
ミニマリストの間で注目されている考え方の一つに「貯金の上限を設ける」というものがあります。特に「60万円」という具体的な金額を上限とする実践者も少なくありません。
これは単なる数字ではなく、「1年間の必要最低限の生活費」という考え方に基づいています。ミニマリストしぶさんのブログでは、この金額を超えたら「応援したい人へお金を回す」というポリシーを掲げています。
この考え方の根底にあるのは「起こるかどうかわからない未来に備えて、今をないがしろにする」ことへの抵抗です。ミニマリズムの「"もしも"のために物を持つな」という考え方をお金にも適用しているのです。
ライフネット生命の出口会長の言葉を引用し、「手取り1年分」をセーフティネットとして持っておけば、万が一の時にも1年間は生活できるという考え方を支持しています。結婚、出産、入院など予期せぬ出来事が起きても、この期間があれば対処法を考える時間的余裕が生まれるというわけです。
「貯金がないと不安」という感覚は多くの人が抱えるものですが、ミニマリストの視点では、この不安の正体は「情報不足」だと考えられています。
お金に関する正確な知識や情報を持つことで、漠然とした不安は具体的な対処法に変わります。例えば、出産にかかる費用は一見大きな金額に思えますが、出産育児金や出産手当金などの制度を知っていれば、実際の負担はそれほど大きくないことがわかります。
これはお化け屋敷の例えが分かりやすいでしょう。お化けが出てくる場所を事前に知っていれば怖くないように、お金に関する正確な知識があれば不安は軽減されるのです。
ミニマリストの多くは、お金に関する本を読んだり、情報を集めたりすることで、お金リテラシーを高める努力をしています。これにより、「貯金がない不安」から解放され、今この瞬間に集中して生きることができるようになります。
貯金ゼロからスタートしたミニマリストが、どのように資産を形成していったのか、その実例は非常に参考になります。
ミニマリストゆみにゃんさんの例では、20代で結婚し貯金ゼロで離婚した後、ミニマリストとしての生活を始め、10年間で7,000万円の資産を築くことに成功しました。彼女の成功の鍵は、物を減らすことで物欲が抑えられ、結果としてお金が貯まるという好循環を生み出したことにあります。
また、別のミニマリストの例では、貯金ゼロから年間100万円の貯金ができるようになったケースもあります。これは固定費の見直しや無駄な出費の削減によって実現したものです。
興味深いのは、多くのミニマリストが「貯金すること自体」を目的にしているわけではないという点です。むしろ、必要最低限の生活費を確保した上で、余剰資金を投資や人への支援など、外部に「回す」ことを重視しています。これは「お金を貯め込む」という従来の価値観とは一線を画す考え方です。
ミニマリストが実践している節約術は、単なる「我慢」ではなく、生活習慣そのものを見直すことから始まります。
例えば、以下のような習慣の変更が効果的です。
これらの習慣は、一つ一つは小さな変化ですが、積み重なることで大きな効果を生み出します。特に「先に貯金して、残ったお金で生活する」という発想の転換は、多くのミニマリストが推奨しているポイントです。
ミニマリストの生活スタイルと「貯金しない」選択には、注意すべき点もあります。すべてのミニマリストが経済的に成功するわけではないという現実も見ておく必要があります。
あるミニマリストは、「ミニマリストになったからといって、誰でもお金が貯まるわけではない」と率直に語っています。40代半ばにして貯金がないという状況を自ら「やばい」と認識しています。
この落とし穴に陥らないためには、以下の点に注意が必要です。
ミニマリストしぶさんも指摘しているように、「貯金しない」選択は、単に「貯金が良くない」という意味ではなく、過度に未来に備えて現在を犠牲にすることへの警鐘です。
NISA制度について詳しく知りたい方はこちら(金融庁公式サイト)
貯金に執着しないミニマリストの多くは、代わりに投資を通じた資産形成に目を向けています。特に注目すべきは、その投資アプローチの特徴です。
ミニマリストゆみにゃんさんの例では、投資を始めたきっかけは「お金を寝かせておくだけではもったいない」という気づきでした。彼女は複雑な投資手法ではなく、シンプルなインデックス投資を選択しています。
インデックス投資の特徴は以下の通りです。
ミニマリストの投資哲学は「シンプルさ」と「長期的視点」に重点を置いています。これはミニマリズムの「必要なものだけを持つ」という考え方と一致しており、投資商品も必要以上に複雑なものを選ばない傾向があります。
新NISAなどの非課税制度を活用する際も、「長期で積み立てを行い、分散・複利効果が期待できるインデックス投資を優先させる」というシンプルな戦略を好む傾向があります。
投資の基礎知識について(三井住友銀行)
投資を始める際のアドバイスとしては、以下の点が挙げられています。
これらのアプローチは、ミニマリストの「必要なものだけを持つ」「シンプルに生きる」という価値観と一致しており、投資の世界でもミニマリズムを実践していると言えるでしょう。
ミニマリストの間で注目されている考え方に「お金を回す」という発想があります。これは単に「貯金しない」というネガティブな選択ではなく、お金の使い方に対する積極的な姿勢を表しています。
ミニマリストしぶさんは、「貯金して手元に眠らせてもしょうがないし、どんどん外に回していこう」と述べています。ここでいう「回す」とは、単なる消費ではなく、応援したい人や価値あるプロジェクトにお金を使うことを意味します。
この考え方の特徴は以下の通りです。
この「お金を回す」という発想は、従来の「貯める・増やす」という経済観とは一線を画しています。お金を単なる数字や将来の安全保障としてではなく、現在の世界をより良くするための道具として捉えているのです。
実際、多くのミニマリストが社会的意義のあるプロジェクトやクラウドファンディング、地域の小さなビジネスなどにお金を使うことで、自分の価値観に合った世界づくりに参加しています。
社会的意義のあるプロジェクトを探す(クラウドポート)
この考え方は「お金は手段であって目的ではない」というミニマリズムの本質を表しており、物質的な豊かさよりも精神的な充実や社会的なつながりを重視する姿勢につながっています。
ミニマリストが「貯金しない」または「貯金に上限を設ける」選択をする背景には、心理的な自由を得るという重要な側面があります。
人間は本来、「貯めれば貯め込むだけ、手放すのが怖くなる生き物」です。貯金額が増えるほど、それを失うことへの恐怖も比例して大きくなります。この恐怖から解放されることが、ミニマリストの「貯金しない」選択の一つの目的と言えるでしょう。
ミニマリストしぶさんは「意味もなく『貯金するのが生き甲斐』になるのが、僕にとって最悪の状況です」と述べています。これは、お金そのものが目的化してしまう危険性を指摘しているのです。
心理的自由を得るための具体的なアプローチとして。
このような考え方を実践することで、多くのミニマリストは「お金の心配」から解放され、現在の瞬間に集中して生きることができるようになります。これは物理的な所有物を減らすことで得られる解放感と同様の効果があるのです。
お金と幸福度の関係についての研究(労働政策研究・研修機構)
「未来のことを考える暇がないくらい、今という一点に集中して生きるのがミニマリスト。未来は今の積み重ねでしかないのだから、今を懸命に生きることが未来への保険になる」というミニマリストしぶさんの言葉は、この心理的自由の本質を表しています。
ミニマリストの間でも、貯金に対する考え方は一様ではありません。「貯金しない」という選択をする人もいれば、積極的に資産形成を行う人もいます。この多様性こそがミニマリズムの本質とも言えるでしょう。
例えば、50歳で「貯金がなかった」ことをきっかけにミニマリストになった筆子さんの例があります。彼女は「生活を変えたい。いっそミニマリストになってしまえばいいのかも?」と考え、ミニマリズムを始めました。これは「貯金がない」という状況から、ミニマリズムという解決策を見出した例です。
一方で、ミニマリストゆみにゃんさんのように、ミニマリストとしての生活を通じて10年間で7,000万円の資産を形成した例もあります。彼女の場合、ミニマリズムは「貯金しない」ためではなく、効率的に資産を形成するための手段となっています。
このように、ミニマリストの貯金に対する姿勢は大きく分けて以下のパターンがあります。