

舞踏運動は、主に遠位筋および顔面に生じる不規則で流動的、抑制不可能な不随意運動です。この運動は半意図的な行為に組み込まれ、不随意な動きが覆い隠されていることがあります。舞踏運動とアテトーゼは、基底核による視床皮質ニューロンの抑制が障害されることに起因し、過剰なドパミン系の活動がその機序であると考えられています。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%B0%8F%E8%84%B3%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%88%9E%E8%B8%8F%E9%81%8B%E5%8B%95-%E3%82%A2%E3%83%86%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%BC-%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%83%98%E3%83%9F%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%A0)
大脳基底核は、脳からの信号によって意図的な随意運動を開始し、その動きを滑らかにして協調させる脳領域です。大半のタイプの舞踏運動では、大脳基底核の主要な神経伝達物質であるドパミンの過剰によって、大脳基底核の正常な機能が妨げられています。舞踏運動とアテトーゼは、薬剤、その他の物質、または病気によってドパミンの量が増えるか、ドパミンに対する神経細胞の感受性が増大することで悪化する傾向があります。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-%E8%84%B3-%E8%84%8A%E9%AB%84-%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E8%88%9E%E8%B8%8F%E9%81%8B%E5%8B%95-%E3%82%A2%E3%83%86%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%BC-%E3%83%98%E3%83%9F%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%A0)
黒質のドーパミンニューロンに対して常に抑制をかけている線条体—黒質GABAニューロンの活動が外れること、すなわち脱抑制のメカニズムにより舞踏運動が生じるという仮説が提唱されています。この神経伝達物質の不均衡が、舞踏運動の中心的な病態生理として理解されています。
webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1431900097)
遺伝性の変性疾患であるハンチントン病は、舞踏運動を引き起こす変性疾患として最もよくみられる病気です。ハンチントン舞踏病は日本に約900人いるとされている国の指定難病対象疾患(指定難病8)で、遺伝子の異常な繰り返しにより脳が萎縮します。初期には細かい動作の障害が、中期には不随意運動や精神症状が現れる慢性進行性の神経変性疾患です。
neurotech(https://neurotech.jp/medical-information/causes-and-features-of-huntingtons-chorea/)
良性遺伝性舞踏運動(Benign hereditary chorea:BHC)は、主にTITF1(NKX2-1)という遺伝子の変異が原因で、幼少期から踊るような不自然な動きが現れる遺伝性の病気です。名前に良性とある通り、ハンチントン病のように認知機能が低下したり寿命を縮めたりすることはなく、大人になるにつれて症状が落ち着くか進行が止まるのが大きな特徴です。
note(https://note.com/magic_sorrel5329/n/nebbfd7ceb404)
| 疾患名 | 遺伝子・機序 | 特徴 |
|---|---|---|
| ハンチントン病 | HTT遺伝子CAGリピート | 進行性、認知機能低下、精神症状 |
| 良性遺伝性舞踏運動 | TITF1(NKX2-1)変異 | 小児期発症、非進行性、予後良好 |
| 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 | 神経変性 | 錐体外路症状、認知症 |
舞踏運動の後天性原因としては多岐にわたる要因が挙げられます。甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症、高血糖などの代謝異常が舞踏運動を引き起こすことが知られています。特に高血糖性舞踏病は血糖管理により改善が期待できるため、早期の鑑別が重要です。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%B0%8F%E8%84%B3%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%88%9E%E8%B8%8F%E9%81%8B%E5%8B%95-%E3%82%A2%E3%83%86%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%BC-%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%83%98%E3%83%9F%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%A0)
薬剤および物質も重要な原因となります。パーキンソン病患者におけるレボドパ、フェニトイン、コカイン、三環系抗うつ薬、経口避妊薬などが舞踏運動を誘発します。遅発性ジスキネジアは定型および非定型抗精神病薬または脳内のドパミン受容体を遮断するその他の薬剤の使用に起因し、舞踏運動またはジストニアとして顕在化することがあります。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%B0%8F%E8%84%B3%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%88%9E%E8%B8%8F%E9%81%8B%E5%8B%95-%E3%82%A2%E3%83%86%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%BC-%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%83%98%E3%83%9F%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%A0)
中枢神経系を侵す全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患、腫瘍随伴症候群、脳卒中、妊娠も舞踏運動の原因となります。ヘミバリスムは対側の視床下核またはその周辺の病変(通常は梗塞)が原因で起こり、生活に支障を来しますが通常は6~8週間で自然に軽快します。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%B0%8F%E8%84%B3%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%88%9E%E8%B8%8F%E9%81%8B%E5%8B%95-%E3%82%A2%E3%83%86%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%BC-%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%83%98%E3%83%9F%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%A0)
舞踏運動の臨床評価では、日常生活に支障をきたしているかどうかをまず確認します。舞踏運動が激しい場合、体力を消耗し体重減少をきたすことがあります。睡眠によって消失し、精神的緊張、疲労、興奮、起立などで増強するという特徴的な所見があります。
webview.isho(https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1416100542)
根本的な治療法としては、高血糖性舞踏病の血糖管理、多血症の瀉血、抗リン脂質抗体症候群(APS)での免疫治療など、原因に応じた治療が有効です。対症療法の選択としては薬剤、脳深部刺激療法(DBS)、リハビリテーションが選択肢となります。
igakukotohajime(http://igakukotohajime.com/2020/08/28/chorea%E8%88%9E%E8%B8%8F%E6%A7%98%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%AE%E9%91%91%E5%88%A5/)
薬物療法では、presynaptic dopamine depletorsであるテトラベナジンやレセルピンが使用されます。また、ハロペリドールやオランザピン、リスペリドン、クエチアピンなどの抗精神病薬も有効です。薬剤で効果がみられない場合は、脳深部刺激療法を行うことがあります。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-%E8%84%B3-%E8%84%8A%E9%AB%84-%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E8%88%9E%E8%B8%8F%E9%81%8B%E5%8B%95-%E3%82%A2%E3%83%86%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%BC-%E3%83%98%E3%83%9F%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%A0)
脳深部刺激療法では、大脳基底核に微小な電極を手術で埋め込みます。ヘミバリスムを引き起こしていると考えられている大脳基底核の特定の領域に電極から微弱な電気を送ることで、症状の軽減を促します。重症例では抗精神病薬による1~2カ月間の治療が選択され、抗精神病薬が無効の場合は脳深部刺激療法も考慮されます。
msdmanuals(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07-%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%81%8B%E5%8B%95%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E5%B0%8F%E8%84%B3%E7%96%BE%E6%82%A3/%E8%88%9E%E8%B8%8F%E9%81%8B%E5%8B%95-%E3%82%A2%E3%83%86%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%BC-%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E3%83%98%E3%83%9F%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%A0)
リハビリテーションや再生医療による進行抑制の可能性にも注目が集まっています。特にハンチントン病などの進行性疾患では、早期からの包括的なアプローチが重要です。運動を抑え得る薬剤は数種あり、ある程度の効果が期待できます。
neurotech(https://neurotech.jp/medical-information/causes-and-features-of-huntingtons-chorea/)