DXA法は「Dual-energy X-ray Absorptiometry」の略称で、エネルギーの異なる2種類のX線を骨に照射し、骨組織と軟部組織(筋肉・脂肪)のX線吸収率の差を利用して骨ミネラル密度(BMD)を数値化する検査法です。 現在、骨粗鬆症診療ガイドラインにおいて「骨密度測定の標準法」として位置づけられており、腰椎と大腿骨近位部を同時に評価できる点が最大の強みです。
関連)https://hospital.naramed-u.ac.jp/department/dxa.html
測定に使用するX線の被ばく量は胸部単純X線撮影の約1/6程度と極めて少量です。 これは検診や経過観察での反復測定にも支障がないレベルです。
この原理を理解することが基本です。
| 測定法 | 主な測定部位 | 特徴 | ガイドライン推奨 |
|---|---|---|---|
| DXA法 | 腰椎・大腿骨近位部・前腕骨 | 精度最高、被ばく少 | ◎ 第一選択 |
| QUS法(超音波) | 踵骨など | 放射線不使用、精度やや劣る | △ 補助的 |
| MD法 | 中手骨・橈骨 | 簡便、アルミ板比較法 | △ 補助的 |
DXA法の測定結果は2種類の比較値で表示されます。ひとつは同年齢との比較(%AGE)、もうひとつは骨量が最も多い20〜44歳の若年成人平均値(YAM:Young Adult Mean)との比較です。 骨粗鬆症の診断に用いるのはYAM値です。%AGEを誤って使うと診断を見誤るリスクがあります。
判定基準は以下のとおりです。
YAM値が原則です。
70%という数字はひとつの目安にすぎず、脆弱性骨折の既往がある場合はYAM値に関わらず骨粗鬆症と診断されます。 たとえばYAM値75%でも、軽微な外力による椎体骨折があれば骨粗鬆症の確定診断となります。
関連)https://azabnaika.jp/osteoporosis.html
このように骨折歴との組み合わせ評価が条件です。
骨密度だけで判断せず、骨折歴・危険因子(糖尿病・COPD・慢性腎臓病など)を含めた総合評価が求められます。 FRAX®ツールを活用することで、骨密度の数値に骨折リスク因子を加味した10年間骨折確率を算出でき、治療介入の判断をより客観的に行えます。
関連)https://azabnaika.jp/osteoporosis.html
参考:骨粗鬆症ガイドラインに基づく診断フロー(国立国際医療研究センター病院)
https://www.hosp.jihs.go.jp/housyasen/010/010/20151204235832.html
骨粗鬆症診療ガイドラインでは「腰椎および大腿骨近位部のDXA測定が原則」と明記されています。 前腕骨(橈骨遠位1/3部)は、腰椎・大腿骨の測定または評価が不能な場合(著明な肥満、人工関節置換術後、高度の変形性脊椎症など)に限定して使用する補完的な部位です。
ここが誤解されやすいポイントですね。
腰椎で注意すべき代表的なピットフォールとして、「偽高値」の問題があります。 高齢者では椎体の骨棘(骨の出っ張り)・動脈石灰化・以前の圧迫骨折・大動脈石灰化などが骨密度を実際より高く見せてしまうことがあります。骨密度が「正常」と出ていても油断できないケースが存在するということです。
関連)https://landing1.gehealthcare.com/Lunar_VOC_Clinical-Tips_yokohamashitobu.html
GEヘルスケアの臨床Tips資料には、腰椎・大腿骨それぞれの測定・評価の注意点が詳細に解説されています。
https://landing1.gehealthcare.com/Lunar_VOC_Clinical-Tips_yokohamashitobu.html
つまり測定部位と画像の確認がセットで必須です。
大腿骨近位部の測定では、関心領域(ROI)の設定ミスが数値に直結します。 大腿骨の回旋位(内旋・外旋)や位置決め不良が生じると、同一患者でも測定値が大きく変動します。経時的変化を正確に評価するためには、撮影ごとに同一体位・同一ROI設定を厳守することが重要です。
関連)https://landing1.gehealthcare.com/Lunar_VOC_Clinical-Tips_yokohamashitobu.html
骨密度の経時的変化を正確に評価するためには、測定精度の管理(Quality Control:QC)が不可欠です。 DXA装置は定期的なファントム測定によりCVs(変動係数)を把握し、装置の安定性を確認する必要があります。
関連)https://kashimoto.or.jp/column/column02.html
精度管理なしの比較は意味がありません。
骨密度変化の臨床的意義を判断するには「最小有意変化(LSC:Least Significant Change)」の概念が重要です。LSCとは、測定誤差の範囲を超えた真の変化と判定できる最小の変化量のことです。一般的にDXA法の腰椎測定ではCVが約1〜2%程度とされており、LSCはおよそ2.8〜5.6%になります。
3ヶ月程度の短期間で「骨密度が上がった」「下がった」と判断するのは誤りです。これは実際に患者への過剰な期待や不要な治療変更につながる可能性があります。
これは時間がかかるということですね。
治療経過の観察期間として、国内ガイドラインでは概ね1年ごとの測定が標準とされています。 また、施設間で異なるDXA機種を使用した場合は、その数値をそのまま比較することは原則禁止です。機種が変わった場合はクロスキャリブレーション(相互校正)が必要になります。
関連)https://kashimoto.or.jp/column/column02.html
DXA検査は「撮影して終わり」ではありません。検査値を実臨床に活かすためには、診療放射線技師・看護師・管理栄養士・理学療法士が連携する骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)の体制が重要です。 測定値を単独で読むのではなく、運動歴・栄養状態(特にカルシウム・ビタミンD摂取量)・転倒リスクと組み合わせて評価することが、骨折予防の実効性を高めます。
全職種での共有が原則です。
特に注目されているのが「サルコペニアとの合併評価」です。DXA法は骨密度だけでなく体組成(筋肉量・脂肪量)も同時に評価できる機能を持っています。 骨密度が低下している患者の多くは同時に筋肉量も低下しており、骨粗鬆症とサルコペニアが合併した「ロコモティブシンドローム」の状態にあることが少なくありません。DXA一回の検査で骨と筋肉を同時評価できるという点は、見逃されがちな大きなメリットです。
骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネート製剤・デノスマブ・テリパラチドなど)の効果判定にもDXA法が使われます。治療開始後の骨密度変化をLSCを念頭に置きながら追跡することが、過不足のない治療継続判断につながります。
これは使えそうです。
参考:骨粗鬆症検査の各方法の比較と臨床応用(辻本整形外科クリニック)
https://seikei-tsujimoto-clinic.com/dxa/
参考:DXA法の基本とピットフォール(GEヘルスケア 骨密度測定基本解説)
https://landing1.gehealthcare.com/Lunar_VOC_Clinical-Tips_Nagasaki.html