ゴロを1つ完璧に覚えれば、TDM対象薬はすべて再現できます。
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TDMとは「Therapeutic Drug Monitoring(治療薬物モニタリング)」の略で、薬物の血中濃度を測定して投与量を個別に最適化する手法です。 すべての薬でTDMが必要なわけではなく、「治療域が狭い・代謝に個人差がある・中毒域での副作用が重篤」という3条件を満たす薬剤のみが対象になります。 この3条件をまとめたゴロが「狭い・個人差・重篤で3拍子そろったらTDM」で、国試・現場の両方で活用できます。
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TDMが特に重要な場面は、肝・腎機能が低下した患者への投与です。 代謝が遅くなると、血中濃度が下がりきる前に次の投与が重なり、中毒域に突入するリスクが上がります。 治療域を外れると「効果なし」か「重篤な副作用」のどちらかに転落するため、現場スタッフがゴロで対象薬を即座に引き出せる状態にしておくことが、患者安全に直結します。
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| TDM必要な条件 | 意味 | 代表例 |
|---|---|---|
| 治療域が狭い | 有効濃度と中毒濃度の差が小さい | フェニトイン、リチウム |
| 代謝に個人差 | 肝・腎機能・遺伝子多型で差が出る | シクロスポリン、タクロリムス |
| 重篤な副作用 | 中毒域では生命に関わる | ジゴキシン、バンコマイシン |
最もシンプルで再現性が高いゴロが「カフェとバル 地獄の現場で目と手を下に」です。 一文に10薬剤が詰め込まれており、試験前の直前見直しにも使えます。
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各フレーズの対応は以下のとおりです。
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これは使えそうです。 フレーズが具体的な行動・場面を連想させるため、視覚的なイメージとセットで記憶に残りやすくなっています。
なお、シクロスポリンとタクロリムスは赤血球・白血球に広く分布するため、血漿や血清ではなく「全血」で測定するのが原則です。 この例外はゴロに載っていないため、「下の2つは全血で測る」と別に覚えておく必要があります。全血か血漿かを誤ると測定値が大きくずれるため、採血管の選択ミスが直接的な投与量エラーにつながります。
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TDMでは測定値の種類も重要です。 トラフ値は次回投与直前の最低血中濃度、ピーク値は投与後の最高血中濃度を指します。 「トラフは谷、ピークは山」と覚えれば、地形のイメージで両者を混同しなくなります。
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各薬剤の目標トラフ値を以下にまとめます。
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| 薬剤 | 目標トラフ値(目安) | 注意副作用 |
|---|---|---|
| フェニトイン | 10〜20 μg/mL | 眼振・運動失調 |
| バルプロ酸 | 50〜100 μg/mL | 肝毒性・高アンモニア血症 |
| カルバマゼピン | 4〜12 μg/mL | 複視・ふらつき |
| ジゴキシン | 0.8〜2.0 ng/mL | 不整脈・悪心 |
| テオフィリン | 10〜20 μg/mL | 痙攣・頻脈 |
| 炭酸リチウム | 0.6〜1.2 mEq/L | 振戦・腎障害 |
| バンコマイシン | 10〜20 μg/mL(AUC/MIC 400〜600を推奨) | 腎毒性・耳毒性 |
フェニトインとテオフィリンは有効域が同じ「10〜20」という数字です。 これは「フェニとテオで10-20ペア」と覚えると混乱しません。
バンコマイシンは近年、トラフ値単独よりAUC/MICでの管理が推奨されるようになりました。 「バンコはトラフだけではダメ」が原則です。 AUC/MICの目標は400〜600とされており、この値を満たさないと耐性菌を生み出すリスクが高まります。
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採血タイミングのミスは、正しい薬剤量を投与していても誤った投与設計につながる、見落とされやすいリスクです。 定常状態(Steady State)に達してから採血するのが原則で、通常は半減期の4〜5倍の時間が必要です。 「定常状態は半減期×4〜5倍後が条件」が基本です。
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採血のタイミングを薬剤ごとに整理すると次のようになります。
「トラフは谷で投与直前、ピークは山で投与後の山頂」と覚えれば、採血タイミングが視覚的に整理できます。 採血時刻と採血部位(投与ライン側vs対側)を記録用紙に明記しておくことで、再評価がしやすくなります。
ゲンタマイシンの場合、半減期は約2時間で、腎機能正常患者では投与開始後6〜8時間で定常状態に近づきます。 しかし腎機能低下患者では半減期が著しく延長し、定常状態到達まで24〜48時間以上かかることもあります。 腎機能の確認なしに採血タイミングを固定するのは危険なため、eGFRの確認とセットで行うことが推奨されます。
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参考:TDMの採血タイミングや測定の実際については、日本化学療法学会・日本TDM学会が発行しているガイドラインが詳しいです。
フェニトインとリチウムは「非線形薬物動態(飽和型動態)」を示す代表薬です。 ほとんどの薬は投与量に比例して血中濃度が上昇しますが、これら2剤は代謝酵素が飽和すると少量の増量でも血中濃度が急激に跳ね上がります。 これは意外ですね。
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たとえばフェニトインで投与量を300mg→350mgに増量した場合、血中濃度が有効域(10〜20 μg/mL)の上限を超えて中毒域に突入することがあります。 通常の薬なら「50mg増量=少し濃度が上がる」ですが、フェニトインでは同じ50mgが劇的な濃度上昇に変わる可能性があります。 「フェニとリチは少量の増量が命取り」が原則です。
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非線形薬物の目印として覚えるゴロは「フェニ・リチは直線じゃない、飽和したら急上昇」です。 この2剤を処方・管理する際は、投与量変更後のTDMを必ず行う必要があります。
また、フェニトインは低アルブミン血症があると見かけの血中濃度が低く見える点も重要です。 アルブミンとタンパク結合している部分が測定値に加算されないため、実際の遊離型(活性型)濃度が正常範囲内でも中毒症状が出ることがあります。 「フェニトインのアルブミン補正を忘れると数値に騙される」として、低アルブミン患者では補正式(Sheinerの式)を使う習慣をつけてください。
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