表面粗さ測定機ミツトヨのサーフテスト種類と選び方

表面粗さ測定機ミツトヨのサーフテスト種類と選び方

表面粗さ測定機ミツトヨのサーフテストを正しく使いこなすために

触針を毎回きれいに拭いても、測定値がズレ続けて不良品を見逃す場合があります。


📋 この記事のポイント
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機種ラインナップを把握する

ミツトヨのサーフテストはハンディ型・据え置き型・CNC型に分かれ、用途に応じた選び方がある。

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Ra・Rzの違いと使い分け

RaとRzは図面の指示内容と用途で使い分けが必要。旧JIS規格と新JISではRzの定義が異なるため要注意。

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正確な測定のための校正と保管

粗さ標準片による定期校正と、触針(スタイラス)の状態管理が測定精度維持の鍵になる。


表面粗さ測定機ミツトヨ「サーフテスト」シリーズの全ラインナップ


ミツトヨの表面粗さ測定機(サーフテスト)は、大きく「ハンディ型」と「据え置き型(評価型)」、そして「CNC型」の3カテゴリに分かれています。それぞれ用途や測定精度のレベルが異なり、現場の状況に合わせて選ぶことが大切です。


ハンディ型の代表機種は、SJ-210シリーズ・SJ-220シリーズ・SJ-310シリーズ・SJ-410シリーズです。片手に収まるコンパクトなサイズが特徴で、大型ワークや屋外構造物のように測定機に載せられない対象にも対応できます。これは使えそうです。


| 機種 | 特徴 | 主な用途 |
|------|------|---------|
| SJ-210 / SJ-220 | 2.4~2.8インチカラーLCD搭載、最小・最軽量クラス | 工場現場での日常測定 |
| SJ-310 | 5.7インチタッチパネルLCD、プリンタ内蔵 | 現場+記録が必要な測定 |
| SJ-410 | タッチパネル、多彩な解析機能 | 品質管理・詳細解析 |
| SV-2100シリーズ | 据え置き型、ハンディ並みの操作性 | 品質管理部門 |
| SV-3000 CNC | CNC制御、複数断面・複数ワーク自動測定 | 大量生産ライン、自動化対応 |


SJ-210の後継機がSJ-220であることは、購入・補修部品の調達時に知っておくと役立ちます。SJ-220では操作性がさらに改善され、従来のSJ-210ユーザーでも直感的に移行できる設計になっています。


据え置き型のSV-2100シリーズは「ハンディ型並みの使いやすさを据え置き型で実現」というコンセプトで、測定部門と現場の両方のニーズに応える機種です。測定範囲や解析機能が拡張されており、安定した環境での高精度評価に向いています。


CNC型のSV-3000 CNCシリーズは、高速位置決めと複数断面の自動測定に対応しています。エンジンブロックやクランクシャフトのような大型・重量ワークを扱う現場では、SV-M3000 CNCが選ばれています。


参考:ミツトヨ公式 表面粗さ測定機 商品一覧ページ(ラインナップの詳細スペック確認に最適)
https://www.mitutoyo.co.jp/products/measuring-machines/form-measuring-machines/roughness/


表面粗さ測定機ミツトヨの選び方:0.75mNと4mNタイプの違い

ミツトヨのサーフテストを購入・選定するとき、多くの方が見落としやすいのが測定力(mN)の違いです。結論は測定する規格で決まります。


検出器の測定力には「0.75mN(0.75ミリニュートン)タイプ」と「4mN(4ミリニュートン)タイプ」の2種類があります。0.75mNは新JIS規格(JIS B 0601:2001以降)に対応した標準タイプで、4mNはJIS1994以前の旧規格に対応したタイプです。


つまり、図面や取引先の要求仕様がJIS2001以降の規格に基づく場合は0.75mNタイプ、旧JIS規格(1994年以前)で管理されている場合は4mNタイプが必要になります。


実際の現場では、旧JIS規格の図面が混在していることも珍しくありません。特に鉄鋼・自動・機械加工の分野では、1982年や1994年制定のJIS規格が長年使われてきた経緯があるため、取引先との仕様確認が欠かせません。


同じ「SJ-210」という機種名でも、注文コードが「178-560-01(0.75mN)」と「178-560-11(4mN)」で別物になる点も注意が必要です。購入前に必ず対応規格を確認する、というのが基本です。


また、軟らかい素材(アルミ、樹脂など)を測定する場合、4mNタイプでは測定力が大きいため表面に微細な圧痕が残るリスクがあります。素材の硬度も選定基準の一つです。


参考:ミツトヨ FAQ「サーフテスト 0.75mNタイプと4mNタイプどっちを選ぶ?」
https://faq.mitutoyo.co.jp/292


表面粗さ測定機ミツトヨで使うRa・Rzパラメータの違いと使い分け

表面粗さ測定で最も頻繁に登場するパラメータが、Ra(算術平均粗さ) と Rz(最大高さ粗さ) です。どちらも同じ測定機で測れますが、示す内容が根本的に異なります。


Ra(算術平均粗さ) は、測定した表面の凹凸を平均化した値です。表面全体の滑らかさを1つの数値で表すため、国内外で最も広く使われている指標です。値が小さいほど表面が滑らかで、例えばRa0.8μmは研削仕上げの水準、Ra3.2μmは荒削り仕上げの目安とされています。


Rz(最大高さ粗さ) は、測定区間内で最も高い山(Rp)と最も深い谷(Rv)の合計値です。表面にキズや突出した欠陥があるかどうかを確認するのに有効で、機械的な性能や耐久性に影響する部品の品質管理で重宝します。RaとRzを組み合わせて使うのが原則です。


ここで注意すべき重要な点があります。JIS規格の改定により、「Rz」という記号の定義が変わっています。


- JIS 1982・1994規格では「Rz」=十点平均粗さ(5番目までの山と谷の平均)
- JIS 2001以降の規格では「Rz」=最大高さ粗さ(最大の山高さ+最大の谷深さ)


同じ「Rz」という表記でも、新旧JIS規格では計算方法が異なり、測定値が一致しない場合があります。古い図面や旧世代の測定機を使っている工場との取引では、どちらの規格に基づく指示なのかを必ず確認することが不良品の見落とし防止につながります。


旧JIS規格の「十点平均粗さ」は現在「RzJIS」という記号で区別されていますが、現場では混用されているケースも少なくありません。意外ですね。



  • 📌 全体的な粗さ管理 → Raを使用

  • 📌 キズ・欠陥の有無評価 → Rzを使用

  • 📌 旧規格との互換性が必要 → RzJISで区別

  • 📌 図面の年代が古い → 必ず規格確認を


参考:ミツトヨ公式「表面粗さの基礎知識」パラメータ定義・基準長さ一覧
https://www.mitutoyo.co.jp/about-metrology/knowledge/roughness/


表面粗さ測定機ミツトヨの校正方法と測定精度の維持管理

測定機は使い続けるうちに誤差が蓄積します。これが基本です。


ミツトヨのサーフテストでは、粗さ標準片(キャリブレーションブロック) を使った定期的な校正が必要です。校正には「点検(ゼロ調整)」と「校正(精度確認)」の2種類があります。


点検(ゼロ調整) は、測定機が正しくゼロを示しているかを確認する作業です。毎回の測定前や、測定環境が変わったタイミングで行うのが望ましいとされます。


校正(精度確認) は、公称値が確認された粗さ標準片を実際に測定し、その結果と標準片のRa値のずれを確認・補正する作業です。ミツトヨのFAQ(FAQ ID: 311)によると、SJ-210では校正測定後に「更新(Redキー)」を押して校正係数を更新する手順が必要で、この操作を忘れると補正が反映されません。


気をつけたいのが環境条件です。温度・湿度の変化は測定値に影響します。測定機の仕様温度範囲(一般的に5〜40℃)を外れる環境での使用や、温度変化が急激な場所への移動直後の測定は、数値のばらつきにつながります。測定前に少なくとも15〜30分程度、測定環境に馴染ませることが精度確保の基本です。


触針(スタイラス)の状態管理もコスト面で見逃しやすいポイントです。触針先端はダイヤモンド製ですが、測定するワークの材質や測定回数によって摩耗します。ミツトヨの公式FAQでは「測定するワークの表面性状や測定条件に依存するため、特にメーカーとして寿命を定めていない」とされています。


摩耗した触針を使い続けると測定値が実態よりも小さく出る傾向があり、本来は不合格品を合格と判定してしまうリスクがあります。粗さ標準片で定期的に測定値を確認し、公称値から大きくズレている場合は触針の交換を検討することが現実的な対応です。


ミツトヨ製サーフテストSJ-210/310シリーズ用の交換触針(スタイラス)は消耗品として別売りされており、定期的な交換コストを運用計画に含めておくことを推奨します。


参考:ミツトヨ公式「形状測定機の校正について」(校正の2種類の違いを詳しく解説)
ミツトヨ「形状測定機の校正について(PDF)」


表面粗さ測定機ミツトヨの収納と保管で測定精度を長持ちさせるコツ

精密測定器は「仕舞い方」で寿命が変わります。


サーフテストに限らず、精密測定機器全般において保管環境と収納方法は測定精度の維持に直結します。以下の点を意識するだけで、機器の劣化スピードが大きく変わります。


✅ 収納・保管の基本チェックリスト



  • 🌡️ 温度・湿度の管理:推奨保管温度は5〜40℃、湿度は85%RH以下(結露なし)。棚や収納ボックスを窓際・エアコン吹き出し口の直下に置かないようにする。

  • 💧 防湿対策:湿気が多い現場では、乾燥剤(シリカゲル)入りのケースや防湿庫への収納が有効。湿気による電気系統の腐食は修理費用が高くなりやすい。

  • 🧲 振動・衝撃の回避:触針先端は極めて微細(先端半径2〜5μm)で、落下や強い衝撃で変形・破損するリスクがある。収納時は専用ケースに入れ、工具などと同じ引き出しに雑然と置かないようにする。

  • 🔋 バッテリー管理:長期保管時は充電池を完全に放電させたまま放置しない。内蔵NiMH充電池は過放電状態が続くと劣化しやすく、交換費用が発生する。

  • 🧹 触針の保護:測定後は触針を必ず退避(収納)位置に戻す。SJ-210/SJ-310では検出器退避機能を活用することで、触針先端の不意の接触を防げる。


収納場所の工夫として、製造現場で多く採用されているのが「定位置管理(見える化)」です。5S活動の整頓の視点から、測定器を専用トレイや形状フォームに収めて定位置に置く方法は、紛失防止と触針保護の両面で有効です。


測定器の収納は「出し入れのしやすさ」と「安全な保護」のバランスが大切です。


また、SJ-220などのハンディ型はコンパクトで持ち運びやすいものの、その分「とりあえず机の上に置く」という状況が起きがちです。専用の収納スペースをあらかじめ決めておく、もしくはツールキャビネットの専用引き出しに形状フォームを敷いて収納するなど、習慣化のための工夫が現場での破損防止につながります。


表面粗さ測定機ミツトヨをレンタル・中古で調達する際の注意点

新品の定価は高い、それは事実です。


ミツトヨのサーフテストSJ-310(校正書付き)の参考価格は税別で488,000円前後とされており、製造現場で複数台揃えるとなると大きなコストになります。そのため、レンタルや中古品の活用も現実的な選択肢として検討される場面が多くあります。


レンタル利用のメリットと注意点


レンタルは、スポットでの品質検査や設備導入前の試用、突発的な測定ニーズに対応しやすいのが強みです。株式会社メジャーや西尾レントオールなどの計測器レンタル専業業者では、SJ-210・SJ-310などの主要機種をレンタル対応しています。ただし、レンタル機は「校正証明書の有効期限」に注意が必要です。JCSS校正対応の証明書が求められる取引先の検査では、校正有効期限切れの機器は使用できません。


中古品購入のリスクと確認ポイント


Yahoo!オークションなどでの落札相場は、状態次第で1,200円〜100万円超と幅があります(ミツトヨ粗さ計関連品の180日間の落札最安1,200円、最高1,068,832円の実績あり)。


中古品を購入する際の確認すべきポイントは以下のとおりです。



  • 🔍 触針(スタイラス)の状態:先端が摩耗した触針は交換が必要。交換費用と手間を込みで判断する。

  • 📋 校正証明書の有無と日付:取引先の要求によっては、購入後にメーカー校正(有償)が必要になる。

  • 🔌 ACアダプタ・付属品の有無:純正ACアダプタ以外の電源接続は機器故障の原因になるため、純正品があるかを確認する。

  • ⚠️ 保守サポート対象かどうか:ミツトヨは旧モデルの保守サポートを順次終了しており、SJ-210は後継機SJ-220への移行が推奨されている。旧モデルは修理部品が入手困難になるリスクがある。


導入コストを抑えつつ精度を確保するための現実的な選択肢として、「認定中古品(校正証明書付き再整備品)」を扱う計測器専門業者の活用があります。


参考:計測器レンタル・中古販売サービス「株式会社メジャー」粗さ計一覧
https://www.measuring.jp/son/son03




ミツトヨ 178シリーズ サーフテスト(現場形表面粗さ測定機) SJ-210 標準駆動タイプ4m (178-560-12)