zスコアで川崎病の冠動脈瘤を正確に計算・評価する方法

川崎病の冠動脈病変評価にzスコアを使う方法をわかりやすく解説。計算ツールの使い方や重症度分類の基準、日常診療での注意点とは?

zスコアで川崎病の冠動脈病変を計算・評価するための基礎と実践

実測値が正常範囲内でも、zスコアが+2.5を超えると川崎病診断基準に該当します。


この記事の3つのポイント
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zスコアとは何か

体表面積ごとに冠動脈内径を標準化した指標。日本人小児のデータから算出され、年齢・体格の影響を排除して病変の有無を客観的に評価できる。

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計算に使うツール

Z Score ProjectやZ Score Project 2nd stage(UMIN)など、国内外の公式ツールが複数存在。使用する式によって結果が異なるため、施設内での統一が重要。

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重症度分類の基準

+2.5未満は正常、+2.5〜+5未満が小瘤、+5〜+10未満が中等瘤、+10以上または実測値8mm以上が巨大瘤と定義されている(AHA 2017年ガイドライン)。


川崎病のzスコアとは何か:計算の意味と目的


川崎病(Kawasaki Disease:KD)の診療において、冠動脈内径のzスコアは今や欠かせない指標です。zスコアとは、ある計測値が同じ体表面積(BSA)を持つ健常小児の平均からどれだけ離れているかを、標準偏差の倍数で示したものです。


関連)https://raise.umin.jp/zsp/


つまり「+2.5」というスコアは、同体格の健常児の平均よりも2.5標準偏差分、冠動脈が拡大していることを意味します。絶対値(mm)だけでは、体格が大きい子どもで冠動脈が大きく見えても正常なのか異常なのかが判別しにくい場面があります。これが基本です。


zスコアを使うと、乳児でも年長児でも同一基準で評価できるため、見落とし・過大評価のリスクを下げられます。 特に体格差が大きい急性期の小児患者において、その有用性は高いといえます。


関連)https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/kd/kawasaki/ka02/01.php


川崎病zスコアの計算方法:Z Score Projectの使い方

国内で広く使われているのが、UMINが提供する「Z Score Project」と「Z Score Project 2nd stage」です。 入力項目は性別・身長・体重・各セグメントの冠動脈内径(♯1、♯5、♯6、♯11)の4か所です。


関連)https://raise.umin.jp/zsp2/aisatsu.html


計算の流れは次の通りです。


  • 心エコーで右冠動脈近位部(♯1)、左冠動脈主幹部(♯5)、左前下行枝近位部(♯6)、左回旋枝近位部(♯11)の内径を計測
  • 患者の性別・身長・体重を入力してBSAを算出
  • 各セグメントのzスコアが自動計算される


♯2や♯7は直接入力できないため、♯2のzスコア計算には♯1を、♯7のzスコア計算には♯6を代用します。 これは代用であることを記録に残しておくと、後日の評価がスムーズです。


関連)https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/kd/kawasaki/ka02/01.php


なお、世界では6種類以上のzスコア算出式が存在し(Kobayashi式、de Zorzi式、Kurotoki式、McCrindle式、Olivieri式、Dallaire式など)、同じ患者でも使用する式によって結果が異なることが報告されています。 施設内で統一した式を使うことが原則です。


関連)https://growthring.healthcare/learning/pubmed/detail/38685457/


川崎病zスコアの重症度分類:+2.5・+5・+10の各境界線

AHA(米国心臓協会)の2017年ガイドラインでは、zスコアによる冠動脈の重症度分類が明確に定義されています。 以下の表で確認してください。


関連)https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/kd/kawasaki/ka02/01.php


重症度 zスコアの基準 補足(実測値)
正常 +2.5未満
冠動脈拡大 +2.0以上〜+2.5未満
小瘤 +2.5以上〜+5.0未満
中等瘤 +5.0以上〜+10.0未満 実測値8mm未満
巨大瘤 +10.0以上 または実測値8mm以上




関連)https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_26593


日本川崎病学会の診断の手引き改訂第6版でも、冠動脈病変の定義は「zスコア+2.5以上、または実測値で5歳未満3.0mm以上、5歳以上4.0mm以上」と両方が併記されています。 現在は絶対値評価からzスコア評価への移行期であり、両方を意識することが条件です。


関連)https://www.jskd.jp/wp-content/uploads/2023/03/terminology1.pdf


小瘤(+2.5〜+5未満)は急性期後に消退することが多いですが、中等瘤以上では長期的な心イベントリスクが上がります。 巨大瘤(+10以上)では血栓形成・心筋梗塞のリスクが特に高く、抗凝固療法の適応を慎重に検討する必要があります。


関連)https://jskd.jp/wp-content/uploads/2022/10/Zscore_H30.pdf


川崎病zスコア計算で現場が見落としがちな注意点

zスコアの計算は自動化されていますが、入力値の精度が結果を大きく左右します。心エコーの計測タイミング(収縮期か拡張期か)、プローブの当て方によって内径の値が1〜2mm程度変動することがあります。これは使えそうです。


たとえば♯5(左主幹部)の内径が3.0mmの乳児で、計測値が0.5mmずれると、zスコアが+2.3と+3.1のように正常域と小瘤域をまたぐことがあります。境界例では複数回の計測・複数名でのダブルチェックが現実的な対策になります。


また、zスコアの算出に使うBSA計算式(Du Bois式・Haycock式など)が施設ごとに異なる場合があります。 使用するzスコアツールとBSA計算式の組み合わせを統一していないと、同じ患者でも結果が微妙に変わります。これが現場での混乱を招く原因の一つです。


関連)https://raise.umin.jp/zsp2/aisatsu.html


さらに、2017年AHAガイドライン改訂前は中等瘤のzスコア基準が3〜7とされていましたが、現在は5〜10未満に変更されています。 古いカットオフ値を記憶したまま使用していると、評価が誤った方向になります。注意が必要です。


関連)https://raise.umin.jp/zsp2/aisatsu.html


Z Score Project(UMIN)- 日本人小児の冠動脈内径zスコア計算ツール(体表面積別の標準曲線とzスコアを自動算出)


zスコアと川崎病診断・治療方針の独自的視点:「消退」判定の盲点

つまりzスコアの正常化イコール治癒ではない、ということです。


冠動脈内径のzスコアが経時的に低下していても、過去に中等瘤以上があった患者では「退縮したから終了」ではなく、成人診療科への引き継ぎを含めた長期管理計画の立案が必要です。 これが原則です。


関連)https://jskd.jp/wp-content/uploads/2022/10/Zscore_H30.pdf


参考として、川崎病長期管理に関する日本川崎病学会の公式情報も確認しておくと、診療の根拠が明確になります。


日本川崎病学会 川崎病診療ガイドライン - zスコアによる冠動脈評価基準や長期管理方針の根拠資料




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