物流コスト推移グラフ2024年分析と適正化方針

物流コスト推移グラフ2024年分析と適正化方針

物流コスト推移グラフ2024年

2024年度物流コスト推移の重要ポイント
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売上高物流コスト比率 5.44%

前年度から0.44ポイント上昇し、過去20年で2番目の高水準を記録

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2024年問題の本格化

運転手の労働時間制限により物流コスト増加圧力が顕在化

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価格転嫁の進展

物流事業者から荷主企業への適正運賃収受の動きが本格化

物流コスト推移の2024年実績データ

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が発表した2024年度物流コスト調査によると、売上高物流コスト比率は5.44%となり、前年度の5.00%から0.44ポイントの大幅上昇を記録しました 。この数値は過去20年間の調査において、2021年度の5.70%に次ぐ高い水準となっています 。
参考)https://www1.logistics.or.jp/news/news-2084/

 

2024年度の調査における有効回答数は191社で、全業種平均での物流コスト比率の上昇が確認されています 。特に注目すべきは、2022年度から2023年度にかけて2年連続で減少していた売上高物流コスト比率が、2024年度に転じて大幅上昇に転じた点です 。
参考)https://www1.logistics.or.jp/wp-content/uploads/2025/04/cost_report_20250428.pdf

 

物流コストの増減指数を見ると、2024年度の見通しでは売上高が+42、物流量が+14、物流コストが+63となっており、物流コスト増加の圧力が強まっていることが数値からも読み取れます 。この背景には、燃料価格の高騰や運転手不足に伴う人件費上昇、そして2024年問題による構造的変化があります。

物流コスト構成要素とグラフ分析

物流コストの構成要素を詳しく分析すると、輸送・運送費が全体の55.2%を占め、最大の割合を示しています 。この輸送費の内訳には、燃料費、両メンテナンス費、ドライバーの給与、運送業事業者への支払い、高速道路使用料などが含まれています 。
参考)https://ecnomikata.com/ecnews/eclogistics/41863/

 

2024年度のマクロ物流コストの推計では、日本全体で発生した物流コストの総額が約54兆円規模に達すると見込まれています 。国内消費総額に対する物流コスト比率は約9.6%まで上昇し、これは消費者が以前より多くの費用を物流のために支払うようになったことを意味します 。
参考)https://www.nx-soken.co.jp/topics/blog_20250703

 

物流コストの上昇要因としては、輸送・運送費の値上げ要請件数が2023年に顕著に増加したことが挙げられます 。特に燃料価格の変動や人件費の上昇が直接的な影響を与えており、これらの要素が物流コスト全体を押し上げる主要因となっています。

物流コスト2024年問題による影響評価

2024年4月から施行された運転手の労働時間制限により、物流業界は構造的な変革を迫られています 。政府の試算によると、2024年問題による輸送力の減少は2024年度に14%、2030年度には34%に達する可能性があるとされています 。
参考)https://www.nihon-ma.co.jp/columns/2022/x20220511/

 

この労働時間制限により、運送業者は配送能力の低下を余儀なくされ、運行コストの増加が避けられない状況となっています 。ドライバーの賃金上昇や新たな労働環境整備に伴うコストを反映させる必要があり、その結果として運賃の値上げが進んでいます 。
トラック運送業界における価格転嫁率は、全業種中で最下位の24.1%にとどまっており、コスト上昇分を価格に反映できない企業が29.2%に達しています 。これは価格交渉には応じるものの、実際の価格転嫁は認めないという荷主企業の姿勢を反映しており、物流事業者にとって厳しい状況が続いています 。
参考)https://fullload.bestcarweb.jp/news/374196

 

物流コスト適正化のための価格転嫁戦略

2024年に国土交通省が告示した新しい「標準的運賃」では、運賃水準を約8%引き上げ、燃料高騰分や高速道路料金、荷待ち・荷役などの対価についても水準を設定しました 。さらに下請けに発注する際の手数料として10%を導入し、適正な価格転嫁を可能にする制度的枠組みが整備されています 。
参考)https://logiiiii.f-logi.com/series/pointofview/reasonable-cost/

 

今後予定されている貨物自動車運送事業法の一部改正案では、標準的運賃を廃止し、国が設定する「適正原価」を下回る運賃を法令違反とする内容が盛り込まれています 。これにより、これまでの「いかに安い運賃で運べるか」という競争から脱却し、適切な価格交渉環境の実現が期待されています 。
物流事業者は、標準的運賃を法的根拠として荷主企業との価格交渉を進める必要があります 。この交渉は「お願い」ではなく、法令遵守と社会インフラ維持のための「当然の権利」として主張すべきものとなっています 。適正な運賃収受により、持続可能な物流システムの構築が可能になります。
参考)https://houmu.nagasesogo.com/media/column/column-250819-u/

 

物流コスト削減とDX活用による効率化手法

物流コスト削減において、デジタル変革(DX)の活用が重要な戦略となっています 。AI技術を活用した庫内作業の最適化では、ピッキング作業の動線を改善し、最低限の人員で効率的な作業を実現できます 。輸送管理システムの導入により、配送ルートの最適化と車両の稼働率向上も期待できます 。
参考)https://kddimessagecast.jp/blog/dx/butsuryu_dx/

 

モーダルシフトの推進も重要な対策の一つです 。300km以上の長距離輸送については、トラックから鉄道・航空・海上輸送への転換を進めることで、運転手不足の影響を軽減できます 。国土交通省は、船舶の輸送量を5000万tから1億tに倍増、鉄道については1800万tから3600万tと、輸送量を2倍に増やす計画を示しています 。
参考)https://hacobu.jp/blog/archives/1305

 

🚛 配車受発注システムの導入により、従来のFAXや電話による業務を効率化し、属人化の解消も実現できます
参考)https://hacobu.jp/blog/archives/1297

 

📱 動態管理サービスを活用することで、車両の到着確認を自動化し、従業員の負担軽減につながります
📊 トラック予約受付システムにより、荷役の事前計画が可能となり、作業のムダやムラを削減できます
共同配送の推進も効果的な手法です 。同じ納品先を持つ物流事業者が連携して配送業務を行うことで、トラックの積載効率向上とコスト削減を実現できます 。また、ドライバーが担う付帯作業の見直しや納品スケジュールの調整により、労働時間の最適化も可能になります 。
参考)https://media.plus-automation.com/column/raas_81