欠品率の計算方法と収納で下げる在庫管理術

欠品率の計算方法と収納で下げる在庫管理術

欠品率の計算方法と収納で改善する在庫管理の基本

欠品率ゼロを目指すと、逆に会社が倒産するリスクがあります。


📋 この記事の3つのポイント
📐
欠品率の計算方法は3種類ある

数量・金額・カテゴリ別で計算式が異なり、目的に応じて使い分けることが重要です。

🏷️
業界別の許容欠品率を把握する

小売業は10〜30%、製造業は3%以下など、業種によって適切な水準が大きく異なります。

🗂️
収納・整理整頓が欠品率改善の土台

倉庫や保管場所の整理整頓が行き届いていないと「見えない欠品」が発生し、在庫管理の精度が根本から崩れます。


欠品率の計算方法:基本の数量欠品率とは

欠品率とは、顧客からの需要(注文)に対して、商品を供給できなかった割合を示す指標です。品切れ率とも呼ばれ、在庫管理や供給チェーンの健全性を評価する基本的な指標として幅広く活用されています。


最も一般的な欠品率の計算方法は、数量を基準としたシンプルな計算式です。








項目 内容
計算式 欠品率(%)= 欠品数 ÷ 全体の注文数 × 100
具体例 注文100個 → 20個欠品 → 欠品率20%
使いどころ 日常的な在庫管理のモニタリング・欠品の頻度把握


例えば、倉庫に100個の発注があったのに在庫が20個足りず80個しか出荷できなかった場合、欠品率は20%となります。式はとてもシンプルです。


数量欠品率は、欠品の頻度やどの商品が欠品しやすいのかを把握するのに最適な指標です。売れ筋商品ほど欠品率は高くなる傾向があるため、欠品率の上昇は売上機会の損失拡大を意味します。つまり欠品率が高い状態は危険です。


欠品率と対になる概念として「サービス率」があります。サービス率は、品切れを起こさずに顧客の注文に対応できた割合を示すもので、「欠品率(%)= 100% − サービス率(%)」という関係が成り立ちます。サービス率95%なら欠品率は5%です。どちらの視点で管理するかは企業の方針によって異なりますが、意味を取り違えないよう注意が必要です。


欠品率の計算方法②:金額欠品率とカテゴリ別欠品率

数量欠品率だけが欠品率ではありません。目的に応じて、金額欠品率やカテゴリ別欠品率も使い分けることが重要です。


金額欠品率の計算式は以下のとおりです。








種類 計算式 用途
数量欠品率 欠品数 ÷ 全体の注文数 × 100 欠品の頻度・どの商品が欠品しやすいか
金額欠品率 欠品による損失売上額 ÷ 全体の売上金額 × 100 売上・収益への影響を把握
カテゴリ別欠品率 欠品アイテム数 ÷ 同一カテゴリのアイテム数 × 100 売場の品揃え状況・補充タイミングの判断


金額欠品率が重要な理由を具体的に見ると、単価1,000円の商品10個の欠品と、単価10,000円の商品1個の欠品は、数量欠品率では前者が高くなりますが、損失金額は同じ10,000円です。高額商品の欠品は、少ない個数でも大きな損失につながります。これは意外ですね。


カテゴリ別欠品率は、小売の売場管理において特に有効です。たとえばおにぎりのカテゴリ内に梅・鮭・昆布・たらこの4アイテムがあり、梅だけが売り切れていた場合、欠品率は「1÷4×100=25%」となります。このようにカテゴリ単位で見ることで、補充タイミングの判断精度が大きく上がります。


収納・在庫管理の場面でも、保管場所ごとやカテゴリごとに欠品率を計算することで、どのエリアの在庫補充が遅れがちかを可視化できます。数字で管理するのが原則です。


参考:欠品率の種類と計算方法の詳細が丁寧にまとめられています。


欠品率(品切れ率)|最適な管理方法と在庫の持ち方 – 在庫管理110番


欠品率の計算に欠かせない「許容欠品率」と安全在庫の設定方法

欠品率を計算したら、次に重要なのが「どこまで欠品を許容するか」という許容欠品率の設定です。許容欠品率とは、在庫管理において欠品をある程度容認するための基準を示す指標で、安全在庫の計算と深く結びついています。


安全在庫の基本的な計算式は次のとおりです。


> 安全在庫 = 安全係数 × 使用量の標準偏差 × √(発注リードタイム + 発注間隔)


安全係数とは、欠品をどの程度許容できるかによって決まる数値で、許容欠品率と一対一で対応しています。代表的な数値は以下のとおりです。








欠品許容率 安全係数(安全在庫係数)
5%(100回中5回の欠品を許容) 1.65
2.5%(100回中2〜3回の欠品を許容) 1.96
1%(100回中1回の欠品を許容) 2.33


例えば欠品許容率を5%(サービス率95%)に設定した場合、安全係数は1.65となります。仮に1日あたりの使用量の標準偏差が10個で、発注リードタイムが4日・発注間隔が3日であれば、安全在庫は「1.65 × 10 × √7 ≒ 43.7個」と計算できます。安全係数を決めることが条件です。


許容欠品率を低く設定するほど、安全在庫を多く抱えることになります。在庫金額が増えれば保管コストも増大し、資金繰りに悪影響を及ぼすリスクも生まれます。欠品を恐れすぎると、逆に会社経営を圧迫するという逆説的な状況に陥ることもあります。これは覚えておけばOKです。


現実的なアプローチとしては、売れ筋商品の許容欠品率は低く(例:2〜3%)、販売数が少ない商品の許容欠品率は高め(例:10〜15%)に設定して、在庫コストと機会損失のバランスをとることが推奨されています。


参考:安全係数と欠品許容率の関係・計算式を詳しく解説しています。


安全在庫とは?安全係数を用いた計算式、適正在庫との違いを解説 – PLC


欠品率が高くなる主な原因:収納・整理整頓の乱れが「見えない欠品」を生む

欠品率が上昇する原因は複数あります。需要予測の精度不足、発注リードタイムの把握不足、そして見落とされがちな「在庫管理の不備」です。


特に収納・倉庫管理に関わる人が見落としやすいのが、「見えない欠品」の問題です。データ上では在庫があることになっているのに、実際には商品が見当たらない状態のことで、整理整頓が行き届いていない保管場所では頻繁に発生します。厳しいところですね。



  • 📦 在庫管理の不備:帳簿在庫と実在庫の差異が「見えない欠品」の温床になる

  • 📉 需要予測の精度不足:季節変動やキャンペーン情報が予測に反映されず在庫不足になる

  • ⏱️ 発注リードタイムの把握不足:発注から納品まで予想以上の日数がかかり欠品につながる

  • 🗃️ 過剰在庫・滞留在庫の放置:収納スペースが圧迫されて必要な商品の出し入れが妨げられる


不思議なことに、欠品が多発している現場では過剰在庫や滞留在庫の問題も同時に起きていることが多いです。あるべき在庫が乱雑な収納の中に埋もれ、棚卸しをしたときに初めて発見されるというケースは珍しくありません。


この問題の根本的な解決策は「2S(整理・整頓)」の徹底です。整理とは「不要なものを取り除くこと」、整頓とは「必要なものをすぐに取り出せる状態にすること」を意味します。収納の改善が、欠品率の計算値を直接良化させる土台となります。整理整頓が基本です。


過剰(滞留・不良)在庫の解消を先行させることで、本当に必要な在庫の所在が明確になり、欠品率を数値で正確に把握できるようになります。順番が大切です。


欠品率を下げるために収納・在庫管理で実践できる5つの改善策

欠品率の計算方法を理解したら、次のステップは具体的な改善行動です。倉庫や収納スペースの管理者が今日から始められる実践策を5つ紹介します。


① ロケーション管理の徹底


どの商品がどこに保管されているかを明確にする「ロケーション管理」は、欠品率改善の土台です。棚番号や区画番号を設定して商品と紐付けることで、ピッキング作業が効率化され、誤出荷や在庫差異を大幅に減らせます。収納場所を「見える化」することが前提です。


② 入出庫管理の徹底と定期棚卸しの実施


商品の入荷・出荷のたびに数量と日付を正確に記録することで、帳簿在庫と実在庫の差異を防げます。年1回だけの棚卸しでは在庫差異の原因特定が困難なため、月次や週次での循環棚卸しを取り入れると効果的です。バーコードやRFIDを活用した記録の自動化は、ヒューマンエラーの削減に特に有効です。


③ 発注リードタイムの把握と短縮


発注から納品までの期間(リードタイム)を正確に把握し記録しておくことで、「いつまでに発注すれば欠品しないか」が明確になります。リードタイムが長い商品ほど欠品リスクは高くなるため、サプライヤーとの連携を強化してリードタイム短縮に取り組むことが重要です。リードタイムの短縮が条件です。


④ 需要予測の精度向上


過去の販売データや季節変動、キャンペーン情報などを分析し、需要予測の精度を高めることが適切な在庫水準の維持につながります。近年はAI需要予測ツールの活用も進んでおり、ノーコード型のツールであれば専門知識がなくても導入できます。予測精度向上には継続的なPDCAが必要です。


在庫管理システム(WMS)の導入


倉庫管理システム(WMS)を活用することで、リアルタイムの在庫状況把握と入出庫管理が一元化できます。帳簿在庫の精度が向上し、欠品・過剰在庫のリスクを同時に抑えられます。システムと人の運用がセットで機能することが重要です。



  • 🔍 ロケーション管理で「どこに何があるか」を可視化する

  • 📝 入出庫記録の徹底と定期棚卸しで帳簿と実在庫の差異をゼロに近づける

  • ⏳ 発注リードタイムをサプライヤーごとに記録・定期更新する

  • 📊 AIツールや過去データを使って需要予測の精度を段階的に上げる

  • 💻 WMS導入でリアルタイムの在庫可視化と一元管理を実現する


参考:欠品率を下げるための5つの具体的な改善策が詳しくまとめられています。


欠品率とは?計算方法と業界別の平均目安 – B-Luck


欠品率の計算結果を活用した独自視点:「収納の質」が欠品率の数値を左右する理由

欠品率の計算方法は知っていても、「なぜ計算値と現場の実態が合わないのか」と疑問を感じたことはないでしょうか。その答えの多くは、収納・保管環境の質にあります。


ある企業事例では、欠品率が20%から10%へと改善されましたが、その主要因は高度なシステム導入ではなく、倉庫内の整理整頓の徹底とロケーション管理の見直しでした。データ上は在庫があるのに現場で見つからないという「帳簿在庫と実在庫の乖離」が解消されただけで、欠品率の計算値が半減したのです。これは使えそうです。


収納の質が欠品率に直結する理由は明確です。



  • 📌 保管場所が明確でないと在庫の実数が把握できない:収納が乱雑だと棚卸しの精度が下がり、計算に使う「欠品数」の数値自体が不正確になる

  • 📌 デッドストックが収納スペースを圧迫する:不要な在庫が場所を占領し、本当に必要な商品の出し入れが遅れ、実質的な欠品時間が増加する

  • 📌 5S活動は欠品率計算の「前提条件」を整える:整理・整頓・清掃・清潔・躾の徹底が、正確な在庫データの入力と棚卸し精度を支える


業界別に欠品率の許容水準を見ると、小売業・ECは10〜30%、製造業(自動・建設)は3%以下、医療用品・重要部品は限りなくゼロが目安です。製造業で3%以下という厳格な基準が達成できているのも、部品の保管場所と在庫数を徹底管理している収納環境があってこそです。


また、欠品を恐れすぎた結果として過剰在庫を抱え込んだアパレル企業の事例も実在します。大手アパレルブランドの調査では、2018年に市場に投入された衣料品のうち実際に売れたのは調達数量の約46.9%にとどまっており、1990年比で半減しています。欠品率ゼロを追いかけた結果、在庫コストが膨らみ経営を圧迫したのです。収納の過多も欠品と同じくらい危険です。


欠品率の計算方法を正しく理解し、その数値を定期的にモニタリングする習慣をつけながら、収納の整理整頓という「土台」を同時に整えることが、持続的な在庫管理の改善につながります。


参考:欠品率と在庫回転日数を連動させた総合的な在庫管理の考え方を詳しく解説しています。


欠品率(品切れ率)|最適な管理方法と在庫の持ち方 – 在庫管理110番