普段の疑義照会そのままで算定すると、あなたは毎月数千円単位で損をし続けます。
2026年(令和8年)の調剤報酬改定で、「重複投薬・相互作用等防止加算」は正式に廃止されました。これは単なる名称変更ではありません。
関連)https://note.com/apotheke_umschau/n/ncc0b1b11401f
長年、残薬調整も重複投薬防止も同一加算の枠組みで処理されてきましたが、その結果として「介入の質」が評価されにくい状況が続いていたのです。 中医協(中央社会保険医療協議会)は令和8年1月23日の資料で、対人業務をより厳密に評価する制度設計へと舵を切ることを明示しています。
関連)https://www.ygken.com/2026/02/202682.html
つまり廃止が目的ではありません。
改定の狙いは、「何をしたか」ではなく「どう介入したか・誰が関わったか」で報酬を差別化することです。 かかりつけ薬剤師の機能強化と在宅医療への対応を促進するため、従来の一律評価を解体し、2つの新加算として再構成しました。
これを知らずに従来通りの算定フローを続けると、取れるはずの点数を毎月取り逃がすことになります。
| 区分 | 旧:重複投薬・相互作用等防止加算 | 新加算(2026年〜) |
|---|---|---|
| 残薬調整 | ロ:20点(一律) | 調剤時残薬調整加算:30〜50点 |
| 重複・相互作用等防止 | イ:40点(一律) | 薬学的有害事象等防止加算:30〜50点 |
| かかりつけ薬剤師・在宅 | 区別なし | 両加算とも50点に加算アップ |
調剤時残薬調整加算は、残薬(飲み残し・飲み忘れ)対策に特化した加算です。従来の残薬調整20点が独立・強化された形になります。
関連)https://www.ygken.com/2026/02/202682.html
算定の原則は7日分以上の調剤日数変更があることです。これが基本ルールです。
関連)https://note.com/apotheke_umschau/n/n46edf8464755
ただし、6日分以下でも例外があります。
薬剤師が服薬状況などから必要と判断した場合、6日分以下の減算であってもレセプトに理由を記載すれば算定可能です。 これは現場の柔軟性を高めるための改正で、旧加算にはなかったルールです。見逃しやすいポイントですね。
関連)https://www.ygken.com/2026/02/202682.html
点数は以下のとおりです。
ニ(一般ケース)でも旧の20点から30点へ引き上げられたのは大きな変化です。 レセプトへの理由記載を忘れると6日分以下の場合に算定できなくなります。薬局スタッフ全員での共有が必須です。
関連)https://www.ygken.com/2026/02/202682.html
また、在宅患者訪問薬剤管理指導料などを算定中の患者は対象外となる点も要注意です。
関連)https://www.ygken.com/2026/02/202682.html
薬学的有害事象等防止加算は、重複投薬・相互作用・ポリファーマシー対策に特化した新加算です。旧加算の「残薬調整以外(40点)」に相当しますが、構造が大きく異なります。
関連)https://tachiyaku.com/yakugakutekiyuugaijisyoutouboushikasan-overview/
一般ケース(ニ)は40点から30点へ減点になっています。意外ですね。
ただし在宅・かかりつけ薬剤師が関与する場合は50点と高評価になります。 つまりかかりつけ薬剤師を配置している薬局では実質増収、そうでない薬局は減収というシナリオが想定されます。
関連)https://www.ygken.com/2026/02/202682.html
算定できる疑義照会の内容は以下のとおりです。
関連)https://yaku-saizensen.com/chohuku_gigi/
「そのほか薬学的観点から必要と認める事項」という文言は旧加算から引き継がれています。ある程度は薬剤師の裁量で加算が認められます。
関連)https://tachiyaku.com/yakugakutekiyuugaijisyoutouboushikasan-overview/
また、2026年改定で新たに電子処方箋の重複チェック結果を活用した場合が算定要件に明記されました。 これはDX推進を報酬で後押しする意図があります。電子処方箋システムを導入している薬局は積極的に活用するのが得策です。
関連)https://www.ygken.com/2026/02/202682.html
参考:薬学的有害事象等防止加算の詳細な算定要件(tachiyaku.com)
【2026年】薬学的有害事象等防止加算が新設。重複投薬・相互作用等防止加算との違いを解説
新加算に移行した後も、旧加算から引き継いだ細かいルールを正確に把握しておく必要があります。これが算定漏れや返戻の原因になるからです。
まず、複数の処方箋で同時に対象となる場合でも算定は1回のみです。 同じ患者について2枚の処方箋を受け付け、それぞれで重複が見つかった場合も、加算は1件分しか算定できません。これが条件です。
関連)https://pharmacist.m3.com/column/chouzai_santei/6256
次に施設基準についてです。
関連)https://www.ygken.com/2026/02/202682.html
両加算ともに、「適切なお薬手帳の活用実績が相当程度あると認められる保険薬局」であることが施設基準として定められています。お薬手帳の交付・活用率が低い薬局は算定できないリスクがあります。
薬歴記載は必須です。 旧加算でも必須でしたが、新加算でも同様です。また、調剤管理料を算定していない場合は薬学的有害事象等防止加算も算定できない点は見落としがちです。レセコンで自動的に弾かれるケースが多いとは思いますが、手動チェックの際に意識しておきましょう。
関連)https://tachiyaku.com/yakugakutekiyuugaijisyoutouboushikasan-overview/
参考:2026年改定の算定フローチャートと算定ルール(m3.com)
【26改定】算定フローチャート付!新設「調剤時残薬調整加算」の算定要件と判断基準(m3.com)
改定対応で最初にやるべきことは、現行フローの棚卸しです。
具体的には、今まで「重複投薬・相互作用等防止加算(イ・ロ)」で処理していたものが、新加算のどの区分に当たるかを分類する作業です。 これをせずに従来通りで進めると、取れるはずのイ・ロ・ハ(50点)を見逃してニ(30点)で算定し続けるリスクがあります。
関連)https://pharmacist.m3.com/column/momo_kaitei2026/7335
対応ポイントを整理します。
また、自薬局のかかりつけ薬剤師の体制整備が間に合っていない場合は、早急に計画を立てる必要があります。在宅・かかりつけで算定できる50点と、一般ケースの30点との差は1件あたり20点、月に50件なら1,000点(約10,000円相当)の差になります。これは無視できません。
算定フローのチェックには、ウィーメックスのような薬局支援システムや、m3.comなどの薬剤師向け専門メディアのフローチャート資料の活用が効果的です。算定の判断に迷うケースを事前に整理しておくと、スタッフ全員での統一判断が可能になります。
参考:2026年度改定での算定要件の変化点と詳細解説(note)
「調剤時残薬調整加算」「薬学的有害事象等防止加算」の算定要件を7日分ルール含め完全解説(note)
参考:2026年改定の全体像と点数比較表(ygken.com)
2026年(令和8年度)調剤報酬改定:重複投薬・相互作用等防止加算廃止と新加算の全体像