枕棚ハンガーパイプの位置で収納量が劇的に変わる方法

枕棚ハンガーパイプの位置で収納量が劇的に変わる方法

枕棚・ハンガーパイプの位置で変わる収納の使いやすさ

標準仕様のまま取り付けたハンガーパイプで、毎朝ハンガーが引っかかって服を取り出すのに手間がかかります。


📋 この記事でわかること
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枕棚とハンガーパイプの理想の高さ

標準は「枕棚180cm・パイプ170cm」だが、使う人の身長や置くものによって最適値は変わる。身長+30cmがパイプ高さの基本計算式。

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壁からの奥行きで服の出し入れが決まる

パイプから背面壁まで25cmが最小ライン。35cm確保できると袖が壁に当たらず快適。指示なしだと35cmで取り付けられることが多い。

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2段活用・衣装ケースとの組み合わせ

パイプ2段化で収納量が最大2倍に。下段パイプ下に衣装ケースを置く場合はパイプ高さを先に決めるのが正解。組み合わせ次第で空間ロスがゼロになる。


枕棚とハンガーパイプの位置「標準180cm・170cm」が全員に合わない理由


多くの住宅で採用されている「枕棚の高さ180cm・ハンガーパイプの高さ170cm」という設定は、あくまでも一般的な目安であり、住む人の体格やライフスタイルに関係なく施工されることがほとんどです。これが収納の使いにくさの根本的な原因になるケースが少なくありません。


たとえばライフオーガナイザーの中矢くみこ氏(4人の子どもと暮らす)が実際に自宅で経験した事例では、枕棚の高さを178cm・ハンガーパイプを170cmで施工したところ、パイプ下に置いた無印良品のポリプロピレンクローゼットケース(約W44×D55cm)に服の裾が擦れてしまったと報告しています。パイプがあと10〜15cm高ければ解決できた問題でした。


なぜこのズレが起きるかというと、ハンガーパイプの高さを決める際、「衣類の丈」と「パイプ下に置く衣装ケースの高さ」の両方を考慮していないからです。


ポイントは3つです。


- 🧍 使う人の身長:身長150〜159cmの人は推奨パイプ高さが1700〜1750mm、170〜179cmの人は1900〜1950mmと、実は20cmもの差があります
- 👗 掛ける衣類の丈:ロングコートやワンピースは最低でも1600〜1800mmの高さが必要で、シャツ類の1000〜1200mmとは大きく異なります
- 📦 下に置く収納ケースの高さ:一般的な衣装ケースは高さ約20〜25cmのものを3段重ねで約60〜75cmになるため、パイプ位置との整合性が必要です


つまり「標準だから大丈夫」は危険です。


住宅メーカーの標準仕様がそのまま施工されると、住んでから初めて使いにくさに気づくケースが後を絶ちません。家を建てる・リノベーションする段階で、ハンガーパイプと枕棚の高さを自分の生活に合わせて指定しておくことが、収納を極める最初の一歩です。



収納アドバイザー監修のクローゼット設計について詳しく解説されています(整理収納アドバイザー・かたdukuいえdukuり)。


クローゼットの枕棚の高さどうする?整理収納アドバイザーが解説


枕棚のハンガーパイプ「壁からの奥行き」で衣類が傷む問題を防ぐ方法

ハンガーパイプの高さだけを気にして、「奥行き(壁からの距離)」を見落としている方は非常に多いです。奥行きを誤ると、服の袖や肩が壁に擦れて衣類が傷んだり、そもそもコートがかけられないという事態になります。


ハンガーパイプから背面壁までの距離は、以下の目安で考えると整理しやすいです。


| 奥行き | 評価 | 特徴 |
|---|---|---|
| 20cm | ❌ | ハンガーの肩幅が壁に当たり使用不可 |
| 25cm | ⚠️ギリギリ | 袖は当たるが掛けられる最小ライン。コートには向かない |
| 30cm | ✅一般的 | 標準的な寸法。ただし硬めのコートは袖が当たる場合も |
| 35cm | ✅✅快適 | 袖が壁に当たらず快適。ハウスメーカーの指示なしデフォルト値 |


一般的なハンガーの肩幅は、女性用が約40cm、男性用標準が約42cm、メンズワイドが約45cm以上です。服をかけると袖が肩幅より外に広がるため、パイプ(背面壁)からの距離は「ハンガーの半分の長さ+余裕分」が最低限必要になります。


実際の施工では、明示的な指示がない限り壁から35cmの位置に取り付けることが多いとされています。しかし、ウォークインクローゼットなどで通路幅を確保したい場合に奥行きを削ると、気づかないうちに25〜30cmになっているケースもあります。壁からの距離が5〜10cm程度しかないと、ハンガーが壁に直接当たります。


また、枕棚の奥行きとハンガーパイプの位置には関係性があります。枕棚の奥行きは一般的に約35〜40cmで設計されますが、枕棚の前垂れ(前框)とハンガーパイプの距離が近すぎると、ハンガーをパイプから取り外す際に引っかかるというトラブルが起きます。ある施工例では、枕棚前端からパイプまでの水平距離が43mm・垂直距離が20mmという狭い設計だったため、ハンガーが毎回引っかかってしまっていたケースがありました。これはハンガーフックの半円部分(約25mm)よりも小さい空間しかなかったためです。


奥行きが気になる場合の確認アクションは1つです。施工前にハンガーパイプの「背面壁からの距離」を図面に明記してもらい、自分がよく使うハンガー(特にコート用の幅広ハンガー)を持参してショールームで確認することをおすすめします。



壁からの奥行きの具体的な検証データが掲載されています(いえぶろぐ)。


ハンガーパイプの位置、最小で壁から何センチ?実測データで解説


枕棚ハンガーパイプの「高さ」を身長から逆算する正しい計算法

「ハンガーパイプの高さは身長+30cm」という計算式が、収納設計の現場では広く使われています。これは間取り相談を手がける坂口氏が自宅で実証したシンプルな目安で、「身長×1.2」という計算式よりも暗算しやすく、実用的です。


具体的に数字で見ると次のようになります。


| 身長 | パイプの目安高さ | 枕棚の目安高さ(パイプ+7.5cm) |
|---|---|---|
| 148cm | 178〜180cm | 185〜187cm |
| 155cm | 185cm | 192cm |
| 163cm | 193〜195cm | 200cm |
| 170cm | 200cm | 207cm |
| 174cm | 188cm(現状標準) | 195cm(推奨) |


パイプと枕棚の天端(上面)の差は約7.5cmです。「高さ180cmで」と言われたとき、それがパイプの天端なのか枕棚の天端なのかで実際の高さが変わります。施工業者への確認は必須です。


身長163cmの方の場合、パイプ高さは193〜195cmが適切です。これはパイプに直接手で触れるのではなく、ハンガーを持ってかける動作なので、「手が届く上限より数cm高めでも使える」という点がポイントです。下に衣装ケースを多く積みたい場合は、さらに数cm高くしても問題ありません。


逆に、身長148cmの小柄な方に「身長に合わせて低くしてあげよう」という意図でパイプを低く設置しすぎると、下に置いたチェストの引き出しに服の裾が乗り上げてしまうという実例もあります。これが先述の「やりすぎた失敗」です。低くすればいいというわけではないということですね。


枕棚自体の高さは、使う人が何を置くかによっても最適値が変わります。天井高2400mmのクローゼットで枕棚を178cmに設置すると、枕棚から天井まで約62cmの空間が生まれます。IKEAのSKUBBボックス(H33cm)を置いても30cm近いデッドスペースができてしまいます。枕棚を195〜200cm程度まで上げると、このロスを大幅に削減できます。


身長が低い方の場合は折り畳み式踏み台をクローゼット内に常設しておくと、高めに設計した枕棚でも実用的に使えます。



身長別のパイプ高さの実体験レポートが詳しいです(整理収納アドバイザー・中矢くみこ氏)。


片づけのプロが家づくりで失敗?クローゼット枕棚の高さを検証


ハンガーパイプを2段にした枕棚の位置設定と収納量を2倍にする方法

クローゼットのハンガーパイプを1段から2段にするだけで、吊るし収納のスペースがほぼ2倍になります。ただし、2段化にはパイプの高さ設計に注意が必要で、失敗すると今度はワンピースやコートが掛けられなくなります。


2段ハンガーパイプの基本的な高さ設定は以下の通りです。


- 🔝 上段パイプ:床から1900〜2000mm(190〜200cm)
- 🔽 下段パイプ:床から1000〜1100mm(100〜110cm)
- 📏 2段の間隔:約800〜900mm(80〜90cm)


上段パイプの高さは床から1900mmを最低ラインとして考えましょう。1800mmでも可能ですが、下段に掛けた服の裾が床に近くなりすぎる場合があります。


2段ハンガーパイプに適した衣類は、シャツ・ジャケット・ハーフパンツ・折りたたんだパンツなど、丈が短いアイテムです。ロングコート(丈約110〜130cm)やワンピース(丈約100〜120cm)は下段に掛けると裾が床に触れてしまうため、2段化するエリアと1段のままのエリアをゾーン分けすることが重要です。


ハンガーパイプ1mあたりに掛けられる目安は約20〜25着です。2段化するとこれが約40〜50着分になり、夫婦2人分の衣類をウォークインクローゼットの片壁(約1.8m)に収めることも可能になります。これはかなりの収納力アップですね。


2段化と衣装ケース組み合わせの黄金比は、「上段パイプ200cm・下段パイプ110cm・下段パイプ下に高さ80cmのチェスト(20cm×4段相当)」というレイアウトです。このパターンだと服の裾が衣装ケースに干渉せず、かつ衣装ケースの引き出しも問題なく使えます。


2段化の唯一のデメリットは、ウォークインクローゼットでない壁面クローゼットでは、上段パイプが扉の開口部を超えてしまう可能性がある点です。扉の高さが2000〜2100mmであることが多いため、上段パイプを200cmに設定すると扉ギリギリになる場合があります。設置前に扉の高さ確認が必須です。



2段パイプ活用と収納配置の実例が詳しい設計事務所のコラムです(英設計)。


収納を最大限活用する〜ハンガーパイプの高さと収納配置〜


クローゼットの枕棚位置を独自視点で見直す「収納の先読み設計」という考え方

多くの収納記事では「現在の衣類の丈」や「現在使っている衣装ケースのサイズ」を基準にしてパイプ高さを決める方法が紹介されています。しかし、クローゼットは壁に固定してしまうと、後から高さを変えるのが非常に大変です。ここで意識しておきたいのが「収納の先読み設計」という視点です。


先読み設計とは、今の収納状況だけではなく、3〜5年後の変化を想定した設計のことです。具体的には以下のような変化が起きやすいです。


- 👶 子供の成長:子供服から大人服に切り替わると必要な丈が一気に伸びる(子供服は800〜1000mmの丈が、大人服では1200〜1500mmに)
- 📦 衣装ケースの買い替え・追加:収納スペースが足りなくなり、ケースを高さの違うものに変更すると、パイプと干渉するケースがある
- 🏠 ライフスタイルの変化:在宅勤務が増えるとスーツの量が減りカジュアル衣類が増えるなど、主に掛ける衣類の丈が変化する
- 🧳 荷物の増減:枕棚に置くものが季節用品からスーツケースに変わると、必要な棚の高さそのものが変わる


この変化に対応するために、可動棚式のシステムクローゼットを選ぶという方法があります。可動棚では棚の高さを数cmピッチで調整でき、ライフスタイルの変化に応じてハンガーパイプの位置も変えられます。南海プライウッドの「ノエル3」シリーズのような製品では、枕棚の高さを199cmに設定した状態でも、天井高2350mmのクローゼットにIKEA・SKUBBボックスを2段置くことが可能であることが実証されています。


先読み設計の基本は「今より少し高め、少し余裕多め」に設定しておくことです。枕棚を5〜10cm高くするコストは設計変更の段階ではほぼゼロに近いですが、引っ越し後に改修しようとすると大工工事が必要で、数万円規模の費用がかかることもあります。これは知っておくと得です。


特に新築や大規模リノベーションの段階ではショールームに実際に使うハンガーと衣装ケースを持参し、「5年後にはこのケースが1段増える可能性がある」という前提で高さを相談することが、長期的に使いやすいクローゼットを作る最大のコツです。


高さが固定された後でも対応できる方法として、下段のスペースに高さ調整可能な「クローゼット専用ラック」を後置きする手があります。たとえばテンマのフィッツケース対応ラックや、ダイソー・山善などの可動棚タイプのラックは、既設のハンガーパイプ下を最大限活用するために有効です。設置後でも空間を再設計できるということですね。


収納の先読み設計が特に重要になるのは、家族人数の変化が見込まれる家庭や、現在ちょうど標準的な衣装ケースを使っている場合です。「ピッタリだから今はOK」という状況が、1段ケースを追加したとたんに「パイプに服が乗り上げる」トラブルに変わることがあります。枕棚とハンガーパイプの位置は、今ではなく少し先の未来まで考えて決めるのが条件です。




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