⚠️ 1日9,000歩歩いた患者より、週3回ジムに通う患者の方が健康寿命が短いケースがある。
2022年の厚生労働省データによると、日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳ですが、健康寿命との差は男性で約9年、女性で約12年あります 。この「差の期間」こそが、介護・医療依存状態で生きる年数を意味します。
関連)https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/hale/h-01-002.html
つまり、長生きするだけでは足りないということです。
慶應義塾大学とワシントン大学IHMEの国際共同研究(Lancet Public Health掲載)によれば、日本の平均寿命は1990年から2021年で5.8年延伸したのに対し、健康寿命は4.4年の延伸にとどまり、不健康期間は9.9年から11.3年へと拡大しています 。医療従事者にとって、この「差を縮める」ことが健康寿命延伸の取り組みの本質です。
関連)https://www.sysmex-medical-meets-technology.com/_ct/17759152
医療現場がこの課題に向き合わなければ、患者は長く生きるほど不健康な期間も増えるというパラドックスが続きます。
慶應義塾大学・IHME 国際共同研究(Lancet Public Health)詳細はこちら。
日本人の健康状態30年間の分析結果(Sysmex Medical Meets Technology)
フレイルは「健康と要介護の中間状態」であり、適切な介入によって健康状態に戻せる「可逆性」を持っています 。これが、医療従事者がフレイル予防に力を入れる最大の理由です。
関連)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202111_00001.html
フレイル予防の3本柱は以下の通りです。
注目すべきは「社会参加」の重要性です。運動だけでは不十分なことが多く、孤立している高齢者はフレイルリスクが高くなります。
厚生労働省のフレイル予防特集(2021年)によると、フレイル対策で食事・運動・社会参加を行うことは、認知症の予防にも直結することが最近の研究で明らかになっています 。一挙両得といえる対策です。
関連)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202111_00001.html
医療従事者としては、外来や病棟で「社会参加の状況」を問診する習慣を持つことが、見落とされやすいフレイル兆候の早期発見につながります。
厚生労働省:健康長寿に向けたフレイル予防特集(2021年11月号)
「1日1万歩」という目標は広く知られています。意外ですね。
しかし、京都府立医科大学の最新研究(2024年)では、健康寿命を延伸するための1日歩数の目標値は9,000歩/日であり、自覚的健康状態を改善するには11,000歩/日が必要と提唱されています 。全国の国民生活基礎調査・国民健康栄養調査データをもとに、AIによる健康寿命指標(HCAL)を用いた大規模解析の結果です。
関連)https://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2024/files/35870.pdf
また別のメタ解析では、心血管疾患リスクは7,200歩/日、死亡リスクは8,800歩/日まで歩数が増えるほど低下することも報告されています 。
関連)https://www.foryou.or.jp/corp2/ikiikitakanawa/blog/detail/35137/
| 歩数目標 | 期待される効果 |
|---|---|
| 7,200歩/日 | 心血管疾患発症リスクの低下 |
| 8,800歩/日 | 死亡リスクの低下 |
| 9,000歩/日 | 健康寿命の延伸(AI指標ベース) |
| 11,000歩/日 | 自覚的健康状態の改善 |
医療従事者が患者に歩数指導をする際、「とりあえず1万歩」と伝えるのは過剰目標になりがちです。9,000歩が現実的かつエビデンスに基づく指導値だと知っておくと、患者のアドヒアランス向上にも役立ちます。
京都府立医科大学:一日の歩数と健康寿命の関係が明らかに(2024年)
2019年に厚生労働省が策定した「健康寿命延伸プラン」では、2040年までに健康寿命を男女ともに2016年比で3年以上延伸し、75歳以上とする数値目標が設定されました 。男性は72.14歳→75.14歳以上、女性は74.79歳→77.79歳以上が目標値です。
関連)https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/hale/h-01-004.html
この目標を達成するための3つの重点分野は以下の通りです。
これが国全体の方針です。
特に「特定健診の実施率向上」は医療機関が直接担う役割であり、現時点での実施率は目標の70%に達していない地域も多く残っています。医療従事者が地域連携のハブとして機能することが、このプランの現場実装に直結します。
ナッジ(行動変容を促す仕掛け)を活用した受診勧奨なども有効な手段として厚労省が推奨しており、診療所・病院の窓口での声がけ設計を見直す余地があります。
都道府県間の健康寿命格差は、1990年の1.8年から2021年には2.3年に拡大しています 。医療資源が集中する都市部と、過疎化が進む地方では、同じ取り組みをしても効果に差が生まれやすい構造的問題があります。
関連)https://www.sysmex-medical-meets-technology.com/_ct/17759152
厳しいところですね。
男性の平均寿命の地域格差は1990年の3.2年から2021年の3.9年へと拡大しており、特に男性における格差悪化が顕著です 。これは生活習慣の差だけでなく、医療アクセスの差・就労環境・社会的孤立の差が複合的に影響していると考えられます。
関連)https://www.sysmex-medical-meets-technology.com/_ct/17759152
医療従事者が「健康格差」の視点を持って患者対応をすることは、これからの実践において不可欠です。具体的には以下の行動が有効です。
取り組みの質は「誰に届けるか」で決まります。
厚生労働省が推進する「健康日本21(第三次)」(2024年度開始)では、「誰も取り残さない健康づくり」を掲げ、社会環境のさらなる整備が進められています 。医療従事者が地域の社会資源と連携することで、格差是正の最前線に立てる立場にあります。
関連)https://www.sysmex-medical-meets-technology.com/_ct/17759152
厚生労働省:健康寿命延伸に向けた取組(健康格差の解消と重点施策PDF)