RoHS対応とは何か:有害物質・規制・証明書を解説

RoHS対応とは何か:有害物質・規制・証明書を解説

RoHS対応とは:有害物質・規制・証明書を徹底解説

収納や整理用のプラスチックケースでも、フタル酸エステルが含まれていると欧州向けに販売できません。


この記事のポイント
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RoHS対応とは?

EUが定める「有害物質使用制限指令」への適合のこと。電気・電子機器に含まれる10物質を規制濃度以下に管理し、CEマーキングと適合宣言書(DoC)で証明する仕組みです。

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違反するとどうなる?

EUへの輸出品がRoHSに違反した場合、製品の回収義務に加え5,000ポンド(約77万円)以上の罰金が科せられます。EU市場からの撤退を求められた実例もあります。

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何をすればよい?

規制10物質の含有調査・サプライヤーからの宣誓取得・技術文書の整備の3つが基本ステップです。適合後は10年間の文書保管が義務付けられています。


RoHS対応とは何か:ローズ指令の基本的な意味と目的


RoHS対応とは、EUが定めた「特定有害物質使用制限指令(Restriction of Hazardous Substances Directive)」に準拠することを指します。読み方は「ローズ対応」で、電気・電子機器(EEE)に含まれる10種の有害化学物質を、規定の濃度以下に抑えることが求められます。「電子機器だけの話」と思われがちですが、収納ケースや樹脂製容器のように電子部品を含む可能性のある製品も対象となるため、幅広いジャンルに関わる規制です。


この指令が生まれた背景には、欧州での深刻な廃棄物問題があります。1990年代後半から2000年代初頭にかけて、廃電気・電子機器から漏れ出た鉛やカドミウムなどの重金属が土壌や地下水を汚染し、人体への悪影響が懸念されていました。欧州連合(EU)は廃棄段階だけでなく製造段階から対策を取るべきと判断し、2003年2月に指令を公布、2006年7月から施行しました。


現行の指令は2013年から適用された「RoHS2(指令2011/65/EU)」です。2015年にはフタル酸エステル4物質が追加され、現在は計10物質が規制対象となっています。これらは「RoHS10物質」とも呼ばれます。


目的は大きく3つです。有害物質への曝露を減らすことによる人の健康保護、廃棄段階を含むライフサイクル全体での環境負荷低減、そしてEU域内での基準統一による流通の円滑化です。


JETRO「RoHS(特定有害物質使用制限)指令の概要:EU」—EUのRoHS指令の概要や日本企業への影響を公的機関が解説した一次資料


つまりRoHS対応とは、製品の設計・調達・証明書整備を通じて、有害物質を適切に管理する一連の取り組みです。


RoHS対応の規制対象10物質と最大許容濃度の一覧

RoHS対応を理解するうえで最も重要なのが、規制対象の10物質とその最大許容濃度です。濃度の単位は「wt%(重量パーセント)」で、製品全体の平均値ではなく「均質材料(機械的に分離できる最小単位)あたりの質量分率」で計測される点に注意が必要です。金属業界ではppm(100万分率)でも表記され、たとえば1,000ppm=0.1wt%となります。


物質名 略号 最大許容濃度 主な用途例
Pb 0.1wt%(1,000ppm) はんだ、蓄電池、合金成分
水銀 Hg 0.1wt%(1,000ppm) 蛍光灯、体温計、バッテリー
カドミウム Cd 0.01wt%(100ppm) 顔料、ニカド電池、メッキ
六価クロム Cr⁶⁺ 0.1wt%(1,000ppm) 金属防食コーティング(メッキ)
ポリ臭化ビフェニル PBB 0.1wt%(1,000ppm) 難燃剤(電気製品・繊維)
ポリ臭化ジフェニルエーテル PBDE 0.1wt%(1,000ppm) 難燃剤(電気製品・繊維)
フタル酸ジエチルヘキシル DEHP 0.1wt%(1,000ppm) プラスチック可塑剤(塩化ビニル等)
フタル酸ジブチル DBP 0.1wt%(1,000ppm) プラスチック可塑剤
フタル酸ブチルベンジル BBP 0.1wt%(1,000ppm) プラスチック可塑剤
フタル酸ジイソブチル DIBP 0.1wt%(1,000ppm) プラスチック可塑剤


カドミウムだけは基準が特に厳しいです。他の物質の上限が0.1wt%(1,000ppm)であるのに対し、カドミウムは0.01wt%(100ppm)と、10分の1の厳しさで設定されています。これはカドミウムが骨や腎臓に蓄積しやすい強い毒性を持つためです。


注目したいのがDEHP・DBP・BBP・DIBPの4つのフタル酸エステル物質です。これらはプラスチックを柔らかくする可塑剤として広く使われており、収納ケースや整理ボックスのような日用品の樹脂素材にも含まれることがあります。2015年にRoHS2の改正によって追加され、2019年7月から適用が開始されました。フタル酸エステルは生殖毒性や発達毒性が指摘されており、EUではプラスチック製おもちゃなど複数の製品ですでに規制が進んでいました。


これは意外なポイントです。「RoHSは金属の規制」というイメージを持つ人も多いですが、樹脂・プラスチック素材も対象に含まれています。


富士フイルム「RoHS(ローズ)指令とは?規制対象となる10物質を詳しく解説」—規制10物質の詳細と許容濃度を分かりやすくまとめた解説記事


RoHS対応が必要な製品カテゴリーと収納用品との関係

RoHS対応が必要な製品は、定格電圧AC1,000V・DC1,500V以下の電気・電子機器が基本です。この定義は非常に広く、11のカテゴリーにわたります。


具体的には大型家庭用電気製品(冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど)、小型家庭用電気製品(掃除機・アイロン・電動歯ブラシなど)、情報技術・電気通信機器(パソコン・スマートフォン・プリンターなど)、民生用機器(テレビ・ビデオカメラ・楽器など)、照明機器(蛍光灯・LED照明など)、電気・電子工具(電気ドリルはんだごてなど)、玩具・レジャー用品(ビデオゲーム機・電子玩具など)、医療機器(透析装置・心電図測定機など)、産業用監視・制御機器(煙感知器・サーモスタットなど)、自動販売機、そして上記に含まれない電気・電子機器(2019年7月から適用開始)が対象です。


収納・整理に関心のある方が特に知っておくべき点があります。2019年7月から「上記に含まれないその他の電気・電子機器」カテゴリーが適用開始となったことで、以前は対象外だった製品も対象に含まれる可能性が出てきました。


🔑 たとえば電動ギミックや充電機能を内蔵した収納グッズ、スマート収納家具のような製品は、電気的な機能を持てばRoHS対象となります。また、電気製品とセットで販売されるケースや持ち運び用バッグも、国や製品の構造によっては関連する規制の確認が必要です。


さらに「セットで販売される電子機器の収納ケース」は、RoHS指令の直接対象ではありませんが、包装廃棄物指令によりカドミウム・水銀・鉛・六価クロムの含有量を100ppm以下に抑えることが求められています。包装として使われる樹脂素材も無関係ではないということです。


日本国内だけで販売・使用する場合はRoHSの適用外です。ただし、製品をEU加盟国(ドイツ・フランス・イタリアなど)へ輸出する可能性があれば、日本企業であっても対応が必要です。欧州と関税同盟を結ぶトルコや、中国の独自のRoHS規制(通称「中国版RoHS」)も存在するため、グローバル展開を見据えた企業は早い段階での対応が得策です。


サンプラテック「樹脂製容器に関係するRoHS指令とは?」—樹脂・プラスチック製品とRoHSの関係を解説。収納や化学品容器への影響が理解できる


RoHS対応の適用除外とは:鉛が一部OK?知られていない例外ルール

「RoHSは有害物質を全面禁止する規制」と思われることがありますが、正確ではありません。これが実務でよく誤解されるポイントです。


RoHS指令には「適用除外」という仕組みがあり、技術的・科学的に代替が不可能な用途に限り、期限付きで特定の有害物質の使用が認められています。代表的な例として、真鍮(銅と亜鉛の合金)に含まれる4wt%までの鉛が挙げられます。真鍮は切削性を高めるためにごく少量の鉛を含有させることがあり、その代替技術がまだ完全には普及していないため、特例が設けられているのです。


適用除外になっている主な金属材料は以下のとおりです。


  • 🔩 鋼材(鋼鉄)に含まれる鉛:0.35wt%まで
  • 🪨 アルミニウムに含まれる鉛:0.4wt%まで
  • 🔶 銅合金(真鍮)に含まれる鉛:4wt%まで(2026年12月31日まで延長確認済み)
  • 💡 高融点はんだ中の鉛(特定用途)
  • 🌡️ 蛍光灯内の水銀(特定用途)


厳しいところですね。この適用除外は固定されているわけではなく、定期的に見直されます。たとえば「無塗装金属板およびファスナーの腐食防止用途の六価クロム防食材」は、代替技術が確立されたとして2007年7月1日に除外リストから外れました。適用除外が「代替が難しいから認めている期限付きの猶予」である以上、今後も追加・廃止が続く可能性があります。


この「適用除外」に依存した設計・調達を続ける企業は、ある日突然に期限切れとなり、製品改修のコストが発生するリスクを抱えています。そのため最新情報の確認は1年に1回以上定期的に行うことが推奨されます。EU委員会の委託機関であるOko-Institut e.V.(ドイツ・フライブルク)が除外品目のレビューを一括して行っており、同機関の公式ページで最新情報を確認できます。


東海テクノ「RoHS指令の適用除外物質とは?有効期限から最新の確認情報まで」—適用除外の種類・有効期限の調べ方を実務視点でまとめた記事


鉛フリーの真鍮代替材料としては、ビスマス(Bi)系素材やシリコン(Si)系素材を使った「鉛非含有真鍮」がJIS規格(C6801〜C6931)として規格化されており、サンエツ金属・三菱伸銅などの国内メーカーが販売しています。鉛フリー化を検討する際の第一歩として、こうした材料仕様書を取り寄せて比較検討するとよいでしょう。


RoHS対応の証明書・適合宣言の取得手順と必要書類

実際にRoHS対応を行う場合、どのような手順を踏めばよいのでしょうか?ここでは日本企業がEU向け製品を扱う際の基本的な適合フローを整理します。


まず前提として、RoHS指令では製品の生産者・販売者・輸出者・輸入者に義務が課されています。中でも「生産者(製造者)」に最も多くの義務が集中しています。


RoHS対応の基本ステップは次のとおりです。


  1. 🔬 製品・部品の含有物質調査

    最終製品に使われているすべての部品・材料について、RoHS10物質の含有濃度を確認します。外部検査機関(第三者認証機関)への依頼や、サプライヤーからの「含有宣誓書(RoHS Declaration)」の取得が主な手法です。全ロットを測定することは現実的ではないため、サプライヤー宣誓を基本に、定期的な外部分析と組み合わせるのが実務の定石です。


  2. 📄 技術文書の作成と保管

    適合の根拠を示す技術文書を作成します。使用材料のリスト、含有調査結果、適合性評価の記録などをまとめたもので、整合規格「EN IEC 63000」に従った形式が求められます。この技術文書は適合宣言書(DoC)とともに10年間の保管が義務付けられています(医療機器・監視制御機器カテゴリーは7年)。保管義務が10年と非常に長いことは実務担当者がしばしば見落とすポイントです。


  3. ✅ EU適合宣言書(Declaration of Conformity / DoC)の発行

    製品がRoHS指令に適合していることを生産者が自ら宣言する書類です。これは「第三者機関から発行される証明書」ではなく、製造者自身が作成・署名するものです。


  4. 🏷️ CEマーキングの製品への貼付

    RoHS2以降、対象製品にはCEマーキング(EU加盟国の基準を満たした製品のマーク)の貼付が義務化されています。CEマーキングはRoHSだけでなく他のEU指令との適合も意味するため、製品によってはLVD(低電圧指令)やEMC指令などとの合わせ確認が必要です。


  5. 🔄 定期的な適合状況の維持・更新

    一度適合を確認しても終わりではありません。設計変更や部品変更があれば再評価が必要で、規制改正(物質追加・除外期限切れ)にも追随する必要があります。



上市後に不適合が発覚した場合は、製品リコールとEU各加盟国の所轄当局への即時通知が義務付けられています。違反が当局に通告されれば、製品の回収命令、5,000ポンド(約77万円)以上の罰金、輸出禁止といった罰則が科せられます。2015年には、スロベニアからの報告により中国製プリント基板のはんだに鉛が80%含有されていることが発覚し、製品回収とEU市場からの撤退を余儀なくされた企業事例があります。


対応の記録管理には、経済産業省が無料で公開している「製品含有化学物質管理ガイド」が参考になります。


JEITA(電子情報技術産業協会)「RoHS関連情報」—日本企業向けに最新の規制動向・適用除外情報を継続更新している業界団体の公式情報


RoHS対応とREACH・WEEE指令との違い:混同しやすい3つの規制を整理

RoHSを調べると必ずといっていいほど「REACH規制」「WEEE指令」という言葉が一緒に出てきます。混乱しがちですが、それぞれ目的・対象・義務が明確に異なります。これら3つを整理して理解することで、自社製品への対応漏れを防げます。


まずRoHS指令(ローズ)は、電気・電子機器の「製造段階」での有害物質使用を制限する規制です。規制対象は特定の10物質で、濃度上限を守ることと証明書類の整備が主な義務となります。


次にREACH規制(リーチ)は、EUで販売されるすべての製品の化学物質管理を定めた包括的な規則です。対象は電気・電子機器に限らず、すべての化学物質・混合物・成形品が対象です。「SVHC(高懸念物質)」と呼ばれるリスト上の物質が成形品中に0.1%(wt%)を超えて含まれる場合、情報通知義務が発生します。RoHSより対象範囲が広い規制と理解してください。


WEEE指令(ウィー)は、電気・電子機器の「廃棄段階」を管理する生産者責任の制度です。廃棄された機器を適切に分別回収し、リサイクル率を達成することが義務付けられます。製品の廃棄時に見られる「廃棄バケツ印(X印が付いたゴミ箱のマーク)」はこのWEEE指令に対応するためのものです。


規制名 焦点 対象範囲 主な義務
RoHS指令 製造段階での有害物質制限 電気・電子機器(EEE) 10物質の濃度管理・CEマーキング・技術文書
REACH規制 化学物質の総合管理 すべての製品・化学物質 物質の登録・評価・認可・SVHC通知
WEEE指令 廃棄段階のリサイクル促進 電気・電子機器(EEE)の廃棄物 分別回収・リサイクル率の達成・廃棄バケツ印の表示


日本国内においては、RoHSに相当する制度として「J-MOSS(JIS C 0950)」があります。これは資源有効利用促進法に基づく制度で、特定化学物質(鉛・水銀・カドミウム・六価クロム・PBB・PBDEの6物質)が一定量以上含まれる場合にグリーンマーク等の表示が求められます。ただし、J-MOSSはEUのRoHS指令とは別の制度であり、J-MOSSに対応していてもEU向けにはEUのRoHS準拠が別途必要です。


RoHS・REACH・WEEEは、設計→使用→廃棄という製品ライフサイクルをそれぞれカバーする規制です。3つを「前・中・後」で切り分けると整理しやすくなります。


ユーロフィン「RoHS(ローズ)指令とはどんな規制なのか?10の対象物質を解説」—RoHS・REACH・WEEE指令の違いを専門家が整理した解説記事




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