

人体の水分は体重の約60%を占め、そのうち約2/3が細胞内液、約1/3が細胞外液に分布しています。細胞外液はさらに血管内(血漿)と組織間液に3:1の割合で分かれ、Na⁺やCl⁻を豊富に含むのが特徴です。輸液療法では、この体液分画を理解し、投与する製剤がどこに分布するかを把握することが重要です。
peg.or(https://www.peg.or.jp/lecture/parenteral_nutrition/00-02.html)
輸液製剤は「晶質液(クリスタロイド)」と「膠質液(コロイド)」に大別され、水・電解質補給を目的とする電解質輸液が中心です。電解質輸液は、電解質濃度が血漿とほぼ同等の「等張電解質液(細胞外液補充液)」と、血漿より低い「低張電解質液(細胞内液補充液)」の2種類に分類されます。
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細胞外液補充液は、投与後に細胞内へ移動せず細胞外液量を増やす目的で使用されます。循環血漿量の確保(ショック、手術、消化液喪失)や脱水補正に適し、生理食塩水や乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液などが代表的です。
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| 製剤名 | Na⁺ (mEq/L) | K⁺ (mEq/L) | Cl⁻ (mEq/L) | その他成分 | 主な適応 |
|---|---|---|---|---|---|
| 生理食塩水 | 154 | 0 | 154 | なし | 循環血漿量確保、低Na血症補正 |
| 乳酸リンゲル液 | 130 | 4 | 109 | 乳酸28 mEq/L、Ca²⁺ | 手術中・術後、脱水、電解質補給 |
| 酢酸リンゲル液 | 130 | 4 | 109 | 酢酸28 mEq/L、Ca²⁺ | 代謝性アシドーシス、肝機能障害 |
| 重炭酸リンゲル液 | 130 | 4 | 109 | 重炭酸28 mEq/L、Ca²⁺ | 腎機能障害、代謝性アシドーシス |
これらの製剤は、細胞外液の電解質組成(Na⁺約140 mEq/L、K⁺約4 mEq/L)に近づけるよう設計されており、特にリンゲル液系はカルシウムやアルカリ剤を含み生理的な組成に配慮されています。
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細胞内液補充液は、電解質濃度が血漿より低く、細胞外液だけでなく細胞内液にも水分・電解質を届ける目的で使用されます。維持輸液として、術後や絶食中の栄養・電解質補給に適し、ソリタT1~T4号液やプラスアミノなどが代表的です。
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| 製剤名 | Na⁺ (mEq/L) | K⁺ (mEq/L) | Cl⁻ (mEq/L) | ブドウ糖 | 主な適応 |
|---|---|---|---|---|---|
| ソリタT1号液 | 35 | 20 | 35 | 5% | 小児維持、低Na血症予防 |
| ソリタT2号液 | 45 | 20 | 45 | 5% | 小児・成人維持、電解質補給 |
| ソリタT3号液 | 35 | 20 | 35 | 5% | 成人維持、標準的な電解質補給 |
| ソリタT4号液 | 25 | 20 | 25 | 5% | 高Na血症予防、低Na血症補正 |
| プラスアミノ | 35 | 0 | 35 | 5% | カリウム制限が必要な維持輸液 |
維持輸液は細胞外液補充液よりもNa⁺濃度が低くK⁺濃度が高い組成で、理論上細胞内外に分布します。特にソリタT3号液は成人の標準的な維持輸液として広く使用されています。
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輸液の選択は、患者の病態(脱水、ショック、電解質異常、腎機能など)と目的(循環血漿量確保、維持、栄養補給)に応じて行います。細胞外液補充液は「生命に直結するヤバい事態」に、維持輸液は「ご飯の代わり」として使用されるのが一般的です。
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また、輸液の浸透圧(等張、低張、高張)も重要な選択基準です。等張液は細胞外液補充に、低張液は維持輸液に、高張液は脳浮腫や電解質補正に使用されます。
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臨床では、輸液製剤の電解質組成(Na⁺、K⁺、Cl⁻濃度)や浸透圧を一覧表で比較し、患者の病態や目的に応じて最適な製剤を選択します。特にNa⁺とK⁺のバランスは、細胞外液と細胞内液の分布に直結するため重要です。
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例えば、低Na血症の患者にはNa⁺濃度の高い生理食塩水を、高K血症の患者にはK⁺フリーのプラスアミノを選択します。また、肝機能障害には乳酸を含まない酢酸リンゲル液、腎機能障害には重炭酸リンゲル液が推奨されます。
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輸液の選択には、体液量評価(体重変化、尿量、血圧など)や血液検査(電解質、浸透圧、腎機能)も併用し、患者の状態を総合的に判断することが求められます。
note(https://note.com/luke76/n/n37dd9c5878e0)