
自家用倉庫とは、自社の商品や資材を保管するために自社が所有・運営する倉庫のことです。第三者から物品を預かることなく、あくまで自社の業務の一環として使用している場合は、倉庫業法上の「営業倉庫」には該当せず、登録や許認可は必要ありません。
参考)https://tsunagaru-as.com/article/warehouse-biz-licensing
製造業者が自社の完成品を一時的に保管するスペースや、卸売業者が仕入れた商品を管理するための倉庫はすべて自家用倉庫として扱われます。重要なポイントは「第三者から有償で物品を預かるかどうか」という点です。
参考)https://sohko.net/etc/warehouse-no-permission-required.html
営業倉庫と自家用倉庫の大きな違いは以下の通りです。
参考)https://www.senryakusouko.com/column/knowledge/commercial-warehouse-private-warehouse
・営業倉庫:第三者から荷物を預かって物流業務を行う営業目的の倉庫
・自家用倉庫:自分の持ち物を保管・管理するために使用する倉庫
・規制の違い:営業倉庫は倉庫業法の厳しい基準をクリア、自家用倉庫は建築基準法や消防法のみ
一時的な保管や短期間の利用に関しては、倉庫業登録の対象外となるケースが多くあります。代表的な例として以下が挙げられます。
港湾運送事業における一時保管では、港での荷役作業中や通関待ちの貨物を一時的に港湾施設内で保管する場合は、港湾運送事業としての位置付けとなり、倉庫業としての登録は不要です。物流の流れの中で付随的に行われる保管であることが前提となります。
貨物自動車運送事業における一時保管は、貨物自動車運送事業者が配送中の荷物を次の配達に備えて短期間保管する場合(仕分け・再積込など)、その保管行為は輸送に付随する業務とされ、倉庫業法の適用対象にはなりません。
ロッカーなどの一時預かりサービスも、駅構内や商業施設などに設置されたコインロッカーや手荷物預かり所などは、主に個人利用を対象とした一時的保管であり、倉庫業法上の「物品保管契約」には該当しません。
第三者の物品を預かっていても、料金を受け取らない(無償)契約であれば、原則として倉庫業法の適用対象外となります。ただし、この場合でも形式上は無償でも、実質的に報酬性があると判断されるケースでは、登録が必要になる可能性もあります。
特に注意が必要なのが、関連会社や取引先からの物品を「形式上」無償で預かっていても、実態として保管料相当の対価が別の形で発生していれば、倉庫業に該当することがあるという点です。
例えば以下のようなケースは要注意です。
・関連企業の商品を無償保管と称しているが、実質的な取引条件に保管料が含まれている
・長期継続的な保管業務を無償で行っているが、他の契約で優遇条件を受けている
・表面上は無償でも、実態として営業倉庫としての性質を持つ運営をしている
倉庫業法は形式だけでなく「実態」で判断されるため、用途や契約内容によってはグレーゾーンになることもあります。
倉庫業法には、特定の業務に付随する保管行為については例外規定が設けられています。これらの業務は倉庫の定義を満たしていても許可は不要で、一時保管で金銭のやりとりがあっても倉庫業にはあたりません。
銀行の貸金庫等の保護預かりは、金融業務に付随する保管サービスとして位置付けられており、倉庫業法の適用対象外とされています。これは保管の目的が単純な物品保管ではなく、貴重品の安全保管という特殊な性質を持つためです。
クリーニング業のように、特定の物品の役務(洗濯や修理等)の営業を行う場合に付随してその物品を保管する行為も例外とされています。この場合、主たる業務はクリーニングサービスであり、保管は付随的な業務とみなされるためです。
特定の物品を製造・加工した後で他人に譲渡する営業において、譲渡後も引き続きその物品を保管する場合も含まれます。これは製造業や加工業における完成品の引き渡し前保管を想定した規定です。
倉庫業の許可が必要かどうかの判断は、単に契約書の文言だけでなく、実際の運営実態に基づいて行われます。そのため、「無許可でも大丈夫」と自己判断せず、専門家に相談することが重要です。
実務上よくあるグレーゾーンとして、トランクルームの運営があります。物品の寄託がないトランクルームは基本的にスペースを貸すだけなので倉庫業の登録は必要ありません。しかし、管理サービスの内容や契約形態によっては倉庫業と判断される可能性もあります。
倉庫を建てて他社に貸す場合は不動産賃貸業に該当するので、倉庫業の登録は必要ありませんが、この場合も単純な建物賃貸か、保管サービスを含む業務かで判断が分かれることがあります。
無許可営業と判断された場合の罰則は重く、倉庫業法第28条では1年以下の懲役か100万円以下の罰金もしくはそれらを同時に科すと規定されています。そのため、判断に迷う場合は早めに行政書士などの専門家に相談し、倉庫業の許可が必要なのか無許可でも問題がないのかを明確にすることが必要です。
営業開始前の事前相談として、管轄の運輸局に相談することで、登録要件の確認や申請手続きの流れについて詳しい情報を得ることができます。
参考)https://biz.moneyforward.com/establish/basic/67771/
国土交通省中部運輸局の倉庫業関係情報
倉庫業の申請・届出に関する詳細な手続きの流れと各倉庫の施設基準について
国土交通省の倉庫業法関連資料
倉庫業法の登録要件や倉庫管理主任者の選任について詳しい解説