

低酸素症(hypoxia)とは、生体の組織レベルで酸素供給が不十分な状態を指し、動脈血中の酸素分圧(PaO2)または酸素飽和度(SpO2)の低下として現れます。臨床的には、室内気吸入下でPaO2が60mmHg以下、またはSpO2が90%以下の場合に低酸素血症と定義されます。
kango.mynavi(https://kango.mynavi.jp/contents/nurseplus/career_skillup/20250427-2178235/)
低酸素症は呼吸不全による肺機能の異常を疑う病態であり、換気障害または酸素化障害のいずれか、あるいは両方の機序によって引き起こされます。換気障害では換気ドライブの低下や気道閉塞が、酸素化障害では急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺炎、肺塞栓、気胸などが代表的な原因となります。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/21-%E6%95%91%E5%91%BD%E5%8C%BB%E7%99%82/%E9%87%8D%E7%AF%A4-critically-ill-%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81/%E9%85%B8%E7%B4%A0%E9%A3%BD%E5%92%8C%E5%BA%A6%E3%81%AE%E4%BD%8E%E4%B8%8B)
低酸素症の症状は酸素低下の程度と進行速度によって多様に現れます。早期には呼吸困難、頻呼吸、頻脈、不安感、頭痛などが認められ、これらは身体が酸素不足を補おうとする代償反応として生じます。
merckmanuals(https://www.merckmanuals.com/professional/critical-care-medicine/approach-to-the-critically-ill-patient/hypoxia-in-hospitalized-patients)
進行すると、チアノーゼ(唇や指先の青紫色)、意識混濁、見当識障害、疲労感、協応運動の低下などが現れます。さらに重症化すると意識消失、けいれん、不整脈、心停止に至るため、早期発見と迅速な対応が求められます。
respiratorytherapyzone(https://www.respiratorytherapyzone.com/hypoxia/)
高齢者では、突然の混乱、転倒、慢性疾患の悪化など非特異的な症状として現れることがあり、見逃されやすいため注意が必要です。また、COVID-19などで報告されたサイレント低酸素では、自覚的な呼吸困難が乏しいままSpO2が低下するため、客観的なモニタリングが特に重要となります。
topics.consensus(https://topics.consensus.app/health/conditions/hypoxemia-symptoms-types-causes-and-treatment)
| 症状の段階 | 臨床所見 | 評価のポイント |
|---|---|---|
| 早期 | 呼吸困難、頻呼吸、頻脈、不安感、頭痛 | SpO2だけでなく呼吸数や全身状態を評価 |
| 進行期 | チアノーゼ、意識混濁、疲労感、協応運動低下 | 努力呼吸や起座呼吸の有無を確認 |
| 重症期 | 意識消失、けいれん、不整脈、心停止 | 直ちに酸素投与と原因検索を開始 |
臨床現場では、安静時と労作時(歩行、階段昇降、ADL動作)のSpO2変化、回復時間、呼吸困難感(Borg scale、modified Borg scale)を評価することで、低酸素の程度と日常生活への影響を把握します。
mizuhiro(https://mizuhiro.jp/hypoxemia/)
参考:MSDマニュアル 酸素飽和度の低下
低酸素症の原因は大きく換気障害と酸素化障害に分類されます。換気障害では、意識レベルの低下(頭部損傷、過鎮静、敗血症、脳卒中など)、気管支攣縮、気管内チューブの位置異常、粘液栓子、胸部や腹部の重度の疼痛などが挙げられます。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/21-%E6%95%91%E5%91%BD%E5%8C%BB%E7%99%82/%E9%87%8D%E7%AF%A4-critically-ill-%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81/%E9%85%B8%E7%B4%A0%E9%A3%BD%E5%92%8C%E5%BA%A6%E3%81%AE%E4%BD%8E%E4%B8%8B)
酸素化障害はさらに肺性の原因と非肺性の原因に分かれます。肺性の原因にはARDS、無気肺、肺炎、気胸、肺塞栓、肺挫傷、誤嚥性肺炎などがあり、非肺性の原因には医原性の体液過剰や心不全(基礎疾患の増悪や急性心筋梗塞による)などがあります。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/21-%E6%95%91%E5%91%BD%E5%8C%BB%E7%99%82/%E9%87%8D%E7%AF%A4-critically-ill-%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81/%E9%85%B8%E7%B4%A0%E9%A3%BD%E5%92%8C%E5%BA%A6%E3%81%AE%E4%BD%8E%E4%B8%8B)
低酸素症は通常、パルスオキシメトリーによって最初に認識されますが、原因が判明すれば、それぞれの病態に応じた治療が必要です。低換気が持続する場合は非侵襲的陽圧換気または気管挿管による機械的人工換気が、持続的な低酸素症には酸素投与が必要となります。
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低酸素症を認識するためには、パルスオキシメーターの数値だけに依存せず、呼吸数・呼吸状態とSpO2をセットで評価することが重要です。初期観察では、SpO2モニターが正常に作動しているか、呼吸数、努力呼吸、起座呼吸、意識レベル、チアノーゼ、末梢冷感、聴診所見(湿性ラ音、減弱、笛声音)、下肢腫脹(DVT疑い)などを確認します。
note(https://note.com/super_lotus401/n/n8f6e7a51d6b6)
患者は胸部X線、心電図、動脈血ガス検査を受けるべきであり、低酸素血症を確認し、十分な換気が行われているかを評価します。診断が明確にならない場合は、肺塞栓症の検査を考慮します。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/21-%E6%95%91%E5%91%BD%E5%8C%BB%E7%99%82/%E9%87%8D%E7%97%87-critically-ill-%E6%82%A3%E8%80%85%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81/%E9%85%B8%E7%B4%A0%E9%A3%BD%E5%92%8C%E5%BA%A6%E3%81%AE%E4%BD%8E%E4%B8%8B?ruleredirectid=465)
酸素投与は、酸素毒性をもたらさずにPaO2を60~80mmHg(すなわち、飽和度92~100%)に保つため、動脈血ガスまたはパルスオキシメトリーの測定値を参考にしながら酸素投与量を調節します。
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整形外科病棟などでは、術後発熱と並んでSpO2低下は極めて頻度の高いイベントであり、単なる疼痛や鎮静の影響から、肺塞栓症、心不全、ARDSといった生命に関わる病態まで幅広い原因が潜んでいるため、体系的な評価が求められます。
note(https://note.com/super_lotus401/n/n8f6e7a51d6b6)
次のいずれかに当てはまる場合は、数値にかかわらずその場で医療機関に連絡してください。安静にしていてもSpO2が90%未満、じっとしていても息が苦しい・会話が続かない、唇や指先が紫色になる(チアノーゼ)、意識がもうろうとする場合は、体に酸素が行き渡っていない可能性があるためです。
kasai-yokoyama(https://www.kasai-yokoyama.com/media/news/3512/)
強い息切れ、会話がつらい、横になれない場合は、呼吸不全、心不全、喘息発作、COPD増悪などが考えられ、早急に相談が必要です。悪化が速い時は救急相談または119番を要請します。意識がぼんやりする、唇が紫色、顔色が悪い場合は、低酸素や血圧低下など全身状態の悪化が疑われ、救急要請を含めて急いで対応が必要です。
kasai-yokoyama(https://www.kasai-yokoyama.com/media/news/3512/)
慢性呼吸不全では、息切れ、疲れやすさ、動いた後の回復の遅さ、顔色や唇の色の悪さ、むくみなどがみられます。階段だけでなく、着替え、入浴、トイレなど生活動作で息切れする場合は注意が必要です。
hinofamily(https://hinofamily.com/medical/chronic-respiratory-failure/)
低酸素は早期発見と対応が肝心であり、原因検索の手順、酸素投与時のデバイス選択、観察項目についておさらいすることが重要です。観察として呼吸数と心拍数を見ることが基本となります。
jaca2021.or(https://www.jaca2021.or.jp/news/respiratory-therapy/)