返品処理の仕訳と勘定科目を基本から正しく理解する方法

返品処理の仕訳と勘定科目を基本から正しく理解する方法

返品処理の仕訳と正しい勘定科目の使い方

返品が起きたとき、「逆仕訳するだけ」と思っていたら、実は税務調査で指摘されるケースがあります。


📋 この記事でわかること3つのポイント
🔄
売上戻りと仕入戻しの違い

返品には「自社が販売した商品の返品(売上戻り)」と「自社が仕入れた商品の返品(仕入戻し)」の2種類があり、使う勘定科目と仕訳の方向がまったく異なります。

📅
期をまたぐ返品の注意点

前期に計上した売上や仕入が翌期に返品された場合は、通常の逆仕訳と勘定科目が変わります。「未収金」「未払金」などの処理が必要になるため、見落としが起きやすいポイントです。

💴
消費税と新収益認識基準への対応

返品処理では消費税の修正も必須です。また2021年以降に適用が始まった新収益認識基準では「返金負債」「返品資産」という新しい勘定科目が登場しており、従来の処理とは異なります。


返品処理の仕訳における売上戻りと仕入戻しの基本的な違い


返品処理の仕訳を正しく行うためには、まず「どちら側の取引か」を明確にすることが大前提です。返品には大きく2つのケースがあります。自社が販売した商品を顧客から返品される「売上戻り」と、自社が仕入先に対して仕入れた商品を返品する「仕入戻し」の2種類です。使う勘定科目の方向が全然違うので、混同すると帳簿が崩れます。


売上戻りの仕訳例(税込処理・3,300円の場合)


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|------|------|------|------|
| 売上 | 3,300円 | 売掛金 | 3,300円 |


仕入戻しの仕訳例(税込処理・3,300円の場合)


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|------|------|------|------|
| 買掛金 | 3,300円 | 仕入 | 3,300円 |


売上戻りでは「売上(借方)/売掛金(貸方)」という形で、販売時に計上した売上高を減額します。一方の仕入戻しでは「買掛金(借方)/仕入(貸方)」という形で、仕入時に計上したコストを取り消します。つまり両者は借方・貸方が入れ替わり、勘定科目も異なります。これが基本です。


なお、「売上戻り」という独立した勘定科目を使うこともあります。返金分を後で確認したいときに使う方法で、売上を直接取り消すのではなく「売上戻り」として記録する形です。ただし「売上戻り」は決算書に直接表示されない科目なので、決算時に「売上」と相殺する処理が必要になります。同様に仕入戻しも「仕入戻し」勘定を使う場合は決算時に「仕入」と相殺が必要です。決算時の相殺処理は必須です。


税抜処理を採用している場合は、消費税の修正も仕訳に含めます。3,000円(税抜)+消費税300円=3,300円の商品の売上戻りであれば、以下のようになります。


売上戻りの仕訳例(税抜処理・3,300円の場合)


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|------|------|------|------|
| 売上 | 3,000円 | 売掛金 | 3,300円 |
| 仮受消費税 | 300円 | — | — |


税込処理か税抜処理かで仕訳の内容が変わるため、自社の採用方式を事前に確認しておきましょう。


弥生株式会社「返品の会計処理とは?仕訳方法や勘定科目などを解説」|売上戻り・仕入戻しの仕訳例と消費税の扱いを整理する際の参考に


返品処理の仕訳で期をまたぐ場合の勘定科目の変わり方

返品処理において最も見落とされやすいのが、決算期をまたいだ返品への対応です。同じ期内の返品であれば単純な逆仕訳で済みますが、前期に計上した売上や仕入に対して翌期に返品が発生した場合は処理が変わります。


前期に3,300円で販売した商品が翌期に返品され、すでに代金が入金済みである場合、仕訳は次のようになります。


期をまたぐ売上戻りの仕訳例(代金を返金する場合)


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|------|------|------|------|
| 売上 | 3,300円 | 普通預金 | 3,300円 |


「売上を取り消して、返金分を預金から出す」という形です。さらに前期中に返品は完了したが、返金だけが翌期にずれ込んだ場合には、前期の帳簿で以下のように処理します。


前期に処理する仕訳(返金が翌期にずれる場合)


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|------|------|------|------|
| 売上 | 3,300円 | 未払金 | 3,300円 |


未払金を使って「返金義務がある」ことを前期に記録し、翌期に実際の返金が発生した時点で「未払金/普通預金」として消し込みます。仕入戻しの場合も同様で、前期に支払い済みの仕入れを翌期に返品したときは「普通預金/仕入」や「未収金/仕入」で対応します。


期をまたぐ場合の処理が特に重要になるのは、取引金額が大きいときです。数千万円規模の返品を誤って処理すると、課税額に大きな差が生まれ、税務調査で問題になる可能性があります。


freee税務相談「年度を跨ぐ消耗品の購入→返品における会計処理方法」|期をまたぐ返品の仕訳の具体的な処理方法を確認する際に


返品処理の仕訳における消費税の正しい扱いと税務調査対策

返品が発生したとき、消費税の処理も同時に修正しなければなりません。これが意外と漏れやすい部分です。


返品に伴い売上代金の返金を行った場合、その返金額に含まれる消費税額については、国に納付すべき消費税額から差し引くことができます。これを「売上に係る対価の返還等」として処理する仕組みです。国税庁の規定に基づき、課税標準額に対する消費税額からこの分を控除する処理が原則となります。


国税庁「割戻しなどを行った場合の税額の調整(売上げに係る対価の返還等)」|返品・値引き時の消費税控除ルールを確認する際の公的な参考資料


注意したいのが、「免税事業者だった期間に販売した商品が返品された場合」です。免税事業者は消費税を預かっていない状態で販売しているため、後で返品があっても消費税額の控除を受けることができません。課税事業者に転換した後でも、免税事業者期間の販売分については控除不可という扱いが続きます。これは損をする可能性があります。


また、税務調査では返金処理が「売上・仕入の減額」として正しく反映されているか、消費税の課税・非課税区分が適切かどうかが確認されます。返品や値引きの処理漏れや、消費税コードの誤設定は指摘を受けやすいポイントです。


仕入側の返品処理(仕入戻し)では、消費税の帳簿保存要件がない一方で、売上側の返品処理(売上戻り)には帳簿保存要件があるという違いもあります。意外に知られていないポイントなので、経理実務での注意が必要です。


返品処理の仕訳を変える新収益認識基準と返品調整引当金の廃止

2021年4月以降、上場企業や大会社に強制適用が始まった「収益認識に関する会計基準(新収益認識基準)」は、返品処理の仕訳に大きな変化をもたらしました。これは中小企業にも無関係ではない内容です。


新収益認識基準では、返品権付き販売を行う場合、販売時点で「返品されると見込まれる部分」については収益を認識しないと定められています。従来は商品を売ったときに全額を売上計上し、将来の返品リスクを「返品調整引当金」として積み立てる方法がとられていました。この処理が根本から変わりました。


新収益認識基準適用後の仕訳イメージ(商品500円×1万個、うち1,000個返品見込み)


| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|------|------|------|------|
| 現金預金 | 5,000,000円 | 売上高 | 4,500,000円 |
| — | — | 返金負債 | 500,000円 |
| 仕入(売上原価) | 1,800,000円 | 現金預金 | 2,000,000円 |
| 返品資産 | 200,000円 | — | — |


返品が見込まれる分(500円×1,000個=50万円)は「返金負債」として負債に計上し、対応する原価(200円×1,000個=20万円)は「返品資産」として資産計上します。売上高には純粋に確定している部分だけが計上されます。


一方、中小企業は引き続き従来の企業会計原則に基づく処理(容認処理)が認められています。しかし、法人税法上の返品調整引当金については、2021年4月1日から2030年3月31日の間に段階的に損金算入限度額が縮小されており、毎年1割ずつ使える額が減っていきます。2030年4月1日以降は完全に損金算入不可となります。今から対応を考えておく必要があります。


マネーフォワード クラウド「返品調整引当金は法改正により廃止!仕訳方法や変更点を解説」|新会計基準での返金負債・返品資産の仕訳処理を確認する際に


返品処理の仕訳ミスを防ぐために在庫管理と帳簿を一致させる独自視点

会計の教科書では「仕訳さえ正しければOK」という扱いになりがちですが、実務ではもう一つの落とし穴があります。それが「帳簿上の在庫と実際の在庫のズレ」です。返品処理のミスとして金額よりも件数のほうが多いのがこのケースです。


返品された商品が再販できる状態なのか、破損して廃棄されるのか、仕入先に直接返送されるのかによって、在庫への影響が異なります。たとえば、顧客から返品を受けたが破損しているため再販不可のケースでは、帳簿上は「売上を取り消す処理」を行いつつ、在庫には戻さないという対応が必要です。仕訳は正しくても在庫管理が追いついていないと、決算時の棚卸しで大きな誤差が生じます。


ECサイトの運営では返品率5〜10%というデータがあります(株式会社エルテックスの調査より)。取扱商品の価格が1点3,000円であれば、月間1,000件販売した場合、月に50〜100件の返品処理が発生する計算になります。これを手動でバラバラに管理していると、帳簿と在庫のズレが累積して決算時に大きな修正作業が生まれます。


この問題を防ぐためには「返品処理が発生したら、仕訳と在庫を同タイミングで更新する運用ルール」を設けることが効果的です。会計ソフトとEC管理システムを連携させている場合は、返品登録が自動で在庫に反映される設定になっているかを確認しましょう。この設定が漏れているシステムは意外と多いです。


また、弥生会計NextやMoneyForwardクラウドなどのクラウド会計ソフトでは、返品の仕訳テンプレートを作成しておくことで、担当者が変わっても同じ処理が維持できます。勘定科目の入力ミスは「ゼロにする仕組み」を作ることが理想です。帳簿と在庫の整合性が条件です。


ネクストエンジン「返品処理とは?業務フローや会計処理のタイミング・仕訳例を紹介」|EC事業者が実務で活用できる返品フローと会計処理のタイミングを確認する際に




AioBos 毛抜き 先細め 先尖 0.08mm 精密 ピンセット 熱処理済み サンドブラスト 眉毛抜き 鼻毛 黒ずみ取り ヒゲ とげぬき 処理 男女兼用 収納ケース 毛が簡単に正確に毛を抜く