調達案件に参加できる間口がさらに広がります。


官公庁との取引は支払いの遅延リスクがほぼゼロというのも、中小企業・個人事業主にとって大きな安定材料です。売掛金の回収リスクを抱えたまま民間取引を続けるよりも、安定したキャッシュフローを確保したい場合には魅力的な選択肢といえます。


まず「GビズID」を無料取得して、調達ポータルの少額物品販売から商品カタログを登録してみる、という1アクションで始められます。




参考:少額物品販売業務の概要と参加方法については、デジタル庁の公式資料が詳しいです。


電子調達システム(GEPS)の新機能(少額物品調達業務)のご紹介|デジタル庁(PDF)


電子調達システムを活用する独自視点:「収納ビジネス」が官公庁調達と意外な接点を持つ理由

ここからは、あまり語られない視点をお伝えします。収納用品や整理グッズを扱う事業者、あるいはそうした商品の製造・販売を行っている個人事業主にとって、国の電子調達システムは「意外と近い話」です。


官公庁の実際の調達案件には、書棚・ファイルボックス・書類整理用品・ラベルライター・収納ラックといった、まさに「収納・整理」に関わる物品が日常的に発注されています。これらの多くは少額随意契約の対象で、従来は各省庁の担当者が個別に業者に電話・FAXで見積もりを依頼していました。


2025年3月以降、こうした調達がGEPSマーケットプレイス上で行われるようになっています。つまり、収納用品を扱う事業者がカタログをGEPSに登録しておけば、全国の省庁・出先機関の職員が画面上で検索して発注してくれる構造になっています。


たとえば、定価1,500円程度の書類トレーを1件発注されただけでは小さな売上に見えますが、全国に2,000以上ある府省庁の出先機関からのリピート発注が積み重なれば、無視できない規模になります。年間45万件という数字を改めて意識すると、この市場のポテンシャルが見えてきます。


また、電子調達システムを通じた官公庁取引には「与信リスクがほぼゼロ」という特性があります。民間の個人向けEC販売では未払い・返品・クレーム対応が必要ですが、官公庁はそれらのリスクが格段に低い取引先です。収納商品を扱う事業者が安定収益基盤の一本として官公庁ルートを持つことは、リスク分散の観点からも合理的です。


GビズIDの取得から商品カタログ登録まで一連の手続きを確認したい場合、調達ポータル公式サイトの「初めてご利用になる方へ」のページが実務的な手順を整理しています。まず確認してみるのがおすすめです。




参考:調達ポータルの利用開始手順について、初めての方向けに整理されたガイドが公開されています。


初めてご利用になる方へ|調達ポータル(デジタル庁)