

飛騨産業のダイニングチェア全体を俯瞰すると、国産の木製椅子の多くが5〜6kg前後で、4kg台だとかなり軽量という位置づけです。
そのなかでクレセントチェアは、アーム無しの板座タイプで約7kg、アームチェアでは7.6kg前後とされ、同クラスの木製チェアより1〜2kgほど重めに分類されています。
数字だけ見ると「やや重い」部類ですが、1kgの差はペットボトル1本分程度で、持ち上げる頻度が少ないダイニングシーンでは、許容範囲と感じる人も少なくありません。
一方で、座面が張座仕様になったクレセントアームチェア(SG220ANなど)は5.8kg程度とされており、板座よりも約2kg軽くなっています。
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シリーズ内でここまで重量差があるのは珍しく、板座の「木の塊感」を活かしたモデルと、軽量化を意識した張座モデルをきちんと住み分けている点が特徴的です。
さらに、他社の軽量チェアが4kg台であることを踏まえると、「飛騨産業のなかでは軽いが、市場全体では中重量」といった絶妙なポジションにいるモデルも存在します。
クレセントはセミアームやアームの形状が独特で、背からアームにかけての曲線がしっかりと木材を使う構造になっています。
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この立体的な造形があることで、カタログスペック以上に「木の量感」を視覚的に感じやすく、「見た目の重厚さ=重さ」という印象につながりやすい点も見逃せません。
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実際の重量と見た目の印象は必ずしも一致しないため、店舗で持ち上げてみると「想像より扱いやすい」「見た目ほどは重くない」と感じる人も一定数います。
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クレセントを含む飛騨産業の人気チェアが重い最大の理由は、無垢材を贅沢に使用している点にあります。
合板や金属フレーム、樹脂を芯材として軽さを出す椅子と比べ、厚みのある無垢材で構成されたフレームは、どうしても比重が高くなり、結果として全体重量も増えます。
特にホワイトオーク材は、ウォールナットやブナと比べてもやや比重が高い傾向にあり、「ホワイトオーク仕様のクレセントが他樹種より重い」という現象も起こります。
構造面では、飛騨産業が得意とする「厚い材を削り出し、伝統的な木組でつなぐ」という作りが、軽さよりも堅牢性と座り心地を優先していることに直結しています。
背もたれと座面をつなぐパーツや、アームの付け根部分にはしっかりとした断面積が確保されており、細く華奢に見せつつも、内部的には十分な強度を持たせることで長期使用に耐えうる構造を実現しています。
この「見た目はすっきりしているのに、持つとしっかり重い」というギャップは、デザインと強度を両立させた高級木製椅子ならではの特徴ともいえるでしょう。
また、クレセントの名前の通り、座面や背のラインは三日月のような柔らかな曲線を描いています。
この曲線を削り出すためには、直線的なパーツよりも厚みと幅に余裕のあるブロック材が必要で、製造工程でも余分な部分を削る分だけ「無駄を覚悟した贅沢な木取り」が行われます。
結果として、軽量化よりも身体へのフィット感や座り心地、造形美を優先した設計になり、そのしわ寄せが「少し重い」という形で現れているわけです。
クレセントは板座でも体へのフィット感がよく、アームの曲線が自然な姿勢を支えてくれると評価されています。
板座は一般に「固くて疲れそう」というイメージが強いですが、クレセントでは座板の面取りやカーブが工夫されており、長時間座っても疲れにくいとする口コミも少なくありません。
この座り心地の良さを支えているのも、ある程度の厚みと重量を持った無垢材の存在であり、「軽さと座り心地はトレードオフになりやすい」という前提を理解しておくと、重量への印象も変わってきます。
クレセントを「重い」と実感しやすいのは、毎日ダイニングテーブルから椅子を引いたり、掃除のたびに持ち上げたりするシーンです。
特に、テーブル下にラグを敷いている家庭では、脚がラグに引っかかりやすく、軽量な椅子と比べて移動の抵抗が増すため、重量が体感として伝わりやすくなります。
また、高齢の家族や小柄な人が頻繁に椅子を動かす場合には、7kgクラスのチェアを毎日扱う負担は決して無視できません。
その一方で、「重い=悪い」とは限らず、座っているときの安定感や、子どもが勢いよく寄りかかっても倒れにくい安心感という形でメリットが表面化することもあります。
軽すぎる椅子は、椅子ごと後ろにずるっと動いてしまうことがありますが、クレセントのような重量級チェアは床との設置面がしっかりしており、日常動作でのぐらつきが少ないと感じる人も多いです。
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テレワークや読書など、腰を据えて長時間座る用途では、重さが落ち着きや集中のしやすさにつながるという、少し意外なメリットもあります。
掃除のしやすさという観点では、アーム先端をテーブルの天板に引っ掛けて浮かせることで、床拭きやロボット掃除機の通り道を確保しやすいモデルもあります。
参考)https://www.jyuhinkan.co.jp/style_web/style0031.html
クレセントとは別ブランドですが、同様に背やアームの一部に重さの比重を寄せた設計にすることで、出し入れや持ち上げを楽にしている椅子も存在し、「重いけれど扱いやすい」という解決策が実践されているのが興味深いところです。
これらを踏まえると、「単純な重量」だけでなく、「重さのかかり方」や「持ち手になる部分の形状」も、日常の取り回しに大きく影響しているといえます。
模様替えや来客時のレイアウト変更では、7kg前後の椅子を部屋の端まで何脚も運ぶ作業が発生することがあります。
こうしたシーンでは、床を引きずらず、一度持ち上げて移動させる方が床材へのダメージも少なく、結果として重量がダイレクトに腕にのしかかることになります。
家庭内での役割分担として、「重い椅子の移動は力のある家族が担当する」「来客用の軽いチェアを別途用意する」といった工夫も現実的です。
クレセントのなかで軽さを優先するなら、まず検討したいのが張座仕様のアームチェアやチェアです。
無垢の板座に比べて座面部分の材が薄くなり、内部にクッション材や合板を組み合わせることで、総重量を1〜2kgほど抑えられます。
板座の質感や経年変化を重視しないのであれば、「クレセントの座り心地とデザインはそのままに、扱いやすい重さ」に近づける現実的な選択肢と言えるでしょう。
材種選びも重量に直結します。
同じデザインでも、ホワイトオークよりも軽めのビーチ材や他の広葉樹を選ぶことで、体感重量を少しでも抑えることができます。
ビーチ材のクレセントアームチェアは、木肌のきめ細かさやオイル仕上げのしっとりした触り心地が好評で、「重さより手触りや雰囲気を重視したい」という人にも向いています。
さらに、飛騨産業全体としては、軽さを意識した椅子もラインナップしており、「クレセント級の座り心地を求めつつ、重量は妥協したくない」という場合は、別シリーズを検討するというアプローチも有効です。
SEOTOや森のことばシリーズなど、座り心地の良さで評判のチェアでも、張座仕様や樹種次第で重量を抑えたモデルが存在し、実際に座り比べてみると「自分にはこちらのほうが取り回しやすい」と感じるケースもあります。
このように、「クレセント一択」で考えず、「飛騨産業の軽めの椅子+クレセントを1〜2脚アクセントとして導入する」といったミックスコーディネートも、住まい方に柔軟性をもたらします。
少し視点を変えると、「軽い椅子を複数買い替え続けるより、重くても一生モノの椅子をじっくり選ぶ」という考え方もあります。
クレセントチェアは価格帯こそ決して安くありませんが、「長く使える一生もの」として考えると、その重さは耐久性と表裏一体の特徴であり、修理やメンテナンスをしつつ育てていく家具としての魅力があります。
重量をネックと見なすか、品質の証と捉えるかは、暮らしのスタイルや価値観によって変わる部分であり、そこを自分なりに言語化しておくと、購入後の満足度も大きく変わってくるはずです。
クレセントのような重めの椅子は、座ったときの「どっしり感」がひとつの魅力になります。
アーム付きタイプでは、腕の重さをしっかり預けられるため、食後に背にもたれかかってひと息ついたり、ノートPCを開いて作業をしたりする際にも、身体を預けやすいと感じる人が多いです。
いわば「ミニマルなパーソナルソファ」のような感覚で使えるため、椅子単体で寛ぎの時間を作りたい人にとって、重量感はむしろプラスに働きます。
また、重量級チェアは床との密着感が高く、座ったまま身体を動かしても椅子がガタつきにくいというメリットがあります。
テレワークで前傾姿勢と後傾姿勢を頻繁に行き来する人や、趣味の作業をダイニングで行う人にとって、「椅子が動いて集中が途切れないこと」は想像以上に重要なポイントです。
クレセントのような椅子を「作業環境の一部」として捉えると、重さは安定感という形で快適性に貢献していることが見えてきます。
ちょっと意外な楽しみ方としては、「重さゆえに位置が動きにくいこと」を利用して、椅子の配置で空間のゾーニングを行う方法があります。
例えば、ダイニングテーブルのうち1辺にだけクレセントを配置し、「ここは読書やPC作業をする席」と緩やかに役割を分けると、毎日の暮らしの中で自然とお気に入りの場所が生まれます。
軽い椅子だと気づかないうちに配置がずれていきますが、重量のある椅子は一度決めた位置を保ちやすく、「定位置がある安心感」を演出してくれます。
さらに、クレセントのような無垢材チェアは、年月とともに表情が変わり、細かな傷や色味の変化が「家族の歴史」として刻まれていきます。
長く使えば使うほど、座面やアームの触れる部分が手に馴染み、最初は固く感じた板座も、身体のほうが椅子に合わせて微妙に変化していくような不思議な感覚が芽生えます。
この「時間をかけて関係性を育てる」という楽しみ方をするなら、重さは単なる数値ではなく、年月を支える土台として前向きに捉えられるのではないでしょうか。
飛騨産業の椅子づくり全体の思想や、クレセントを含む各シリーズの特徴を俯瞰したい場合は、ブランドの歴史や代表作、デザイナーの意図などを整理した解説ページが参考になります。