産業用ロボット種類別特徴活用方法と効率性解説

産業用ロボット種類別特徴活用方法と効率性解説

産業用ロボット種類別特徴と選定方法

産業用ロボット4大種類の概要
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垂直多関節ロボット

人の腕と同様の6軸構造で最も汎用性が高く、溶接・塗装・組立作業に最適

水平多関節ロボット

高速ピッキングと組立作業に特化した4軸構造の省スペース設計

🎯
パラレルリンクロボット

高精度・高速動作を実現する並列構造で食品業界での活用が拡大中

産業用ロボット垂直多関節型の特徴と適用範囲

垂直多関節ロボットは、産業用ロボットの中で最も普及している種類であり、人間の腕と同様の複雑な動きが可能な構造を持ちます 。主に6軸機構が主流となっており、3次元空間での作業に必要な自由度を備えています 。
参考)https://www.nikken-totalsourcing.jp/business/tsunagu/column/1178/

 

このロボットの最大の特徴は、溶接や塗装をはじめとする幅広い工程で活用できる汎用性の高さです 。ロボットアームとも呼ばれ、搬送から組立まで多様な作業に対応できるため、製造業の自動化において中核的な役割を果たしています 。
参考)https://www.keyence.co.jp/ss/products/vision/fa-robot/industrial_robot/type.jsp

 

ただし、自由度が高い反面、直交型などに比べて機械剛性が低い傾向にあります 。高速動作時にはオーバーシュートや振動が発生しやすいため、緻密な制御技術が必要となる点がデメリットとして挙げられます 。

物流業界においては、重量物の搬送や複雑な形状の荷物処理において、その自由度の高さが活かされています 。特に24時間稼働が可能なため、夜間の自動仕分けシステムなどで導入効果が高いとされています 。
参考)https://jss1.jp/column/column_455/

 

産業用ロボット水平多関節型の高速性能と省スペース設計

水平多関節ロボット(スカラロボット)は、水平方向にアームが作動する特殊な構造を持つ産業用ロボットです 。英語名「Selective Compliance Assembly Robot Arm」の頭文字を取ってSCARAロボットとも呼ばれ、4軸構成で上下方向の剛性が高く、水平方向に柔軟性を持つという独特な特性があります 。
この構造により、部品の押し込み作業や高速のピック&プレースに最適化されており、製造現場での組立工程において重要な役割を果たしています 。特に省スペース設計が可能なため、限られた作業エリアでも効率的な作業が実現できます 。
参考)https://jss1.jp/column/column_104/

 

スカラロボットの主な応用分野には以下があります。

  • ピックアンドプレース:真空吸着パッドやチャックハンドによる製品搬送
  • ねじ締め:電動ドライバ装着による自動組立
  • 圧入作業:一定圧力での精密部品挿入
  • 材料塗布:ディスペンサによる接着剤やシール材の塗布

物流分野では、梱包作業の自動化において特に効果を発揮しています 。センサとカメラで製品の向きや位置を確認し、高速ピックアップして箱詰めすることで、作業時間の短縮とカウントミスなどのリスク解消を実現しています 。
垂直多関節ロボットと比較すると、3次元的な動作はできないものの、単純作業における効率性は圧倒的に高いという特徴があります 。導入コストも比較的安価で運用コストを低く抑えられるため、中小企業でも導入しやすいロボットとして注目されています 。
参考)https://fa-products.jp/column/scara-robot-overview/

 

産業用ロボットパラレルリンク型の並列制御システムと精密性

パラレルリンクロボットは、複数のアームが並列に配置され、1つの先端部を同時に制御する独特な構造を持つ産業用ロボットです 。一般的には2本セットの3~4対のアームが配置され、パラレルメカニズム(並列なリンクを介して1点の動きを制御する方法)を採用しています 。
参考)https://factoryjournal.jp/42313/

 

この構造の最大の利点は、複数モーターの出力を1点に集中させることで高精度・高出力を実現できることです 。多関節ロボットでは困難なプレス加工にも対応可能であり、ミクロン単位での位置決めが要求される工程において優れた性能を発揮します 。
参考)https://factory-dx-center.com/parallel-robot/

 

パラレルリンクロボットの技術的特徴。

  • 高剛性構造:多リンク支持によりたわみや振動を抑制
  • 高速動作:軽量可動部と強力アクチュエータの組み合わせ
  • 高精度制御:誤差分散と協調制御による精密位置決め
  • コンパクト設計:設置スペースの最小化

主な適用分野は、ベルトコンベア上での食品のピックアップや高速組立作業などです 。従来の直交型ロボットと比較すると、動作精度と速度において明確な優位性を持ちます 。

比較項目 パラレルリンクロボット 直交型ロボット
動作精度 非常に高い 高い
動作速度 高速 中速
剛性 高い 中程度
設置スペース 小さい 大きくなる傾向

物流業界では、高速仕分けシステムにおいて導入が進んでおり、1時間あたりの処理能力向上と作業精度の向上により、大幅な効率化を実現しています 。
参考)https://engineer-knowledge.sakae-jp.com/logistics-automation?hsLang=ja

 

産業用ロボット直交座標型の単軸構成と拡張性メリット

直交ロボット(直角座標型ロボット)は、単軸直動ユニットを組み合わせたシンプルな機構が特徴の産業用ロボットです 。X・Y・Z軸それぞれに独立したアクチュエータを持ち、3次元の動きを回転ではなく、縦・横・高さという3方向の直交するスライドのみで実現します 。
この構造により、比較的安価で導入コストを抑えられるというメリットがあります 。制御プログラムも比較的容易で、多軸ロボットと比べて命令がシンプルであるため、初期導入のハードルが低いことが特徴です 。
直交ロボットの主な利点。

  • 構造のシンプルさ:故障リスクの低減とメンテナンス容易性
  • 設計の自由度:環境に応じたカスタマイズが可能
  • コスト効率:初期投資と運用コストの最適化
  • プログラミング容易性:簡単な制御命令での操作

軸数は2~4軸構成が一般的であり、直線的な移動のみに特化しているため作業は限定されますが、近年では多関節ロボットと組み合わせて使用されるケースが増加しています 。この組み合わせにより、複雑な作業工程において効率的なワークフローを構築できます。
物流分野における直交ロボットの活用例として、単純な搬送ラインでの荷物移動や、定型的な仕分け作業での導入が挙げられます 。24時間稼働による生産性向上効果も期待でき、人件費削減と作業効率化の両立が可能です 。
特に中小規模の物流センターでは、導入コストの低さと運用の簡便さから、自動化の第一歩として選択されることが多くなっています 。
参考)https://www.logi-square.com/column/detail/s_211029

 

産業用ロボット軸数別性能差と物流業界での投資回収効果分析

産業用ロボットの性能は、軸数によって大きく左右され、各軸が持つ機能と自由度が作業効率に直接影響します 。軸の機能は、L軸(前後移動)、S軸(回転)、U軸(上下移動)、R軸(腕回転)、T軸(手首回転)、B軸(手首上下)に分類され、これらの組み合わせにより複雑な動作が可能になります 。
参考)https://fa-products.jp/column/real-time-os-robot-integration/

 

物流業界における軸数別の効果分析では、以下の傾向が確認されています。
2~4軸システムの投資回収効果:

6軸システムの投資回収効果:

  • 初期投資額:1,500万円~4,000万円程度の範囲
  • 投資回収期間:3~5年
  • 主な削減効果:人件費40~60%削減、生産性70~100%向上

ROI計算における重要要素:

  • 24時間稼働による生産性向上:3交代制人員配置に対する優位性
  • 品質向上効果:不良率削減による材料ロス・再作業費用の削減
  • 安全対策コスト削減:労災事故リスク軽減による保険料削減
  • 長期運用コスト最適化:メンテナンス費用と耐用年数の考慮

物流センターでの導入実績では、ピッキング作業の自動化により1時間あたりの処理能力が300%向上した事例や、仕分け精度が99.8%以上に改善された事例が報告されています 。
参考)https://www.tryeting.jp/column/8767/

 

特に注目すべきは、環境変化への柔軟な対応能力です 。商材変更や規模拡大・縮小に対して自在なレイアウト変更が可能なため、従来の専用設備と比較して高い投資効率を実現しています 。
人手不足が深刻化する物流業界において、採用・育成コストの削減効果も重要な要素となっており、年間200万円程度の人材関連費用削減が可能とされています 。
参考)https://www.logizard-zero.com/columns/basic17.html