

縦置きトレーにA4書類をきれいに立てているつもりでも、じつは年間150時間以上を「書類を探す時間」で失っている可能性があります。
A4横型トレーは「縦型より省スペース」というのは正確な表現ではありません。正しくは、「デスクの奥行き方向を節約できる」のが横型の最大のメリットです。
A4用紙の寸法は縦297mm×横210mmです。縦置きトレーにA4書類を入れると、トレー本体の奥行きが約330〜345mm(はがきの縦幅3枚分程度)必要になります。一方、A4横型トレーの奥行きは約258〜260mmで収まります。これはおよそ7〜8cm、ちょうど消しゴム2個分ほどの差です。
つまり、こういうことですね。
奥行き60cmの一般的なオフィスデスクに置く場合、この差が作業スペースを確保できるかどうかの分かれ目になります。特にモニターを手前に引いて設置しているデスクや、ノートPCとトレーを並べるスタイルには横型が向いています。
一方、縦型トレーはデスクの横幅が確保しにくい場所、たとえば幅が90cm以下のコンパクトなデスクや壁際の設置に向いています。縦型は横幅が約255〜260mmと小さいため、複数台並べやすいという利点もあります。
| タイプ | 一般的な本体奥行き | 向いているデスク |
|---|---|---|
| A4横型トレー | 約258〜260mm | 奥行き60cm以上・横長デスク |
| A4縦型トレー | 約329〜345mm | 幅が限られたデスク・壁際設置 |
デスク上のスペースを最大限に活用したいなら横型が原則です。ただし、置き場所の寸法を先に測ることがすべての出発点になります。購入前に必ずメジャーでデスクの空きスペースを確認しましょう。
参考:A4サイズの正確な寸法と用途について
A4サイズの寸法・用途まとめ|グラフィック
素材選びで見た目だけを重視すると、3ヶ月後に後悔する可能性があります。
A4横型トレーには大きく3種類の素材があり、それぞれ耐久性・コスト・拡張性が大きく異なります。まずそれぞれの特徴を整理しておきましょう。
① プラスチック・ポリスチレン製(透明・半透明タイプ)
最も一般的な素材です。セキセイの「デスクトレー A4 ヨコ(SSS-1340)」やライクイットの「デスクトレー A4 横型(LM-20R)」などがこのタイプです。1個あたり400〜1,500円程度で購入でき、スタッキング(積み重ね)対応のものが多いのが特徴です。透明・半透明であれば中の書類が見えるため、取り出す前に内容を確認できるメリットがあります。
② スチール・メッシュ製
金属製のため剛性が高く、重い書類を大量に入れても変形しにくいのが強みです。1段あたり2kg前後の耐荷重があるものも多く、長期使用向きです。価格は1,500〜3,500円程度。ただし錆に注意が必要で、水まわりの近くや湿気の多い場所には向きません。
③ 木製・天然木製
ナチュラルインテリアや北欧スタイルのデスクに合わせたい場合に向いています。エムールの「木製レターケース」(約2,390円)など、見た目の温かみが強みです。一方、スタッキング時の安定感がプラスチック製より劣るケースがある点と、濡れた手で触れると変色のリスクがある点は注意が必要です。これは使えそうです。
自宅デスクでインテリアを重視したい場合は木製、オフィスやテレワーク環境でとにかく書類をたくさん整理したい場合はプラスチックかメッシュを選ぶのが基本です。素材が条件です。
参考:おしゃれな書類トレー・レターケースの素材別おすすめ比較
おしゃれな書類トレー・レターケースのおすすめ7選|Design Magazine
「スタッキング対応」と書いてあれば何段でも積んでいい、と思っているなら要注意です。
スタッキング(積み重ね)は、A4横型トレーの最大の利点の1つです。1台を縦に積み上げることで書類の分類を「優先度別」「案件別」「進行状況別」に分けられ、デスクの横幅を使わずに収納量を増やせます。
ただし、積み重ねに関しては「最大スタッキング段数」の表示を必ず確認することが必要です。例えばコクヨの「スタッキングトレー A4 タテ(DT-40NM)」は最大5段、ライクイットのA4横型トレー(LM-20R)はシリーズ累計販売数1,000万個を超える人気商品ですが、積み重ね段数はシリーズの組み合わせにより異なります。
安定性を高めるために確認すべきポイントをまとめると、以下のとおりです。
3段以上積む場合は、最下段のトレーが空に近い状態にならないよう注意が必要です。下が軽すぎると、上段の重さで全体が倒れることがあります。下段には使用頻度の低い書類を、上段には毎日触れる書類を入れるのが安定性と効率の両立に向いた使い方です。重心が下が条件です。
「とりあえず入れる」だけのトレーは、書類の墓場になります。
書類収納を極めるうえで最も重要なのは、トレーに「役割」を与えることです。整理の専門家が推奨する「書類4分類ルール」は、次の考え方に基づいています。
A4横型トレーを2〜3段スタッキングで使う場合、最上段に「A:アクション書類」、中段に「B:短期保管書類」を割り当てるのが最も取り出しやすいレイアウトです。Cに分類した長期保管書類はトレーには入れず、ファイルボックスやキャビネットへ移動させることで、トレー内が「常に動いている書類だけ」の状態を保てます。
つまり、デスクトレーは「永久保管場所」ではなく「一時的な処理待ちスペース」と定義することが核心です。
整理されたデスク環境で生産性が最大20%向上するというデータ(複数のオフィス環境調査より)がある一方、書類の探し物によって社員一人あたり年間約150時間(約19営業日分)が失われるという調査結果も報告されています。これは月換算で12時間以上、1日の勤務時間分に相当します。痛いですね。
4分類を定着させたい場合、各トレーにラベルを貼るのが効果的です。テプラ(キングジム)などのラベルライターで「TODAY(今日対応)」「THIS WEEK(今週対応)」のように英語・日本語問わず視覚的に分かりやすくしておくと、書類を置く際の迷いがなくなります。
参考:書類4分類の整理術と実践的な収納方法
書類整理のコツ4分類!今すぐ始めるスッキリ収納術|熊日スパイス
収納を極めたい人ほど、じつはデスクトレーを「隠そう」として逆効果になっています。
デスク収納の文脈でよく出てくるのが「見せない収納」という考え方です。ファイルボックスに書類をまとめ、棚に並べてスッキリ見せる整理術は確かに見た目が美しいのですが、これは「デスク脇の棚」向けの発想であり、手元のデスクトレーには向いていない場合が多いです。
デスクトレーの最大の役割は、「今日・今週対応すべき書類が0.5秒で取り出せること」です。ファイルボックスや引き出しに閉じ込めてしまうと、取り出す動作が1ステップ増え、それが毎日の積み重ねで大きなストレスになります。
ここで参考になるのが「認知負荷の低減」という考え方です。脳科学の観点では、人間は「探す」という行動それ自体が集中力を消費します。書類がどこにあるかを把握していない状態では、無意識のうちに脳のリソースが「書類の場所を記憶・推測する作業」に使われ続けます。これは表面上は気づきにくいコストです。意外ですね。
A4横型トレーがこの問題に強い理由は、書類がトレーの上から一目で見渡せる構造にあります。縦型トレーは書類の背表紙(タブ部分)を見て判断しますが、横型は書類の上端が全段にわたって視認できるため、「どこに何があるか」の把握が直感的に行えます。
クリアタイプのプラスチック製を選べば、横からも中の書類が視認できるため、視覚管理としてはさらに優れた選択になります。ライクイットの「デスクトレー A4 横型(LM-20R)クリア」はその代表格で、シリーズ累計1,000万個以上の販売実績がある点からも、この「見える収納」のコンセプトが多くのユーザーに支持されていることがわかります。
「見せない美しさ」と「すぐ見える実用性」のバランスが基本です。デスクの手元には後者、棚や床置きには前者という使い分けが、収納を長続きさせるコツです。
参考:整理されたデスクが集中力と生産性に与える影響(科学的根拠あり)