

カッシーナ・イクスシー 413 CABチェアは、イタリアの建築家兼デザイナーであるマリオ・ベリーニが1970年代後半に手がけた名作チェアで、「人間の体の延長」というコンセプトでデザインされたと言われています。
スチールフレームを「骨格」、厚みのあるサドルレザーを「皮膚」に見立てた構成で、家具というよりも身体を包み込むプロダクトとして考えられている点が、他のチェアとは一線を画すポイントです。
座面から背、アームにかけて一続きのレザーが緊張感を保ちながら張られており、見た目の線は非常にミニマルでありながら、立体的で彫刻的な存在感を放ちます。
また、413 CABチェアはカッシーナのコレクションの中でも象徴的なモデルとされ、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションにも選ばれていることから、単なる実用品を超えたデザインピースとして評価されていることがうかがえます。
面白いのは、ベリーニが家具だけでなく車のアクセサリーや家電、照明など幅広いプロダクトを手がけており、その工業デザインの経験値がCABの構造的な合理性とエレガンスの両立に反映されていると指摘されている点です。
カッシーナ 公式サイトの解説。デザインコンセプトや構造の概要を確認したいときの参考になります。
413 CABチェアのサイズは、幅約62cm、奥行約52cm、高さ約82cm、座面高約45cm、アーム高約64cmとされており、一般的なダイニングチェアよりもややワイドで、包み込まれるようなボリューム感があります。
この寸法は、天板高72〜75cm前後のダイニングテーブルと合わせたときに、肘を自然に乗せながら食事や作業ができるバランスで設計されており、長時間座っても姿勢を保ちやすい点が魅力です。
一方で、幅62cmという数字は4脚以上並べると横方向のスペースをかなり占有するため、ダイニングに多脚を置きたい場合にはテーブルの幅180cm以上を目安にレイアウトを検討すると、動線を確保しやすくなります。
実際の使用者レビューでは、大理石天板のテーブルと合わせた例が紹介されており、重厚な素材同士でありながら、CABのすっきりとした後ろ姿のおかげで圧迫感が少ないという声が挙がっています。
木製テーブルとの組み合わせでも違和感はなく、レザーの色味次第でクラシック寄りにもモダン寄りにも振れるため、ダイニングだけでなく書斎や打ち合わせスペースで1〜2脚だけアクセントとして置く使い方も現実的です。
413 CABチェアの張り地は、牛革を型抜きした複数のパーツで構成され、それぞれを職人が手作業で加工したうえで一枚のカバーとして縫製し、スチールフレームにかぶせて後ろ側のジッパーで閉じる構造になっています。
イタリアの椅子としては珍しいほど厚いサドルレザーが使われており、使用を重ねることで表面に鈍いツヤが増したり、しわや色の深みが出てくる「なめし革」特有のエイジングを楽しめるのが特徴です。
公式の説明やリユースショップの解説によると、このモデルは基本的に革の張り替えを前提としておらず、フレームと革が強く一体化しているため、使い込んだ風合いをそのまま味わう「育てる椅子」として位置づけられています。
その一方で、現行ラインでは標準色に加えて受注生産の特別色も展開されており、ブラックやアイボリー、ナチュラル系のほか、バーガンディのような深い色合いがラインアップに含まれているケースも見られます。
あまり知られていないポイントとして、中古市場ではレザー表面の細かな傷や色ムラが「味」として評価され、むしろ新品にはない表情を求めてあえてヴィンテージコンディションを選ぶコレクターもいると紹介されることがあります。
カッシーナ製品の素材やレザー仕様についての基礎情報がまとまっているページ。革の品質理解に役立ちます。
Cassina 413 Cab Armchair | Deplain
実際の使用レビューでは、413 CABチェアの座り心地について「厚革のテンションで、背にもたれたときにやわらかく吸い込まれるような感覚がある」といったコメントがあり、見た目のシャープさから想像するよりもソフトな印象が語られています。
アームから背にかけてのカーブが身体に沿うことで、腕や肩の力が抜けやすく、晩酌や読書など、やや長めに座る時間にも向いたチェアとして紹介されることが多くなっています。
一方で、フルレザーかつアーム付きの構造のため、夏場は体温や湿度がこもりやすく、汗ばむと座面が少し張りつく感覚があると指摘する声もあり、通気性を最優先したい人には向かない可能性もあります。
デザイン面では、正面から見たときのボリューム感に対し、後ろ姿が非常にスッキリしているため、テーブルの周囲に並べても「もったり」見えにくく、ダイニング中央に置いても空間が重たくならないという実用的な利点も挙げられています。
また、MoMAのコレクションに名を連ねるようなプロダクトを日常的に使えるという「所有する満足感」が大きいと書かれているレビューもあり、座り心地と同じくらい心理的な満足度を重視する人には相性の良い椅子だと考えられます。
実際の使用感やテーブルとの組み合わせ例が写真付きで紹介されています。生活シーンをイメージしたいときに便利です。
カッシーナで購入した椅子【413 CAB/キャブ アームチェア】
413 CABチェアは新品価格が高額な一方、国内外の中古市場にも安定して出回っており、状態や色、製造年によって価格に幅はあるものの、デザインアイコンとして一定のリセールバリューを保ちやすいモデルとされています。
特にブラックやダークブラウンなどの定番色は流通量も多く、複数脚まとめて入手しやすいので、ダイニングセットとして揃えたい場合には中古も選択肢に入れると現実的な予算で導入できるケースがあります。
ただし、張り替えが基本的にできない構造であることから、革の傷や色あせ、シミなどはそのまま受け入れる必要があり、写真だけで判断せず、実物を確認できる店舗や信頼できるショップを選ぶことが重要とされています。
長期的な視点で見ると、使い込むほどにレザーが身体や生活スタイルに馴染み、買ったときよりも「自分の椅子」としてのキャラクターが強まっていくため、経年変化を楽しめる人ほど満足度が高くなりやすいチェアだといえるでしょう。
意外な話として、美術館やギャラリーのラウンジにCABが採用されている例があり、大勢の来場者が日常的に使う環境でも長期にわたって使い続けられていることから、耐久性の面でもプロユースに耐える性能があるチェアとして認識されています。
カッシーナ・イクスシー 413 CABチェアが向いているのは、椅子を単なる道具ではなくインテリアの主役やコレクションの一部として楽しみたい人、そしてレザーのエイジングをポジティブに受け止められる人だといえます。
一脚だけでも空間の雰囲気を大きく変えられる存在感があるため、リビングの一角や書斎に「名作を一つだけ」置きたい場合にも候補になりやすく、MoMAクラスのデザインを生活空間に取り入れたいという動機とも相性が良いでしょう。
一方、日々の生活動線を最優先したい小さなダイニングでは、幅62cmのアームチェアを複数脚置くことで動きづらさが出る可能性があり、軽く引き出せる木製チェアのほうが適しているケースも考えられます。
また、レザーの質感や経年変化よりも、通気性や軽さ、張り替えてカラーや素材を変えながら長く使いたいというニーズが強い場合には、ファブリック張りの椅子や座面交換が可能なモデルを選んだほうが合理的かもしれません。
そのうえで、カッシーナ・イクスシー 413 CABチェアに惹かれるのであれば、一度ショールームや取り扱い店で実物に触れ、座り心地・サイズ感・レザーの雰囲気を確認したうえで、「この椅子を何年かけて育てていきたいか」という視点で判断するのが納得感のある選び方になるでしょう。