あなたが何となく続けているスキリージの「いつもの使い方」が、21週間もワクチン接種を縛っていることがあります。
スキリージ(一般名リサンキズマブ)は、IL-23のp19サブユニットに結合して選択的にブロックするヒト化IgG1モノクローナル抗体です。 IL-23はTh17細胞に作用し、腸管バリアを弱めるサイトカイン群を誘導し、慢性炎症の維持に深く関わっています。 そのため、IL-23阻害薬であるスキリージは、乾癬領域だけでなく、クローン病や潰瘍性大腸炎といった消化器領域にまで適応が拡大してきました。 つまりIL-23は「皮膚のサイトカイン」だけではないということですね。
関連)https://raresnet.com/240731-01/
作用機序の観点では、IL-23は多くの免疫介在性炎症性疾患に共通して関与するサイトカインとされ、病態の“ハブ”を押さえる薬剤として位置づけられています。 そのため、寛解導入後もIL-23経路を抑え続けることが、粘膜治癒など高い治療目標の達成に重要だとする専門家のコメントもあります。 こうした背景を踏まえると、単にPASIやCDAIを下げるだけでなく、長期的な寛解維持戦略の中でスキリージをどう位置づけるかがポイントになります。 つまり長期戦を前提にした薬ということですね。
関連)https://kyodonewsprwire.jp/release/202212080960
スキリージの特徴の一つは、疾患によって導入期と維持期の用量・投与間隔が大きく異なることです。 乾癬では、通常150mgを0週・4週に皮下注し、その後12週ごとに維持投与するレジメンが採用されています。 つまり1年に約4回の皮下注で済む設計で、患者負担の少なさが際立ちます。 これは使いやすいですね。
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一方、潰瘍性大腸炎では、米国FDA承認時に寛解導入期として1200mgを4週間ごとに3回投与し、その後180mgまたは360mgを8週間ごとに維持投与するレジメンが報告されています。 12週間の導入期で高用量を繰り返し投与するため、クローン病に比べて「短距離走のあとに中距離走を続ける」ようなイメージです。 クローン病では、日本でも600mg点滴静注で導入し、その後360mg皮下注オートドーザーで維持するレジメンが承認されました。 クローン病の患者さんにとっては、点滴から在宅自己注射への移行が生活の質に直結しますね。
関連)https://skyrizi.jp/cd/about_skyrizi/about.html
導入期のスケジュール管理は、特に多剤併用中の患者で複雑になりがちです。 生物学的製剤の中には2週〜4週ごと投与の薬がある一方で、スキリージは12週間隔が基本であるため、電子カルテ上のリマインダーや患者向けスケジュールカードを活用して「次回いつ打つか」を一目で確認できるようにしておくと安全です。 こうしたツールの導入なら問題ありません。
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スキリージの安全性情報で意外と知られていないポイントの一つが、生ワクチン接種の制限期間の長さです。 日本語の製品情報では、本剤投与中および投与終了後少なくとも21週間は生ワクチンの接種を避ける必要があると明記されています。 21週間というと約5か月ですから、年度末の帯状疱疹ワクチンや渡航用黄熱ワクチンの予定がある患者では、逆算して投与計画を立てないと「5か月丸ごと動けない」状況に陥りやすくなります。 つまりワクチン計画とセットで考える薬ということです。
関連)https://www.abbvie.co.jp/content/dam/abbvie-com2/japan/documents/press-release/2021_1214.pdf
最も頻度の高い副作用は上気道感染で、100例中1例以上10例中1例未満の頻度で白癬感染、頭痛、そう痒、疲労、注射部位反応などが報告されています。 これらは多くが軽度〜中等度で、継続可能なケースが大半とされていますが、慢性感染症や反復感染のある患者では慎重投与が求められます。 特に結核については、既往歴がある患者では結核を再活性化させるおそれがあり、胸部X線などで事前に確認し、投与中も定期的な検査で発現に注意するよう記載されています。 結論は「結核スクリーニングをサボらない」です。
関連)https://www.japic.or.jp/mail_s/pdf/23-09-2-16.pdf
また、結核を疑う症状として持続する咳、体重減少、発熱などが発現した場合には、患者に速やかに担当医へ連絡するよう指導することが重要です。 医療従事者側では、生物学的製剤の術前・術後管理や他の免疫抑制薬との併用状況を整理し、感染リスクが重なるタイミングを避ける工夫が求められます。 例えば、シンプルなチェックリストを用いて「直近6か月の生ワクチン歴」「潜在結核検査の有無」「慢性呼吸器感染症の既往」の3点を毎回外来で確認するだけでも、見逃しリスクは大きく減らせます。 こうしたミニチェックリストだけ覚えておけばOKです。
関連)https://www.japic.or.jp/mail_s/pdf/23-09-2-16.pdf
ワクチンに関しては、インフルエンザなどの不活化ワクチンは理論上接種可能ですが、免疫応答が減弱する可能性を患者に説明し、接種のタイミングを投与間隔の中間時期に設定するなどの工夫が考えられます。 生ワクチンがどうしても必要な場合は、スキリージ導入前に接種を済ませる、あるいは休薬期間を21週間以上確保するスケジュールを、主治医同士(皮膚科・消化器内科・内科など)で共有する必要があります。 この情報は、病院内のワクチン外来や渡航外来と共有しておくと実務上のトラブルを減らせますね。 つまり事前の情報共有が原則です。
関連)https://www.abbvie.co.jp/content/dam/abbvie-com2/japan/documents/press-release/2021_1214.pdf
消化器領域では、クローン病・潰瘍性大腸炎において粘膜治癒が重要な治療目標として位置づけられています。 スキリージは、中等症〜重症クローン病の寛解導入および維持療法において、内視鏡的改善および臨床的寛解の有意な改善を示し、粘膜治癒を目指す治療選択肢として位置づけられています。 具体的には、東京ドームのグラウンドを腸管内面に例えると、炎症で赤くただれた面積が試験前後で「東京ドーム5個分から1個分以下」にまで減った、というイメージです。 こうしたイメージ説明は、患者へのインフォームドコンセントで役に立ちますね。
関連)https://kyodonewsprwire.jp/release/202212080960
日本の乾癬生物学的製剤ガイドライン(英語版)でも、IL-23阻害薬は高い有効性と安全性を背景に重要な選択肢として位置づけられています。 TNF阻害薬やIL-17阻害薬との使い分けとして、感染リスクプロファイル、関節症状の有無、妊娠希望などの要因を総合的に考慮することが推奨されています。 スキリージは、長い投与間隔や良好な長期安全性データから、安定期の患者で「生活リズムを崩したくない」ニーズに特にマッチします。 つまり“長く静かに付き合える薬”という位置づけです。
関連)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36582113/
現場では、「すでにTNF阻害薬やIL-17阻害薬を使っている患者に、どのタイミングでスキリージへスイッチするか」が悩ましい場面です。 IL-17阻害薬は即効性に優れる一方、真菌感染や炎症性腸疾患の増悪リスクが話題になることがありますが、IL-23阻害薬は腸管への影響がポジティブに働き得る点が特徴です。 たとえば、軽度のIBD様症状を併発している乾癬患者では、「皮膚と腸を同時に守る選択肢」としてスキリージを検討しやすくなります。 こうした視点は意外ですね。
関連)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36582113/
一方で、投与間隔が長いことは「フォロー間隔も長くなりがち」という落とし穴を生みます。 感染症徴候の早期発見や、結核再活性化のチェックを漫然と先送りしないよう、オンライン診療や電話再診を補完的に活用し、投与間隔の中間に一度は状態確認の機会を設ける工夫も有効です。 この発想は、特に地方在住や高齢患者のケアで重要になりますね。 つまり間のフォローアップが条件です。
関連)https://www.japic.or.jp/mail_s/pdf/23-09-2-16.pdf
最後に、コスト面ではバイオ製剤全般に共通しますが、長期使用による医療費の累積が問題になります。 スキリージのように投与回数が少ない薬剤は、1回あたりの薬価が高くても、年間総コストでは他剤と比較して競合し得るケースもあり、医療機関内で薬剤経済性の検討を行う価値があります。 その際には、単に薬剤費だけでなく、通院回数減少による間接コスト(交通費・休業損失など)の軽減も、患者視点で説明すると納得感が高まります。 これは使えそうです。
日本乾癬学会・各種ガイドラインや製品情報で、より詳しい投与方法・安全性情報が確認できます。
関連)https://www.abbvie.co.jp/content/dam/abbvie-com2/japan/documents/press-release/2021_1214.pdf
リサンキズマブ製品情報:結核・感染症・生ワクチンに関する重要な注意事項
日本乾癬生物学的製剤ガイダンス英語版:生物学的製剤の位置づけとIL-23阻害薬の役割
あなたの施設では、スキリージ患者のワクチン計画と結核フォローをどう連携管理するのが一番現実的そうでしょうか?
IL-12/23阻害薬は、IL-12とIL-23で共通するp40を標的にする生物学的製剤で、乾癬性関節炎に対する手引きではウステキヌマブが該当薬として示されています。
関連)psa/">https://www.ryumachi-jp.com/publish/guide/guide_il12-23_23_psa/
乾癬領域では、国内で2011年から抗IL-12/23p40抗体であるウステキヌマブが保険承認され、標準治療として認識が定着してきた経緯があります。
関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.34449/J0001.33.09_0041-0043
安全性の話で参考になるのは、PMDAの医療関係者向けページで、最新添付文書、RMP、適正使用ガイドにまとまっている点です。導入前チェックや院内勉強会の資料確認に使いやすいです。
関連)https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/3999473G1029_1?user=1
PMDA:ステラーラ皮下注45mgシリンジの添付文書・RMP・適正使用ガイド
日本リウマチ学会:乾癬性関節炎に対するIL-12/23阻害薬およびIL-23阻害薬使用の手引き
院内での教育素材としては、日本皮膚科学会の乾癬生物学的製剤ガイダンスも押さえておく価値があります。2019年時点で国内で使用可能な生物学的製剤の全体像と、チェックリスト運用の考え方をつかみやすい資料です。
関連)https://devphp.slides.pearlsprogramme.jp/files/m007.pdf
乾癬の全身療法に関する日本の使用指針・ガイドライン資料