

コンビニに駆け込むと、実は特殊詐欺の被害を年間2万8,000回以上防げている。
SS活動とは、「セーフティステーション活動」の略称です。一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(JFA)のCVS部会が推進する、コンビニエンスストア業界による自主的な社会貢献活動のことを指します。単純に商品を売るだけでなく、「地域社会への安全・安心に貢献するお店づくり」を目標に掲げた取り組みです。
2000年7月、警察庁からコンビニ業界に対して「まちの安全・安心拠点となってほしい」という要請が行われたことが、この活動のきっかけです。2003年からトライアル活動が始まり、2005年には全国6ブロックで順次発足式が開催され、同年10月1日をもって全国展開がスタートしました。現在では、セブン‐イレブン・ファミリーマート・ローソン・ミニストップ・デイリーヤマザキなどJFA加盟チェーンを含む全国約5万7,000店舗が参加しています。これは大きな動きです。
活動の柱は大きく2つあります。1つ目は「安全・安心なまちづくりへの協力」で、防犯訓練への参加・女性や子どもの駆け込み対応・高齢者保護・特殊詐欺の防止・110番・119番通報などが含まれます。2つ目は「青少年環境の健全化への取り組み」で、20歳未満への酒類・たばこの販売禁止・18歳未満への成人向け雑誌の販売防止・深夜時間帯の青少年への帰宅促しなどが含まれます。
SS活動のイメージキャラクターは「エスゾウくん」です。大きな耳でまちの声を拾い、大きな身体でお客さまをお受けする気持ちを表したゾウのキャラクターで、子どもから大人まで親しみやすい存在として活動の象徴となっています。
参考リンク(SS活動の概要・憲章について公式に詳しく解説されています)。
2024年度のSSアンケートリポートによると、防犯訓練や講習会・会合に参加した店舗は10,540店、特殊詐欺を未然に防止した店舗はなんと17,109店にのぼります。全国のコンビニが、日常業務の中でこれだけ多くの防犯活動を実施していることは、一般にはあまり知られていません。
特殊詐欺への対応は特に目を引きます。2023年度の集計では、全参加店舗のうち約32.5%にあたる17,770店が特殊詐欺を未然防止しており、合計でなんと28,864回以上の詐欺被害を防いでいます。これは東京ドームの収容人数(約5万5,000人)の約半数に相当する回数を、たった1年間で防いでいることになります。つまり毎日全国で約79件の詐欺被害が防がれているということです。
最も多かった防止のきっかけは「高額な電子マネー(POSAカードなど)の購入を不審に感じた」(88.1%)でした。たとえば「80代の男性が2万円分のプリペイドカードを購入しようとした際に従業員が警察へ相談を促した」といった事例が、全国各地で毎日のように起きているのです。
また、2024年度のローソン単体の実績でも、特殊詐欺の抑止件数は8,677回以上、高齢者保護は4,295回以上に達しています。コンビニの店員1人ひとりが、警察と並んで詐欺撃退の最前線に立っている現実があります。これは使えそうです。
110番通報への協力も積極的に行われており、調査対象の81.4%に相当する35,899店が「通報した」と回答しています。店内外で起きた事件・事故・急病人などのあらゆる緊急事態に対して、店員が迅速に通報・対応する体制が整っています。
参考リンク(SS活動の地域への取り組み実績数値が詳しく掲載されています)。
SS活動の中でも特に印象的なのが、駆け込み対応です。2023年度の全国データでは、女性の駆け込みに対応した店舗が4,448店(計6,681回以上)、子どもが2,797店(計4,139回以上)、高齢者の保護が10,532店(計19,871回以上)に及んでいます。毎日全国のどこかで、コンビニが命を守る駆け込み場所として機能している計算になります。
女性が駆け込む理由として最も多いのは「ストーカー・つきまとい」で44.2%、次いで「知らない人に声をかけられた」が25.3%、「暴力(DV含む)」が18.7%と続きます。夜道でひとり歩きの女性が、すぐ近くのコンビニに逃げ込むという光景は、数字として見るとその深刻さが伝わります。駆け込んだ後は、店員が110番通報(69.7%)・バックルームで保護(36.7%)・売場で保護(9.9%)という形で対応しています。
子どもが駆け込む理由で最多は「道に迷った」(29.2%)、次が「家族や友達とはぐれた」(19.6%)で、「知らない人から声をかけられた」も18.1%います。こうした子どもを発見した際は、店員が家族・知人への連絡(30.5%)や売場・バックルームでの保護(29.0%)で対応し、必要に応じて警察に通報しています。
高齢者保護では「徘徊」が51.9%で最多という現実があります。高齢化社会が進む中、コンビニは認知症を抱えた高齢者が迷い込む場所としても機能しています。保護した後は74.2%の店舗が110番通報を行い、家族への連絡も16.1%の店舗が対応しています。いいことですね。
2024年には毎日新聞が「駆け込み年間9300件超、通り魔からも」と報じており、SS活動の実態がメディアでも注目されています。24時間365日、あのコンビニの明かりが「緊急の駆け込み場所」であることは、ぜひ覚えておいてほしい情報です。
参考リンク(ローソンの2024年度の駆け込み・保護対応実績が掲載されています)。
地域社会との関わり:マチの安全・安心の支援|ローソン公式サイト
SS活動のもう一つの大きな柱が、「青少年環境の健全化への取り組み」です。具体的には、20歳未満への酒類・たばこの販売禁止・18歳未満への成人向け雑誌の販売防止・深夜時間帯の青少年への帰宅促しなどが含まれます。青少年が健全に育つ環境を、コンビニが日常業務の中で守っているということですね。
深夜時間帯に青少年への帰宅促しを実施した店舗は、全体の42.5%にあたる21,037店という数字が示されています(2023年度)。「夜遅くにコンビニの前でたむろしている子どもたちに店員が声をかけて帰宅を促す」という場面は、地域によっては日常的に見られる光景です。これが自主的なルールに基づいて行われていることは、意外と知られていません。
酒類・たばこ販売時の年齢確認でトラブルが発生した店舗は、酒類で17.3%(9,386店)、たばこで20.7%(11,049店)に上ります。「年齢を聞かれた際に文句を言う」「大声で恫喝する」などのトラブルが報告されており、20歳未満の客だけでなく、実は50〜69歳の客でもトラブルが30.5%の割合で起きていることが分かっています。意外ですね。
身分証明書の提示を求められることに慣れていない世代を含め、年齢確認は単純な作業ではなく、従業員にとって毎日リスクを伴う業務になっています。それでも法律を遵守してきちんと年齢確認を行う姿勢が、青少年保護の観点で社会的な価値を持っています。年齢確認が条件です。
さらに、地域の防犯・防災活動への参加や、学校などの「体験学習」の受け入れも実施されており、5,393店が体験学習を受け入れています。子どもたちが実際にコンビニで防犯や地域貢献を学べる機会として、教育的な側面も担っています。
参考リンク(SS活動の年間計画・月別テーマが確認できます)。
収納や防災に関心のある方には、この視点が特に役立ちます。コンビニはSS活動の一環として、災害時に「まちのライフライン」として機能することが明確に位置づけられています。多くのコンビニチェーンは各都道府県と「災害協定」を締結しており、地震・台風・大雪などの災害発生時には、できる限り営業を継続しながら、地域住民や帰宅困難者に対して店舗内のトイレ・水道水の提供・避難情報の発信などを行うことが定められています。
2026年3月にはローソンが「災害支援ローソン」1号店を千葉県富津市にオープンしたことが話題になりました。この店舗は「災害情報の受発信」「水・食料の供給」「通信・電力の確保」などの機能を備えた防災拠点型コンビニで、2030年度までに全国100店舗への展開を目指しています。コンビニが単なる「近くて便利なお店」から、いざというときの「命綱」へと進化しているのです。
日頃から防災を意識する観点でも、コンビニとのかかわり方を見直す価値があります。たとえば、自宅の防災用品を定期的に見直す「ローリングストック法」では、ふだんからコンビニで購入している食品・飲料を多めに買い置きし、使いながら補充する方法が推奨されています。これが基本です。
| ローリングストックの品目例 | 目安の備蓄量(1人・3日分) | コンビニで入手可否 |
|---|---|---|
| 飲料水 | 9リットル(500mlペットボトル18本) | ✅ 可 |
| インスタント食品・缶詰 | 9食分 | ✅ 可 |
| 乾電池・モバイルバッテリー | 各1〜2個 | ✅ 可 |
| 現金(小銭含む) | 2万円程度 | ⚠️ ATMで引き出し |
| 常備薬・マスク・絆創膏 | 少量 | ✅ 可 |
防災グッズの収納において、コンビニを「サテライト倉庫」のように活用するという発想も有効です。自宅に大量ストックを構えるのが難しい場合、徒歩5分圏内にあるコンビニの商品ラインナップを把握しておき、「災害直後の48時間は自宅備蓄でしのぎ、その後はコンビニで補充」という2段階の備えを設計する方法があります。収納スペースの限られる一人暮らしや都市部の住民には、特に合理的なアプローチです。
SS活動を通じてコンビニが培ってきた「地域のインフラとしての姿勢」は、防災・減災の文脈でも非常に頼りになる存在です。近所のコンビニがSS活動に参加しているかどうかは、店頭に貼られた「エスゾウくん」ステッカーを探すと確認できます。
参考リンク(ローソンの災害時協定・ローリングストック情報が確認できます)。
ローリングストック | ファミリーマート
参考リンク(コンビニの防災拠点化の最新動向が詳しく解説されています)。
「防災拠点」へ進化するコンビニ | 防災ログ(2026年3月)